44,好感度が見えるようになった。
ケイトの趣味のひとつに占いがある。アークからしてみると、占いにはまるのは女子らしいな、と思うわけだ。
ただもう一人の〈名前はまだない〉の女子であるサラは、「うらない? なにを売らないって?」と、つまらないギャグのようなことを言っていた。
とにかくケイトは、行きつけの占い師から、あるアイテムを購入してきた。このアイテムは、『占星術的なものを使う』らしいが、根本的には占いとはまた異なるらしい。ならなぜ占い師が売っているのか、ここでうさん臭さが出てくるわけだ。
実際、ケイトからアイテム購入(予算は〈名前はまだない〉の豊潤な資産より)を聞かされたサラは、
「あー、騙されたね、ケイト。底のない資産の一部をそんなことに使うなんて~」
「騙されてはいないサラ。これは『好感度の分かるアイテム』。正式名称〈好感度が分かるアイテム〉」
「はぁ。まんまなアイテム名で分かりやすいのは結構だけど。そんなもの当てになるはずがない。けど…せっかくだら、ミィくんのわたしとケイトの好感度をはかってみよう。で、どう使うの?」
ケイトがアイテムを使用すると、次のように出た。
ミィ→ケイトへの好感度100。
ミィ→サラへの好感度99。
「ミィくん!!!!!! 飼い主のわたしより、ケイトのほうが好感度高いって、これどういうこと!!」
「にゃぁ(落ち着け。この手のアイテムに誤差はつきものだ)」
「わたしは大いに傷ついた。どうりでミィくんは、わたしにだけは『猫すーはー』を滅多にさせてくれないわけだよ」
「私は一度も、すーはーさせてもらったことはないけど」
とケイトが言うと、サラは謎の勝ち誇った顔で、謎マウントを取り出す。
「え、そうなのケイト? わたしなんて、これまで78回は『すーはー』させてもらっているものね」
「……」
アークは話題を本筋に戻すことにした。
「にゃあのにゃあ(しかしこのアイテムは掘り出し物だぞ、サラ。なんといっても、いま〈名前はまだない〉の立場は微妙。いろいろな勢力に『いい顔』したせいで、最悪、複数勢力を一度に敵に回すこともある。しかしこの『好感度』で、各勢力の指揮系統トップの者たちを測れば、少なくともいきなり背中から刺されることはなくなるだろう……聞いてるか?)」
サラは輝く瞳で、〈好感度分かるアイテム〉を見つめていたが、ふいに指一本たてて。
「よーし。これで、デートスポットにたむろしているバカップルたちの互いの好感度チェックして、何組か破局に押しやってやろう。わたしに続く人、この指とまれー」
「にゃあ(好感度が下がるのはこういうところだぞ)」




