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Y・Hファイル  作者: 白百合リーフ
林堂 友理サイド
8/29

第8話 「ターゲットを狩る者」

タッタッタッタ!!

はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……

(絶対に逃さねぇよ!待ちやがれ鎌野郎。

俺の名前は八瀬 誠也、今俺はとある人物を

見つけて取っ捕まえる所だぜ!!

俺はな〜悪意ありの悪戯とか俺を怒らせるような

奴には地獄の果てまで追い掛けてぶっ飛ばすって

決めてんだよ!

だから……俺はアイツを今日こそ捕まえる為にな)


誠也の隣を走る日向が口を挟む。

日向「落ち着け、誠也(汗)

今回のはお前が避けなかったから

ぶつかった訳でそれを(なに)も相手のせいにする

お前が1番悪いっ!!」

誠也「テメェも俺にぶっ飛ばされてぇのか!!

あぁ〜?!(怒)」

日向「僕に八つ当たりをするな鬱陶しい(汗)

どうせ、当たらないんだからさ」

誠也は速度を緩めて日向の胸ぐらを掴み、

怒鳴り散らかした。

誠也「お前、マジで俺がこんな状態で

よく棘を飛ばせるな!死にてぇのかよ!?

俺の攻撃が当たらないだぁ〜?

もう、あの時の俺じゃねぇんだ!!

俺の癇に障った、お前が悪いからな?

後悔すんなよ(怒)」

と言って左手を日向の腹に殴り付けた!

誠也「ニヒッ(笑)」

目元を暗くした日向の顔を見ながら

少しばかり嬉しそうな誠也だったが、

なぜだか上から日向の声がした。


日向「だ〜から。

当たらないって、いつも言ってるだろ」

そう言いながら日向は家の屋根の上に立っていた。

誠也「へっ……?お、お前ぇぇぇ〜また!?」

日向「また、とは何だ?これが、僕の戦術だよ。

誰かさんのように頭は悪くないんでね脳筋と違って(怒)」

誠也「あぁ〜んだと日向?!降りて来やがれ!」

とギャーギャー下で騒いでいると日向は、

近くの廃ビルに元凶が入って行くのを見て

誠也に知らせた。

日向「今はそれどころじゃない事なのは、

明確だよな?

僕に攻撃するよりも

アイツに入れた方が、良いんじゃないか?

行って来い、誠也。お前の気が済むまで!!」

誠也「お前が俺に指図すんなよな!

言われなくとも俺がぶっ飛すに決まってる

見てろよ、ぶつかり魔!!(誠也が命名)」

と言って誠也は、廃ビルへと移動した。

すると日向は腕時計を見てから

「これ以上は、無理だ!(汗)」

と口にしてどこかへ向かった。


廃ビルにて・・・

ビューン!!……ダッダッダ!!

とある人物は浮遊しながら壁に映った影が

物凄い速さで通り過ぎ、誠也は足で走り追い掛け

行き止まりへとその人を追い込んだ。

誠也「見つけたぞ。

はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……

そろそろ観念したら、どうだぁ?(汗)」

女性「うふふ♪あはっはっは(笑)」

誠也「……っ!な、何笑ってやがる?!

お前は、もう追い詰められてんだぞ。

とっととお縄に付きやがれ!」

やっとの思いで追い詰められた誠也は、

少し浮かれていた。


すると女性はこう言った。

???「はぁ〜…だってまんまと私の罠に

引っ掛かってくれたんですもの♪

嬉しいに決まっているじゃないですか」

誠也「何だと?!」

と高笑いしながら女性の声が、

溶けるような声に変わった。

???「あはっはっは!!

はぁはぁはあぁぁぁ………」

誠也が追っていた女性は、残像だったようだ。

「うわっ!何だよコレ!?

今日こそは取っ捕まえられるって決めてたのによ!

おい日向、嘘付くんじゃねぇ…って居ねぇ?!

ま、まさか……アイツ俺に犯人を追わせておいて

1人で学校に行きやがったな〜!(怒)

学校に着いたら地獄の果てまで

今度こそアイツを成仏させてやっからな!!」


学校に到着・・・

日向(さてと、僕は無事にチャイムが

鳴る前に着いたとはいえ………

また1週間、誠也と遭遇しないよう配慮しよう。

所で、なんで誠也があんな風に

怒ってるかと言うと〜先週の土曜日に遡る。

林堂さん達を偶然、僕らが目撃した際に〜……

(第3話の買い物回)

あの人と少しぶつかっただけで

もうお怒りでね〜(汗)

でも鈴木さんにはパトロールっていう名目で

偶然居合わせたけど〜

まぁ部長が気になってる事だし、

僕も少しは見習わないとねって?)


2年生のフロア・・・

階段を上がり終えるとその先に

日直日誌を持った蘭と遭遇したのだ。

蘭「あれっ?誠也は、どうしたの日向くん?

いつも何気に一緒に来てると思ったんだけど〜」

日向「さぁ、また遅刻じゃないかな?

(置いて行ったけど)」

と日向が言うと蘭は、愚痴をこぼした。

蘭「もう!!

今日は誠也が日直な筈なのに私に渡されたのよ。

せ・ん・せ・い・に(怒)

どこで道草食ってるんだか!

本当、意味分かんない。

誠也の代わりに日直、引き受けているとはいえ

毎度やらされるのよ。

ねぇ、日向くんも分かるでしょう?!」

日向「そ、そうですよね(汗)

何気に高校生から面倒くさい仕事を

任されていますからね」

蘭「そうなのよ!

はぁ〜……小中学校だったらまだマシだったけど。

これでまた呑気に来たら承知しないんだから!!」

日向「・・・」

蘭「じゃあね♪(怒)」


3限目・・・


ダッダッダッ!!ガラガラバタンーーー!!!

誠也「すみませ〜ん、また遅刻しました☆☆☆」

クラス全員は待ってました感でウキウキだった

目元を暗くした蘭を除いて。

先生「今回もパトロールか?

はいっ!(誠也)

八瀬、今回だけだからな(汗)

流石に中学までは見て見ぬ振りをして来たが、

先生からするとこれ以上は言い訳も出来ん。

分かったら次からは遅刻しないように」

誠也「はい、以後気を付けます!!」

一同(笑)


誠也(いや〜……今回は、学校には着いてたものの

屋上で一休みしてたら太陽が気持ち良すぎて

いつの間にか寝ちゃってたんだよな☆

かなり遅刻はしたけど、今回もどうにかなったぜ。

あ、そうだ!

これを期に奴について蘭に調べて貰おうっと(笑)


悪い笑いをしながら

誠也は、隣の席の蘭に頼み込んだ。

誠也「なぁなぁ〜☆蘭っ!

今日もアイツ、取っ捕まえれなかったからさ〜

奴について少し調べてくれないか?

………私が?(蘭)

そうだぜ。

蘭以外に適任な奴なんて誰に頼れってんだよ♪

おかしな蘭だな〜(大笑い)」

ガタッ!!

誠也「んっ?どうしたら……バシン!えっ?」

誠也は、蘭のビンタを受けて

驚いた表情をしていた。

叩いた手を握り締めて泣き顔を誠也に見せて

こう言った。

蘭「誠也の馬鹿っ!!もう知らない(涙)」

誠也「お…おい、蘭(汗)どこ行くんだよ!」

ダッダッダ!ガラガラガタン。

先生「あ、鈴木さん!?今テスト中………」


中休み・・・

後ろのロッカーに手を置いて思い詰める。

誠也「………俺〜なんか悪い事、言ったかよ?

また遅刻した事に対して怒ってるのかな。

いやっ!部活、また出禁になるか(汗)」

独り言をぶつぶつ言っていると廊下から声がした。

日向「相変わらず、鈍感だな。お前は……」

誠也「あぁ〜?テメェ(怒)

お前、俺にさっき犯人追わせてといて

学校に行ってんじゃねぇよ!!」

日向「今はそんな話、どうだっていい。

じゃあ聞くけど〜

なんで鈴木さんが、怒ってるのか知ってるか?」

突然、そんな事を言われてはぐらかす誠也。

「はぁ?意味……わかんねぇし!(汗)

俺が遅刻してんのは今に始まった事じゃねぇし、

蘭が居ねぇとどうも調子が狂って

俺1人で仕事するといつも失敗する。

日向こそ、同じクラスでも見てもねぇ癖に

分かったような口で言うなよ!!」

日向「分かるよ。

これから何が起こるか、朝に鈴木さんと会った時

から分かりきってた事だった」


誠也「ふん!お前の嘘も大概にしろよな(汗)」

日向「大概にすんのは、お前の方だよ誠也っ!

いつもいつもお前は8割は遅刻で残りの2割は、

部活でしか頭がない奴に言われたくないね(怒)

他人の気持ちに同情する事すら出来ない

昔の優しい誠也は、もう居ないんだな。

お前がこの11年間、誰が代わりに日直、

やってるか知ってのその態度か?」

誠也「はぁ〜?日直って何の話だよ汗)」

日向「くっ!

もうお前は、怪奇研究部でもただの幼馴染でもない。

ただの赤の他人だよっ!!

僕はもうお前とは協力しない。良いな?」

と言って教室のドアを勢いよく閉めた。

ガタン!


クラス全員が、その光景を目の当たりにしていて

誠也を何とかしようとする瞬間、

机やロッカーなど物に当たってキレる誠也。

「んだよ……どいつもコイツも俺を除け者に

しやがって。

蘭も日向も俺を見捨てて(汗)」


屋上・・・

蘭(もう本当に意味が分からない!

どうして…遅刻してるのにあんなに笑えるの?

皆んなに笑われてるんだよ、怖くないの???

………私は、誠也に笑われて欲しくないのに(泣)

誠也の分からず屋……(汗)

屋上の柵に両手で掴みながらしゃがみ込んだ。


バン!!・・・

と屋上の重たい扉が、突然開いた音がした。

蘭「んっ!」

日向「ここに居たんですね、鈴木さん」

蘭「もう、幼馴染のアイツと違って

日向くんは優しいね♪(偽りの笑顔)」

と蘭の表情を見て日向は隣に立ち、

日向は、こう語り始めた。

「……僕はさ〜中2になって

初めて[他人の心]が、脆い事を知った。

えっ?(蘭)

初めて同じクラスになった時、

毎日のように喧嘩するそんな2人が

正直、鬱陶しかったんだ」

と目が点になりながら若干、困惑していた。

蘭「日向くん、たまにストレートで来るよね(汗)

なんかダメージが大きいっていうか〜………

本当の事だから何も言えないけど」

日向「だから僕は、そのままの事を言った。

それが間違いだと気付いたのは、

指摘した後だった。

毎日毎日喧嘩してる癖にああ言う時に限って

誠也は、[鈴木さんを]守ってたんだって。

どんなに喧嘩しても何かしらきっかけがあれば、

すぐ庇おうとする癖いい加減、直しなよ誠也」


そう言って日向は、後ろを振り返って笑っていた。

蘭「えっ!?」

誠也「うっせ!!

お前にだけは、言われたくねぇよ!

あ〜ぁ……そのなんて言うのかな〜(汗)

悪い蘭。

んっ?(蘭)

いつも俺の代わりに日直っていうのを

引き受けてくれてたのに…全然気にしなくて(汗)

それに蘭の気持ちも……よく分かってやれなくて。

それでその〜…毎度の事ながら

ありがとな蘭(照)」

蘭「はあ♪う、うん。

私もさっき何も言わないで叩いちゃってごめんね。

痛かったぁ……よね?

あぁ〜超痛かったぜ☆(誠也)

も、もう………こういう時にホントの事言って

気遣いとかない訳っ?!」

誠也「悪りぃ悪りぃ、嘘々(汗)

まぁ〜なんて言うんだぁ???

これからも沢山遅刻とか迷惑掛けるし、

色々困らせる事も多いかもだけどぉ〜

その時は、何度でも謝るからさ。

日直………引き続きやって…欲しいんだ!!

今更、やった所でやり方……分かんねぇし(恥)」

日向(アホめ)


蘭「……うふふ♡もう、しょうがないな〜

嫌々だけどこれからもやってあげても…良いよ♪」

誠也「はあ☆サンキュー!

マジでありがとな(笑)

じゃあじゃあ、これからも遅刻する度に

何か面白い事やってやるからさ!!

期待して待っててくれよな蘭♪」

蘭「うん!待って………んっ?あぁ?(怒)」

日向(また地雷、踏みやがったアイツ(汗)


蘭「私は〜誠也が、笑われるのが嫌だから

心配してると言うのにぃ………

私の気持ちを踏みにじるな!!!!!!」

誠也「なんでぇ〜?!」と言い放った後に

糸で作った繭玉の中に閉じ込めて投げ飛ばした。

飛ばす方向に日向が居たが、

綺麗に避けられ数多な星として消えていったのだ。

日向「少しは、人の気持ちを(わきま)えろぉ〜」

ボー読みで言いながら蘭を見つめる。

蘭「もう馬鹿!最低!!誠也の分からず屋!!!」

日向(アホくさ。帰ろ)

としばらく蘭は、屋上で(なげ)いていた。


一方・・・

期末期間であった高等部では、

1年生が1限少なくお昼帰りの所であった。

友理「う〜んっ!

今日の授業、早く終わったね〜雪乃さん♪

帰ったら何しようかな☆」

雫「そうですね〜

でもこれは、1年生に限られると思いますよ。

えっ?そうなの?!(友理)

はい。

2年生と3年生は多分、もう1限テストがあって

私達は1限だけテストの数が少くなったから

早めに帰れるんですよ」

友理「あぁ〜なるほど!!

雪乃さんは、ちゃんと予定表見てるんだね〜」

雫「見た方が、良いと思いますが………?(汗)」


校門を出た所で、友理はある事を思い出した。

友理「あっ!

そういえば、私これからポストに

手紙出すんだった!!忘れる所だったよ(汗)

雪乃さん。私、行く場所がある先にかえ………」

と友理が急いで行こうとする所を雫が呼び止めた。

雫「でしたら、私も伊川(いかわ)郵便局に同行しますよ

えっ…良いの?(友理)

はい。

私は銀行ですが、お金を降ろしたかったので」

友理「はあ♪ありがとう、雪乃さん!」


伊川(いかわ)郵便局にて・・・

ポストに分厚めの茶封筒を入れて

今日の仕事を終えた。

友理「よしっと、これで完了!!

うふ♪早く届くと良いなぁ〜〜〜

(手紙か、久しぶり昔の友達と会って

また遊びに良いのに〜

あの子、今何してるかな♪)」

と昔の友人の事を思い出した友理が、

ふと空を見上げた。

友理「わぁ〜今日の空は、綺麗だな☆うふふ。

んっ?空に………火???何だろう?

なんかこっちに近付いてる気がするけど」

と友理に向かって炎の塊が飛んで来て

丁度、銀行から出てきた雫がこう言った。

雫「林堂さん、危ないっ!!」

友理「えっ?」

間一髪で雫が、友理を飛ばして避けれた。

2人が避けた先にポストがあり、

炎の塊が激突してポストに貼られた結界で

何とか無事だった。

雫「……はぁ…はぁ…はぁ……はぁ…(汗)

だ、大丈夫ですか。林堂さん?!」

友理「う、うん!!

雪乃さんのお陰で平気だったよ(汗)」

雫「良かった〜……っ!」


バリアが付いているものの炎に覆われ、

何かの影がみるみると見えて来る。

そこには[黒猫]が炎の中で鳴いていた

黒猫「にゃー!にゃーーー!!」

「えっ?猫???た、大変…助けなきゃっ!

猫ちゃん、だいじょ………」

猫に駆け寄ろうとした所、雫に止められた。

友理「ゆ、雪乃さん???(汗)」

雫「あの猫に近付いちゃ、駄目っ!!

それよりここから離れるの」

と雫が強く言った瞬間、

火の中に居た黒猫から女性の声が聞こえて来た。

???「クックッ………あはっはっは(笑)

はぁ〜…あともう少しで上級クラスの魂が、

手に入ると思ったのにぃな〜

あなたのせいで計画が、失敗だわ!!(怒)」

雫「んっ!」

男性「あっ、ああぁぁぁ〜(汗)

あ、アレは……か、火車だ。

皆んなここから早く逃げろぉぉぉ!!」

と1人の男性が、郵便局や銀行に入ろうとする

人達に声を掛けてから一目散に人が居なくなった。

友理「か、火車って何ですか?ゆきっ……!」

雫「いいから、ついて来て!!(汗)」

と逃げて行く人達とは別の方向へ

雫は、友理を連れて走り出した。

敵わない事を察知して人気のない所へ向かう!


火車「その子を置いていけば、済む話なのに。

まったく(笑)」

火ダルマの猫の状態で空を飛び、

2人を追い掛けて来る。

友理「ゆ、雪乃さん……何で逃げてるの?

火車ってそんなに強い妖怪なの?!」

そんな質問をされながらも

雫は黙々と走り、路地裏を使って掻い潜るも

相手は空から来てる為、追跡され続ける!

走りっぱなしの雫を心配する。

友理「はぁっ…はぁっ……はぁ…はぁ……

あ、あの休みませんか?

こんなにずっと走って居ても

あの人は、追い付いて来ます!

物陰に少し身を隠して休んだ方が……(汗)」

雫「い、いえ。大丈夫です!!

それに火車から逃げ延びる事は、

ほぼ不可能なので………(苦笑い)」

友理「えっ!

じゃあ逃げる必要、あるんですか!?」

雫「人気のない所に誘導する事しか、

コレしか私にはできっ……」

と空き地から出た所で

雫の背中には何発も打ち込まれた矢が刺され、

転倒してしまった。


転倒したと同時に友理の手を掴んだまま

雫の背中に重なるように倒れ込んでしまった。

そんな光景を下敷きにした友理は、

雫に必死で声を掛ける。

友理「えっ……?ゆ、雪乃さん!雪乃さん!!

しっかりして下さい(汗)

雪乃さん、な…何でぇ……こんな事にぃ(涙)」

いつの間にか追い付いていた火車が後ろから

こう言った。

火車「へっ(笑)

このくらいでへばってたんじゃ、

(わたし)の遊び相手が務まる低級妖怪なんて

この世に居ないんだからねっ!!」

雫「ぐはっ!」

そう言いながら雫を強く蹴り上げ、

空き地のど真ん中へ吹っ飛んだ。

火車は、雫の苦しむ様を見る為に

何度も何度も何度も雫を蹴り続けた!

ドラゴンのような鋭い歯を見せながら。

そんな光景をただ見る事しか出来ない

友理は、目元を暗くしていた。


友理(………私…は、また守れないの?

私と関わった妖怪は……皆んな消えるの???

そんなの嫌だっ!嫌だ、嫌だ、嫌だ!!

やらなきゃ…今、やらないと雪乃さんを救えない。

救えないのに、私は何も出来ない(涙)


うつ伏せの状態で動かなくなった雫を見て

興味が薄れた火車は、友理に近寄ろうと歩み寄る。

火車「さあ〜て♪

邪魔者が、居なくなった所で〜

[あなたの魂]を狩らせて頂きましょうかね(笑)」

と嬉しげに後ろを振り返ると

[ブオン!]という音と共に友理の手の平には

妖術が発動されていたのだ!!

火車「何のつもりだ?」

と友理に問い掛けた。

妖術を火車の目の前で見せつけるが、

………撃つ事までは出来なかった。

火車「はぁ〜?もしかして……

[アンタ、上級妖怪なのに妖術も扱えないとか

まさかそんな事、言わないわよねぇ〜?

まともに妖術も撃てない妖怪が、

私に敵う訳がないでしょう♪」


今度は、友理の腹を容赦なく蹴り上げて

大ダメージを負わせた。

出していた妖術もお腹を抑え込む友理。

友理「うはっ!んっ!?

…はぁ……はぁ……はぁ…あっ、あぁ(涙)」

髪を鷲掴まれて火車の顔近くまで

持ち上げてこう言う。

火車「ねぇ、私に歯向かう度胸はあるのね♡

ただの妖術を撃つ度胸が無い妖怪が、

私に勝てるとでも思った?思ったよねぇ?!

お前の攻撃を無意味だったんだよ!!(笑)」

友理「ゔぅ………(唸り声)」


フラッシュバック・・・


黒き雲、赤い空の下には燃やされた村を見て

???が泣き崩れた。

「………は…(わらわ)は、村を救えなかった。

仲間も子供も全部、奪われて

この世に軽い命など無いというのに。

間に合わなかった(涙)

(わらわ)は、失うのが怖いというのか???

こんな小さな村は、もはや紙切れと同じくらい

価値もなくどうでもよくされ身捨てられた。

誰が妾達(わらわたち)の……誰が(わらわ)を怒らせたぁ〜!!(怒)

仲間の命の為にも[妾(わらわ)は、復讐してやる]」

周りの炎がパチパチと音を鳴らして

禍々しい妖気を放ち、誓った。


フラッシュバック終了・・・


涙を流しながら友理は、脱力させて諦めた。

火車「ふん。もう終わりか(笑)

無駄な足掻(あが)きをよく分からんが、

下らない後悔を私が切り刻んであげましょうか♪

良い収穫が出来た。これで私の計画はおわ………」

バーーーン!!!!!!・・・

火車の背後から妖術を放った

瀕死寸前の雫が、そこには立っていた。

水色と紫色の妖術を纏ったものチャージしながら準

火車にこう告げた。

雫「まっ……待ってと言ってるんです!

林堂さんを早く離して下さい。

[私の友達]を持ち替えられると困ります(汗)」

「ふ〜ん?まだ動けるのか。そうか………

まだ眠ってた方が一息で消滅出来たというのに。

良いだろう」

友理の髪を掴んでいた手から離した。

火車「私の前でひれ伏せ、弱者め!!」

と炎を纏った鎌で雫の首元目掛けて振り下ろす。

雫(……っ!だ…めだ(汗)

意識が朦朧(もうろう)としていて避けきれない。

さっきの影響で妖気が、減ったんだ………

ごめんなさい林堂さん。

私が、もっと早く気付くべきだった…のにぃ)

目を思いっきり瞑って犠牲を選ぼうとした瞬間、

鎌が弾かれたのだ。

火車「………ハッ!」

???「どっちが弱者か俺が教えてやんよ☆

鎌野郎っ!!」

火車「お、お前は!なぜ私の邪魔をする(汗)」

雫「誠也……せんぱっ???(気絶した)」


バタン・・・

頭を掻きむしりながら誠也は、残念そうに言う。

「あぁ〜……先輩の底力って所を

見せてやりたかったのに叶わずじまいか(凹む)

日向「おい八瀬、目を離すな!!」

火車は、鎌を持ち直して

誠也に振り下ろすも空中で避けきり不発した。

誠也「へいへい!分かりましたよ。

まぁいっか、本当は見て欲しかったんだが

こんな状況だもんな(笑)

蘭っ!!ここだ、早く来てくれ!

どこよ!?もう少し正確な位置を〜(焦る蘭)

空き地だ、いいから来い☆」

蘭「空き地なんかいっぱいあるわよ!!

もう〜………適当なんだから、今行くわ(汗)」

と言って空き地のど真ん中に巨大な繭が現れた!

火車「んっ?なんだ?

この白い塊は。虫か何かか???(笑)」

蘭「い〜や、違うね。

虫は、合ってるけど見てから驚きやがれ!」

日向(1ミリも驚いてないが……(汗)

それに虫って普通に言うなっ!)

繭が割れて細かい糸がパラパラと綺麗に落ち、

中に居た蘭が現れた。

火車「なっ!何にぃぃぃ!?」

誠也「うはっはっは(笑)」

日向お前が、笑うな!!」

誠也「その反応が見たかったんだよ〜鎌野郎☆」


火車「鈴木 蘭。

貴様が[女郎蜘蛛(じょろうぐも]だったのか!?」

蘭「えぇ〜いかにも私が、女郎蜘蛛ですわ。

2年A組の(こうがい) 水木(みずき)さん?」

火車「んっ!

なぜ、私の名前を!?それに………」

蘭「あなた〜今日のテストの途中で、

お手洗いに行くって嘘を付いてまで

友理さんの魂が、欲しかったんですよね?

でもコレは〜普通に行くつもりだった」

火車「ふん(笑)

本当だったら授業なんて受ける気でいましたが、

たまたま窓の外を見た時に丁度、1年が下校して

るのを見てね〜上玉(じょうだま)だったんです。

アレがあれば私の[火車のランク]が上がるってね!

だけど、その一つ目の子に邪魔されてねぇ〜

まぁ[ただのDクラス]だから逃げ惑う姿が、

実に滑稽(こっけい)でね〜(笑)面白かったよ。

あの子に説明してる中で、会話を遮断(しゃだん)したら

無様にもたった数本の矢を打ち込んだだけで

全然立ち上がらなくてつまんなかったよ〜

顔だけは、面白かったけど♪

蹴り飛ばしてみたけど、もっと動かなくなるだけ。

そして上玉(じょうだま)の子が、私に妖術を向けてきた。

誠也「何っ!妖術使えたのかよ?!」

蘭(やはり、彼女も人間ではないのね。

予想はしていたけれど……なぜ今になって?)


火車「でもねぇ〜

妖術もろくに撃てない妖怪なんて私、初めてみて。

しばらく使っていないのか、何らかの引き金を

私が引いたのか。

一体何が、この子を動かしたのかしらね?

どちらにせよ、この2人は[弱すぎた]。

この子達をあなた方が守る?

救いようのない人達を助けても、

そんな無意味な事やめた………♪」

と火車が最後の言葉を言い掛けた所で

我慢の限界が来た蘭は、

火車の右手を糸で斬り飛ばした。

斬り離した部分から黒い妖気が漏れ出ている!

蘭「言いたい事は、それだけかしら?水木さん。

あまり私達だってあなたのお喋り付き合う義理も

微塵もないの。

私はあなたの悪行の数々をしっかりと閻魔騎士に

(ゆだ)ねる為に来ているのだから!!」

火車「……っ!

(なに?一体、私の身に何が起きたの?!

並大抵な妖気でもない異次元、過ぎる。

速さと力は流石、[Sクラス]って所ね(汗)

こんな相手を私は、敵に回したっていうの!?)」


誠也「さぁ〜て、そろそろ。

蘭の[女郎蜘蛛の力]に恐れやがれ!!」

日向「だから何でお前が、自慢げなんだよ!(汗)」

火車「や、八瀬だと?!まっ、まさか!!」

誠也「あぁ〜そのまさかだよ(笑)

俺にわざとぶつかった時から後悔するんだな」

日向「いや、それはお前が避けないのが、

悪いだけであってぇ〜(汗)」

誠也「うっせぇ!

終わるまで黙ってろ。後で成仏させっから」

火車「あぁ〜そうじゃな。間違いだったようだ!」

誠也「えっ?マジ?おっしゃあ!!」

いや、そこ喜ぶ所じゃないから(日向)

んっ?そうなのか???」

火車「……んで、さっきから影が薄い

お前は誰?」

「あぁ、僕は新條 日向。天邪鬼(あまのじゃく)ですけど何か」

水木「はぁ?Sクラスの2人とBクラスですって

笑せないでくれます♪

そんな奴、私が最初に叩き潰してやるわよ!」

日向「悪いんだけどさぁ〜………

僕は、別にクラスなんか気にしてないから。

だからとやかく言わないでくれる?

鬱陶し過ぎるんだよ(怒)」


人魂の妖術を水木に一直線で放った!!

水木「ふん(笑)

こんな子供騙し、私が避けきれないとでも?」

とあっさり避けられてしまうが次の攻撃をしよう

としたら所で火車の背中に直撃した。

火車「はぁ?

何だと今、目の前から来た……筈じゃ!

こんな弱い相手に〜??!」

誠也「だ〜か・ら。

日向は、[天邪鬼]だって言ってんだろ?

人を欺き背後から攻撃を仕掛けて

幻覚のようなものを交えさせる妖術を

密かに作ってる所が、日向の悪いとこ〜(笑)」

誠也(←日向の攻撃に騙された人)

日向「おい、八瀬。

今の全然、嬉しくないからな?

むしろ馬鹿にしてんだろ。後で覚えとけよ(怒)」

誠也「えっ?あ、いや〜………(汗)

ちょっと口が滑っちゃっただけだって☆」


「どいつもコイツも私の邪魔ばかりしよって!

くたばれ〜〜〜!!!!!!」

火車は、全妖気を炎の矢と鎌に(まと)わせて

空き地の中で燃え始めた。

そして炎を纏った鎌で3人を襲った!

蘭と日向は、上へ避難してから八瀬が構える。

誠也「くたばるのは、オメェの方なんだよ(笑)

もうお前の動きは…お見通だー!!」

誠也の左手が一瞬で黒く染まり、右足を後ろに下げ

下げた足にブレーキを掛けてから反動で

一気に左手を突き出した!

誠也「漆黒の闇に包まれし者よ、(われ)の力を(なんじ)(あたい)

万死(ばんし)(あたい)する……怪撃(かいげき)!!」

鎌を振り下ろす火車の隙を突いて誠也の攻撃が

腹に撃ち込まれ、あの廃ビルに飛ばされて

崩れた瓦礫(がれき)の下敷きとなった。

火車「ああぁぁぁ〜〜〜!(断末魔)」

誠也「ふぅ〜………はぁ。つっかれたぁ〜(汗)」

後ろに倒れ込んで蘭が、顔を覗いて言った。

蘭「お疲れ様、誠也♪うふふ」

誠也の手がみるみる内に元の肌色へと変わる。


ピッ!

日向「とりあえず閻魔騎士に連絡したよ。

待って何分だ〜?(誠也)

ふん(笑)2分だってよ」

誠也「さっすが〜お早い出動で何よりでぇ〜(汗)」

蘭「それに・・・

んっ?(誠也)

私があの2人にちゃんと話しておくべきだったかな。

火車は、強い妖怪の魂を必要以上に

集めたがる習性とか説明した方が、

こんな事にはならなかったのかな〜……(汗)」

誠也「うーん…俺は、別にどっちでも

変わらなかったと思うぜ?

教えた所で[アイツの予言]は、絶対だ。

(友理の方を見ながら)

例え[本物の妖怪]でもここに来るまで

妖術が使えたとしても鎌野郎には勝てないし、

どっちにしろ巻き込まれて当然って思う。

そんなら時期に俺らが駆け付けられるしぃ〜

何より〜火車をやっとの思いで誘き寄せれた。

ただ、それだけの結果でも良いんじゃないか?」

蘭「あっ………誠也♪」

日向「僕も同感です!

林堂さん達は、負けるかもしれないけど戦いでも

僕ら3人でなら。

僕達に敵わない相手が居たとしても

それは[3年生]だけです。

それ以外の相手だったら例え苦戦しても協力すば、

倒せるだけのコンビネーションはある。

だが、アイツは[役目を放棄]した事には変わらないし

学生だからと言って許される事じゃない。

後の事は、閻魔大王様が裁いてくれるさ♪」

蘭「う、うん……(涙)

日向くんも一緒に来てくれてありがとう♡

ホント〜不思議だよね。

私は、2人のお陰でこの部の部長になれてるんだ。

それはもう何ものにも変わらないんだから)」

誠也「ニヒッ(笑)

所でさ〜………俺らもそろそろ帰ろうぜ?

あの2人の事もあるし」

蘭「あっ、そうだった!

閻魔騎士の人達がここに来る前に帰らないと!!」

誠也「んじゃあ一旦、

俺らの秘密基地へ連れて行こうぜ♪」

蘭「そうね!」

3人は、空き地を後にした。


すると、空き地にある一本の木と同化した

白髪と狐耳のお姉さんが、出てきた。

桜「……まさか私達の脅威になり得る存在が、

こんな目の前に居たなんてね。

帰りましょう犬神。私達の明日(あす)の為に」

お姉さん「ははっ!!仰せの通りにお嬢様!」

と夕日の向こうへ歩いて行くと姿が、

忽然となくなった。

今回のキャラクター!!


名前:(こうがい) 水木(みずき) 正体:火車


髪型:猫耳ヘアーのストレートロング

髪色:赤オレンジ色

瞳:黄色(キャッツアイ)→マグマ色

制服:上下青緑、太ももスカート、青ネクタイ

首輪:鈴付きのチョーカー


キャラ説明:

非常に傲慢で悪魔的な性格の2年生。

普段は穏やかな一面を見せるも仕事となれば、

かなりの暴力的で傲慢かつ狂気な彼女は

二重人格なんじゃないかと噂されている!

物語の中では、より質の高い魂を回収すれば

火車でのランクが上がると言っているが、

単に家でコレクション用として飾っている。

魂を狩られた妖怪とその遺体を眺める事が、

唯一楽しみな趣味であり

悪魔と称されているのは、この事が由来だろう。

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