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ある日ダンジョン出現に巻き込まれた  作者: 鹿野
1章 学校ダンジョン
10/129

#10 模擬戦

 7月12日(金)


「終わった~!!」


 終業のチャイムと同時に雛の声が教室に響いた。


「雛は、今日からまたダンジョン行くん?」

「今日は行かな〜い」

「そうなん?じゃあ、どっか遊びに行こ〜?」

「ごめ〜ん。ダンジョンには潜らないけど、約束があるんよ~」

「そうなの?残念だけど仕方ないわね。美紅みく、ここな次の機会にまた誘いましょう」

「優里奈っちありがと。ごめんね~。じゃ!行ってくんね~」


 雛がギャル仲間との会話を終わらせこちらに来た。


「おっまた〜」

「テストは大丈夫だったか?」

「も〜バッチシ!」

「良かったです。では、富士森公園に行きますか?」

「行こー」


 今日は、父さんに模擬戦の相手をしてもらう約束をしている。


「何だか凄く視線を感じるのですが...」

「アタシも感じる〜何かすっごい視られてるよね?」

「春くん何かした?」

「いや、見られてるのは俺じゃないだろ?」


 富士森公園支部に来たのはいいけど、凄く見られている。


「春斗」

「あっ父さん」

「訓練場はこっちだ。着替えたら早速模擬戦を始めるか?」


 ザワッ


 何だかざわついた気がするけど、何だ?


「うん。お願いします」


 訓練場に案内され、備え付けの更衣室で着替えを済ませて模擬戦を始める事にした。


 何だかギャラリーが多い様な気がするけど、公の場だししょうがないな。


「模擬戦は1本5分で、個人戦全員と団体戦1回でいいんだな?」

「うん。父さんは5戦する事になるけどいい?」

「ああ、問題ないぞ」

「個人戦はほのかのサポートを受けてやらせてもらうね?」

「サポート?」

「うん。戦うのはそれぞれ1人でだけど、ちょっと待ってね。ほのか!」

「はい。ウィンドアーマー」

「なっ!?」


 父さんの驚いた声が聞こえ


「なぁ、気のせいか?あいつ浮いてないか?」

「ああ、俺にもそう見えてる」

「浮く前に、あの娘が何か言ってなかったか?」

「何を言ってるかまでは聞こえなかったけど、確かに言ってたと思う」

「えっ?あいつが浮いてるのってあのお嬢様っぽい娘が何かしたのか?」


 ギャラリーがざわついている。


「お待たせ。準備出来たよ」

「春斗?それは何だ?お前、飛行系のスキルなんて持っていたか?」

「これはほのかの魔法だよ。詳細は秘密だよ?」

「魔法?そうか、ほのかちゃんの、改めて汎用性の高いスキルだな」

「うん。ほんとにね」

「じゃあ、始めるか?」

「お願いします」


 俺はまず、正面から斬り掛かった。


「うおっレベル2のパワーじゃねぇな。それに受けた木剣が弾かれそうになったぞ。これが、その魔法の効果か?」


 攻撃を受け切られた俺は、続けて前蹴りを入れた。


「くっ、それ竜巻か?なるほど、それで身体が浮いてるのか」


 その後も前後左右に揺さぶりを入れながら攻撃を仕掛けたが、まともに入った攻撃はなし。

 そのまま有効打を当てる事が出来ないまま時間になった。


「ありがとうございました」

「おう!ほのかちゃんの魔法があっての評価は、レベル4〜6くらいってとこだな。」

「そうすると適正階層は4〜6階層って事か」

「パーティーとしてそのレベルならだな。ソロだともっと低くなるぞ?」

「まあ、俺達はパーティーだからね」

「そうだな」

「おじさーん。次は私だよー結界の強度を知りたいのー」

「唯佳ちゃん分かった。じゃあ、始めよう」

「はーい。結界」

「「「「「「おー!」」」」」」


 ギャラリーがざわついた。

 この間の時はいなかった人達かな?

 何か自慢気な顔してる人達もいるけど何だ?


「強度を知りたいか、じゃあ少しづつ威力を上げていくな?」

「はーい。お願いしまーす」


『ガキーン』


 もう何度も父さんが攻撃をしているが、唯佳の結界はまだ健在だ。


「かってえなぁ〜でも、このくらいでどうだ?」


 7回目の攻撃で結界が壊れた。


「唯佳ちゃんの結界はレベル7くらいだな。結界は魔力によって強度が変わるから、レベル2でこの硬さはすげ~わ」

「おー褒められたー」

「そりゃあ、これだけ硬い結界張れるんだから褒めるさ」

「やったー」


 唯佳の結界も許容範囲超えると割れるんだな、気を付けないとな。


「おじさ〜ん、次はアタシだけど、休憩入れる?」

「いや、大丈夫だ」

「じゃあ、いっくよ~」


 雛は俺とは違い、前後左右+上下の動きも入れて斬り掛かる。が、やはり有効打は当てられなかった。


「雛ちゃんは、春斗よりも自由に動き回っていて面白い動きだったな。春斗も出来るのか?」

「雛ほど自由度は高くないけど、一応出来るよ」

「そうか。でも、雛ちゃんの方が上下の動きが上手いなら、役割を別けるのはいい判断だな。雛ちゃんもレベル4〜6ってとこだな。いい動きだったぞ」

「うっし!褒められた~」


 あまり高く飛ぶと怖いんだけど、雛は気にしないで高いとこから急降下して斬り掛かるんだよな~

 怖くないのかな~?


「次は私です。宜しくお願いします」

「おう、よろしく」

「行きます。ディバイドファイアーボール」

「ん?普通のファイアーボールか?」


 ほのかの放ったファイアーボールは、父さんに向かって飛んで行き、突然3つに別れそれぞれがそれぞれの軌道で父さんに迫った。


「うおっ」


 なんとかぶつかる直前で回避した父さんだったが、躱した先にはなんと()()()がいた。


「なっ!?俺!?」


 驚いて一瞬動きが止まった父さんを()()()()殴った。


「ぐっ!」


 模擬戦4戦目にして初めての有効打だ。だが


「うおおおおおっ!!」


 雄叫びを上げて殴られた父さんが斬り掛かり、斬り掛かられた父さんは、斬られて土へと変わった。


「降参です」


 斬られた父さんが土へと変わるのを見て、ほのかが降参した。


「ほのかちゃん?今のは?」

「後でお教えしますね?」

「ああ、分かった。そうだな。ここじゃギャラリーが多過ぎるな」


 ほのかの言葉の意味を理解して、父さんが引き下がる。

 ていうか、俺も知らない魔法連発だったんですが?


「最後は俺対クローバーだな。いつでもいいぞ」

「じゃあ、行こうか」

「うん!」

「今度こそワンパン入れるよ!」

「はい!」

「結界!!」


 開幕唯佳が結界を張り、俺と雛が左右に飛び出し、ほのかが魔法を放つ。


「アイスバレット!」


 まさかの氷!?これには父さんも驚いたらしく


「なっ!?氷!?」


 この世界に氷属性はなく、当然氷魔法も存在していない筈だ。

 しかし実際に目の前にあるのだ。驚くのもムリはないだろう。


「影縛り」


 父さんが驚いている隙に、雛が忍術で父さんの足を抑える。


 ハッとして父さんがほのかの魔法を回避しようとするも、影に抑えられ一瞬遅れた。そのせいでほのかの魔法が命中したかと思ったが、ギリギリ剣で防がれた。


 だが、直後に俺が左から斬り掛かる。

 父さんはスウェイで躱す。そこに雛が頭上から斬り掛かるもこれも躱される。

 だが、体制の崩れた父さんに雛がトリッキーな動きで踵落としを入れる事に成功した。


「イエ~イ当たった~」


 続けてほのかのファイアーアローが父さんを襲うも、炎の矢は父さんに斬り落とされる。


 雛が影縛りで動きを封じようとするも、さっきとは違い、父さんは意にも介さず力で突破、唯佳の結界に襲い掛かる。


「うおおぉぉぉ」


 雄叫びを上げた父さんの一撃で結界が割られる。


「結界!!」


 唯佳が再び結界を張るも、一撃で壊され、父さんの木剣がほのかに迫る。


「させない!纏雷!!」


 雷を纏った俺の攻撃を防ぐ為、行動を変えた父さんの木剣と俺の木剣がぶつかった。


「うわっ」

「うおっ」


 お互いの剣が弾かれ、お互いに無手の状態になった。


「そこまでだよ!!」


 おばあさんの声が響いた。

 父さんの眼前には、ファイアーボールをいつでも飛ばせる状態のほのかの杖が、父さんの首筋には、雛の木剣が添えられていた。


「春輔が加減していたとはいえ、勝っちまったのは驚いたねぇ。春輔、親心が出たかい?」

「バカ言え。雷のスキルの威力を読み違えただけだ」

「それはそれで、老いたのかねぇ?」

「ぐっ」

「それより、あの子等に模擬戦の寸評を聞かせておやり」

「ああ、すまない。待たせたな」

「大丈夫だよ」

「最後のパーティーでの模擬戦だが、ほのかちゃんの氷の魔法は驚いたぞ。何だあれ?氷属性なんてないだろ?」

「ふふっそれも後程」

「そうか?そうだな。威力はそれ程でもなかったが、意表を付くって意味では成功だった。その隙に雛ちゃんが影縛りで相手の動きを封じて、あわよくばほのかちゃんの魔法直撃からの春斗とほのかちゃんの物理攻撃でダメージを与え、上手く行けば仕留める事も出来るだろう。だが、氷魔法で意表を付くのは、人間限定だな。魔物は自分にとって弱点属性か耐性のある属性かくらいしか気にしない場合が多いからな」

「なるほど...」

「その後の雛ちゃんの攻撃か?あれは正直、予測してなかったからちょっと効いたぞ。」

「えへへ~」

「それに合わせたほのかちゃんの魔法もタイミングバッチリだった」

「ありがとうございます」

「それに1枚目の結界が壊された後に、2枚目の結界を張った唯佳ちゃんの予測も見事だった。だけど、何で結界を重ね掛けしなかったんだ?割られるのは分かっていたんだろ?」

「重ね掛けしてもおじさんに一撃で壊されるかもって思ったから、なら春くんと雛ちゃんが追いついて来られる時間を稼げればって思って」

「なるほど。確かに、俺も衰えたとはいえ6枚までなら壊せるな。俺の本気がどの程度か分からない状況で、そういう考えでの行動なら良い判断だった。結果、春斗が追いついてほのかちゃんへの攻撃はキャンセルされた訳だからな」

「うん!」

「最後に春斗のあのスキルの威力は予想外だった。手加減をしていたとはいえ、一応レベル10の探索者を相手にするくらいの力は込めていたんだぞ?そのくらいの力で持った剣が、まさか弾き飛ばされる程とは思っていなかった。それに、ほのかちゃんと雛ちゃんの追撃も見事だった。ババアに止められてなければ、いいのをもらっちまうとこだった。総じてパーティーとしての連携面もよかったぞ。唯佳ちゃんが守りを固め、ほのかちゃんが結界の中から魔法攻撃、これだけで普通に厄介だ。そこに、近接組の春斗は下方向から、雛ちゃんは上方向から縦横無尽に攻め立てて、隙を見て影縛りで動きを阻害する。とても結成10日程のパーティーとは思えん連携だった。」

「「やった~おじさんに褒められた~」」


 唯佳と雛が手を取って飛び跳ねている。


「テスト期間はダンジョンに入れなかったので、それを考えれば尚更おじ様の寸評は嬉しいですね」

「そうだな。実質6日しか活動出来てないからな」

「ほのかちゃんのあの身体に纒わせる魔法は、力と敏捷を+20上乗せさせられる感じだと思う。恐らく防御にも影響を与えてると思うが、今回は試せなかったな」

「て事は、適正階層は2階層下って感じかな?」

「そうですね。そういう風に考えて、攻略階層を決めましょう」

「ああ、その位なら()()()()倒せるだろう」


 模擬戦の目的だった適正階層の見極めも終わり、俺達は着替えて富士森公園支部を後にした。


 父さんも仕事は終わっていたらしいので、みんなで父さんに送ってもらった。

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