22,手あたり次第part3。
精確射撃。精確射撃。火炎弾を命中させれば、標的が燃えだす。
アークは身軽に着地。これが猫の特権。そこら中で盗賊たちが火達磨になっているが、そのなか、まったく異なる悲鳴が聞こえてきた。
そちらに向かうと、とある建物内で、長剣を振り回す目の血走った盗賊を見つける。その男は、「てめぇらだな、傭兵を呼び寄せたのは!」とわめきながら、拘束された女子供に向かっていく。傭兵とは、アークとサラのことらしい。冒険者なのだが、とアークは思いながら、その盗賊に呼びかける。
「にゃあ(おい、抵抗もできない女子供を襲おうとするとは、とんでもない奴だ。おれが相手になってやる)」
しかし頭に血がのぼっている盗賊は聞こえていない。いや聞こえても、ただの猫だと思ったのかもしれない。
これはいけないと、アークは素早く魔術level5凍結魔法《冷走り》を使う。地面を氷結魔法が走り、その盗賊の足を凍らせた。
「ぐあっ。なんだこいつは?!」
だがその盗賊は、右拳を振り下ろして、氷結魔法を砕いた。魔法を拳で砕いたということは、魔術の素質があるということだ。
「にゃいの(ほう。ただの雑魚ではなかったか)」
その盗賊は、長剣を投げ捨てながら、アークを見やった。そして両手にナックルダスターを装備して。
「猫だと? なるほど。襲撃してきた傭兵の片方は猫だという報告もあったが、どうやら本当だったようだな。てっきり錯乱したのかと、その報告をしてきた奴を殴り殺しちまったが」
サラが飛び込んできて、アークとナックルダスター盗賊を交互に見やる。
「ミィくん! そいつが〈赤牛の盗賊団〉残党の親分だよ! 討伐したらボーナス100点!」
「にゃぁ(まったく、最近の若いものは、なんでもゲーム感覚か)」
「さぁ、ミィくんがトドメをさして!」
「にゃい(しかし勝ちを譲るその姿勢、評価しよう)」
一方、親分はナックルダスターに魔力を溜めて、「ちっ。二人相手は不利か」と床に叩き込んだ。床材だけでなく地面もえぐる破壊力満点の一撃。舞い上がった粉塵に紛れて、親分の姿が消える。
「あ、逃げられたよミィくん」
「にゃい(そうはいかん)」
せっかくだから拳闘スキルで相手しようと思ったが、向こうが逃走をはかったのならば、遠慮はいらない。
魔術level10。追尾と氷結の混合魔術《嵐氷の矢》。標的として、すでに敵親分は視界におさめたときにロックオン済み。
そして放たれた氷結の矢は、逃げる親分を追尾。危険の飛来に気付いた親分が振り向きざまにナックルダスター装備の拳を突き出すも、それごと破壊する。
「ぐぁぁぁぁ!!」
さらに分散した《嵐氷の矢》は、全周から親分を襲い刺し殺した。
それを見届けてから、サラはアークに言った。
「ボーナス獲得おめでとうミィくん」
「にゃあ(まったく)」
親分の死で、ほかの盗賊たちは武器を捨て投降。かくして〈赤牛の盗賊団〉──の残党は、壊滅した。
盗賊員たちを拘束してから、囚われていた村人を解放。王都の冒険者ギルドに知らせを飛ばして、引継ぎが来るのを待つ。その間に、サラは西方山脈へのルートを、ちゃんとMAP上で確認。
「ははぁ。あの分岐路で、わたしたちは間違えたんだよ」
「にゃぁ(『たち』じゃないぞ。おまえが間違えたんだ)」
「わたしはともかく、ミィくんは猫なんだから。道を間違えないでよー。これだから野生を忘れた飼い猫はー」
「……にゃぃ(おい)」




