27,馬肉になるまえにpart1。
「ミィくん聞いてよ。先日〈すめらぎ刃〉をボコったせいで、わが〈名前はまだない〉のパーティランクががくりと下がった。なーぜー?」
とサラが嘆いたのは、自宅。
結局、ケイトは見つからないし、ドーグは逃げたしで、いまだに王都に立ち往生していた。
「にゃぁ(逆に褒められるとでも思っていたわけでもあるまい)」
「このせいで、悪魔討伐のための旅費を、ギルドが出してくれなくなったわけだよ。この分だと、ミィくんの『猫吸い』で路銀を稼ぐしかない」
「にゃぁ!(いい加減にしろ)」
「きゃぁ! ミィくんが、反抗期だ!」
そこで個人的にサブクエを受けて、報酬を得ることにしたサラ。
とりあえず、いまだに悪魔討伐クエストは成し遂げよう、としている点は評価できる。
しかし、いまだに悪魔群が初期把握位置に留まっているとも思えないが──。
「誘拐された馬を連れ戻す依頼を受けてきた。報酬は3000クレジットだよ。どうだ、ミィくん」
サラの依頼主は、王都付近の牧場経営者のゴーダ。ちなみに王都付近で牧場を経営できるということは、王都の中枢にコネでもあるのだろう。
このゴーダ牧場で手塩にかけて育てられた馬が盗難の憂き目にあったらしい。血統のよい馬ならば、闇市で売りにでも出るのだろうか。
ところがゴーダ牧場スタッフ(馬盗難の唯一の目撃者)によると、朝方盗みにきたのは五体のホブゴブリンだったらしい。
「大変だよ、ミィくん。ホブゴブリンたちは馬肉シチューを作るに違いない。これは」
「にゃぁ(なんだかなぁ)」
しっくりこない話だが、王都付近にホブゴブリンの拠点があるのならば、早々に潰しておくべきだろう。
というわけで、一人と一匹は目撃情報をもとに王都付近を探索。のち、確かに名前もない洞窟入口に、ホブゴブリンの足跡を見つける。
「ははぁ。ここが奴らの根城だね。まっていてね、血統のよいお馬さん! しかし〈名前はまだない〉にも自前の馬が欲しいよね」
「にゃあ(まてまて。馬の足跡がないぞ……だがこれは、人間の足跡か?)」
「分かる分かる、レンタルじゃない馬が欲しいよねぇ。依頼料、いまからでも馬にならないかな」
洞窟内を探索していると、ふいにホブゴブリン五体と遭遇。旅商からさらってきたらしい人間たちを解体しようとしているところで、危うく人肉シチューになるところだった。
「討、伐!」
サラの斬撃が走り、ホブゴブリンの肉を分断。その一部が、鍋にぽちゃんと入った。
「にゃぁ(ホブゴブリン肉のシチューか。栄養はなさそうだな)」
「もうミィくん。お腹が空いているからつて、ホブゴブリンの肉なんか食べちゃダメだよー」
「にゃあ(お前は、おれをなんだと思っているんだ??)」




