32,うまい話にはpart3。
ケイトを見つけるのは簡単だった。ここまで範囲が狭まれば、追跡魔術ですぐに見つかる。
ケイトは採掘した鉱物から魔石を取り分ける作業をしていた。
そっとケイトの足元まで歩いていくと、向こうもすぐに気づいてホッとした様子で言う。
「あぁ、ミィさん。いつみても毛並みがいい」
仕方ないので耳の後ろを撫でさせてやる。普段アークは、こんな大盤振る舞いはしないのだが。
「にゃい(さて、ここに囚われている人たちを一斉に逃がしてやりたいわけだが、そのためには、どうしたものか。何か良い案はあるか?)」
「囚われ人たちは、たいていが同じような形で分けられるので、それぞれにネットワークができている。だから脱出合図を伝播しておけば、あとは合図次第で、いっせいに逃げてくれる。あ、ミィさん、ここに蚤が。いまとる」
「にゃぁ(おれの言葉がちゃんとわかるお前は、まさしくドルイドだなぁ)」
「わたしはドルイドでは、ない」
サラのもとに戻り、ケイトのプランを伝える──のは難しかったので、ケイトに手紙を書てもらった。ケイトいわく、
「一応はサラがリーダーなので、できる部下が提案する形の文章で」
という気の使いよう。
サラはふむふむとうなずいてから、顔をしかめた。
「計画は分かったけど、ケイトから、『ミィさんの蚤取りを忘れてはいけない』とあるけど、ミィくん、蚤がいるの? 猫すーはーができないから、困る」
「にゃあ(蚤のことはいまはいいし、おまえにすーはーさせるつもりはない。とにかく、とっとと行動を起こすぞ)」
問題は合図で、サラの提案により、『ミィくんが敵のシャーマンを撃破したら』というものになった。
つまり伝聞内容は、『三毛猫が闇の種族のシャーマンを撃破したら』となる、が。
「三毛猫って、みんな知らないんだよね。絶滅間近という話だし。じゃ、『変わった猫』にしておこう。これをわたしから、みんなに発信していけばいいんだね?」
「にゃあ(それとケイトからも発信してもらおう。二か所から伝播したほうが、より速くみなに伝わるだろう)」
「うんうん、ミィくん、蚤取りはここから無事に脱出したら、してあげるからねー」
いい加減、サラも猫語を理解するべきだろう、と思いながら、ケイトのもとに戻る。その途中、まさしく敵のシャーマンを見かけた。はたから見ても、異形の骨で創られた魔杖が禍々しいが、何よりも、本体から発せられる闇の魔力が、わかりやすく『闇のシャーマン』。
そして『闇のシャーマン』と目があうなり、奇声を発しながら、闇魔術level5《魔弾》を発射してきた。
「にゃぁ(お前ら、猫にどんだけ恨みがあるんだ!)」
しかしシャーマンの場合、アークの正体に気付いた可能性もある。
とにかく魔弾を回避し、お返しに聖魔法level10《聖なる十字の槍》を放つと、闇のシャーマンは跡形もなく消し飛んだ。浄化魔術に弱いのが、闇属性生物というものだ。
アークはふぅと猫的溜息をついてから、いまのが合図じゃないか、と思ったりした。




