18,サソリばかりじゃないか。
アークは、サラとともに西方監獄まで移動を開始。
今回はひとまず監獄からドーグを連れ出し、いったん王都に戻る、とんぼがえりの計画。
ところが道中、都市や町をつなぐ街道を進んでいると、どこかの村人が命からがらと跳び出してきた。
このときサラは、王都厩舎で借りた馬の上。
出発時、サラの肩にいたアークは振り落とされて、いまは馬の尻尾につかまりながら、転生したのが猫じゃなかったらなぁ、と思っているところだった。
「あ、あなたは冒険者のかたですか? どうか助けてください。わたしの村が、魔物たちの襲撃を受けて、」
サラは馬上から飛び降りて、その村人を助け起こした。確かに村人の衣服は血で汚れている。
「え、魔物の襲来? これは緊急事態。さっそく向かおう。ね、ミィくん。その魔物退治、この〈名前はまだない〉──いまは半分メンバー──に任せてよ」
「にゃあ(そうやってサブクエばかり拾っていたら、いつまでたっても監獄にたどりつかないぞ……とはいえ、確かにこの人の村のことは気になるか)」
ということで、突発サブクエ──ならぬ魔物襲来を受けた村の解放に向かう。と、村人の言葉を裏付ける光景。馬くらいの巨大なサソリが何十体も村中を這いまわっている。
「うわぁ。わたし、蟲は苦手なんだよね。だけど、ここは勇気をふりしぼり、あそこの一体を倒すから。ミィくんは、残りの、えーと、50体くらい?倒してくれる?」
「にゃあ(まぁ、いいだろ)」
「いまのはオーケイたという意味のにゃあだよね? さすが、頼りになるミィくん! だっこしたげる」
サラはアークを抱きあげて、むぎゅっーとしだした。
「にゃぁ(おい、そういうのを、やめろ!)」
サラとわかれて、足早にサソリたちのところに向かう。手早く数を減らすため、拳闘スキルlevel8《大地割り》で、広範囲の破砕攻撃。
ただこのサソリ型の外殻は思ったより硬度が高いので、一体ごとに確実に仕留めていくプランに変更。火炎魔術+拳闘スキルlevel5《針刺し》で、一体ごとに鋭い突きで穴をあけ、中に火炎を注ぎ込んで蒸し焼きにする。
50体始末し終えると、サラが一体目を片付け終えて、怪我した村人の介抱をしていた。すでに剣術奥義も会得しているのだから、サラももっと撃退できたはず。これは本当に、ただ蟲が嫌いらしい。
アークが駆けつけると、サラは生存者たちに自分たちのことを話していた。
「通りすがり正義の味方です──あ、でも〈名前はまだない〉というパーティ名なので、そこを冒険者ギルドに届けてくれる? ありがとう」
「にゃあ(そういうところは、抜かりがないな)」




