61,課金しようpart10。
しばらくは静かなものだった。〈課金ポケット〉が機能を停止しても、すでにガチャで引かれたキャラ(ホムンクルス)や武器は消滅しないらしい。
ライラエルが、サーバーアイテムの残骸を片付け始めている。
サラが呆然として、その様子を眺めていた。
「ああ……。せっかく廃課金ルートを作るため、『初回ガチャ石2倍』とか、いろいろ誘導を作ろうとしていたのに。『はじめに課金させればこっちのもの』という勝利の方程式にたどり着いていたのに」
アークが振り返ると、ぞっとしたことに、五大悪が一体ベリアルが立っていた。前回現れたときは、邪悪さを振りまいていたものだが、こうして完全に気配を消すこともできるらしい。
ベリアルは長い指で尖塔をつくりながら、サーバーアイテムの残骸を眺めている。
こうも早くに対峙するときがこようとは。
アークの計画の『禁じ手』とは、識天使を召喚して、ベリアルにぶつけるというもの。下手すると、この王都が吹っ飛びかねない手だが。しかし召喚の準備はまったく進んでいなかったので──どうも猫に転生してからサボることが増えた。猫ゆえに──その手は打てない。
ベリアルは肩をすくめると言った。
「まぁ、いいだろう。ひとつの社会実験が終わった。モルモット諸君、よく働いてくれたな。ホムンクルスたちは褒美として置いていこう」
それだけ言うと、ベリアルは消えた。アークはためていた息を吐いた。どうやら悪魔に見逃してもらったらしい。
「にゃぁ(これで、一件落着か??)」
サラが窓から外を眺めて、小首をかしげる。
「うーーーーーん? なぜか、この建物のまわりに人が集まりだしているんだけど?」
ケイトも隣まで歩いていき、同じく外を見やった。それから、
「あそこにいるのは、私の従兄」
「え? もしかして、廃課金者たちが取り囲みはじめているの? だけど、ここが〈課金ポケット〉の運営拠点ということは、関係者しか知らないはずだよ? そして誰も公言していない。誰の仕業? まさかベリアル?」
「にゃあ(ベリアルがそんな詰らない嫌がらせをするものか。それに、もっと身近にいるだろう? おれたちを嫌っていて、ここが運営拠点と知っている者が)」
ケイトが通訳すると、サラは「ははぁ」と理解の表情。
「消費生活局のボブめ」




