29,市民から愛され度。
最近パーティランクに伸び悩む〈名前はまだない〉。しかし王都市民からは、意外と評価が高い。
これは、サラが市民発注のクエストを好んで受けていることが大きい。たいていの上位パーティは、市民発注ではパーティランクが上がりづらいと避けやすいため。
とくに〈名前はまだない〉といえば、石化病にきく〈ガドラ草〉採取に協力したりと、市民ベースでの活躍が目覚ましい。
それとマスコットの猫が人気らしい。
そんなある日──ラクダの預け料で「これはマイナス資産では?」という素朴な疑問に行き当たっていたころ──サラの自宅に封筒が届き、中身を確認するなり嬉しそうに言った。
「あっ、ミィくん。わたしたち、『今年一番、王都の市民のため活躍したパーティ』を表彰するオウデミー賞を受賞したらしいよ」
「にゃぁ(そんな賞があったのか)」
「うんうん、市民に最も愛された〈名前はまだない〉を目指そうというのは、わたしの計画どおり。違ったっけ? そういえば、このまえも雑貨店で武装強盗を捕まえたし」
「にゃい(王のおひざ元のくせに、治安が悪いな。いやしかし、この王都内でも街区ごとに格差があるのだったな。貴族区画と一般市民区画。そして王都民は高い税金を支払わされるため、一部では治安悪化につながっているのだ)」
「ミィくんが、難しい顔で考えている。猫のくせに」
せっかくなので授賞式に参加した一人と一匹。
野外の会場は広場に設営されており、思ったより多くの市民が集まっていた。壇上に上がって、トロフィー授与される。
さらに今年一番市民に尽くしたパーティとして、代表者が広場に手形を残せるらしい。
「ここはリーダーのわたしが」
と前に出たサラを、パーティ主催者が押しとどめる。
「できれば、〈名前はまだない〉を代表とする、かの猫どのに頼みたいのですが」
「え、ミィくん? ミィくん、ご指名だよ」
「……にゃぁ(仕方ない)」
手形ならぬ猫の足跡を残して、拍手喝さいのもと会はお開きとなった。すっかり満足した様子で帰宅したサラだったが、ハッとした様子で何かに気付く。
「あれ? 賞金とかはもらってないよ? 今年一番、市民のために尽くしたパーティなのに?」
「にゃぁ(おまえ、無欲さを学べ。見返りを求めない人助け精神というものを)」
「ふむ。このトロフィー、金でできているのかな? 質店にいってみる?」
「にゃぁぁぁ(やめろ、バカ)!」
「わぁぁ、ミィくんが反抗期!!」




