第5話 「怪奇研究部」
平屋のような二階建てが映し出されて
2階に1ヶ所だけ空いている
窓から暖色系の電気の下で2人は、居た。
目元以外はボヤけていて見えないが、
美しい美貌の持ち主とシトリンの髪をチラ付かせ
女性が正座をするとその上から
小さい頃の雫が頭を乗せて話し始めた。
???「ねぇ〜眼……私ね、夢があるのです♪
この世界を旅して妖怪の秩序が何なのか探し出し、
2つの境界線を安全に渡れるよう
三神の間の皆様にお伝えする事が、私の夢。
ゆ……め?それって楽しいの???(眼)
と〜っても楽しい事よ♪
それでね、その夢をいつかきっと叶える為にも
私はいずれ………
この家を出て行かなくてはならないの。
そうなると、眼ともお別れする事になるんだ」
そんな彼女の言葉を聞いた眼は
動揺して突然、起き上がってこう言った。
眼「えっ?
嫌だ…嫌だよ!眼、式神様に
ずっとずっと付いて行くって決めたんだもん!!
式神様とお別れするなんて
そんなの……眼は、
これからどうやって生きていけばいいんですか!
う、うぐっ…(涙)」
式神「う〜ん(汗)
(どうしましょうか。
私も出来る事なら眼と一緒に連れてって
あげたい所だけど〜
そろそろあなたは、私の手の届かない場所へ
行ってしまう。
暗闇の方、あなたが突き進む正しい道へ送り出す事が
私の本来の目的であるというのに(汗)
ただ〜……そんなキラキラした目で見つめられると
まるで私が、悪者みたいです。困りました(焦)
正座をしたままの式神が悩んでいる間も尽かさず、
眼が立ち上がって説得をする。
「お願いします!
眼を…眼も式神様と一緒に……
付いて行っちゃダメなの?!(涙)
離れるなんて絶対に嫌っ!!
式神様が、駄目だって言っても
私は勝手に付いて行くもん。
もう…眼を1人に……しないで(半泣)」
感情がぐちゃぐちゃになりながらも
ひたすらお願いし続ける眼に押し任される式神。
「はぁ…そうね〜………分かりました(渋々)
それじゃあ一緒に来る、眼?
はあ♪眼も連れてってくれるの☆(眼)
ただし!!
私の[準備]が終わり次第、
眼は私に会いに来るの禁止に致します♪
へっ?(眼)
眼は、今まで私のわがままに沢山付き合って
貰ったんですもの。
だから少し休息の一環として
眼にも休む権利があると思ってね☆
で、でも!(眼)
えぇ〜あなたが言いたい事は分かっているわ。
だからこそ、約束しましょう♡
や、やく…そく???(眼)
そう私の[準備]が終わったら、私達の知らない
未知との出会いの旅に出掛けましょうね♪」
式神とまた一緒に出掛けられる事に
驚きとワクワクに満ちた顔をして相槌を打つ。
眼「うん!うん!!
(いつも通りの式神様だぁ〜☆)
私、式神様とまた一緒に旅に出れるなら
喜んでお待ちしています♡楽しみだな〜♪」
式神は正座を少し崩してからまた元に戻し、
話を続けた。
式神「私の[準備]が終える頃には、
眼にも沢山のお友達が出来ると良いわね♡」
嬉しそうに手を広げていると
眼には[?]が頭に浮かび上がってからこう言った。
「んっ?友達???」
式神「そう!
確か〜眼は、既に小学校を卒業していたわよね☆
うん、してるよ♪(眼)
そっか。もう中学生になるのか〜
何だか初々しいわね♡
んんっ?(眼)
それじゃあ私から眼へプレゼントまでは、
いかないけれど私が昔、通っていた
妖怪三輪中学校に通わせてあげる♪」
と式神から予想外の事を伝えられて
嬉し騒ぎ立てたのだ。
「えっ!
眼がもう一度、学校に通えるの?!
や、やった♪」
式神「あら?
そんなに嬉しいかしら、学校に通うの?」
意外な反応に驚きながらも眼に理由を尋ねた。
眼「うん!
だって眼……世の中の事、あんまり知らないから。
前の小学校も眼ずっと1人で置いてけぼりに
されるのが嫌だったから…(涙)」
悲しい表情を浮かべながら式神は、
笑顔で接した。
「そっか〜
私と出会うまで沢山辛い思いをして来たのね(汗)
ごめんね。
私が、もう少し早く来ていれば
そんな悲しい想いをさせずに済んだのに。
でも……眼にとって、良い機会になるのなら
最高のプレゼントかもね☆
それとね〜眼。
その学校って中等部を卒業してからも
高等部に引き継きだから私が居なくなっても
困る事はな〜にも無いんだよ!!」
眼「えぇ〜!
そんな学校があるの?!凄〜い☆」
式神「何てったって〜
その学校は、全国の学生を対象に整った環境として
全ての学校を集約した場所だからね。
まぁ〜眼のような例外な学校も点々としてるけど!」
そんな話を聞いた眼の輝かしい目を見てから
彼女は、これまでの経緯を話し始めた。
式神「うんうん。
私はね〜初めて眼と出会ったあの時、
ビビッと来たの♪
この子は、私に[無いもの]を持ってるんだって!
その足りないものが何なのかいつか教えてくれる
天使の子なんだと思ったわ♡」
その話を聞いた眼は、
自分を非難するように沈んだ声でこう言った。
「私は天使様なんかよりずっとみにく………」
そう眼が、言い掛けると彼女は否定して断言した。
式神「ううん!!そんな事は無いわ♪
眼には眼にしか出来ない、
特別な力を秘めてるのっ!
それは、私にも分かる♪
その力を磨けば、きっと誰かを助けられる!!
だからね?
眼にも何かしら欠けている物が、
何なのか思い悩む時が来たら
いつか[きっかけになる人]が
必ずあなたの元に現れるわ!
誰かを守れるような力が開花する時が近くなれば、
眼にもいずれ分かる日が来る筈よ♪」
笑顔で言う式神の顔を見て、自信なさげに尋ねた。
「式神様。
眼、まだまだ強くなれる……のかな?
Dクラスでも努力すれば、頑張れる???」
式神「うふ♪そうね〜
今は、無理かもしれないけど
私が居なくなった後でも
その考えは、決して忘れないで頂戴!!
それと軽はずみに自分のクラスを言っては駄目よ!
眼よりもずっと位の高いの人達から
馬鹿にされちゃうから(汗)
くれぐれも学校では、言っては駄目。
わ、分かった(焦)
まぁ♪
眼は、しっかりしてるから平気だと思うけど」
世の中の規則を教え終えると式神は安心したように
足を崩して体を伸ばした。
すると眼は最後まで心配していた想いを
再度、彼女に確認した。
「式神様は、本当の本当に[準備]が終わったら
眼を迎えに来てくれる?
一緒に旅してくれる???(涙)
式神様は、1人でどこかへ行かない?!」
質問の嵐に動揺を一切見せず式神は、約束した。
「えぇ〜勿論♪
私が、眼を置いて1人で旅なんかしないわ。
口に出した事は、絶対に曲げないって決めてるの。
だから…ほら、約束よ眼♪(小指を絡める)
必ずや戻ってくるわ。
だってあなたは、私の自慢の…………」
夢から覚める・・・
バサッ!!
雫「はぁ…はぁ……式神…様???(涙)」
自然と溢れた大粒の涙を流して目覚めた。
自分の部屋を出ながら彼女の事を考えながら
リビングへ行く廊下を歩く。
「あの懐かしくて暖かい時間からもう4年…か。
あの頃にもし、戻れるのなら
やっぱり止めておけば、良かったかな?
でも、式神様は[準備]が終わり次第、
会っちゃ駄目だって言われてるから
結果的にそうなる運命なのかも。
式神様の言う、[準備]って一体何だろう?」
いつもの時間通り家を出て1人で学校へ向かった。
雫(久しぶりにあの夢を見た気がする♪
どこか懐かしい所もあれば、寂しい……と思う事も。
なぜ、こんなにも心が…苦しいのでしょう?
式神様が私に伝えてくれたあの言葉。
「いつか[きっかけになる人]が、
必ずあなたの元に現れるわ!
誰かを守れるような力が開花する時が近くなれば、
眼にもいずれ分かる日が来る筈よ♪」
あれから4年も経っても尚、その人は現れなかった。
本当に私は、運命の人に出会えるのでしょうか?)
そんな事を考えていると後ろから声を掛けられた。
友理「雪乃さ〜ん、おはよう♪」
雫「……っ!
おはようございます…林堂さん(汗)」
と慌てて後ろを振り返ってから
いつもと顔色が違う雫に気付いて
友理は心配した。
「あれっ?どうしたの?
何だかいつもより元気なさそうだよ雪乃さ………」
と友理の疑問に反射的に否定した。
雫「き、気のせいだと思いますっ!」
と不思議そうな顔をしながら
友理は、安心した顔で話を変えた。
「そっか〜
あっ!ねぇ、聞いて下さいよ。雪乃さ〜ん!!
今日の数学の時間、
私が問題解かなきゃいけない日で
今、物凄く緊張していて
どの問題が来るのかとか考えてたら
気持ち悪くて……(汗)」
友理の悩みを聞いてから
目線をズラしながらこう言った。
「そうですか?
林堂さんにとっては、大変な事なのですね」
雫から思わぬ言葉を聞いて驚いたように言う。
友理「えっ?
私はって雪乃さんは、平気なんですか?!」
雫「前に出て問題を解くだけで
何か緊張するような事、ありますでしょうか?」
キョトンとした顔で、友理の顔を覗き込む。
「いやいやいや!!あるよ!
沢山ではないけど、数式を書いて答え……
もし答えが間違ってたらと思うと〜
私、もう学校…行けません!!(涙)」
目を丸くしながら淡々と話を進める雫。
「林堂さんは、
自分で言って自分で自滅するタイプですか?
間違っててもその問題の計算式をもう一度、
学べて次に前へ出る時のモチベーションにも
なりませんか?」
そんな言葉を聞いて改めて友理は考えた。
「んんっ?・・・確かにっ!?
それなら何だが〜頑張れそうです!!
ありがとう、雪乃さん♪
それじゃあ頑張って下さい」
友理「はいっ!」
と元気よく返事をする友理だったが、
校舎に入ってからあまりにも付いて来るので
雫は、何気なく伝えた。
「所で〜林堂さん。
あ、はい!何ですか♪(友理)
ここD組の教室ですよ?
A組は、あっちですが………」
と両手で持つカバンを外し指で後ろを指した。
友理「えっ?!あっ。
ご…ごめんなさい、すっかり話し込んじゃって。
じゃ、じゃあ〜また後でね!雪乃さん♪」
雫「はい」
D組の教室・・・
雫が、自分の席に座って1限目の授業の教科書を
カバンから出していると
黒葉 芽亜と神楽 凛音、磯貝 美夏がやって来た。
芽亜は、黒髪でサイドツインテールの髪型に
ピンク目で水色のミニリボンに金色のヘアピンを
もみあげ部分に付けている。
凛音は、焦茶色のロングポニーテールの髪型で
朱色の瞳。後ろには大きめの白リボン付き。
美夏は、薄花色でツインテールの髪型に
引眉が目立つ空いた前髪!
水色の瞳にマーガレットの両サイド髪留めをしてる。
雫「おはようございます。
芽亜さん、神楽さん、磯貝さん♪
(この3人はD組の中で唯一、仲が良いお友達で
何気に私なんかに声を掛けてくれる人達です。
芽亜さんはバク、神楽さんは狐火、
磯貝さんは人魚です!!
Dクラスとはいえ、侮っていては
負けてしまうような恐ろしさを感じます。
私には出来ませんが……(汗)
すると3人の内、芽亜が明るく話し掛けてきた。
「おっはよ〜う♪調子はど〜う☆
調子ですか?絶好調…だと思います(雫)
何それ、ウケる(笑)」
と芽亜の後ろから凛音も話に混ざって来た。
凛音「休日に何か良い事でもあった雫?」
私は、その日にあった出来事を話した。
雫「はい。
少し子供を助けまして〜………
それで気分が良いのかもしれませんね(照)」
と大きな目をいつも以上にニッコリと笑う。
芽亜「えぇ〜
めちゃくちゃ凄い事してるじゃん!?良いな〜♡
でも、それほど大きな問題にならなくて
良かったじゃん!!目立つの苦手だもんね☆」
雫の話を聞いて先程から黙っていた美夏も
コミュ障気味に口を開いた。
「私も…ちょ、ちょっぴり貢献してみたいです!
雪乃さんみたいに良い能力では、ありませんが(恥)」
横目を動かして美夏の表情を読み取った
雫は、フォローをした。
「ううん……そんな事ないよ。
私は、ただ[視力]が良いだけで
それ以外は、何の役にも立たないから」
としんみりした空間の中で
別の事を考えていた芽亜が話題を変えてきた。
芽亜「あっ♪ねぇ〜ねぇ!!
今週の水曜日って祝日だったじゃん?
そうね(凛音)
だったらその時に、
皆んなでどっか遊びに行かない?」
芽亜の意外な提案にすんなり引き入れる2人。
美夏「い、良いですね!
私も丁度皆んなと遊びたいと思って…いました♡」
凛音「楽しそうね♪私も行こうかしら。
ねぇ?雫も一緒にどうかな?
きっと楽しいと思うよ」
いきなり会話を振られて驚き、
目線を色んな所に飛ばしながらこう言う。
雫「えっ!で、でも……(汗)
んんっ?何か用事でもあるの???(芽亜)
う〜ん、特には決まってませんけど〜
その〜………」
雫からその事を聞いた芽亜は、笑って言った。
「ふーん。
じゃあじゃあスケジュールが、まだ空いているなら
今埋めちゃえば良いんだよ(笑)
細かい事は、予定が入ってからだ・よ☆」
雫「……っ!」
と先程の慌てようが消えながらも
ある疑問を皆んなに尋ねた。
「そ、その〜
私も皆さんとご一緒してもよろしいのですか?
皆さんの大切な時間に私が居て退屈しませんか?」
と瞳がうるうる揺らぎながら
下を向いて言った。
すると、芽亜はキッパリと断言した。
「勿論だよ!!
ユキっちは、既に私達の友達だから!
友達と居て退屈な時間なんて無いよ☆」
それを聞いた雫は、顔がニコッと笑った。
雫「はあ♪」
芽亜「それじゃあ決まりっ!
あと〜時間について何だけど〜………」
と芽亜が言った直後にホームルームの先生が来た。
先生「そろそろ始めんぞ〜先に座れ!!」
芽亜「うげっ!
先生だ。タイミングちょ〜悪い(汗)
またね〜ユキっち♪」
雫「はいっ!」
お昼休み・・・
カバンの中をガサゴソ音を立てて手当たり次第に
探すが見当たらなかった。
芽亜「あれ?おかしいな〜お弁当。お弁当?
どこ〜???
確か、カバンに入れた筈なのに………」
弁当箱をリュックの側に置いて他の荷物を入れて
から玄関の前に置き忘れた事を思い出す。
芽亜「あちゃ〜私、今日のお弁当忘れちゃった。
ショックでかいわ!
せっかくデザートあったのにぃ〜〜〜(涙)」
そんな芽亜の独り言に気付いた美夏が、
さりげなく口を開いた。
美夏「じゃあ私が購買で…買って来よっか?」
芽亜「えぇ〜良いよ。
ミカたんのお昼の時間を削る訳にはいかないから
購買は私、1人で行くよっ!」
落ち込んでいる芽亜に美夏は、続けてこう言った。
「ううん♪
私も飲み物持って来るの忘れちゃったし、
それに購買は時間が掛かりそうだから
私が〜……」
と何気ない一言を聞いて慌て出した。
芽亜「えぇ〜(汗)
ミカたん、今日の地獄の体力測定やった
ばかりだよね!?
急いで買わないとじゃん(焦)
そのままだと〜脱水症状いや熱中症で、
バタンキューしちゃうんだから
そ、それ早く言いなさいよねミカたん!!!
えぇ〜?!(美夏)
あっ、リンりん達はどうする?」
と急ぎながらもしっかりと2人に聞いてみた。
凛音「私はパスで。
先輩方とお昼食べる約束しているから」
芽亜「ありゃ〜リンりんは、優秀だね♪
ユキっちは?」
雫「私は………教室で皆さんの事、待ってますよ。
購買は、校舎から少し遠いですから
早めに行った方が良いんじゃないですか芽亜さん?」
芽亜「おぉ〜ユキっちが、
とうとう私達に心を開いてくれた!?
んっ?(雫)
あんまり変わってなさそう(泣)」
美夏「め…芽亜ちゃん!
急がないとお昼、抜きになっちゃうよ」
芽亜「うぇ〜(焦)
それは回避しなければ?!
という事だからお2人さん、また後でね〜(汗)」
教室に残った2人は、しばらく呆然としていた。
雫「嵐のような人ですね……芽亜さん」
凛音「そ、そうね(苦笑い)
もうこんな時間っ?!
それじゃあ私は行って来るね。雫、また♪」
雫「あ、はい。また〜」
1人きりとなった雫はこう思った。
(こんな私でも気を遣ってくれたり
心配されたのも全部、式神様が居なくなってから
なかったっけ♪
例え人間だとしても林堂さんとも友達となった
私は、ちゃんと[友達]として
見れているのでしょうか???
それが………どんなに良い事やら(嬉)
そんな事を考えていると頭に言葉が響き渡った。
???「こんにちは〜♪
突然で悪いのだけど、2階の階段上で待っているわ」
雫「んっ!?
(今の……テレパシー?!
でもテレパシーの能力を持っている人は、
この学年にはいなっ………)」
???「早く来て頂戴ね。雪乃 雫さん♪」
雫(またっ!
と、とりあえず言われた通りに
行ってみよう…かな?)
と雫は、恐る恐るD組の教室を出て
指定場所へと向かった。
そしてその場所で待っていると雫はこう思った。
(……って!!
よく考えてみたら、2階の階段上って〜
2年生フロア!?
やっぱり私達の学年でテレパシーを使える人が、
居ない事実は合っていたようですね(汗)
そもそも2年生と校内で会う事は、
滅多に無いから私でもあんまり情報が無い。
やっぱり教室に戻って
芽亜さん達の帰りを待って居た方が良いでしょうか)
そんな事を考えていると2年生の廊下側に
背を向けていた雫の後ろに人影が近付いて来る。
カタカタ…カタカタ……カタン(足音)
雫「……っ!」
???「昼休みだと言うのに
急に呼び出してしまってごめんなさいね。
どうしてもあなたを誘いたかったの♪」
目を大きく開けて瞼をビクビクさせながら
体が勝手に震え出す。
雫(足音は、止まった!
後ろに居る事は明確だけど、何この殺気!?
それにとてつもない量の……妖気っ!!
怖くて後ろが向けない。
ここから逃げたり動いたりしたら殺させる(焦)
一体、私の後ろに誰が居るっていうの?!)
???「殺気を放ち過ぎだ。
1年をあまり怖がらせるな蘭」
少し遅れて来た男子生徒が、
殺気を放つ女子に話し掛けた。
???「えぇ〜?
そんなつもりは、無いんだけどな〜
嬉しくてつい跳ね上がってるのかな???」
???「知らねぇよ(汗)」
雫(あっ……少しだけ殺気が緩んだ。
それに今、蘭さんって事は!?
まさかこんなタイミングで会えるなんて!)
と後ろを向きながら思った。
雫「鈴木先輩ですよね?!
こんな所で会えて私、とっても嬉しいです♪」
と目をキラキラさせて先程の怯えようが、
嘘のようにテンションが上がっていた!!
蘭「えっ!
そ、そんなに〜大袈裟にしなくて良いわ。
私がいくら凄い妖怪だからと言って
そこまで畏まられるのは、ちょっと(焦)」
憧れの人が、目の前に居る事に
オタクのように語る雫だったが我に返ったようだ。
雫「い、いえ?!
悪気があった訳じゃないんです。
少し嬉しい気持ちが込み上がって来て…つい(焦)」
その様子を見て次に、男子生徒が口を開いた。
???「蘭って昔からそうだよな〜
もう少し自分の凄さを誇らしく思ったら
どうなんだ?」
蘭「誠也っ!
その話は、もうしないって約束したよね」
と頬を膨らませて見つめた。
誠也「あはは…そ、そうだったな〜悪いな蘭(汗)」
蘭「もう〜誠也ったら(プクゥ)
あっ、私が呼んだのに………
こっちの話ばっかしちゃってごめんなさい。
それでね、雪乃 雫さん!
あなたを呼んだのは他でもないわ。
立ち話も何だから部室に来て貰って良いかな」
雫「……部室ですか?(驚く表情)」
2階の控え室にて・・・
蘭「お待たせ〜♪」
部室に入ってすぐに薄いカーテンがあり、
その向こう側は見えないようになっていて
カーテンを退けるとそこには友理が居た。
雫「り、林堂さんっ!?」
友理「雪乃さんこそ、どうしてここに?!」
パンッ!と手を鳴らしてウキウキでこう言った。
蘭「な〜んだ♡
同じ1年生でもクラスの問題で
知らないかと思ってたけど〜
知ってるなら丁度、良いわね♪」
友理「クラス???
(そんなに重要な事なのかな?)」
雫「うぅ………(浮かない顔)」
2人との温度差に気まずそうにしながら
友理の後ろにあるソファーに座っている
もう1人の男子生徒が蘭に話し掛けた。
???「その話は、また今度で良いですから
とりあえず話してみたらどうです?鈴木さん」
蘭「あっ、来てくれたんだ!!日向くん♪」
日向「急にRiinで呼び出されて
急いで来たっていうのに
緊急じゃなくて会議みたいな雰囲気がしたから
そろそろ帰ろうかと思った所です」
とソファーから立ち上がる日向を見て
蘭は、露骨に引き留めた。
蘭「ご、ごめんねっ!
テレパシーを急に送られると〜
どうしても最初は、皆んな戸惑っちゃうらしいから
遅れちゃったし、ほんの少しだけお話してたの。
本当にごめんなさい(汗)」
日向「・・・。別に…良いですけど」
その様子を見ながら友理は、少々困惑気味だった。
友理「えっと〜……えぇっと???」
蘭「あ、1年生の2人をここに招いたのは、
ちゃんとした理由があるから話すとね。
ここは[怪奇研究部]っていう部活なの♪
怪奇…研究部………???(友理)
う〜んとね、分かりやすく説明すると〜
この街で起きた怪奇事件を私達が解決させる活動で
これは、[閻魔大王様]から
特別に許可を降ろしてくれた[特別部隊]なの!
他にもっていうか、元々は[特殊部隊]っていう
組織の子達がやってた仕事なんだけど
それを私達がお手伝いしてるって感じだよ」
かなり驚いた表情をしている。
雫「あの閻魔大王様から直々に許可が、
降りるなんて意外ですね」
蘭「でしょでしょ♪」
友理「えっ?何々、それって凄い事なの?!」
雫「前に林堂さんにも説明しましたが〜
閻魔大王様が率いる閻魔騎士は、
世界中で活躍しています!
事件や事故、村、街、の些細な事件対応でも
快く引き受けてくれる事もあって
国民の人達からは、[聖騎士]とも呼ばれています♪」
友理「へぇ〜じゃあ警察って訳だ☆」
誠也「何を意味が、分からん事を」
友理(あっ、あれ?
私、変な事…言っちゃった……かな???(汗)
蘭「それで〜2人を部活に一緒に招集したって訳」
雫「何となく鈴木先輩方が、この部室に
私達を誘う理由は、分かっていましたが………
やはり、そうでしたか(汗)」
友理「えぇ〜!なんで分かったの!?」
誠也「おいおい(汗)
それくらいEクラスでも分かるぞ!!」
友理「そうなの?!」
蘭「どうかしら、2人共?」
友理「えぇ〜っと(焦)
誘われたからには、この部活に入らず追えないですが〜
何で私が???
私よりも知識がある雪乃さんなら心配ない
と思いますが〜妖怪でもない私が、
この怪奇研究部に入る訳には………(汗)」
蘭「そう!その事なんだけど〜
この世界にはそもそも[人間]って言ったかしら?
そういう概念すら知らなかった私達からすれば
林堂さんはなぜ自分を人間だと思い込んでいるのかが、
最初からおかしいのっ!!」
友理「えっ!?」
雫「……っ!(驚愕))」
蘭「あなたは、この目で妖怪の姿を見た。
それなのに見た本人でさえも姿形が、
分からなくなる事は妖怪のせいでもない。
自分自身の力を信じていないからだと思うの!!」
友理(……っ!?)
雫が来る前に友理からその話を聞いた蘭達。
蘭「だからね。
あくまで君を[人間]として扱うつもりも無いし、
妖怪だからと言って手加減するつもりも微塵も
ないから。
それでこの部活で君を誘うのは訳があって
君の事を一度、助けた時から決めていたの♪」
最後の一言が気になり、無意識に聞いていた。
友理「んっ?私を助けた…いつの事ですか???」
蘭「よ〜く思い出してご覧。
あの時、あなたに降り掛かろうとした筈の不幸が
降って来なかったあの日を………」
友理「あっ!
あの途中工事のビルから落ちて来たアレを!?
先輩方が、止めてくれたんですか?」
そう聞かれると若干、自慢げに話した。
蘭「そうなの!!
アレを止めたのは、紛れもない私なの。
あの時、誠也と一緒にパトロールしてる
最中だったから本当に偶然だけどね♪」
友理「凄い!えっと〜………(汗)」
急発進してから名前が、分からず失速する。
蘭「あっ、長々と部活についてお話をしてたから
自己紹介がまだだったわね。
私は、この部の部長をしてる鈴木 蘭♪
こっちが私の幼馴染の〜……」
誠也「八瀬 誠也だ!!
よろしくな(笑)」
ソファーでゆったりしていた日向が後ろを向く。
日向「で、僕が新條 日向です。よろしく」
蘭「私達3人は、同じ2年生であなた達の先輩よ♡
それでは、やっぱり先輩方も当然妖怪と☆(友理)
えぇ〜そうよ♪」
誠也「当然っておい!(汗)」
私は〜……と蘭が口を開く前に雫が先に言った。
「鈴木先輩は女郎蜘蛛、誠也さんは八瀬童子、
新條先輩が天邪鬼………ですよね♪」
誠也「おいおい、普通に正体がバレてんぞ!!
っていうかよく知ってるな〜?
はぁ……1番の見せ場が取られたぜ(汗)」
露骨にショックを受ける誠也を横目に
友理が、雫を褒め称えた。
「さっすが〜雪乃さんっ!?
先輩方の妖怪も知ってるんですね♪
(1つも分からないけど(汗)」
そしてある事に気付いた誠也が盛大に突っ込んだ。
「……ってか何で俺だけ[さん付け]なんだよ(怒)
俺も先輩呼びしてくれや!日向は、してるのに」
サラッと言われてキッパりと言う。
雫「いえ、悪気はありません。
少し呼びずらかっただけなのでお気になさらず…」
誠也「めちゃくちゃ失礼じゃねぇか!?」
日向「少し気遣いという概念を覚えたらどうだ?
あまり思ってる事を口に出すのは、
よくないと思うよ」
誠也「うっせぇ〜!!
日向だけには、絶対言われたくないね」
そんな2人の会話をお構いなしに口を挟む友理。
「それでそのじょ…じょぐもと痩せ堂々って
何ですか???」
誠也「ズコー!
雲の妖怪か何かか〜?
……って誰がガリガリだよっ!!
そんなの居ねぇし」
日向「急に冷静になるな(汗)」
ズッコケた誠也を心配もせずに話を進める一同。
雫「女郎蜘蛛っていうのは名前の通り、
蜘蛛の妖怪で強さはS級クラス!!
この中でも特殊部隊に匹敵する力の持ち主が、
この鈴木先輩なのです♪」
友理「へぇ〜凄い!!」
蘭「ううん。私は全然だから…誠也の方が、
私なんかよりずっと凄いよ(汗)
じ、実力はともかく……
あなたは、もう少し勉強した方が良さそうね。
私が、お勧めするわ友理さん(苦笑い)」
友理「えぇ〜そんな!!(涙)
グスン…そういえば、さっきから言ってる
その〜特殊部隊って一体どういう組織なの?」
雫「そ、それは………」
と目を一瞬だけ見開いてから震えていた。
友理「んっ?」
蘭「それは私から説明するわ!
まずはね、特別部隊と特殊部隊の違いから
[特別部隊]の場合だと〜
自主的に街でパトロールを行いつつ、
目の前で起きた事故や事件を即座に対応したり
私達の役目。
私達は、特殊部隊の子達みたいに
[Sクラス]だけを固めてる訳じゃないから
別々っていう所、そこが一番のポイントかな♪
逆に[特殊部隊]の場合だと
街の人達からの通報を受けて出動要請が
掛かって初めて任務に行けるの!!
[特別部隊]としての私達の行動範囲は、
普段通り、仁川市に限定されるんだけど
特殊部隊が立て込んでる時は出動要請が掛かって
東京もしくは、東京周辺の県境までかな。
あの人達は全国各地域にそれぞれ5人くらいは
学校に[転入]という形で配属されているわ。
何かしらに特化した特殊部隊が
この学校にも何人か存在しているの。
これで分かったかしら?
[特別部隊]と[特殊部隊]のち・が・い♪」
その話を聞いて友理は、
目をパチパチさせながら返事を返した。
友理「はい!
なんか凄い大規模な話になったけど〜
物凄く凄いんだなって事だけは分かりました!!」
説明した本人も満足げに言う。
蘭「うふふ♪そう、なら良いわ♡」
誠也(おいおい。それで良いのかよ…蘭(汗)
誠也は、切り替えてから蘭にこう語り掛けた。
「あとよ〜薄々勘づいてはいたけど蘭!
友理って奴は、後ほど調べるとして
いくら[一つ目妖怪]をこの部活に入れても
何の戦力にもなり得ない奴は、
俺としては受け入れたくないんだが」
雫「……っ!」
日向「八瀬、お前は鈴木さんの言い分を聞いてから
物事の発言をしろ。
何も聞かないまま自分の本心を他人にぶつけ
傷付ける所が、お前のよくない所だ」
誠也「はぁ?んだと、日向(怒)
大体お前は、いつもいつも俺に刺す言葉が
棘しかねぇし、たまに毒吐いてチクチク言う癖に
辛辣過ぎんだよ。
あと、毎度のように指摘するけど〜
タイミングよく本読むなっ!!」
どこから持って来たのか分からない
分厚めの茶色い本を半分くらい読み終えた所。
蘭「まぁまぁ、落ち着いて誠也。
ちゃんと話すからね〜あはは………(汗)
ねぇ〜雫さん。
あなたは先週の日曜日、
何をしたか分かっているわよね♪」
雫「……えっ?」
怖い聞き方をする蘭だったが、
真剣な眼差しを見せ物凄い笑顔で語り掛けて来た。
雫「こ、子供の妖怪を助けた事でしょうか?(汗)」
とそんな回答が返ってきた事に初耳の友理は、
自分ごとのように嬉しげに言った。
友理「えぇ〜!そんな事、あったの?!
凄いよ、雪乃さん☆
小さな命を密かに守ったんだね♡」
雫「わ、私はただ……自分がやらないと
誰も助けてくれない状況だったから
つい体が動いちゃった…だけだから……(汗)」
と弁明する雫に微笑み掛けながら
ゆっくりと話した。
蘭「私はね、その事につい
て別に怒ってる訳じゃないのっ!
むしろ、そのくらい勇気と度胸を持ち合わせている
という事が一番、重要なのよ。
その時の様子を見ていたからこそ、私にも分かる。
あなたの目には誰かを守りたい!
助けれるような力が欲しいという[強い意志]が
パトロールを通じて分かったの。
あなたにはこの部に入る権利があるわ♪」
と雫の目を真っ直ぐとキリっとした目で見つめる。
雫(あっ……そんな凄い人に誘われる存在なんて
式神様以外に居ないと思ってた。
こんな近くで、こんな尊敬できる先輩に
誘われる日が来るの?!
この機を逃せばきっと後悔する。だけど………)
机下でスカートを握り締めながらこう言った。
雫「さ、誘われるのはとても嬉しい事です……が、
誠也さんに言われた事に否定は出来ません(汗)
正直に言うと私は、弱くて知識が多くても
行動に活かせるような身軽でもないし、
強いて言うなら自分の[視野]を頼る事しか出来ない
ただの未熟者………なんです(堪える)
本当に私なんかが…お役に立てるような事が、
あるのでしょうか?
戦えもしない私にっ!!」
その言葉を聞いて口元が笑う。
蘭「うふ♪それが、聞きたかったわ♡」
手首をガシッと掴んでこう言った!
蘭「戦えない妖怪だって居るのは当たり前。
弱くて自分が惨めだと思う子もいれば、
子供の妖怪を助けるような勇気がある
あなたのような人も居るからこそ、
出来る仕事もあるんじゃないかな♪
何でもネガティブな妖怪は居る、
ポジティブな人でも実際に足を踏み出す事が
出来ない子も。色んな子が居るの!!
あなたは[A組の友理ちゃん]とも知り合いにも
なれてる。
自分の居場所があるって改めて
今日思ったと思うわ!
そんな前向きな妖怪なんてあなたぐらいよ♡
自分の弱さを実感しているからこそ
この場を持っている言える雫ちゃんが、
[本当に立派]だわ!!
どれほど自分が弱くても
今まで何度でも馬鹿にされてきたかもしれない。
そんな恐怖心をあなたは[強さ]に変えれた。
周りの評価は、どこへだって付いてくる
かもしれないけど。
でも…それでも気にせず、
雫ちゃんは[自分の力]を引き出したいと思う?
(潤む瞳を蘭に向ける)
それでも努力しようっていう気持ちが、
あるだけで[あなたは立派]よ。
私達と一緒に成長してみない?
それに私は戦力なんて望んでないし、
雫ちゃんが今出来る事だけを最大限に発揮できる
範囲で支援をしてくれるだけで
私達は、とっても助かるからさ♪」
必死に堪えていた涙が目から溢れ出て
肩を揺らして床に崩れ落ちる。
雫「そんな……そんな事言われたの初めてです(泣)」
震える肩に手をやって耳元で囁いた。
蘭「高校生になってから
あなたは、十分頑張ってるのよ♪
でも。諦めるにはまだ早いわっ!
[自分の力は、自らの扉を開く表れ]から
見つかるものなのよ♡」
と優しく声を掛けた。
日向「・・・」
友理達に一通りの話を終えてから改めて話した。
蘭「今日、初めて会ったばかりに
招集してしまったけれど。
全然断っても良いからね?!
あなた達の意見を捻じ曲げるような事はしないわ。
それぞれ落ち着いて前向きに考えて頂戴ね♪」
雫が先に部室から出て行き、続けて出ようとした
友理を引き止めた。
蘭「あなたはもう一度、
放課後にまた来てくれるかしら」
とそう言われて何気なく「はい?」と言い、
部室を後にした。
誠也「良いのか?
めちゃくちゃ良い話してるけど、
俺達の[本来の目的]については〜まだ………」
蘭「うん♪するよ。
あの2人なら、きっと来るから!」
じっと見つめながら口元がニヤけた。
誠也「ふん(笑)んじゃあ!
何か考えがあるならそれは、蘭に任せるわ〜
俺らは今からパトロール行ってくっから
川島先生に伝えといてくれ♪頼むな〜!!」
と2人は部室近くにある外階段の方へ走って
行ってしまった。
蘭「あ、ちょっと!2人共。
もう〜…私を何だと思っているのかしら!!
誠也はともかく、日向くんはBなのに。
(Bクラスの先生……苦手なのよね〜はぁ…(汗)」
2人は、廊下を歩きながらこう話し始めた。
友理「あの先輩方、凄い人達だったね。
雪乃さん♪」
雫「そうですよ。
あの3人の中では
特に鈴木先輩が、有名人ですから。
学年関係なく皆んなの憧れの人、
特殊部隊に入っててもおかしくない人材なんです!」
友理「おぉ〜雪乃さんが、
珍しく盛り上がってるぅ〜♪
私もそんな先輩に誘われたって事は、
凄い事なんだよね。
きっと!!」
少しの間を空けてから雫は話した。
雫「………林堂さんは〜
あの部活に入りたいと思いましたか?」
友理「んっ?勿論だよ!
先輩方と居たあの時間、凄く楽しかったんだもん。
妖怪の勉強は、頑張らないとだけど〜
私は雪乃さんが入りたいなら
一緒に入ろうかなって思ってるよ♪
えっ、私と…一緒に、本当に良いの?(雫)
何が〜???」
雫「林堂さんは、
自分が[何なのか]知る事になるんだよ?(汗)
その真実を知るって……怖くないの?」
目を大きく見開いてそっと顔を背けてから
こう言った。
友理「あっ………うふ♪
確かに言われてみれば〜私もちょっぴり怖いかも。
でも、あの夜に見たあの姿は絶対そうだった…
覚えていないのが、今も不思議なくらい(汗)
それでも私は………
友達の雪乃さんと一緒に入りたいから!
何より私は、雪乃さんに知ってて欲しいの。
[私が何なのか何が正しいのか]…とかね☆
だから入ろうよ、怪奇研究部に!!
私達が目指す[目的]の為に♪」
雫「……っ!そう…ですね〜(照)
そういう考えも悪くありませんね。
私も先程の鈴木先輩の言葉が、
忘れられなくて丁度入りたいとおも………」
キーンーコーンーカーンーコーン・・・
良いタイミングでチャイムが鳴り、
唖然とする2人。
友理「んっ?
これって昼休みの終わりのチャイム………
終わり!!?
授業始まっちゃうよ〜(汗)」
物凄い勢いで友理は、先に走って行ってしまった。
雫「あ、うふふ♪
あなたと初めて会った時もそうでしたね。
タイミング、悪すぎです(呆れて笑った)」
自分のクラスに戻って来た雫、
D組の教室からどんどん遠ざかっていく視点。
芽亜「あぁ〜ユキっち、どこ行ってたの?!
購買から帰って来たら教室に居なかったから
すっごく心配したんだからね!!
お陰でお昼食べそこ〜………」
凛音「それは私達に探す事を任せていれば、
こんな事にはならなかったじゃない」
芽亜「だ、だって…中等部の時にあった。
あの事件の騒ぎでユキっちが、
攫われたんじゃないかって心配でぇ〜(汗)」
美夏「そういえば、そんな事もあったね。
うん!確かにその事を考えたら、
芽亜ちゃんの気持ち分かるかも♪」
凛音「あら?そんな事、あったの?」
芽亜「と、とにかくめちゃくちゃ心配したんだから
ユキっちぃ〜(泣)」
雫「それは……本当にごめんなさい!!(汗)」
先生「あの〜
そろそろ授業の時間なので………お静かに」
放課後・・・
怪奇研究部の部室前に来てノックをして入った。
友理「失礼しま〜す!昼休みに来た林堂です。
鈴木先輩〜新條先輩………あれ?居ないのかな?
もしかして私の方が早めに来ちゃった!?(汗)」
と恐る恐る部室のソファーの所まで移動した途端、
上から何かが降ってきた!!
友理「……っ!きゃーーー!!!!!?
ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさ〜い」
何回も謝り続けて友理が座り込むと
声を掛けられた。
???「うふふ♪大丈夫よ、私だから」
友理「えっ?(涙)」
蘭「どう、驚いたかしら♪」
上から糸のようなモノにぶら下がりながら、
声を掛けたのは蘭だった。
日向「驚いたかしら…じゃないですよ!
鈴木さん(汗)」
誠也「蘭が、一番楽しんでんじゃんかっ!!」
友理「その声、本当に鈴木……先輩なんですか?!
それに新條先輩もえっと〜………(汗)
八瀬 誠也もだからな!(誠也)
あぁ〜忘れてました誠也さん♪」
誠也「ズコーー!!
何で俺だけ先輩……呼びされないんだ(涙)」
と落ち込む誠也を横目に
友理は、ある事に気付いた。
それは3人の姿についてだった!
蘭は着物のような服装で顔が蜘蛛のような顔付き、
メイプル髪から初恋薊の髪に
変わっており八重歯が特徴的で
下半身が、8本の蜘蛛の足と体へと変化している。
日向はうっすらと右の頭にゴツい角が付いており、
誠也の左腕が黒く染まっていた。
蘭と誠也の2人だけは、くっきり見えている!
驚きながらも慌てて蘭達に尋ねてみた。
友理「せ、先輩その姿は……一体?!」
日向「大体この時間になると大抵の奴は、
隠しているものがうっすら見えたりする。
だが、この2人は例外だ!!
S級クラスの者は、AからEクラスよりも
妖怪になる時間が極めて早い。
夕方頃には既に妖怪になっている者もいれば、
誠也のように妖怪になる侵攻を
少しだけ遅らせる事も可能だ」
と日向が最後に言った言葉に疑問を持ち、
誠也に聞いてみる。
友理「それって〜………
わざとズラす意味ってあるんですか?」
日向「無い(ボソ)」
誠也「あるぜ!全然ある☆
例えばな〜お前が、誰かに朝何かされたら
その時点でどんな妖怪かは〜
相手にはバレていないんだぜ!
んで、不意打ちしたい時にその夜に叩く為の技さ☆
やり方は、簡単!!
今、俺の腕は黒く見えるだろう?
あ…はい!見えます(友理)
この侵攻している部分に全ての妖気を送って
身分を隠す方法も可能なんだ♪」
友理「へぇ〜(何だか…難しそう(汗)」
誠也「妖気はズラした後、
次にズラす時に再び動くかせるし
ずっと操作する負担は無い。
動かした妖気は、固定される仕組みなんだ!
これが俺流の技だ。どうよカッケェだろ☆☆☆」
友理「す、凄い(←全然、分かっていない人)」
話が脱線したような感じがして話題を変える。
友理「所でなぜ、私だけ呼び出されたのですか?
てっきり一緒に居るかと思いました(汗)」
蘭「雫ちゃんを呼ばなかった理由は、
本当の妖怪なら聞くだけでも嫌な事だから。
そう言っても友理さんは、伝わらないかな?」
友理「嫌な……事ですか???」
蘭「そうよ。
だと思って友理さんだけをここに呼んだの!
それで〜これからが本題なんだけど、
今日は[クラス]について説明しないと
友理さんの今後にも関わる事だから
よく聞いて頂戴!!
んっ?(友理)
そもそも[クラス]というのは、
[妖怪の中では格差が付けられる世界なの]
いわゆる縦社会みたいなものですか???(友理)
蘭「そうね、簡単に言えばそんな感じ♪
この妖魔界では、クラスが全てみたいな妖怪も
居れば、妖怪は皆平等に扱うべきだと
[閻魔大王様]の意見もあるわ。
でも、その意見が通らなくて
大体は、差別化される始末。
レベルというのは肩書きでもあり、
名前と同等の扱いをされて大きな問題に生じる事が、
誰でも一度は嫌になる程、遭遇するわ」
思ったよりも深刻な話で、
動揺しながらも疑問を尋ねた。
友理「それを具体的には、
私にどうやって気を付ければ良いんですか?」
蘭「うふ♪
人間でもなくても妖怪である確証は少ないけれど、
これだけは確信を持って私でも言える。
あなたは歴とした[Aクラス]よ。
今の所〜SかAかは分からないけれど、
A組だからこそ[Aクラス以下の妖怪]には
差別をして欲しくないの!」
友理「えっ?
い、言われなくても…威張るも何も!?
それを言われるのが、
嫌な子も居るなら私は絶対しませんよ(汗)」
その言葉を聞いて蘭は、安心したのか可愛い笑顔を
浮かべてこう言った。
蘭「うふ♪友理ちゃんは、優しい子ね♡
だけど他の妖怪も皆んなが皆んな優しい子も
いれば、他者を見下すような事をする妖怪も
平等に居る訳でも無いの」
友理「そんなの酷いじゃないですか!!(汗)」
蘭「そう。
なりたくてクラスを付けられた訳じゃないのに
……酷くても現実はそうなの。
人という者は、自分を大きく見せて他者を見下す。
そんな事をしても意味が無いのにも関わらずね。
友理ちゃんからするクラスの人達は、
皆んな良い子で優しい人もちゃんと居ると思うわ。
それでも他のクラスと関わるだけでも
何人かは、激変するような態度に変わってしまう。
それをただ見る事しか出来ない私達がそう」
終始落ち込む友理は、少し躊躇したが尋ねた。
友理「先輩方にも居るんですか?(汗)
[クラス]だけで判断するのような人が……」
誠也「まぁ俺ら2年はまだマシになった方だけど、
言う奴は居るさ多少な。
クラス差とか関係なく接してくれる方が、
よっぽど珍しいんだよ」
かなり驚いた表情を見せる。
友理「えっ!そうなの!?」
友理の顔色を伺いながら日向も発言した。
「そうさ、君も一度は見た事がある筈だよ。
林堂さんの友達がいる状態でA以下の人が、
近くで話しているだけで嫌な目で見られる所をね」
日向が言った事に対して
友理はキョトンとした顔をしてこう言う。
「えっ?
そんな事は、特に見覚えはありませんが……(汗)」
と目元を暗くさせる。
日向「・・・」
何も言わなくなった日向を横目に蘭が話す。
「まぁ〜それは、人それぞれの判断だから
あんまり気しないで良いわ!
友理ちゃんにもクラス差とかで誤解を招かれた
としても挑発に乗っては駄目よ。
例え、身近な人がそう言っていようとも………
分かったかしら?」
友理「はい!勉強になりました♪
わざわざ私一人だけ呼び出して貰って
先輩方から教えて頂き、とても嬉しかったです。
ありがとうございます!!
ふと部室の時計を見て友理は慌て出す。
「あっ、私……買い物に行かないと(汗)
それでは私はお先に。失礼しました!」
嵐が消えるような速さで部室内は、静まり返っる。
ソファーに横たわり、日向は溜息を吐く。
日向「……はぁ、見覚えならある筈だろうに」
蘭「まぁまぁ。それは人それぞれの判断だから、
日向くんが、気にするような事じゃないわ」
尽かさず友理をフォローする蘭に誠也も否定した。
誠也「いや、日向が言う事にも一理あるぜ。
えっ?誠也まで何を言ってるの???(蘭)
蘭は、用事があって知らないと思うけど〜
そもそも何で俺らが知ってるかと言うと………」
画面が突然と暗くなり、会話が途切れた。
校舎から出て行く友理に視点が行き、
スキップしながら嬉しげに口を開いた。
友理「うふふ〜ん♪
先輩って頼もしいな〜
普段、どういう活動してるんだろう?
やっぱりあの時にも言ってた〜
パトロールとかしてるのかな?!
私も出来ると良いな〜!そういう人助け☆
う〜ん♡本当に楽しみ♪
せっかく鈴木先輩方から招待してくれたんだし、
やっぱり入らなきゃいけないよね〜☆」
と目を輝かせて言うと急に静かになって
足元が映し出されて元気な声から一気に冷静な声へ
変えてから緑色の瞳が赤い瞳へと変わり、
校舎を見つめ、再び喋り出した。
???「へぇ〜こっちでの妖魔界ってそうなのね。
あそこに入れば、
もっとこの世界の事を教えてくれそうだわ。
楽しみにしているわ、怪奇研究部の皆さん♪」
友理とは、全く別の存在が語っているかのように
校門から出て行った。
新キャラの特徴!!
名前:鈴木 蘭 正体:女郎蜘蛛
髪型:肩に掛かるくらいのふんわりセミロング
髪色:メイプル色
瞳:ターコイズブルー色
制服:上下青緑、膝丈スカート、
黒リボン(下部分に白ライン入り)
性格:面倒見の良い部長。
自己肯定感は低く、かなり控えめな性格の女の子!
幼馴染の誠也に想いを寄せている。
自覚なしで少し空回りする誠也に
少し呆れている様子をよく見るも気にするタイプ。
運動神経も妖術や学業などかなり高く、
学年関係問わず慕われている。
名前:八瀬 誠也 正体:八瀬童子
髪型:耳より上の長さのショートヘアー
髪色:黒髪
瞳:暗めな青色の瞳
制服:上半身青緑、黒ズボンのチェック柄、
黒ネクタイピン付き(下部分に白ライン入り)
性格:バトルや遊び、部活にやる気100%の副部長。
蘭と違って自己肯定感が高く、喧嘩腰な男子高校生!
何かムカつく事があれば執念深く、
仕返しするまで追いかけて来る性格。
蘭と同じSクラス以上の力を誇る凄まじい強さで
相手をワンパンさせる事も可能!!
実は、誠也の左腕には秘密が???
名前:新條 日向 正体:天邪鬼
髪型:首に届くくらいの少し長めのショートヘアー
髪色:明るいベージュ色
瞳:暗めな赤色の瞳
制服:上半身青緑、黒ズボンのチェック柄、
青ネクタイ
性格:無口な面々、たまにストレートに言う書記。
(誠也に対しては棘しかない)
部長と副部長と違って日向はBクラスであり、
人を騙し先に帰ったり妖術で攻撃する時に
相手を欺き、逆から攻撃するやり方!
冷静沈着でいつも誠也のストッパー係でもあり、
どこ行っても本を持ち歩き、読み続ける男子校生!!
2人と比べるとかなり小柄な体格だが、
日向自身は、そんなに気にしていない様子。
ただ[とある単語]を言われるとかな〜りブチギレる。