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57,課金しようpart5。

 

 サラいわく、「わたしが運営になれば、健全なガチャ確率を約束するし、天井システムも取り入れる。これで〈課金ポケット〉がサ終する心配はなくなったよ」とのこと。


 アークとしては、根本的問題解決からとてつもなく遠のいた地点にいまいるような気がしてならない。

(そもそもサ終とは、どいう意味だ……)とも。

 だが、よくよく振り返ると、消費生活局からの依頼は、『運営もとの謎を解き明かせ』だった。とすると、依頼は完了したのだろうか。

 しかしながら、悪魔の関与を明かせば王都がひっくり返るパニックになりそうなので、依頼完遂が望ましいかも、今となっては分からないが。


 アークが『保護者』としていろいろと考えているとき、サラはサラで思考を巡らせてはいた。


「一人と一匹では荷が重いね。これは〈名前はまだない〉総力で臨む案件とみた」


 というわけで、まずはドーグ宅を訪ねる。集合住宅の一室に部屋を借りていたが、留守にしていた。それで大家に尋ねると、


「今朝がた、聖堂騎士団に連行されていったねぇ。なにか神侮辱罪を犯したそうだよ」とのこと。


 サラは虫歯が痛いような顔をした。


「聖堂騎士団って、王国公認の狂信者集団? そんな面倒なところとかかわっているの? いい加減、ドーグを〈名前はまだない〉から追放したい」


「にゃあ(なんでもパーティメンバーを追放すると運気が下がるらしいぞ)」


 ドーグのことは見捨てて、次にケイトのもとに向かう。ケイトはどことの組織とも問題はおかしておらず、それだけでサラの評価が爆上がりした。評価項目の緩さ。加点主義の弊害。


 ケイトはケイトで、サラが〈課金ポケット〉の運営となったと知り、謎の歓びよう。アークはその反応から、もしやと思ったが、まさしくその『もしや』だった。


「実は、少しばかり課金していた──」


「え、ケイトも〈課金ポケット〉ユーザーだったの。それは初耳。いつから?」


「先々月」


「わりと前からだね」


 ふぅと安堵の溜息に続いてケイトは言った。


「サラが運営になってくれたおかげで、私が課金でつぎこんだお金も返ってくる。800万クレジットが」


「にゃぁ(先々月からはじめて800万??? それはたいした廃課金だな)」


 しかし、時には仲間にも苛烈──というより、たいてい苛烈なサラが首を横に振る。


「わたしが、そんな正しき運営の風上にもおけないことをするとでも? 友達だからって、特別扱いはしないよ。課金とは責任を負うことと同義。お金はびたいちもん返しません──」


「鬼畜、死ね、鬼畜」


「だいたい、わたしは〈課金ポケット〉中枢アイテムの使用方法を知らないから、課金したお金を返したくてもできないの」


「…………………………なら、仕方ない。だけど〈課金ポケット〉運営にかかわる以上、〈名前はまだない〉の給料とは別に報酬を求める」


「仕方ないなぁ。じゃさっそく、わたしの改善案を聞いてよ。天使の閃き、天井システムについて」


 天井システムについて聞いたケイトはひとつうなずき、


「サラ。私はいま、閃いた。天井システムは素晴らしいけど、それだと儲けが減る。たとえばメイドのライラエルが限定ピックアップガチャのとき、どうしてもライラエルが欲しいユーザーは、どこまで課金をする? 90連で天井だったとして、まず90連までは回すはず。だけどそこで、別の星5──たとえば恒常扱いの星5を引いてしまったら? そのとき、『次の90連では、確実にライラエルが出ます』と確定されたら? きっとそのユーザーは、さらに課金して、次の天井まで回すはず。私はこれを、『すりぬけ』システムと名付けた」


「すりぬけ──!」


 サラは固唾を呑み、それから共犯者めいた笑みを浮かべた。


「それは、悪魔の発明だね。はい採用」

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