54,課金しようpart2。
消費生活局のボブの説明によると、いつのまにか〈課金ポケット〉なるものが、王都内で流通していたという。
この〈課金ポケット〉の使いかたは単純明快。決められた数の石を投入することで、ガチャを回す。すると武器などが手に入るらしい。ただし排出率によって☆3から☆5まで設定され、☆5のほうが強力な武器となる。
「にゃぁ(武器『など』? まるで武器以外にも出てくるような言い草だな)」
サラは腕組みし、ふむふむと言った。
「いまどき武器も宝箱から手に入れたり、素材集めて作ったりする時代じゃないんだね。これからはガチャで手に入れる時代なんだね」
と、謎の順応を見せている。この課金アイテム、強力なのはいいが、排出率の渋さとガチャ石の高さによって、王都中で借金してまでガチャを回す者たちが続出。ちょっとした社会問題となっているらしい。
「よく分からないんだけど、そんなにみんな、武器が欲しいの? 冒険者ギルドの人とかならともかく、一般人が武器とかいる? いくら強力だからって?」
ボブは、〈課金ポケット〉を取り出し、サラの前に置いた。
「ガチャで手にはいるのは、武器だけではありません。それゆえにこの混沌が起きているといっていい。まずはお試しください。初期設定の〈課金ポケット〉には10連無料特典が入っていますので」
「ところで、一体わたしたちへの依頼は、どのようなものなの? 〈課金ポケット〉を全回収しろ、とか?」
「いえ。われわれが知りたいのは、〈課金ポケット〉を何ものが広めているのか、ということです。アイテムの出どころはどこなのか、ガチャ石に支払ったお金はどこに消えるのか? それを突き止めていただきたい」
「なるほどです」
ボブが去ったところで、さっそくサラは無料の10連ガチャを回した。とたん〈課金ポケット〉から虹色の光があふれ出す。どうやら☆5確定演出らしい。ちなみにアークが調べたところ、☆5排出率は0.06。
〈課金ポケット〉から、すらりとした女性が現れる。年齢は20代で、シックなメイド服を着用。こげ茶色の髪の、美麗な顔立ち。唖然としているサラに優雅にお辞儀し、ライラエルと名乗った。
「お嬢様。このライラエル、これから誠心誠意、尽くしてまいります」
「ミィくん……なんか人間が出てきた」
アークは《識別眼》で、この人間の正体を見抜いた。
彼女はホムンクルスだ。
「にゃぁ(なるほど。これが一般市民が課金にはまる原因か。武器だけでなく、まさか『人間』までが排出されるとは。この〈課金ポケット〉、想像以上に闇が深いようだぞ)」
サラが歓びのポーズをとった。
「やった! 星5のメイドを入手したぞ! わたしのガチャ運は神がかっている!」
「……」




