表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/79

37,アンチ雇われpart2。

 

 くだんの貴族は、ハウグ伯爵家の当主。


 これは大物貴族らしく、貴族知識になど興味のないサラでも、「聞いたことはあるような」という反応。少なくとも、無関心なサラの耳に届くくらいには、影響力のある貴族家ということだ。


 王都内の貴族区画にも邸宅はあるが、実際の住まいは、自領の邸。これが要塞のように守りを固めているそうだ。

 このハウグ伯爵領に向かいながら、サラとアークは相談した。相談といっても、いまだサラは、アークの猫語の半分も理解できていないが。


「さてミィくん。なんかその場の勢いで受けちゃったけど、貴族を抹殺するなんて、相当なものだよ」


「にゃぁ(相当な報酬も約束されたからな)」


 報酬は総額で5億クレジット。そのうち王国貨幣で三分の一、黄金が三分の一、残りは宝石などの宝物類で渡される。ちゃんと前金で半分もらっているあたりに、サラも最低限のしたたかさはあるようで何より。


 受け取った前金の分け方だが。

 まず前金半分は、アークの《収納魔術》に保管。

 残り半分は、さらに四つに分けて、王都銀行に預ける、〈名前はまだない〉ギルド内にある金庫室に保管、不動産投資に回す、訓練用ダンジョンの一角の購入資金、と分散した。


 前金だけで、これまで貧乏だった〈名前はまだない〉は、資金豊富なギルドに様変わり。ただちゃんと抹殺クエストを達成しないと、こんな多額の報酬をばんと出せる〈シグマ〉を敵に回すことになる。だからこうして、ハウグ伯爵領へとのんびり向かっているわけだ。


「伯爵を始末しつつも、今回ばかりは〈名前はまだない〉の仕業と分かっちゃ困るわけだよね。隠密裏にやり、さらに目撃者が出ても、〈名前はまだない〉と結びつかなければいいわけだよ」


「にゃぁ(何か名案でもあるのか?)」


「ははぁ。ミィくん。わたしに名案があると思っている? そんなものは、ないのだよ。とりあえずさ、できるだけ目撃者を作らないように事を進めて、最悪見つかったときは──我々は暗殺パーティ〈坊ちゃん〉です、とかでも名乗っておく? 〈名前はまだない〉と身バレしなきゃいいわけで」


「にゃあ(お前だけならそれで通るかもしれないが、おれも目撃されたら、誤魔化しようがないだろ)」


「そっか。三毛猫がメンバーのパーティなんて、〈名前はまだない〉くらいなものだよ。仕方ない、ミィくん。君はいまから──黒猫だ」


「にゃぁ(は)??」


 ハウグ伯爵領内に入ったころには、サラは漆黒の軽装鎧(兜付き)を装着。これは王都の武具店で値切って購入した一式を、黒く塗ったもの。

 そしてサラの相方は、黒猫だった。これはアークの全身の毛を、墨で黒くなっただけ。


「これで誰も、ミィくんを三毛猫とは思わないよ」


「……にゃぁ(浅はかすぎる)」


「それにしても、晴れているねぇ。貴族の抹殺日和だ」


 サラは夜陰に乗じる気もないらしいので、アークは隠密魔術のいくつかを思い出すことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ