表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/79

14,井戸の底は考えものpart3。

 

 アークが〈忌もの〉と戦っていたころ。

 サラにもその知らせが、ギルド関係者から届いた。


 この時点で、ケイトはギルドに〈忌もの〉出現を伝え、隔離されていた。隔離を指示したのは、ギルド上級職の一人。レティアというウィッチハンター。


〈忌もの〉追跡中の猫──的な生き物──が、〈名前はまだない〉に所属しているということで、リーダーのサラにも知らせが届いたという流れ。


「え、うちのミィくんが! ところで〈忌もの〉ってなに??」


 と、サラが疑問に思ったのも無理はなく、ケイトが報告したときも、正しいレベルで危機感を抱いたのは、レティアだけだった。ケイト隔離を命じたのも、〈忌もの〉の断片が付着しているからもしれないと考えてのこと。


「ミィくん、いまわたしが助太刀に向かうよ!!」


 と、おっとり刀で駆けつけようとするも、Sランク冒険者に拘束される。これもレティアの指示。ここでサラの今回の出番は終わる。


『飼い主』が拘束されていたころ、アークは荒業で、〈忌もの〉に対応していた。

〈忌もの〉を徹底的に消滅させるには、分散したパーツもそのつど破壊せねばならない。しかしそこまでの連続攻撃は、魔術よりも拳闘スキルのほうがあう。


 では闇の凝固物たる〈忌もの〉を殴るためには、どうするか。自身を聖属性に変換するしかないようだ。

 聖魔術level10《イカロスの槍》に、あえて自分を貫かせる。一時的に、これで自身を聖属性体とする。とはいえ長くはもたないが。

 とにかくこれで拳闘スキルによる、直接の攻撃が可能。聖属性体として物理攻撃を加えれば、それはすなわち聖魔術攻撃と同じ。


「にゃぁぁぁ(いくぞ、前世で爪を研いできたのも、この日のためだ!──おそらくは)」


 拳闘スキルlevel10《百掌打ち》。

 通常の《百掌打ち》も、物理攻撃域のmaxだが、今回はその一撃一撃が、聖属性攻撃となる。そして〈忌もの〉がダメージを受けて分散するたび、その分かれたパーツも適格に破壊していく。

 

 しばらくして、〈忌もの〉が確実に消えてなくなったのを確認。自身は聖属性体となっているので、闇の凝固物が付着しているなとどいうことはないだろうが、それも確認。このモフモフの隙間に入りこんでいることもありえる。


「にゃあ(狭いところで戦うには、この猫の身体も、まぁ便利か)」


 近くの出口から王都地上に出ると、すでに配置されていたクレリックたちに包囲された。一斉に聖魔法攻撃をくらいそうになったので、アークはあわてて手をあげる。


「にゃぁ(おれは〈忌もの〉じゃないぞ。一般的にいって、こんな可愛い生き物に何をしようとしてくれる!)」


 レティアから〈忌もの〉の怖さを聞かされ、ここのクレリックたちも興奮していた。そのなかレティア自身が現れ、アークを視認する。


「これが〈名前はまだない〉のマスコットか。三毛猫ではないか」


 そばに仕えていた配下が疑問を口にする。


「閣下、しかし三毛猫とは聞いたことがありません」


「確かに三毛猫は絶滅危惧種であり、この大陸に生息している一般的な猫とは、見た目が少し異なるが。猫には違いない──まぁいい。部下たちを撤収させろ」


「ですが閣下、〈忌もの〉はどうされるのです?」


「そんなものは存在しなかった。上にはそう報告しておけ」


 レティアの考えでは──〈忌もの〉の件が広まると、いらぬ不安を王都民に与えることになる。何より〈忌もの〉の気配は消えている。どこからやってきたのかは後日調査せねばならないとして、まず危機は去ったようだ。


(あの三毛猫が片付けたようだが。〈忌もの〉を殺せる猫とは、まさしく化け猫。討伐難度でいえば、Sランクでも済まないか。これからも注目しておいたほうがいいだろうな)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ