71,サラさん、奴隷商人をはじめるpart4。
奴隷売買組織を一掃し、王都を綺麗にしたところで、サラは奴隷ギルド〈シロネコトマトの愉快便〉を発足。
「ギルマスはケイトにしておこう」
行方不明中の親友を形ばかりのギルマスにし、いざというときは罪を押し付ける算段のようだ。
ところでギルドを発足するときは、王政府に書類を届け認可を受ける必要がある。アークはまさかと思ったが、サラは変なところで真面目なので、ちゃんと奴隷ギルドの書類を届け出る。
ただしギルマスをケイトにし、住所も彼女の自宅にしているあたり、こいつは友達甲斐のない奴だなぁ、とつくづく呆れるわけだ。
しかし呆れ果てるのはまだ早かった。いまだに王城を取り戻せていない王政府は──そもそも王位継承争いを地味に続けているのでいまだ王不在という、どうしようもない状態なわけだが──面倒だったのか、あっさりと認可した。
かくして正式に奴隷ギルド〈シロネコトマトの愉快便〉は活動を開始。
アークが、何が愉快便だ、と思っていると、サラはてきぱきと仕事をこなし、数人のJCを拉致ってきた。
「なんだこいつ、誘拐とか犯罪だろ!」
「パパに言いつけてやる!」
「おばさん、離せよ!」
13歳からすると19歳のサラも『おばさん』なのか。
すると自分はおっさんを通り越して老人枠に入るのではないか、とアークはどうでもいいことを、どうでもよく考えこんだ。
「ミィくん。この生意気な小娘たちを、これから奴隷売買ネットワークに『配送』してくる」
この言葉を聞いて、後ろ手に縛られていたJCたちが、さらに騒ぎ出す。ただし今回は、生意気な態度もなりをひそめ、めそめそ泣きだした。
「奴隷ってなんだよ~!」
「パパが助けてくれるって!」
「こんなこと許されないよ、おばさん!」
「誰かぁぁ助けてぇぇぇぇ!」
『おばさん』呼ばわりしているうちは、もうダメだな、とアークは思う。
しかしサラも鬼ではない、たぶん。
JCたちに声が聞こえないところでサラが説明したのは、さすがに脅かすだけで、本当に売るつもりはない、と。そこは理性を捨てていないようで、アークはホッとした。ただそのために実際に奴隷ギルドを起ち上げるという、この謎の行動力は感服するべきなのか?
「十分に怖がらせたし、もう懲りたでしょう。解放してあげよう」
見やると、拉致っていたJCたちの姿がない。勝手に逃げ出したのだろうか。しかし縛りの結び目は固く、自力で逃げられたとは思えないが。
「そういえば、誰か配達業者、雇わなかった? もしかして、勝手に奴隷配達しちゃった?」
「にゃぁ(だから紛らわしいギルド名をつけるのはやめろ、と言ったのだ)」
正直にいえば、そんなことは一言も言っていなかったが。




