第31話 「妖怪の日」
去年のハロウィンで投稿する筈でしたが上手く行かず
今年こそはと思って良い調子で書き上げた矢先、
終盤で行き詰まる事、2ヶ月。
今年は全然、予定通りの話数を進められなかった。。。
6ヶ月も音信不通が痛過ぎる(汗)
なんやかんやで出オチして大変でしたけど、
何とかなりました!!再び、遅くなってすみません!
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
? 「(何も見えないし、誰も居ない。
何もない空間に僕は果てしない
虚空に向かって見つめる事しか出来ない。
テレビみたいな映像がさっきまで流れてた筈なのに
それすらも見えなくなっちゃった。。。
……でもね、不思議なんだ〜
今の僕には怖い…とか寂しいとか
そういうのじゃなくて、んーっと?えっと〜
ここに、僕と同じ力を待った人が居てね?
その人とお喋りしながら過ごしてたんだよ♪
すっごく楽しかった!!
また、会えないかな〜???えへへ(笑)
ん?その人が今、どこに居るかって??
………もうこの空間には居ないよ。
僕より先にどっか行っちゃったからさ〜
時期に、僕も帰らないといけないんだって
そういう決まりだから仕方が無いんだ。
そう、決まりなん…だぁ?あれ??
僕は……何で…そんな事………知ってるんだろう。
それに、時期にって……いつ…なの?)
ねぇ〜!いつなの、ねぇ〜〜〜ってば!!
……うぐっ。うっ、ズズ…酷いよ(涙目)
何で、僕だけこんな……こんな知らない場所に
置いてけぼりにされなきゃいけないのさっ!
帰してよぉ、帰して帰しt………ってどこへ?
僕はどこから来たんだっけ?あれ、あれれ???
分かんない。何で、分かんない…だろう(涙)
怖い!誰か教えて……怖い!何がどうなってるの?
怖いよ!誰か、だぁれかっ〜〜!!
………んっ?何か聞こえる。。。
誰ぇ?知らない人??反応してくれない。
ヒクッ…はぁ……はぁっ……ヒッ…はぁっ(涙)
……たぁ。かな・・・たぁ?
あ〜……そうだ。やっと思い出せた…よ(笑顔)
奏太っ!奏太、僕を……2人の所へ
元に戻してぇーーっっっ!!!!!!」
腹から大きな声を目一杯、出し切った???の姿が
暗闇の中に現れて出現した場所から
眩い光を足元から放つ。
それは、この空間をも揺るがす程の威力で
大きな亀裂が入り込んでからといい、
無数のヒビが広がって広大な光が視界を阻んだ。
? (んっ、んん……?あ、れ??
ここは、また…知らない場所だ。
でも何でだろう?
目を開けていないのに全部、見えてるような感じで
家具の配置や部屋の特徴が鮮明に分かる。
さっきの空間と違って
全体的に真っ白でパステル調の部屋、
僕はベールのようなカーテンの向こうにある
大きなベッドの上に居る?
まだボヤけて見えるから細かい事は分からないけど
ずっと僕の側を離れない人が居るんだよね。
だぁ〜れ?青くて緑っぽい髪の……女の人??
僕の事、見て何か言ってるみたいだけど、
そこまでは聞き取れない)
女性「……………こ…………………い……………
…………には……り………せ……………して………
お……………ね♪
…の………なり…………る……で……た……い。
……も………よね。
…の……た…………で……して………てっ!(涙)
姉上、そんな大層な事してないってぇ(???)
…も……で………たの………で……う?
それは、そうだけど。。。(???)
そうでしょう。
でも、俺1人の力じゃないんだって!!(???)
それ…………あっても
………くれた…には、変わりありませんよ。
けどっ!(???)
はい、じゃあそういう事にしてあげます♪」
???「・・・」
? (これ……奏太…の声?
女の人の事、姉上って呼んでた。。。
奏太のお姉さん??
でも奏太には、お兄さんが居た筈……だったけど
でもでも、奏太がすぐ側に居るんだ!!
奏太っ!
会いたかった、今色々…話したかったよぉ〜)
という意思表示に[陸]は、
自らの意志で体をようやく動かせたものの
声や目を開ける事は出来なかった。
が、陸のそんなアクションを目の当たりにした
2人は驚きつつも嬉しげに受け入れてくれた。
奏太「さてと、陸も起きた事だし
姉上…そろそろ元の場所に帰す時間ですよ。
初めての謁見でしたのにもう終わりですか?(女性)
我儘言わないで下さい(汗)
今回は、陸の意識がない内に
[ラステーション]に運び出した影響からか
ここでは起きれない。
陸には悪いけど、目覚めてから俺にRiinでも
何でも送って貰えれば助かる」
陸(えぇっ!?)
女性「そうね。
名残惜しいけれど、
くだん様の謁見はまたの機会に改めますので
その時は是非、いらして下さいね。
それでは、またのお越しをお待ちしています♪」
奏太「じゃあな、陸。また後で」
陸(あ!待って、待ってよ。奏太、行かないで
奏太ぁあああ〜〜〜………っ!!!!!!」
その声が奏太に届く事は無かったが、
代わりに現世へ帰還する事に成功した。
陸「だめえぇぇぇーーーーー!!!!!!
え?ちょっと今、何時だと思ってるの?!(母親)
奏太ーーー……あ???んっ?ん??
母ちゃん。。。
もうホント…情けない子に育ったわね(母親)
母ちゃ〜ん、怖かったよぉぉぉっ!!(泣)」
母親「全く。でもおかえり、陸」
腕の中で泣きじゃくる陸を
そっと後ろから抱き寄せて頭を撫でながら
思う存分、泣き終わるまで付き合ってあげた。
数分後・・・
泣き疲れてすっかり落ち着いたのか
陸は、心のままに我儘を口にした。
陸「はぁ〜………母ちゃん、お腹空いた♪
お昼が来る前に眠りについちゃったから
お腹ペコペコだよ〜何か作って!!(バツ目)」
母親「はいはい。
時間的に軽いものしか作れないけど、
それでもいい?
うん!それで良い☆(陸)
そう、じゃあ良い子で待ってなさい」
陸「は〜〜〜い、お願いします♪
ガチャン・・・
あっ、そうだ。
奏太が戻って来たら
連絡してって言われてたんだった。。。
えっと〜スマホ…スマホ。あれ〜?どこ行った?」
こうして奏太からの伝言を思い出した陸は、
手当たり次第にスマホを探すも見つからず
部屋中を探し回ってもなく
途方に暮れた陸がふとベッドの隙間に手をやった。
すると、そこには緑色のスマホを見つけて
その喜びからかベッドから弾かれてしまい、
再び落下したのだった。
陸「あ、あった!!
やったって、うわああぁっ!?……アダッ!
ゔぅん〜〜もうっ!!
今日は、踏んだり蹴ったりだあぁぁぁ〜(泣)」
・・・Riinチャット・・・
陸「奏太、今から電話していい?」
奏太「い、今からかっ!?
待て待て今はマジでタンマ!」
陸「何かあるの??」
奏太「今日、学校で起きた事を兄上達にも
報告しないといけないから……
だから、それが終わってからでもいいか?(汗)
それなら助かる!!」
陸「ムムッ〜〜〜」
奏太「仕方ないだろ!?
巻き込まれたのは俺だけなんだし、
上に報告しない事には今後の対応を
どうするか決めなきゃなんないだから」
陸「じゃあ、それが終わったらで良いから
すぐに教えてよ〜絶対だよ!」
奏太「分かった、分かった。。。
また……あ、陸。そういえばさ〜」
陸「ん?何々???」
奏太「そろそろ…あの時期だろ。
だったら、[アレ]やるか?」
陸「・・・そうだよ!?(汗)
奏太、今年も出来る?!」
奏太「一応、予定的は空いてるけど
どうする?また去年と同じ所でも」
陸「うぅん!!
それは変わらず……いいよ。良いけど
奏太に、、、んん〜っと奏太から
聞いて来て欲しい人が居て
その人も誘って欲しいなってぇ」
奏太「別に良いが、誰だそれ??」
学校襲撃から3日後の夜にて・・・
仁川市から遠く離れた杉凪市と呼ばれる
繁華街が栄えた場所で2人は待ち合わせしていた。
どこか薄暗い雰囲気の裏路地で
京都のような街並みが広がる中、
ソワソワとした様子で誰かを待ち続ける陸。
灯りの少ない場所で
自分のスマホの光に照らされる奏太の顔を見て
ある人が声を掛けて来たのだ。
日向「ごめん、遅くなって…はぁ……はぁ(焦)
日向〜☆(陸)
日向だってば、もういいや。。。」
奏太「こっちこそ怪我がまだ治ってない内に
呼び出して悪いとは思ってる。
でも陸がどうしても日向を誘うって聞かなくて〜」
陸「うん、そうだよ!!
そこは人のせいしてるんだから怒れよ(奏太)
えへへ、楽しみぃ〜♪」
奏太「・・・はぁ(呆)
んじゃ、ずっとこんな所で話してると
日向の負担に成り兼ねないんだし、
とりあえず店探そうぜ。
どっかの誰かさんに事前に、
調べてから来いとは言った筈だったんだけどよ〜
日向が来れるって分かってからは、
もう大騒ぎで普通に〜すっぽかしやがって。
……ったく。現地で探す羽目になったじゃないか」
陸「ごめ〜ってぇ(バツ目)
そうなんだ。じゃあ、ゆっくり探そう♪(日向)
うん!探そ探そ☆」
奏太「いや、だから俺の話聞けよっ?!(汗)
まぁまぁ奏太、落ち着いて(日向)
落ち着いてはいる!!
良いのか?
日向は、今来たとこなんだし〜少し休んでも…」
日向「・・・ううん、まだ大丈夫。
それに2人もこの辺の事、あまり知らないでしょ?
だったら……」
奏太「いや、毎年この時期になると
2人で遠出するって決めてて
結構、前から訪れる…とはいえ、
ここら辺はいつまで経ってもからっきしでさ〜
いっつも同じ道や店しか行かない。
ハンッ、笑っちゃうよな!(笑)
じゃあ出掛ける事に意味があるんだね(日向)
まぁな?
特に深い意味は無ぇけど、
俺の願いとしては陸の今後の励みにもなれば
それで良いと思ってる」
日向「ん???」
不思議そうな顔で奏太を見つめながらも
一同は、徐に暗い夜道を進んで行き
灯りの多い煌びやかな賑わいを見せる道へと出る。
ネットの通じる場所まで徐々に近付くも
日向は何も言わず付いて来て
陸は、キョロキョロと周りを見るばかりで
ほぼ奏太のスマホ頼りだ。
スマホ画面の上の部分に出て来るY-Fiを見ながら
店をぼちぼち探し回っていると
突然、後方に居た陸が声を出して叫ぶ。
陸「あ〜!!
見た事ない仙剣キーホルダーだぁ〜
ここにもあったんだ、カッコイイ☆」
陸の声がした時にはとっくに走り出しており、
急足で再び暗がりのお店の中へと
飛び込んで行ってしまった。
奏太「あ、おい!勝手にどっか行くなって〜
迷子になっても知らねぇぞ?!
はあっ、すっげー☆☆☆(大興奮の陸)
こんな所に来てまでアレがあるのかよ。
まずいな、陸が買い物し始めると
しばらくあそこから動かなくなるぞ!!
そ、そんなに??(日向)
精々…早くて30分くらい。
だが、この30分は待つ側ではリアルに長いっ!
はぁ……どうしたもんかねぇ〜(汗)
ところで、さっきの仙剣って何の事?(日向)
あ〜日向はあんまああいう系…知らないか。
端的に言ったら仙人が持つと噂される仙剣で
ちゃんと神剣と同じく実在する物らしい。
そういったキーホルダーが沢山あって
浅草にも似たような物があるぜ?
へぇ〜そんな物があるんだね(日向)
陸曰く神剣よりデザインが良いんだってさ。
ほら、神剣って妙に装飾とかが派手で
ゴタゴタしたものが付いてて
[持ちづらいぃぃぃ!!(涙目)]てぇ、
あまりにも陸が泣いて訴えて来るもんだから
試しに似たような仙剣を見せてみたら
これが、どっぷりハマってよ(汗)
カッコ良さ重視の仙剣が好きなんだと。
俺にはどっちの剣も同じにしか見えねぇけどな」
日向(普通、神剣は人の目に
簡単に晒されるようなものじゃないから
例えで出されても。。。
奏太の口振りからして
そんなに珍しい物……と言うよりかは、
もっと身近にあるような感じなのかもしれない。
仙剣の存在すら知らなかった、僕でさえ)
奏太「陸〜!
しばらく、そこで買い物すんなら
気が済むまでやって来い。
何もお咎めはしない。
えっ、ホント!?良いのっ!!(陸)
どうせ店もまだ決まってないんだし、
買い物の方が余計…時間かかるだろ?
陸が買い終わるまで、
俺らはさっき来た道の途中にあったベンチで
日向と待ってるから覚えとけよ」
陸「は〜〜い!
わぁ☆こっちにも色々ある、どうしよっかな♪」
奏太「全く。
良いの?陸を1人にしちゃって??(日向)
いいよ〜いいよ〜あんな奴より
今は日向が優先、そろそろ疲れてきただろ。
気付いてたんだね。。。(日向)
会ってから一気に口数が減ってたから
そうかもって思ってただけ。
うぅ……なんか気を遣わせて、ごめんね(日向)
良いって別に、ほら支えてやるから行こうぜ」
そう言って日向の手を引きながら
もう片方の手で肩を支えて
両方から保護する奏太に申し訳ない気持ちからか
更に口数が減ってったのだ。
奏太に導かれるままベンチに辿り着く時には
相当、息が上がっていた。
日向「……はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……はぁ(汗)」
奏太「大丈夫か、日向。あ、水あるけど飲むか?
ご、ごめ…じゃ貰おうか……な(震える日向)
ちょ、ちょっと待ってろ。今出すから!!」
ショルダーバッグを後ろから前へと移し、
手乗りサイズの水筒を出すと
キュッと音を出しながら蓋をコップにして注ぐ。
蓋の半分まで水を注いだものを渡すと
ゆっくりと口を付けて飲んでいる間も
日向の背中をさすり続けた。
奏太「どうだ?少しは、落ち着いたか。
・・・うん(日向)
はぁ……やっぱり日向、
まだ外出するには早かったんじゃないか?
妖力的にもこの短い距離でバテるんじゃ、
体力の低下も相当…激しい筈だ。
やっぱり断ってくれた方が、まだ良かっ……」
日向「ううん。
どんなに苦しくても辛かったとしても
せめて2人には安心して貰いたかったし、
………少しでも話したかったから
だから頑張って乗り越えられた。
それも奏太達のお陰、ありがとう♪」
奏太「……っ!
べ、別にそこまでしなくても良かったろう(照)」
日向「本当だよ、嘘じゃない。
な、尚更…早く治ると良いな!!(ツンな奏太)
うん♪そうなったら、良いね」
奏太「・・・。
少しでも疲れたら無理に気を張らなくても
陸の買い物が終わるまでは、好きに寝れば良い。
で、でも……(日向)
気遣われるのが嫌なら、遠慮すんな!」
日向「あっ……ふん。じゃあお言葉に甘えて…」
奏太「あぁ、それで構わない」
と奏太の肩にそっと寄り掛かる形で身を預け、
いつもなら従わない事も
素直に従う日向は眠りに付く。
一方、内心ドッキドキな奏太だったが、
いつにもなく真剣な面持ちようで見続けた。
奏太([遠慮なんかしなくていい]、
ずっと前から俺が日向に伝えたかった本音だ。
どんなに疲れてもどんなに辛かろうと
その責任全てを抱えてる日向を
すぐ側で見てきた俺だから分かる些細な変化。。。
その苦しさを隠してるようで隠し切れない表情に
俺は、何度も胸が張り裂けそうになった。
どうして苦しい……と、どうして辛いと………
誰にも言わず気丈に振る舞えるのか
そんなになってまで頑張れる日向の姿が、
不思議と眩しくて…堪らなかった。
あの襲撃事件以来、日向の頑張りようが
あまりにも無意味だった事を痛感させられた。
八瀬が居なかったら、日向はもう。。。
いや、いやいや……そんな事、考えるな!!
日向が生きているだけでも喜べ!?
いや全部は喜べない…だって
現に、日向は誰よりも瀕死の重症で
まともに動けず会話もままならない日々が3日も
……3日も続いたんだぞ!(怒)
中学の時から苦労して…苦労して
やっとの思いで高等部まで順調に上がり、
佐賀への文句の一つや2つ色々と飛び出しても
おかしくないのに、弱音一つ吐かずに。。。
また人に気を遣わせたくないとか
心配させたくない……とか
じゃあ今、何が辛いか言って欲しかった。
でも…それが日向としての本心なんだ。知ってたさ。
知っていたんだ、日向がそういう奴だって
だから俺は……出来る事なら
日向が未だ弱ってる原因でもある[妖力不足]を
何とか解消させてあげたい。
普通なら夜になると妖力は付与される世界だけど、
一定の妖力値を満たしているから貰える訳で
それを下回ると何も施しはされない。
俺のをあげれるならいくらでもやりたいけど、
どうすれば良いのか分からない。。。
どうすれば、日向に渡せられる?
とりあえず俺が許可さえ出せれば、
[あの時]の礼が返せるのなら…それで良いのに)
そう思いながら日向の頭に顔を乗せ、
恋人繋ぎのように指を絡ませて目を瞑り
奏太が願うのと同時に
街頭の暖かい光が急に付いて2人を照らした。
すると、奏太のそんな願いに反応したのか
2人の足元には魔封陣が現れて
日向だけに青寄りの水色の雨模様が上から下へと
時間が止まったみたいにゆっくりと落下していく。
日向(ん?何かが流れ込んで来る。
……暖かい。。。
何だか、安心させてくれるような〜
そんな気分にしてくれるのは…何でだろう)
日向がそう感じた時には、
落下する雨模様が人知れず消え去った所で
魔封陣だけは回り続ける。
街頭の光がいつの間にか
2人から逸れた位置を照らしており、
まだ眠ったままの日向の顔には
心做しか微笑んでいるような気がした。
2人を繋いだ手は未だ離れず、
離すものかと強い意志で握っていて
奏太はこの時間を一番、噛み締めていた。
それに加えて日向が寝て動かない事を良い事に
今だけは自分のものと独占欲が勝っていたのだが、
それもある人物によって阻まれる事となる。
陸「あぁ〜!!奏太、そこで何してるの(怒)」
奏太「ギクッ!り、陸っ?!」
スッとベンチを素早く立ち上がった奏太に
寄り掛かっていた日向が横へ倒れる所を支えながら
思いがけない対峙を果たす。
陸「僕の買い物と日向が寝てる事を
良い事に好き勝手してぇーーズルい!!
いや違う!違うんだ、これは……っ(焦る奏太)
ムッ〜〜か・な・た…独り占めは良くないよ?(怒)」
奏太「だ、だから〜そういうんじゃ……(汗)
嘘だぁ!!絶対やってたもん!ムムッ〜(陸)
だから話をっ!?
ん、んんっ?あれ、僕…いつの間に寝てた?(日向)
日向〜ハッ……まさか、盛った?!(陸)
盛ってねぇわ、ただの水やっただけだ!!」
ベンチの背もたれに斜めに座っていると
寝ぼけ眼に2人を見つめた。
陸「日向、奏太が意地悪するんだ!
意地悪???(日向)
そう…そうなんだよ!!
絶対に、現行犯で言い逃れ出来ない筈なのにぃ
僕に変な言い訳ばかり並べて」
奏太「ば、馬鹿っ!?
ちげぇよ俺は、見守ってただけで〜
それ以外に………何があるんだよ(汗)」
陸「下心(真顔)
ねぇよ!ねぇってぇ!!(焦る奏太)
じ〜〜〜っ、ホントかな〜あっ♪
日向、この状況…どう思う?(笑)
どうって………う〜ん、図星??(日向)
ハハッ♪
図星だって奏太〜今、どういう気持ち」
奏太「馬鹿、そんな顔で俺を見るな?!(赤面)」
陸「あ〜奏太が顔を背けたっ!」
奏太の平常心でさえも保てないでいるのには、
紛れもない日向の無意識による上目遣いが原因で
未だ寝ぼけている為か
間近で日向のジト目に当てられた奏太は、
照れ隠しのつもりで顔を背けていたのだ。
日向「・・・はあ〜ぁ(あくび)
ん?そこで、何してるの奏太???」
奏太「い、いや…これは、その〜……
本当に違うんだ!!何でも”ない(照)
う、嘘だ?!絶対、そんな筈はっ…んんーっ(陸)
いいからほっといてくれ(焦)」
双方、口を塞いだり腕をグングン振り回したりと
静かな攻防戦を繰り広げる横で
寝てスッキリしたのかその場を立ち上がった。
日向「ほら2人共、
時間が時間だからそろそろ探しに行こう?
ゆっくりしてるとお店閉まっちゃうよ」
2人「ギャーギャーギャーギャー……う、うん」
奏太「そういえば、そうだったな。。。
陸、どこにする?
さっきマップで確認して見たけど、
この辺だと中華とかチェーン店とか焼n………
焼肉はやだ(即答する陸)
あ〜はいはい、作業無しは却下だったな。
比較的、広い方の椅子があると助かるね(日向)
……それもあんだった(焦)
うーーん。よし、とりあえず練り歩いてみるか。
さんせ〜い♪(陸)
呑気な奴だな〜こっちの苦労も知らないで」
日向「ははっ…まぁまぁ(汗)」
頭を抱えながらも奏太を宥めて
一同は、さっきの道まで行き
広々とした繁華街へと戻った。
その道中もまた懲りずに
珍しい物を見つける度に道草食ったり、
日向を除くそれぞれ変な物を買っては
本来の目的を見失っている事に慌てふためく。
そんな2人の様子に文句一つ溢さず、
さっきまでの疲れた様子もなく
普段通りの落ち着きようで静かに見守っていた。
[悪い、俺まで羽目を外して……]と落ち込む奏太を
再び、宥めている2人が通過すると
あるお店を見つけて足を止めた。
陸「・・・あっ☆
ねぇ、奏太!僕ここにする♪もう決めた」
奏太「んっ?ここって確か〜……」
チリンチリーン・・・
店員「はい、いらっしゃい!!
3名様ね〜好きな席、座って」
奏太「じゃあ俺は、
注文しに行かなきゃ何ないから〜
陸達は、先に場所取りだけ済ませといてくれ」
陸「は〜〜い、行こ行こ☆どこにする?」
日向「陸はソファー側じゃないと難しいから
店内の奥の方になりそうだね。
運んで来る奏太が一番、大変だけど。。。
大丈夫っしょ!(陸)
陸、あそこの通路が狭いからゆっくり進もうか」
陸「うん♪」
入り口付近にある
カウンター席沿いの通路を通ろうとすると
出口へ向かう人集りに呑まれながらも
日向が率先して陸の手に引いてくれたお陰で
何とか席に座る事が出来た。
陸「にゃーやっと着いた、もう疲れたよ〜」
日向「丁度、帰る人と
入れ違いになっちゃったからね。
さっきの所…未だに混雑してるみたい」
陸「その点、僕らはもう抜けたんだし
座って待ってようよ!疲れたでしょ?!」
日向「うん、そうだね……ってあれ?
(そういえば〜
あのベンチを離れてから
体がやけに軽くなったような気がする。
まるで普段通りに、戻ったみたいだ)」
陸「どうしたの???
ううん、何でもない。座ってよっか…ん?(日向)
こ、うぅ〜……僕の隣ぃ座って…良いよぉ(赤面)」
日向「でも、それだと陸が狭くなるよ??」
そう言って陸は、
日向の袖をちょこっとだけ持ちながら
うるうるした目で訴えて来る。
陸にはくだんとしての体が邪魔して幅を取るらしく
ソファーでかつ端っこの席をいつも選ぶのだが〜
どうも陸は、他にも理由があるようだ。
陸「(このまま日向とずっとずっと一緒に居れば、
奏太の方には絶対……行かない筈。。。
奏太には、奏太だけには日向を取られたくない!!)
別にぃ、それでも良いからっ…………
一緒に奏太の事…待ってよう(デレ)」
日向「……良いの?狭くならない??」
陸「うん、それでも良い!!
隣に、誰か居てくれたら僕が安心する…んだ。
いっつも僕の隣は空席で寂しかったし、
奏太としかよく出掛けたりしないから
その〜……[そうして欲しい]なんて事、
誰にも言えなくてぇ」
日向「・・・。
(こんな風に学校以外の場所で
誰かと集まったり、話したりする事って
今までして来なかったからかな。
千秋のお陰で引き合わせてくれた
2人と出会ってからといい、
時間はかなり経つ筈なのに…それなのに……
僕は、2人に何もしてあげてない…なんて。。。
特別部隊に入ってからは、
そればかりしか頭に無くて……
秘密裏にする筈だった規約も無くなった。
もうこれ以上…何かに縛られる事は無いし、
何不自由な思いも多少、感じるかもしれないけど
僕も……少しは楽しんでも良いのかも♪
だから今日は、、、)
良いよ、隣…座ってあげる(笑顔)」
陸「……ハッ☆
良いのホント!?やったぁ!わ〜〜〜い♪」
袖握りを直様、離すと万歳ポーズから
ワクワクした手と目をして
ようやく陸の隣を座った。
陸(やった!!
これで奏太と並べられる、いや2歩リードだ。
でもでも僕の隣に座ったからには、
もっとアピールしなきゃ☆
こ・れ・は、[僕のもの]だって!!!!!!)
陸がそんな事を考えているとも知らずに、
日向は、冷静に見極めていた。
日向「(2人は…くだんと雲外鏡、
この妖魔界では、
極めて重要な役割を与えられている。
けれど、その実態はほとんどが隠されていて
情報すら流れていない。
他者の事情に、
ズカズカと踏み込む訳には行かない。
そういうのは、難しいかもしれない)
奏太……遅いね。。。
(でも、いつか僕の事を信頼してくれるのなら
2人が本当に困ってる時は、
協力してあげられたら良いな♪)」
陸「(日向ってやっぱり横顔とか真正面とか
どの角度から見ても顔が整ってて
カッコイイし、何だか儚いって言うか〜
それ全部引っくるめて、とにかく優しいっ!
僕が居ない間、
奏太は日向を独り占めしてたなんて許せない。
次は、僕がやってやる!!ニヒヒッ☆)
陸?どうしたの黙っちゃって??(日向)
え、あ〜な…なんか言ってたりした?!
ごめんごめん、ちょっとボーッとしてて(焦)
奏太、遅いねって言ってたんだけど。。。(日向)
あ〜!確かに、遅いね!?
(そんな事、言わずに奏太の事は忘れて
2人っきりでもっと居ようよ♡)」
日向「ここからじゃ受け取り口が遠いのかも。
このお店、2階もあるから
もしかしたら分からなくて迷ってるんじゃ。
ちょっと見に行って来るよ」
陸「え、あっ?!
待ってよ、それなら僕も行く。
陸はまた座り直すの大変そうだから平気(日向)
あ……あぁ〜〜〜!!!!!!」
奏太「なに馬鹿騒いでんだよ。
この世の終わりみたいな声上げて。。。
奏太、良かった。迷ったりしなかった?(日向)
迷いはしなかったけど、
俺らが入って来たのとほぼ同じくらいに
他の客がわんさか出たり入って来たりで
店側もてんやわんやしててな?
ちょっと遅くなったわ(汗)
あ〜やっぱり(日向)
で何だよ、陸。ずっと膨れっ面で俺を見て」
陸「ふん、だ!嫌い、ムム〜ッ(拗ねる)」
奏太「俺…なんかしたか?」
日向「さぁ???」
そして、注文の品を机に広げると
海老天2つのどんぶりが陸と日向にシェアされて
奏太だけは大盛り並みのマシマシ天丼を
大事そうに手元で運んで来たのです。
そう3人が入ったお店というのも
まさしく天丼屋さんで
陸がその場の勢いと気分で提案したのだ。
ソファー側に座る2人の前の席に
ゆっくりと腰掛けると
多少、不機嫌気味な顔でこっちを見つめる。
奏太「んで、何で……俺だけこっちの席なんだ」
陸「えへっ♪奏太が来る前に、
もう決めちゃった事だから仕方ないよね〜(笑)
うんうん!!」
日向「なんかごめんね(汗)」
奏太「いや、別に(即答)
俺も似たような事しでかしたし、
とりあえずちゃっちゃと食べちゃおうぜ?」
日向「そうだね」
3人「いただきます」
陸「%*○〆っあ、ホグゥホグ?!」
日向「多分、出来上がってから
すぐに奏太が収納したんじゃないかな?
雲外鏡のは、時間が止まってるみたいだから。
出来立てで良いとは言ったけど、猫舌だった(陸)
その点、熱さには強いからね。奏太は〜(汗)」
奏太「ん?
これからも利用しようだなんて思うなよ。
フー!フー!……フーッ!(バツ目な陸)
今、それどころじゃないみたい(日向)
・・・ったく、ろくに人の話も聞かねぇな」
皆それぞれ好きなように盛り付けられたものを
他の皿へと移したりと避けて食べていたが、
ホクホクご飯にあまり馴染めず陸は
いつもなら残す海老天を先に食べてしまった所で
箸を進めながらも話を持ち掛ける。
日向「……そういえば、
奏太に気になってた事があったんだった。
何だ??(奏太)
待ち合わせ場所に僕が合流して
しばらく歩いた所だったかな。。。
奏太が陸の為とか
どうとかの話、アレは何だったの?
あ〜…そういや、そんな事も話したな〜(奏太)
聞いちゃいけない事だったら大丈夫だよ」
奏太「・・・いや。
あらかじめ日向には、話しておくべきだったな。
え???(日向)
実は……俺が陸と遠出するには訳があって
毎年、ハロウィンが近くなると
他の地方で行われる[地鎮祭]に出向くよう
招集される決まりなんだ。
簡単に言えば、
くだん同士の交流会みたいなもんかな。
へぇ〜そんなのがあるんだね(日向)
とはいえ陸が勝手に関東代表になってる理由が、
未だ…分からない。。。
ホントだよ!意味が分からない!!(嘆く陸)
それはお前自身が一番、分かってるだろうが〜
本音は包み隠せ(汗)
代表な事には変わりないんだから。
そんで〜陸を無事に送り出せるように
地鎮祭が始まる前に前準備として
恒例化したって感じだな♪」
陸「だから僕は毎年この時期が憂鬱なんだっ!」
奏太「関西代表の方は、
陸が苦手とする性格だから馬が合わないんだとよ」
日向「なるほど、なるほど。
確か〜……くだんは雲外鏡と比べると
地方各地には居るみたいだけど、
そこまでは多く無いんだよね?」
陸「奏太は、兄弟が多いもんね☆」
奏太「まぁ〜この世界じゃ同じ妖怪は、
ある種の家族のような存在として認知されてるけど
実際は結構、変な尻拭いしか回されねぇぞ。
総勢で何人くらい居るんだっけ?(陸)
今んとこ俺らは、ざっと[120人]だな。
兄弟が居過ぎんのもあって呼び方まで変わる始末、
俺はとっくに慣れたけど(呆)
奏太が三男で、その下は中学生以下なんだよね(陸)
所詮、俺の下はほぼ悪ガキだけどな……はぁ。
舞ちゃんは違うでしょ?(陸)
舞は別だっていうか、
うちの女性陣はちゃんとまともな人しか居ねぇよ。
下が捻くれ過ぎなだけだ!!
あれ?俺、何で〜
こんな事…喋ってんだっけな???」
陸「ウヒヒッ♪
奏太って兄弟の話になると
勝手に、喋り出す傾向があるから
日頃の愚痴がいっぱい聞けるってわ・け」
奏太「陸に誘導された…っと。。。
もう丁度良い具合になったんじゃないか?」
陸「あっ、確かに〜☆ありがと!」
熱冷ましの為に付き合った事で
ご飯を何回か口に運んでみると人肌ぐらいになった。
すると今度は、
どんぶりごと持ち上げてかけ込むように貪り進めと
誰よりも早く食べ終わった。
だが……最後に食べる筈だった残り物は無く
物足りなさに陸は、お皿に移された日向の海老天に
目が行き、→ → → 只今…葛藤中。
日向「・・・。
(これが、欲しいのかな???
まぁ…別にあげても
困るようなものじゃないから良いかな)
あげよっか、海老?
はあ☆あ、でも……それじゃあ日向の〜(陸)
2つともあげるけど、要らない?」
陸「いる!!あっ(恥)」
奏太「おいおい(汗)
それだと、ただのご飯しか残らないぞ。
海老あっても無くても白ご飯だけ!(陸)
一応、フォローしたつもりだったんだが〜?」
陸「良いの???」
日向「うん、良いよ。
僕が食べ終わる頃には、
きっと冷めてると思うから温かい内に食べて♪」
陸「はあ〜やった☆
ホント、陸には甘いよな〜日向は(奏太)
そうかな?(日向)
それが日向だもん、奏太と違って…ね!」
奏太「ムッ(カチン)」
日向「……奏太、怖い顔してるよ(汗)」
数分後・・・
3人「ご馳走様でした」
奏太「んじゃ、片付けてくっかな〜
2人の分も運ぶからまとめてくれ」
陸「は〜〜い!!」
日向「わざわざ運んで来てくれたのに
片付けまでやってくれるのは悪いよ(困り顔)」
奏太「い〜や、良いんだよ。
一度に1人で運べるんなら楽な方だろ?
それに、すぐに動かない奴が居るしな(ジト目)」
陸「ふぅ〜お腹いっぱい!もう動けないや〜
日向の海老天、美味しかった♡♡♡
良かったね(日向)
調子の良い奴め(細めな奏太)
あ!!ヒヒッ(笑)……わ〜い、グリグリグリ♪」
日向が無防備な隙を突いて
太腿の上でゴロゴロしたり、
胸の辺りで頭を擦り付けたりと陸の行為に
何の疑問も持たないどころか疑問符を浮かべていた。
が、ただ1人だけとんでもない嫉妬に満ち溢れ
恐ろしい形相で陸を睨み付ける。
日向「・・・奏太、また怖い顔してるよ(滝汗)」
奏太のそんな無言の圧には、
流石の日向も気付いたようだった。
奏太「そろそろ帰るか。
えぇ〜もう帰っちゃうの?!(陸)
我儘言うなよ、陸。俺だって……じゃなくて
日向も早めに帰った方が良いだろ?
うん、あんまり1人にすると心配だから(日向)
もし…アイツが起きてたら
飛んででも日向を探しに来んじゃね?
それは、ちょっと(即答する日向)
本気で嫌そうな顔するよな(笑)」
陸「アタタタ、いっ!あ……!?(汗)
席を立とうとした所で
床に足を付けると陸はよろけてしまい、
咄嗟に日向が抱き寄せる事で助かったのだ。
日向「ふぅ〜すぐ近くに居て良かった。
陸「ご、ごめんね。。。
ずっとあの体勢だったから足が痺れちゃって(汗)」
奏太「香箱座りだっけ?
あれ、かなり足に負担掛かるよな。大丈夫か〜」
陸「うん、平気(涙目)」
明らかに先程の甘えん坊テンションから
ダダ下がっており、かなり凹んでいる陸をよそに
奏太がこんな事を話し出した。
奏太「そういや〜……
日向はハロウィンの日、何か予定はあるのか?
え?(日向)
ほら陸は〜地鎮祭でしばらく東京を離れるし、
俺は家族揃っての恒例行事でほとんど外出しないが」
日向「・・・別に、どうもしないよ。
それに千秋の面倒でも……見ないといけないから」
この手の話になると
日向は、明らかに不機嫌な顔で目を背け
どうでもいいように軽く受け流す。
奏太「まぁ、外に出ても何かある訳じゃないんだし
気楽に過ごせば良いな♪
悪い、野暮な事…聞いたわ」
日向「・・・ううん。大丈夫」
何とも言えない空気に対し、
また1つ嘘を重ねる度にやけに塩らしく
果たしてこの変な落ち着きようは何なのか、
必死に何かを堪える面持ちで彼は応えていた。
店員「ありがとうございました!!」
陸「ゔぅ〜…さっむ!(バツ目)
急に、寒くなって来ちゃったからね(日向)
クッシュン!!奏太……もう帰ろう。寒ぃい」
奏太「そうだな。日向もそれで良いか?
うん、平気だよ(日向)
分かった。。。
なるほどな〜こっちの方が早いんだな。
んじゃ、待ち合わせした場所とは違う道から
駅に行ってみっか。試しにどっちが近いか」
陸「えぇ〜!普通に帰ろうよ〜〜(汗)」
ハロウィン当日・・・
奏太と陸の2人で外食しに行ってから
早くも数日が経とうとしていた
とある日付に変わった時、その知らせを
認識せざるお得ない鐘の音が鳴り響く。
ドゴーンとした重々しい音でもなく
一度きりの音色が印象強く耳の中に残り続ける。
世間では、既にハロウィンで賑わいを見せており
[特異現象]が世界共通で徐々に侵食されていき、
各国へ贈物が届けられる。
贈物と呼ばれるものは、
かなりの強大な力で妖力を底上げされて
その力に耐えようとする者は、
問答無用で妖怪化させる作用をもたらす。
これは1日限りしか訪れない貴重な経験であり、
妖力の少ない者でも
妖力が増える嬉しい行事として親しまれている。
その日は、普段の1日とは
あまりにも長く…果てしない終わりに
たった1人の少年がほんの僅かな力で抵抗を見せる
[妖怪の日]が始まる。
503号室・・・
???「……〜〜〜〜〜っ!!!!!!」
扉の向こうから漏れ出る音?声が、
とても苦しく…呻き声のような声にならない悲鳴を
最後に上げて、静かな静寂が続いた。
・・・。
・・・・・・。
???「……はぁ。。。」
ギシッとベットが軋む音、トテトテと歩く床の音、
ギィーーッと開く扉の音、
何もかもが一定の音を保つごとに消えていく。
おぼつかない足取りで何度も壁にぶつかりながらも
未だ妖怪化していない日向は、
既にやつれた顔をして台所へ足を運んだ。
日向「はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…(滝汗)
(これで、ひとまず一段落は付いた。。。
とりあえず今日だけは、家で大人しくして居よう。
……長年、この力に悩まされてるっていうのに
今回は一段と強まってて抑えるのも一苦労だ。
完全に妖怪化させようと誰かが企…んでるくらい
一度、消化しないと1日も持たないなんて(汗)
一層の事、何もかも忘れて諦めてしまいたい程に
この日が惨めで堪らない。。。
[……あんな姿]、誰にも見せたくない…のに。
もうやだ……(涙)」
シンクの前で体育座りの状態で項垂れている
日向は、心の底から妖怪化した自分の姿を嫌い
目頭が段々と熱くなって来て
辛そうな顔で涙を垂らした、その時だった。
ガッタン!・・・
日向「うっえぇ???なに、何の音?(涙目)
ーーーー……た?( ? )
・・・?
日向、そこに居るのか??( ? )
ハッ……千秋!!」
学校襲撃から約5日ぶり聞いた
千秋の優しい声に嬉しさからかすぐ飛び起きて
千秋の部屋の扉に手を付けた。
日向「もう大丈夫なの?!
まぁな。まだ、体は少し…ダルいが(千秋)
良かった、千秋が無事で。
今日、何日だ??(千秋)
10月31日だよ。
千秋、あれから5日くらい寝たっきりで」
千秋「そうか。
そ……その〜………
俺、日向に謝らないといけない事があるんだ。
あの時…いくら俺じゃなかったとはいえ、
見た目は俺である事には変わりないから
言い訳するつもりじゃないけど。。。
迷惑をかけた!
学校の皆んなにも…勿論、日向にも……
だから申し訳なかった!!」
日向「・・・千秋。
ううん、千秋が謝る必要なんか無いよ。
[飢餓状態]なんて事前に防げたら
あんなに苦労しない…から
一概に千秋が悪いって僕には言えない。。。」
千秋「……肩の怪我は、まだ痛むのか?
平気、もうすっかり塞がってるから(日向)
俺からもアイツには釘を刺しておいたが、
効き目があるかどうかで言えば…
全くもって意味がない!
千秋は、対話が出来るだもんね(日向)
あぁ〜アイツの言語の習得には骨が折れたからな。
あれって……千秋の教えだったんだ(日向)
・・・。
俺が眠ってる間、文句の1つ…何か言ったか?
俺は、あれから一度も起きなかったんだぞ。
何か我慢させてるなら今言って欲しいし、
俺にまだ隠してる事があるのも分かってる。
無いよ、そんなの(笑う日向)
……日向は昔からそうだ。
えっ?(日向)
俺は今回の事で大勢の人に迷惑を掛けたし、
日向をこの手で傷付けたんだ。。。
これが、どんなに俺に刺さるか分かるか?!
だ、だってアレは…千秋のせいなんかじゃ(日向)
日向は、俺に何かペナルティーを
課す権利がある筈だ!!
なのに、こんな時でも…日向は平気でごまかすし
気遣いや遠慮で
上手い事、本音をはぐらかしてばかり!
俺に何が不満だぁ?!
俺なら、日向の言った事を
全て何だって受け止めて報いる気でいっから
遠慮なく、容赦なく、当たればいい!!
やっぱり日向は……
辛辣な方が俺はずっと気楽で楽しいんだよ♪」
と千秋の心の内を今全てを曝け出し
日向に真正面からカミングアウトとした所、
胸とズボンの途中を握り締めながら
目元が暗くなっていた。
その顔は目の光が無くなる程の不安げな顔をしていて
自然と小刻みに震える程のものだった。
日向「・・・(焦)
え、えっと〜……
(あれ?
僕っていつから素で喋れるようになったんだっけ?
千秋に出会って…千秋のお陰で自然と話せてたから
今があって……でもこれじゃお礼になっちゃう。
文句…愚痴、あれ???
本当に、何も出てこない。
何か……たった今言わなくちゃいけない事って
本当にある?隠し事は確かにあるけど、
千秋には…千秋にだけは一番…バレたくない。
絶対、暴走するから!
え……あ、あっ…はあっ……はあっ…苦しい。
苦しい、苦しい。。。
何か言わないと駄目…なのにぃ、どうして?(汗)
何で、なに”ぃも出て来なぃ!!!!!!)
……た?日向、大丈夫か???(千秋)
あ”っ!?
(まずい、妖力に乱れがっ!(焦)
ガチャッ・・・
え、待って…(今来たらバレる)来ないて″!!(叫)」
千秋「日向???」
背中で強く扉を閉めた反動なのか
日向の体中にヒビが入ったような無数の黒い煙が
洋服を貫通して至る所からモクモクと出て来る。
そのせいか日向の額に白い短角2本が可視化され、
窓に反射した自分の姿に動悸しつつも
元の状態へ戻すよう妖力を体全体に巡らせた。
日向の必死の抵抗により
妖怪化は、何とか免れてようやく安定したのか
肩の荷が下りて扉越しにズリ落ちたのだ。
[はぁ……はぁ…はぁ……はぁ]といつにも増して
荒い息遣いで何が何でもなるもんかという
意志が強く出ていた。
一方・・・
千秋(俺〜なんか日向に急に拒絶されたんだけど、
そういう辛辣さを
望んだ訳じゃないんだが。。。トホホ(汗)
日向「ご、ごめん……千秋。
今ちょっと僕、それどころじゃなくて
今日…ハロウィンだから
よ、妖力の操作が上手く出来てないから
そっちに集中したい。
さっきの事は、気が向いた時にでも良いかな?」
千秋「あ、あー……
そういえば31日なんだったな〜
大丈夫だ、それで良い!は、ハハッ(焦)
(良かったぁ〜
俺が変にエンジン掛けて
日向を困らせたんじゃないかとドキドキしてたが
そっか、今日はハロウィンか!!
………ハロウィン…ねぇ。。。)」
日向「本当に、ごめんね(滝汗)」
千秋「あ〜良いよ良いよ♪
俺の方こそ、勝手に熱くなり過ぎたんだし
何も日向の事を責めようだなんて思ってないんだ。
本当の事を…もっと言って欲しくて。。。
(意外と攻撃的だったと思うけど……(汗)
今日は、外出でもすんのか?
いや…家でのんびりする予定だよ(日向)
おぉ〜そうかそうか☆それが良いよ♪
たまには、特別部隊の事なんて忘れて
気長に過ごせば良いって〜
うん、そのつもり(日向)
じゃあ最近、何か変わった事はあったか?」
日向「変わった事は…んーーっ、あ。
お?何かあるのか???(千秋)
ここ最近、あの2人と外食しに行ったよ!
ほうほう☆んっ?あ”?(千秋)
そんなに怒らなくても良いでしょ。
学校以外の所で会えるのも
不思議と嬉しかったし、楽しかった♪」
千秋「う”ぅーん。
まぁ楽しんで来たなら、良かったじゃんか!!
……うん!(はにかむ日向)
もう〜その話はこれでおしまい、次々!!」
日向「えぇ〜他にも?うーーーん」
2人が一目、信頼し合えるには昔も今も変わらず
扉一枚越しで顔が見なくとも分かる関係で
互いに背を向けて最近の出来事を話していた。
日向も無意識の内に、
治った肩を抑えていた手も外れ
徐々に穏やかな顔付きへと変わってった日向は、
いつも通りでとても有意義な時間を過ごせた。。。
日向「て事があって〜…………千秋。
ん?(千秋)
長々と話しちゃったけど〜
そろそろ…もう1回、寝た方が良いんじゃない?
さっき気ダルいって言ってたでしょ」
千秋「い、いや〜……
日向と話してたら、眠気も疲れたもすっ飛んだわ。
言い訳は良いから早く寝て、今すぐ!(日向)
えぇ〜もう少しくらい起きてても
外出しないんなら日向もゆっくりしてるだろう?」
日向「寝・る・の!!
は、はい…潔く寝ます。すぐ寝ます!(千秋)
ちゃんと寝ててよ?
あ〜待って。ちょっと水が欲しいんだけど(千秋)
確か〜冷蔵庫にペットボトルあった気が」
千秋「それそれ!!前に俺が買って来たやつだ」
日向「ちょっと待ってね〜
今持って来るから今の内に扉から離れといて
眠りから覚めても
飢餓の反動で高熱が出て辛いんでしょう?
まぁ、そうだな(千秋)
だったら、大人しくしてて」
千秋「……っ!あ、あぁ。分かった♪(笑顔)」
数分後・・・
日向「はぁ…やっと寝た(汗)
僕も少し休もうかな。
やる事なんて妖力操作を徹底する程度だし、
留守だと思わせる為にカーテンも閉めておこう。
えっと〜今時間は……午後の5時過ぎか。。。
ハロウィンが終わるまではあと12時間くらい、
部屋にでも籠って読書しよう」
そう独り言を垂れながら
窓が付く部屋のカーテンを中央部に
シャラシャラと寄せ集めて作業を黙々と進めると
最後は玄関の戸締りだった。
やる事を全て終えた
日向は、思いっきり姿勢を伸ばして
廊下をスタスタとスリッパで歩いていると
家のチャイムが鳴り響く。
ドキッとした末、何とも言えない表情で
インターホンのボタンを押して覗き見る。
それは案の定、日向の予想通りの人で
普段ならそのまま無視して留守を偽る事が出来るが
ようやく寝静まった千秋を起こす事を
懸念していた日向は仕方なく
玄関へと再び、歩みを進めた。
ガッ…チャ・・・
日向「何の用?……誠也(ジト目)」
そこには、全体的に黒いフォルムで
長髪が腰にまで伸びており
黒めの肌色、額には漆黒の長角2本の持ち主。
そんな黒尽くしの誠也は、
やけに不機嫌そうな?むしろ機嫌が良いのか
曖昧な顔で日向を見ていた。
日向「相変わらず、化け物だね〜」
誠也「おい!!
ホント、日向は会って
早々…開口一言目がそれ、かぁ〜?
通常運転で何より。。。
で、何しに来たの??(睨む日向)
まぁ〜そう怒るなよ(笑)
ちゃんとあっからこっちに来てんだし、
要件はたったの2つだけだよ。
あの後〜お前、どうやって帰ったんだ?
確か餓鬼の奴に呪術のせいで妖力が削がれて
かなりの瀕死の重症だったって聞いてるけど(汗)」
日向「あーーーっ。
僕もどうやって帰ったかまでは、分かんないけど
奏太と最後に話してたのは覚えてるよ?
でも、そこからは覚えてない。。。
水雲の奴がわざわざ送ってくれたんだな(誠也)
うん、多分そうだと思う。
気付いたら自分のベッドの上だったから」
誠也「まぁ、それで日向が無事なら良い。
俺もその後〜
鬼塚に叱られて散々な目にあったし(汗)
やっぱり駄目だったんじゃん(ジト目な日向)
別に良いだろ?
使わなかったら使わなかったで
日向の命に関わるんだ。
でも前に先生が霊魂の在庫が少ないって〜(日向)
よ〜し、この話は終わりにしよう☆
聞けよ(ガチトーンな日向)
んでこっちが本題♪
日向、今日〜……絶対に暇だよな?(笑顔)
忙しい(即答する日向)
い〜や、暇だね!絶対に、分かってっから(笑)
い、忙しいの!!(焦る日向)
ふーん。。。
いつものお得意の落ち着きようはどこいった?
しかもまだ妖怪化してないって事は、
一度なって無理くり戻したから
一旦…落ち着いてるのかもしれないけど
それが解けたら、どうなるのかねぇ〜?(笑)」
日向「……っ!(汗)」
ドアノブに手を掛けて扉を閉めようと急いだが
ドア板ごと掴まれてしまい、
誠也の力には敵う事なく一気に扉を全開にされた。
それに驚いた日向は慌てて家の中へと逃げ帰り、
それを追い掛ける形で誠也が勢いよく飛び込む。
が、誠也[はい、捕まえた☆]と日向の腕を掴んで
呆気なく捕まったのだ。
日向「は、離してよ?!(汗)」
誠也「日向が戦闘以外で
弱ってる所はあんま見ねぇし、いつも言ってるよな。
[日頃の行い]だって?(笑)
前に紅葉と会った時に思い出したんだよ。
俺がこの姿になって
皆んなに別の意味で公開処刑された事。。。
あの時、日向なんて言ったっけ??
[僕の番じゃないから良いもんね♪]って
お前は、めちゃくちゃ笑顔で言ってたぞ!!(怒)
ははー…そんな事、いつ言ったかな?(日向)
だ・か・らその報いを
今、下してやろうかと思って(ニヤニヤ)」
日向(コイツ……悪巧みも甚だしい。。。
野良の襲撃に遭っていたにも関わらず、
呑気に保健室で伸びて寝てたのに
本当に、あの時…僕を助けてくれた人が言う事か?
誠也自身が起こした数々の不祥事は、
掘り返さない限りはほぼ覚えてない癖に
受けた屈辱だけは…忘れはするけど、
時を得てやり返す傾向がある(汗)
事実、合宿のは言った気がしないでもないけど
今は〜…今はそれどころじゃない!?
だって誠也に、
一度でも捕まったら……もう打つ手が(焦)
て事で、これから友理達と会う約束を
事前に伝えといた上で
日向と[一緒に]来るって言ったから
逃げるのは潔く諦めるんだな、ひ・な・た(笑)
うぅ…(日向)
その代わり俺は今日1日中、
とことん妨害しとくっからしばらく頼むわ♪」
日向「はぁっ?!」
誠也「どうせ〜〜
その気力も長くは持たねぇんだし、
心置きなく露呈すればいい☆
ん”んっ!(暴れる日向)
もし、俺から逃げようだなんて変な真似したら
お前の嫌な事、
俺が本当かどうか実践してやるよ」
日向「なっ!!それって〜……!?」
誠也「それが嫌なら従え(笑)
俺は、既に妖怪化してっから〜
今更何やられても痛くも痒くもねぇよ!
肩は未だに痛いが。。。(ボソッ)
ズルい(日向)
よし、集合時間も…もうそろそろだし行くか」
何らかの弱みを握られた日向は、
首輪を付けられた犬のような扱いで
その時間を明らかに楽しんでいる
第2の悪魔がいた。
誠也「(普通に玄関から出ると
日向が暴れそうだし、
今日は何か起こせば即刻…通報されて
面倒ごとに巻き込まれ兼ねない。
ひとまず穏便に済ませるか)
日向、ちゃ〜んと俺に掴まってろよ?
振り落とされでもしたら、知らないからよ!!」
バタン!・・・
日向「え?あ、まま待って?!(焦)
何で玄関じゃなくてベランダからなのっ!!」
その返答に答える事なく誠也は痛まない肩の方に
日向を乗せて背中を押さえ、
ベランダの窓を開けて飛び立ったのです。
その間、日向は声にならない声で
雫が狼狽えた時のような目をしていた。
日向「ーー〜〜〜……っ!?!!!!(白目+涙目)」
ピン……ポーン♪・・・
友理「は〜い、あっ。雪乃さ〜ん!
早かったね?
私、まだ準備が出来てないから
先に私の部屋で待ってて」
雫「は、はい。お邪魔…します(汗)」
玄関扉が開いて雫を迎え入れてくれたのは
まさしく普通の友理であり、友理のお家で
特別部隊の皆んなが集合する場所。
玄関を上がった雫は妖怪化しており、
低身長で白い衣の随所には花色の巫女装束を
身に纏って廊下を進んでいく。
その途中、雫は何度も通ってる筈の家の中を
隈なく大きな目をキョロキョロと動かすも
変な緊張感に見舞われており、
それ以上は何も無かった。
小柄な少女の姿で妖力の贈物による負荷で
いつにもなく重くのしかかる重力に逆らうようで
一段、一段…足に力を込めないと
進めなくなる程に息苦しさが増していく。
[はぁ……はぁ……はぁっ……はぁ…(汗)」
少しでも気を抜けば、
妖力操作の上手い雫でさえも転落する恐れもあり
体から滲み出る妖気は相当なものだ。
やっとの思いで階段を登り切った雫は、
急ぎ足で友理の部屋へと駆け込んで
座布団に腰を下ろした。
雫「はぁ…はぁっ………んはぁ……はぁ…(滝汗)
少し動くだけで、これですか。。。
(今日が10月31日……一般的には、
この時期にハロウィンというお祭りがあるのだと
[夢ちゃん]から一度、聞いた事があります。
詳しい事は私も知らないのですが〜
これだけは分かります!
私達の世界ではハロウィンを
別名:[妖怪の日]として呼ばれているらしく
その理由は、
妖怪が生きる上で必要な妖力が付与されたり、
野良の人達が街に降りて来て分け隔てなく
交流する場でもあるんだとか。
どうして野良さんに、そんな事を与えるかですか?
……前にも話したようにあの人達は、
元は私達と同じ妖怪で
ただ自我を失っただけの可哀想な生き物。。。
それに野良さん達には、
野良さんなりのルールがちゃんと存在しますから
こちらが下手に刺激をしなければ
危害は加えられませんし、会話はろくにせずとも
普通の妖怪として紛れてるだけです。
ちょっと山の人は難しいですが〜
ハロウィンは、
全妖怪が過ごせるような…
安全な環境を作り出す事が可能、
悪さをする妖怪もかなり減るそうです!!
こんな日でさえ
一番、安心して過ごせる日は滅多にありませんから
だから私もそろそろ、楽しんで…良いのかな?)」
回想・・・
カ”ーカ”ーとがなり声で何かを訴え続ける
その生き物の背景には真っ赤に染まる空が広がって
黒い雲に覆われており、緑豊かな見慣れた世界から
一気に荒れ狂ったかのような変貌ぶりを遂げていた。
誰もが不安の渦に巻かれる中、
1人の少女だけが人混みを掻き分けて
逆方向へと突き進んで行き、
必死に細い腕と足を素早く動かし続けた。
少女が辿り着くとそこは、
ただただ…だだっ広い空き地で
民家の障壁近くで巨漢の人があぐらをかいたまま
銅像のように静止している姿だった。
少女がそれを覗き込むと
黒い血が口や腕、至る所に傷口から滴っていて
思わず、その場で尻餅を付いてしまう。
少女「ひゃっ?!あ、あ”ぁ〜
どうしたの?ねーね、どうちたの?ねー!(涙)」
回想終了・・・
雫「……っ!?
はぁ…はぁ………はぁーっ……はぁ…はぁ(滝汗)
(い、や……ダメ。ダメな…のぉ!!
私にはやはり、[あの子達]を置いて
私だけのうのうと
生きて楽しんで良い筈が無い!
そんな資格……許されない。
やっぱり、今日はやめようっ!!
誠也さんから誘ってくれたとはいえ、
私は行けないと……出来ないから
今日はごめんなさいってちゃんと言わなくちゃ。
林堂さんにも話して、逃げないと!!)」
そう思い立った雫がドタッと立ち上がるのと同時に
準備が終わった友理と目と目が合った。
友理「お待たせ〜♪
どうかな?少しは、妖怪っぽくなった??」
雫が来た際に言っていた準備とは仮装の事で
ワインレッドの浴衣ドレスを着ており、
いつも伸ばしているワンサイドアップ(右)を
お団子にヘアーアレンジし、
指先が見えるオシャレなブーツサンダルと
左の頭には、黒い狐面を付けていたのです。
友理「どうどう☆
え、あえっと…よく似合ってると思いますよ(雫)
やった!んふふ♡♡♡
先輩達、まだ来ないかな〜♪」
雫「あ……あの。
こんな時に言うのも変かもしれませんが〜
やっぱり私、行くの辞めます」
友理「えぇ〜?!
折角、来てくれたのにもう帰っちゃうの!?」
雫「・・・(汗)
ど、どうしても帰らない…といけない用事が
出来てしまって。。。
そんなに、大事な用事なんですか???(友理)
んっ……は…はぃ」
友理からそう尋ねられると
雫は肩が少しビク付き小刻みに震えながらも
渋々、返事を返そうとした次の瞬間。
窓の外から悲鳴じみた声と断末魔が、
友理の部屋を横切って
コンクリートが砕け散る衝撃音と共に
庭へと不時着したのだ。
日向「〜〜〜〜……っ?!!!!!」
誠也「うわあ”あ”あぁぁぁぁ(断末魔)」
バヒューーーン!!!!!!・・・
友理「え、何っ?!(汗)
何かにぶつかったような音がしたけど、
……ってあぁ〜!?ベランダが壊れてる!!」
雫「ええぇぇぇ?!!!!!」
誠也「イ”ッタァ、、、
あれ?ここは、ん〜と…友理ん家の庭か。
あっ、日向は!?日向、無事か!(焦)」
日向「ここに居るけど?
そんな事より自分の心配をした方が良いと思うよ。
なんか、色々と大変な事になってるし〜(汗)」
誠也「はぁ?
な、なな何じゃこりゃあぁぁぁ?!!!!!」
誠也の背に乗った状態で日向と
日向の腕を引っ張っていた腕の方は無事だったが、
その他の手足やらがあらぬ方向に
曲がり切っており、
映せない程のグロデスクさが物語っていたのだ。
誠也「……ってこういう時に限って
また、日向だけが無事かよ!何でだっ!!
・・・(日向)
ん?いつものように、
日頃の行いが悪いとか何とか言えよ!
今は、立場が違うもん(日向)
そういや……そうだったな。そうだよな☆
調子にだけは、乗らないで(即答する日向)
んじゃ、そろそろ治しますかね。
ほら…早く降りろよ〜日向」
日向「あ、そっか。ごめんごめん(汗)」
誠也「……ったく〜
ゴッキ!ゴキゴキッ、ゴキンッ!!・・・
これでよし…っと」
自分がまだ乗ったままの状態だった事を忘れて
直様、降りると誠也は大胆にも関節を戻しながら
それに一言ボソッと呟く。
日向「化け物(冷や汗)」
友理「あ〜日向くんも来てくれたんだ♪
こんばんは、2人共(日向)
いや居る居る、俺も居るって!(誠也)
……ふーん、誠也先輩も居たんですね(真顔)」
誠也「俺が誘ったのに、塩対応っ!?
[も]って、誠也これ〜どういう事??(睨む日向)
いやぁ〜こう言わないと日向は
全然、来ないだろうと思って〜まぁ嘘は付いた☆」
日向「・・・(怒)」
雫の目から日向を見ると
赤い負のオーラが絶え間なく出ており、
頭から白い角が生えていたが一瞬で見えなくし
後ろから見ていた雫は、
そのオーラに圧倒されて見えずに済んだのだ。
雫「あわわわ、わわ(焦)」
誠也「……にしても友理、
こんな日でもお前は妖怪化しないのかよ(汗)
何で、そんなに平気で居られるんだ。。。
こんな日とは、何かあるんですか?(友理)
んな事も知らねぇのか?!
俺ら妖怪からしたら嬉しい一大イベント、
年1しか訪れない貴重な妖力の贈物が支給される
特別な日の事だ☆
この妖魔界では夜になると
妖力が自動的に付与される仕組みだが〜
今日は、その通常の2倍も貰えるんだぞ?!
ハロウィンの日は全員、揃いも揃って
妖怪の姿で居んのが普通だ!!
身体が耐え切れないからな☆」
友理「・・・?
確かに私は妖怪にはなっていませんが、
仮装はバッチリしましたよ♪
もう少し驚け!か、仮装って何だ???(誠也)
うーん、おばけのって言ったら分からないから
なりたいものに成れる仮装…みたいな感じです☆
・・・悪い、よく分かんねぇ(誠也)
本当に、その通りなんだけどな〜
それでこの後は、どうするんですか♪」
誠也「ん?あ〜どうすっかな。
とりま合流はしたし、
ひとまず友理達の行きたい所へ行けば良いぜ!」
日向「あ、おい!!(焦)」
誠也「折角だしな(笑)」
そんな誠也の思わぬ提案に慌て出るも
友理が遮る形で雫に話を振った。
友理「それなら私は、
これから友達と会う約束をしてるんですが〜
雪乃さんは、どうする??
さっきは……その〜………(汗)」
雫「いいえ、私も林堂さんとご…一緒します。
こうして皆さんと会ってしまったからには、
最後まで付き合います!」
誠也「だってよ、お前も見習ったら…どうだ?
いっ、うるさい(日向)
コノコノコノ、何とか言ったらどうなんだ(笑)」
日向「ちょっと、やめてよ?!(焦)」
ここぞとばかりにちょっかいをかけて来る誠也に
困り果てているとちょっとした油断からか
手首からモクモクと煙が立ち上がる。
日向「あっ!?
(まずい、まずいまずい。どうにかしなきゃ!
もう本当に今日はどうしたんだろう?(汗)
いつもは、こんなに取り乱さないのにぃ……(慌)」
徐々に漏れ出す煙を
日向だけが後ろを向いて修復中な最中の事だった。
友理[そろそろ来ると思うんだけど〜…]
と友理が独り言を呟きながら
辺りをキョロキョロしていると
???[あ、あの〜……お待たせしました]
とても…か細い声で
前髪で目が隠れた女性が雫と誠也の狭間に、
いつの間にか立っていたのだから。
誠也「うわっ?!お、脅かすなy……」
雫「きゃあああぁぁぁ!?!!!!(白目+涙目)
ズベシッ?!(誠也)
ごめんなさーーーい!!!!!!」
軽くパニックを起こした雫は、
大の突然系びっくりが苦手で大粒の涙を流しながら
猛ダッシュで皆んなから離れて
どこかへと走り去ってしまう。
日向「ん?皆んな、どうかしたの??
なんか事件性の悲鳴が聞こえて…来たけど(汗)」
煙を隠すのに必死だった日向は一部始終を知らず、
目の前には友理ともう1人が手を取り合いながら
一緒になってはしゃいでいたのだ。
友理「羽衣ちゃん、久しぶり〜♪
学校以外の所で会えて嬉しいよ。元気だった?
は、はい。元気……ではあります(恥じる羽衣)
うんうん、良かった☆
遅かったから来ないのかと思って心配したよ!!」
羽衣「すみません。
直前まで行くか
どうか迷っていた所だったんですが〜
ある人に背中を押されましたし、
それに折角、友理から誘って貰ったので
勇気を出してみたら思いのほか行けました♪」
友理「おぉ〜おめでとう!
あんなに外出するのを拒んでた羽衣ちゃんが、
自分から出て来てくれるなんて……
本当におめでとうだよ!!」
羽衣「んふ、はいっ!(笑顔)」
日向「良かった良かった。。。
で、そんな所でうずくまってどうしたの…誠也?
な、何故か逃げた雫に1発貰ってぇ〜……っ(誠也)
そう…なんだ。災難だったねー(笑)」
雫が逃げた際、雫の握り拳が
真横にいた誠也の腹に直撃してからといい、
あまりの痛さに悶絶する姿に
可哀想と思うの2割、残りの8割ざまぁみろと
言わんばかりに肩を揺らして失笑する。
誠也「お・ま・え・なぁ〜〜(滝汗)」
友理「こうして羽衣ちゃんも来た所で
私と一緒に仮装とかしない!!
仮装とは、何です??(羽衣)
なりたい自分に変身できる呪い♪
その格好だと駄目な訳じゃないんだけど、
羽衣ちゃんの良さが皆んなにも伝わるように
ここは、挑戦すべきだよ☆」
羽衣の今の格好は、
全体的な影女としての地味さが一段と際立っていて
いつものつぼみを模った髪もなく
少し丈の長い灰色のワンピースで
余計に影女の個性が悪い意味で邪魔している。
※本来、そういうものだが。。。
そこに気付いた友理は、
自分が好きでこの格好になってる事を打ち明け
清々しくも当然のように羽衣に提案したのだ。
その羽衣は、[え?えっ、えぇ……はい??]
あまりピンと来て無い内に
とりあえず返事を返すと承諾したと思い込み、
強引に家へと連行される。
友理「じゃあ行こう!
ええっ!!今からですか?!!!!(羽衣)
先輩達はちょっと待ってて、すぐやって来る☆」
2人「・・・(汗)」
誠也「とりあえず、待つか。。。」
日向「そう…だね」
友理の崩れたベランダの窓から光が漏れ出し、
ハンガーに掛ってる洋服を取っ替え引っ替えに
羽衣に見せてはこっちも良いかな?とか
これ、着たら似合うかも!などなど
想像しながら照らし合わせる事…数十分。。。
誠也「なっげぇな!?」
と声を大にして叫ぶのと同じくらいに、
友理と新たな姿として羽衣が現れた。
それを見て2人は、
それぞれの反応を見せて誠也はびっくりした顔で
誠也[いやいやいや……変わり過ぎだろ?!]、
煙が無くなった事による余裕からか
日向[月影さんは、やっぱりそういった姿の方が
よく似合ってると思うよ♪」
恥ずかしげもなくそんな台詞を言い放つと
羽衣は、かあぁぁぁと頬を真っ赤に染め上げて
変な奇声を上げながら友理の背中に顔を押し付けた。
羽衣「むきゅううぅぅぅ!?
は、はあっ……はわわわ〜(恥)
友理、すみません!失礼します、うにゅ」
誠也「お前、よくそんな恥いことが言えるよな?」
日向「・・・ん??そうかな?」
友理「大丈夫、大丈夫だよ♪
羽衣ちゃんもさっき事前に、
着替えて見たんだから自信持って!!
我ながら十分過ぎる程に可愛くなってるから☆」
自信満々にそう言って退ける友理を信じて
改めて、皆んなの前に出てすぼめた腕を添えた。
その姿は着替える前と打って変わり、
ぱっつんカットからおさげツインの下半分が
アイロンでカールを掛けて
その髪を薄い黒リボンで結ぶ。
両目隠れを右目だけ開き青い瞳を見せて
黒、薄い黒、白色が散りばめられたゴスロリ服で
その上にグレーのポンチョで寒さ対策もバッチリ。
羽衣「(……大丈夫、私は…大丈夫。。。
わざわざ友理さんが、
私の為にコーディネートしてくれたんだもの。
ちゃんとそれに、似合う自分にならないと!!
新條くんだってそう言ってくれた……から♪)
は、はい!へい…き、です、何とか(汗)」
友理「うんうん!!
よく似合ってるよ、羽衣ちゃん☆
と〜っても素敵だよ」
羽衣「ありがとうございます、友理♡
何だか今日は〜
不思議と勇気が湧いて来るんです♪
この洋服のお陰……なのでしょうか??」
友理「気に入ったのなら
その洋服、羽衣ちゃんにあげるよ!
元々…羽衣ちゃんに
似合いそうな服を取り揃えてたものだったから。
良いんですか?!はあ〜♡ありがとう(羽衣)
これからも気軽に着てね!!」
羽衣「はい、承りました♪ふふ。
あ、次はどうされるのですか?
街をお散歩か何かをするんでしょうか??」
友理「そうだね。。。
とりあえず、羽衣ちゃんと合流した事だし〜
そろそろ他の皆んな所へ行って紹介してあげるよ。
羽衣ちゃんの宣伝にもなるしね☆」
羽衣「は、恥ずかしいですよ〜(焦)
大丈夫だって!今の羽衣ちゃんなら行ける(友理)
は、はい。頑張り…ます!!(汗)」
友理「じゃあまずは、猟甲池へ行こう!」
誠也「あれ?
俺達……な〜んか、忘れてるような気がする」
日向「???」
猟甲池にて・・・
羽田市と仁川市の境界線にある
開けた空き地へと一同が辿り着くと
そこには、薄暗い雲からひょっこりと顔を出す
お月様の光が池の側にある大きな石を照らし、
誰もが目を惹かれる程の麗しい姿をした
桃色髪の女性が美しき歌声を披露していた。
女性「〜〜〜〜〜〜♪♪♪♪〜〜〜〜♪♪♪」
その歌声は、
独り言のように呟いてゆったりと…でも上品に
時折、見せる彼女の顔はどこか儚く
でも自然と笑顔で彩られる空間と化しており、
彼女の優しい声は言霊をも操る。
言葉の一つ一つを丁寧に唱える度に、
彼女自身が作り出した魚の形を模った水が
まるで生きているかのように精巧に動き出す。
それは魚が群れを成して行動するみたく
彼女の周辺を一斉に回り出し、
幻想的な雰囲気をより引き立たせて
上から下へヒラヒラと手を落としながら
最後は、彼女の胸の中で小さく握られた。
パチパチパチパチ・・・
花梨「ん?あれ、友理さん???
か、かか花梨さん!?凄い、今の舞台☆(友理)
い、今のは違うの?!ほんの鼻歌交じりで(汗)
でもお客さん、周りに凄く居るよ?(友理)
えっ!?う……ウソ。。。
どうしようどうしよう、恋花〜っ!!(焦)」
先程、歌を唄っていた女性とは花梨の事で
そんな花梨が一目を気にせず歌い終わると
それを聞き付けた観客から拍手をされて我に返る。
大勢(少数)の妖怪に聞かれてしまった事を
嘆く花梨が恋花の名前を叫ぶと
子猫の姿でどこからともなく現れたのです。
恋花「ん〜もう、仕方ないな〜
友理ちゃん、こんばんにゃあ☆
あ、恋花さん。こんばんは♪(友理)
本当は私が花梨にお願いして
私にだけ聴かせる予定だったんだけどね〜
思いのほか、花梨の透き通った歌声が
皆んなのお耳にも聞き入っちゃったみたいで
まぁ〜結果的に良い感じになったんだから
良いんじゃないかにゃあ?
よくない良くない!良い訳ないの!!!(花梨)
まぁまぁ、落ち着くにゃ。
そんなに取り乱したら
余計に、妖怪化して無いのがバレるよ」
花梨「・・・そ、それはそうだけど〜(涙目)」
そう花梨の今の姿は、
ほぼいつも通りで強いて違う点といえば
ポニーテールを下ろしたりしてるのと
生え整った青い鱗に覆われた人魚のヒレのみ、
それらしい服装を着ているが普段着のようだ。
友理「えっ、花梨さん…妖怪化してないの?!」
恋花「そういう友理ちゃんこそ、言えてないよ。
てか、何その格好??
ろくろっ首の煌びやかバージョン?
あ、でも首は伸びてないし〜あと…花魁だった。
巨人でもない、う”ぅ〜ん。。。
えっと……コレは、仮装と言ってあぁ〜!!(友理)
うに”ゃあ!びっくりさせないでにゃ?!(汗)」
友理「ごめんなさい(焦)」
恋花「う”ぅ、良いよ〜
ちょっと…ほんのちょっと驚いただけにゃあ。
大分、驚いてたと思うけど(友理)
えとえっと、と・に・か・く!
友理ちゃんのその後ろに居る人ってだぁれ?(汗)」
友理「そうそう。その事で一緒に来たの!!
実はこの方……影女さんなんで〜〜す!!!!!!
・・・?(点目な2人)
ふっふふ♪どうですか、どうですか?!」
・・・チーーーーーン。
友理「……あれ?」
2人「こ、これが影女 (さん)っ!?!!!!」
恋花「嘘だぁ〜!!
こんなのが影女な訳…ないない。
….…っ(羽衣)
これじゃあ影女の印象が180°変わっちゃって
逆に好印象に思われるよ、何この人っ?!」
羽衣「えっ?」
花梨「うんうん♪素敵ですよ、影女さん」
友理「んふふ、でしょでしょ☆
私がプロデュースしたの♪
こういう才能だけは、
昔から一度はやってみたかったんだよ〜!!」
恋花「友理ちゃんがやったの!?ヤッバ過ぎ!
一度だけとは言わずに、
もっと好きにやったら絶対良いよ!!
お、おかしく……ないのですか??(羽衣)
全然だよ。
むしろ、可愛さ爆上がりだよ♪採用☆」
羽衣「・・・はあ♡それなら嬉しいです!
これからは、この格好で妖怪になろうと思います♪」
友理「おぉ、それ良いね!!」
恋花「良いじゃん、良いじゃん。良いな〜〜
私は妖怪になってもこの姿のままだし、
こういった可愛いヤツ着て自慢してみたいかも☆
もし、着られる機会があったら…だけどね〜」
友理「えぇ〜それ、見てみたい!
もし、その時が来たら私にも見せて見せて」
恋花「うん、良いよ〜約束する♡」
友理「やった!!
花梨さんも一緒に見よう、約束ね♪」
花梨「えっ、私もご一緒して宜しいのですか?
勿論だよ〜私達、友達だもん!……んっ?(2人)
クスッ…ふふ(笑顔)」
2人「んー………ぷはは〜っ!!!!!!(笑)」
羽衣「うんうんうん♡
その時は、羽衣ちゃんも……だよ(友理)
えっ、うふ。はい、待ってます!」
すっかり羽衣も恋花達に馴染んで来たのか
近い将来の事を語り合いながらもは笑い合った。
それは、一つの萎れた蕾に光を差し伸べて
上を向いて…前を向いて、
小粒ながらも黄色い花束を咲かせる。
そんな羽衣達の姿を蚊帳の外にされた2人は、
茂みの向こうから見守っていた。
誠也「なんか、俺ら忘れられてねぇか?
もう一緒に行動しなくても良いんじゃない(日向)
まぁ、そうしたいのも山々なんだが〜……
どうせならドキドキ感があった方が
意地でも阻止したいのがお前の本音だろ?
・・・(日向)
それに、俺はお前の弱点を…知っている(笑)
コレがある限りは、
日向も……まともには動けまい!!」
日向(コイツ、、、僕の何を知ってるんだ?
こんな風に偉そうに言ってる時に限って
大体、的外れな事が多いし
それに僕は、学校でも…特別部隊でも……
弱みを握られるような事を明かした覚えがない。
強いて言うなら僕の正体を知ってる事ぐらい
それ以外は本当に。。。
多分、何も知らないだと思う。
だったら少しでもコイツを足止めして
気付かれない内に、家に帰れたりするのでは?
誠也なんかに僕が縛られる他に、
何の意味があるんだっ!(怒)
誠也「でも、まぁ〜……
日向が諦めてくれない限りは何も出来ねぇし、
なんか俺に出来る妨害ってあっかな?」
そう言って脇に手を伸ばすも
[そういえば、日向ってくすぐり効かなかったな]
と言って一頻り悩んだ末、固まった。
日向「(本当に、何も知らないんだと思う!!(呆)
はぁ……分かった。諦めるよ。。。
え、マジで?!嘘じゃねぇよな、それっ!(誠也)
本当だよ(嘘だけど)
だから…皆んなの元へ連れてって。。。
1人で行くのは、ちょっと〜……(悲しげ)
お、おぉ(焦る誠也)
早く、手…出してよ」
観念したかのように肩を落とした日向は、
俯いた顔で横に左手をそっと流す。
すると、急な日向のその態度に
ちょっと困惑気味な誠也は
言われるがままに手を取り握ろうとした所で
ガチャリと重たい音がした。
誠也が油断した隙に、
もう片方の腕にも同様の施しをして
電柱の間に挟まる形で誠也を括り付ける。
誠也「ん?んんっ?ん”んっーーー?!!!!!
何だ、これっ!早く外せよ!?(焦)」
日向「まんまとハマり過ぎだよ、誠也(笑)
じゃあ僕は、もう誠也に用は無いから帰るね♪」
誠也「おい、ちょっと待て日向?!
さっきの態度は一体、何だったんだよ。
話がちげぇじゃねぇか!!」
日向「そんなの……演技に決まってるじゃん☆
僕が妖怪化するの嫌いだって、
とことん諦めが悪い事…誠也なら知ってるよね?
それなのに、こんなので納得するんだ。
それにさっきの感じ見てると
全然、何か知ってるような素振りにも見えない。
誠也は……本当に、僕の何を知ってるのさ?」
空き地を囲む茂みと電柱を背景に
ト字路の中心に立つようにして日向は、
いつにもなく誠也を軽蔑…いや、下に見ていた。
それに怒りを立てた誠也は本物の手錠を打ち砕き
日向の胸ぐらを掴もうと手を伸ばそうとした途端、
見えない何かによって誠也の手が弾かれ
その腕を何者かが掴んで負傷した肩を踏み付ける。
日向「……っ、雄鬼さん!?(汗)本当に…」
雄鬼「全く、こんな日でも
いざこざに口出しする羽目になるとは
思わなかったぞ、八瀬?(怒)
今日はハロウィンだ。
悪いが、いつもより罰が重くなるぞ?
い”でぇい”でぇっ!離せ、雄鬼…これは(誠也)
お前に弁明の余地など無い…あるとするなら、
そもそも事を起こすな!!良いな?」
誠也「くっ……(滝汗)」
雄鬼「ご協力感謝する、日向」
日向「え???」
そう言い終えると雄鬼が微かに笑っている事に
気付いた時には、もう瞬間移動を使われており
誠也共々…どこかへ連れて行かれてしまい
その場に日向だけが取り残された。
日向「・・・。え?……何だろう??
この違和感、
今までそんなの全く感じなかった筈なのに
何か…僕には分からない何かを見落としてる?」
ブツーブツーーブツブツーと流れ出す雑音と共に
見知らぬ記憶を思い出す。
回想・・・
それは、外装や内装どちらも
古びた古屋の中で葉っぱの付いた新聞紙の山で
その山がモゾモゾと動いており、
そこにはうずくまった少年?のような姿をした
顔を真っ赤にした状態で咳をしていた。
[ゲホッゲホッ……ゲホッ!ゲホッ…はぁ……]
とても辛そうで、
空気の薄い床で小さく息を吸い続けた。
外では、誰かの楽しげなはしゃぎ声が聞こえて
走り回ってるような草木が切れる颯爽とした音と
少し遅れて古屋の扉が開く音を
最後に、映像が黒く塗り潰される。
回想終了・・・
日向「……い”たっ!!(汗)
なに??何を…僕は、忘れているの???」
その記憶を見て
すぐ頭に突き刺すような痛みに襲われて
そこを手で押さえ込みながらも
先程の記憶を振り返ろうと思った瞬間。
日向「ハッ?!」
シュッーシュッーと肩から、腕から、
肌が露出する所からモヤが惜しげもなく出続け
気付くのが遅れた日向は大急ぎで走り出す。
日向「駄目、ダメッ!
折角、誠也を足止めして
これから1人で帰れた筈だったのに
変な記憶のせいで……もう耐えられない。
これ以上は、限界だ。。。
どこか隠れられる場所に行って
やり過ごさないとまた、戻れるかも怪しい(焦)
時間は少し掛かるかもしれないけど〜
今は…あっ、あそこなら誰も来ない……はず。
大丈夫。すぐに終わらせるから」
幸い、日向が通って来た道には
不気味な事に人っ子1人いない場所だった。
普段なら…そんな怪しさ満点な所に
自ら行かないのだが、
それを考えられる程の余裕が無かった日向は
裏路地へとスルスルと入ってったのだ。
一方・・・
雫「はぁっ……はぁ…はぁっ……はぁ…はぁっ……
はぁ………はぁーっ…はぁ……はぁーっ…はぁ(汗)
こぉ、ここまで来れば〜だい……じょ…ぶ。。。
……あれっ?!林堂さんは、皆んな!?
あれれれ???
というより…ここ、どこぉ〜〜〜!!!!!!(涙)」
仁川市の友理の家から羽田市の公園辺りまで
あれからずっと走り続けて来たのだが〜………
どうやら迷ったようだ。
雫「と、とりあえず…来た道を戻れば
何とか〜……ぴぎゃ?!
んー、何かにぶつかったよう…な。あっ!!」
来た道を戻ろうと公園の入り口に
体を向けて歩き出そうとした所、
何か分厚い壁に弾かれて…また尻餅を付いたのだ。
それは、雄鬼とは別個体の牛鬼が妖怪となって
目の前に君臨していた。
雫「あ、わ。わわわっ……(涙目)」
牛鬼「ア”ァ貴様、オレ様にぶつかったか?
いえいえいえ!そんな事は〜…(焦る雫)
貴様には、ちと躾けが必要のようだな。
オレ様にぶつかって謝りも一つ出来ぬとは、
下級妖怪も落ちぶれたものだなぁーーー!!(怒)」
鋭利な前足2本を高々と掲げて
ギロチン(クロスバージョン)が振り下ろされる前に
グルグル目をしてした雫が咄嗟に構えて
大きめの火炎球を1発、牛鬼に浴びせたのです。
雫「ひゃあぁぁぁっ!(叫)」
その火炎球は牛鬼の体を支えていた
軸となる脚を綺麗さっぱり消し飛ばし、
転落した体と前足2本は空振りに終わる。
牛鬼の体が地面に衝突して舞っている砂煙に
紛れて勢いで雫は突破し、
謝罪しながらも必死に走り出す。
牛鬼「うわあっ、何だその力は!?!!!!」
雫「ごめんなさいぃぃ!!」
・・・・・・・・・
牛鬼「オレ様が負け……たのか?」
???「そうだとも。
あまり調子に乗るなとあれ程、警告した筈だが?
罰として地獄行きだ、
俺の手を煩わすなと何度言わせる(怒)」
牛鬼「ギッ!ま、ままま…牧原さんっ?!(汗)
その……えっと先程は、調子に乗って
下級妖怪を攻撃してすんませんでした!!」
雄鬼「もういい、頭を上げろ。
地獄で両腕共にバーベル800Kgでもして来い!
ええぇぇぇっ!?それは………(牛鬼)
何だ、無茶なのか?それくらいも出来ないのか。
・・・(牛鬼)
安心しろ。
向こうには、八瀬が居るし度胸試しなら許可する」
牛鬼「ホントですか?!
対戦相手が居ないとつまらないのだろ?(雄鬼)
はい!!
是非とも…やらせ……いえ、行かせて貰います!」
雄鬼「よし、思う存分…行って来い。
それでは行って来ます(牛鬼)
・・・。
全く、ろくな奴しか居ないもんだ。
特別な日くらい、ゆっくりしてたいが
欲を言うなら一層の事……
早く帰って来てくれないかな〜[天邪鬼]。。。」
誠也の事を伝えると何故か嬉々として笑って
騒がしいわんぱくなもう1人の牛鬼を送ると
ふと、空を見上げながらその言葉を口遊み
雄鬼の顔は曇り寂しげな顔で目を瞑った。
どこへ行こうにもどこまで逃げようとも
いつもの住宅街と違った纏わり付く不気味さで
古風な街並み、紫がかった膜のような空、
物音が鳴る度に近くで感じる。
どこまでも連なる無限の階段を下って?上って?
そんな平衡感覚でさえも…ふとした時に、
失ってるんじゃないかと疑うくらい
その場所は静寂に包まれ、
不安を煽り続ける迷路の中のようだ。
途方もない道のりを考える間もなく突き進み、
あちらこちらへと見知った風景が無いか
同じ道を行ったり来たり繰り返し続けた。
家も、公園も、歩道も……何もかも変わり果てた
外の世界に異形な化け物としか
すれ違わない恐怖からか、それとも不安なのか
見慣れない街で1人きり。。。
孤独感をより一層、加速させる雫の心は折れ
とうとう走る事を諦めてしまった。
雫「はぁっー…はぁ……はぁっー…はぁ……はぁ(汗)
もうやだ、やだ…よ!!(泣)
誰か、何か言ってよぉ。どうして?
帰りたい、帰りたいよぉ。。。
私の…家に……帰して、帰してぇっ!(涙)
もう、こんな事になるなら
林堂さんのお家に行かなければ、
誠也さんに誘われた時に断っていれば、
こんな事には………ならなかったのにぃ!!
ハロウィンは特別な日、
特別でも何でもないじゃない…ですか。。。
嘘つき!どうして、私は自由になれないの??
どうして……私を拒むの?道を阻まないでよぉ。
何で…何で何で……どうしたら、私を…………
いやっ、いやあ”ああぁぁーーー!!!!!!」
夜空に響いた彼女の声は、
言い表せない程の悲痛な嘆きにギョッとした目で
周りの化け物達が足を止める。
十分過ぎる程に心も体も弱ってしまった彼女を
…誰も……止められないのだろうか?
誰も何も言わない、現実から目を背けているのは
果たして彼女なのか?彼女自身なのか?
逃げて、逃げて、逃げた先に待ち受ける現実を
理解する事が出来るのだろうか。。。
少女は言う、[コレ カ”答え]なのだと
雫(私が踏み外した
最初で最後の[選択]を…[後悔]を………
今でも引きずっている事に)
そう思いながら雫はまた、走り出してしまう。
羽田市から脱却を果たすと
友理達の居る仁川市の間の空き地へ向かう所で
雫から裏路地に視点が動く。
???「はぁ…はぁっー……はぁ…はぁっー…(汗)
だ、ダメだ!!
どう尽くそうにも……どう足掻いても
今すぐには、戻れないなんて。。。
どうしよう…どうすれば??落ち着け!
いや……今は、ここから抜け出して
最短距離で家に帰る方法を何とか探す。
問題は、千秋が部屋を動き回っていないこ…とだけ
月影さんの言うある人が………
千秋じゃない事を願いたい(焦)
でも万が一、部屋の外に居なかった時は
傍から見たら犯罪者と変わりないけど、
ベランダに向かって瞬間集約を利用すれば……
僕でも行けなくはない。。。
悩んでる場合じゃない、もう時間が無いんだ。
とにかく急がないと
この姿を誰かに見られる訳にはっ!!(汗)」
完全に余裕を無くした???は、
その勢いのままに裏路地を飛び出してしまい
そして、出会ってしまう。。。
息を切らした雫が足を止めたのと同時に
2人は目が合い、
やっとまともな人に出会えた喜び…から
かたや見られたくない一心で行動した結果、
今一番、見られてはいけない人に見つかった。
雫の目の前に突如として現れたのは、
女の子か?男の子?か分からない中性的な容姿で
女性でさえも憧れるサラサラな赤髪、
地面にまで付く程の長髪、
額には白い角、ベージュの瞳、
天使のような純白のワンピースを身に纏う。
そう、これが〜………
新條 日向の…いや、天邪鬼としての正体である。
天邪鬼「……あ、えっと〜その…(グルグル目)
(ど、ど…どうしよう。
よりにもよって……雪乃さんに見られるなんて
誰が予想、出来るかっ!?
えとえと…ここから、どうやってごまかせば〜!)
・・・き、キミは(雫)
……っ!
(ま、まずい。本当にっっっ誠也よりまずい!!
もう印象悪くなっていいから今すぐ逃げたい!)」
雫「キミ、もしかして…迷子?
へっ???(天邪鬼)
そんな暗い所から出て来たら、危ないよ。
この辺は少し治安が悪そうな人達が多いから
……ここから離れた方が良いかも。
私はさっき、こっちから来たから
公園とか広い場所に避難しよっか!!
その後でお姉ちゃんが、家まで送ってあげる♪
あ、私〜雪乃 雫って言うの。好きに呼んでね」
天邪鬼「え?あっ……(察)
(そ、そうだった。
この姿の事、誠也以外には明かして無いから
雪乃さん…知らないんだ。
でも本当は、知り合いでもっと身近に……
あ〜もう複雑っ!気にしてるの僕だけか!!)
わ、分かったよ(汗)しずk・・・っ(赤面)」
雫「……?ふふ♪
無理に、名前で呼ばなくても
お姉ちゃんはそんなに急いで無いから
自分のタイミングで、ゆっくりで良いよ!」
うっ、うん(恥じる天邪鬼)
じゃあ…そろそろ行こっか。手、繋ぐ?」
天邪鬼「・・・。
だ、大丈夫っ!ボク1人でも歩けるから(慌)」
ブンブンと頭を横に荒ぶりながら
この姿で、その行為をする訳にはいかないのか
必死に拒絶する。
雫「そ、そう???」
天邪鬼「うんうん!!(汗)」
高速で頷く少年と少女は納得させる事に成功すると
2人は今、子供の姿をしている訳だが
毛色の異なる姉と弟のような関係で
天邪鬼の背中をそっと押して行く。
雫はどこか急いでいて
この場から遠ざかろうとする意志が見え、
天邪鬼も一緒になって急足で歩き出す。
先程の路地を抜けた所までは良かったものの
今まさに進んでる先は、
あの空き地方向である事に気付く。
しかも……そこには未だ友理達もおり
フェンス越しとはいえ、日向の妖怪化が
公共の場(少数)で晒される可能性もあった。
とうとうあの空き地に向かう道中に、
差し掛かろうとした所で天邪鬼が口を開いた。
天邪鬼「あ、あの。。。
ボク…これから加賀江市の葉木公園に
遊びに行く途中だったんだ。
だ、だから先に
そっち寄ってからでも良い……かな?(汗)」
雫「そう…だったんだね。
じゃあ、もしかして迷子では無いのかな??
私の思い過ごし、ごめんね。。。
お姉ちゃんが勝手に早とちりしたばっかりに……
はは(苦笑い)」
友理達と別れてからといい、
独りぼっちになった時間が辛かったせいか
雫の目には自然と涙が溢れ返り、
ただただ2人居る子供の片方が泣きそうな状況に
慌ててフォローに回る日向兼天邪鬼。
天邪鬼「あ、いや!!
迷子なのには変わらなくて〜だから
その…もし、その後…時間があったら
ボクのお家まで送って欲しいお、姉ちゃんに(恥)
……っ!ほ、本当?(雫)
うん!!うん!!(必死)」
雫「はあ♪そっか、良かった〜
じ、実は…お姉ちゃんも
ちょっとお友達と離れ離れになっちゃって
さっきまで心細かったんだ。
でもやっと普通の人に出会えたから嬉しくて!
ありがとう♡」
そう言って雫は、
天邪鬼の頭にそっと白い手を伸ばした。
雫「よしよし、もう大丈夫だからね〜
……っ!?え?えぇ??(天邪鬼)
あ、私…こう見えて
お姉ちゃん経験には、他の妹達で慣れてるから
キミも少し寂しくなったら
遠慮せずに私に声を掛けてね?ふふ♪」
天邪鬼「う、うぅん(汗)」
少々、いつもと感じが違う雫に
戸惑いと恥ずかしさを隠し切れず、
驚きが出る事も多々ありながらも
不思議と馴染んでしまうそんな雰囲気を醸し出す。
そして、何とかあの空き地から外れた道のりで
加賀江市の公園までゆっくりと歩いた。
加賀江市の葉木公園にて・・・
雫「まさか、多少は予想していましたが〜
公園の遊具までもが変形してる…なんて
これ、一体何なのでしょう?
家も他の建物も……街並みも何というか
今思えば雰囲気がドロドロしていて
霧のせいであまり遠くの方まで見えませんし。
私のみならず、
皆さんにも同じようなのが見えていたから
集団幻覚??にでも掛かってる?(汗)」
学校が休みの時に図書館へ通う雫は、
いつも見慣れた公園と公園で遊ぶ子供達を見ながら
微笑ましく通り掛かっている…のだが。
その公園に配置された遊具でさえも
原型を留めていない程に
ぐっにゃぐっにゃに曲がっていたり、
遂には集団幻覚を見ているのではと結論付けた所。
天邪鬼「お、姉ちゃん……もしかして知らないの?
えっ?何か、知ってるの?!(雫)
やっぱり知らないんだ。。。
ボクだけじゃなく
皆んなも知ってて当たり前の事なんだけど
毎年、このハロウィンの日だけは
特別に[旧妖魔界]の街並みを一時的に戻してて
だから今見てるのは幻覚じゃなくて
実際にボクらが旧妖魔界に転移されてる状態。
何でまどろこっしい事をやっているかと言うと
全ての妖怪が住みやすい環境や場所を提供し、
ボクらは妖怪である事を
再認識する為に設けられた特別な行事だよ。
旧…妖魔界??(雫)
そう、昔の妖魔界って凄くてね?
現代よりも街の繁栄を目的にするんじゃなくて
妖怪の住みやすさ重視で
おどろおどろしい状態に意図的にしてたみたり、
ハロウィン仕様の飾りとかびっくり要素があって
お化け屋敷が世界中で
開催してるような感じなんだ!
分かりやすく言えば。。。
へぇ〜よく知ってるね、キミ(雫)
む、昔の妖魔界について知りたかったら
学校で歴史系の本を探してみると……良いよ(汗)
意外と、どこの学校にもある…から」
雫「へぇ〜そうなんだ☆
今度、読んでみようかな!!
それがいいよ、お姉ちゃん♪(天邪鬼)
そっかそっか……ってごめんね。
お姉ちゃんが世の中の事に疎いと言いますか〜
あまり詳しくなくてすっかり話し込んじゃった(焦)
公園で遊びたかったんだよね、行って来なよ。
私は、ここで見守ってるから」
天邪鬼「えっ?
(雪乃さんにただ迷子の口実を作る為に、
嘘ついた事が逆に仇となってしまう…とは(汗)
公園で、遊ぶのっていつぶりだろ。
どうやって遊べば良いんだっけ??(グルグル目)
どうしたの?遊ばないの???(雫)
ひぃ!じゃ、じゃあボク〜
その……お姉ちゃんと一緒に遊びたいな!!(恥)
え?私〜…と??(驚く雫)
(何で僕、こんなに恥ずかしい事……を
雪乃さんに言わなくちゃいけないんだろ?!(汗)
自分の口から言っといて〜よく分からないっ!
だって僕、公園でまともに遊びに来た事なんて
そもそも覚えてないし、
ずっと本ばかり読んでた気がするから
他の人と関わった事も無い。。。
僕1人で遊んでる姿を……
雪乃さんに見られ続けるのも気が引けるし、
なんか普通に嫌だし!!
えと…えっと一体、どうすれば〜〜(涙)
っ……えぐっ…はぁ……はぁっ…だ、ダメ?」
肩と腕を縮めてプルプルと震えながらも
目頭が段々と熱くなり、涙を堪えようと必死に……
でも堪らず宝石のような大粒の涙を一滴流して
とても少年とは言えない可愛いらしい顔でねだった。
その顔を見て雫は直様、少年の手を取って
それを自分の額にそっと触れさせる。
そして雫「良いですよ♪
お姉ちゃんが遊び相手に………なってあげる!」
天邪鬼「はあっ、うん!!(笑顔)」
それから私達は公園の遊具で
色々と遊んでみました。
いつもの公園と遊び方も違って
滑り台はでっこんぼっこんしていて時々、
浮いたと思ったらマットの所で尻餅を付いたりと
かなり怖かったです(汗)
あの子は、滑り台より階段の方に興味があるらしく
夢中になって遊んでて
なんか球体のようなものを足場にして登る遊びを
色んな工程を試していました。
次のジャングルジムでは、
遠目から見ると四角いキューブにしか
見えない状態でそこは簡潔に言っちゃえば、
本格プチお化け屋敷の中でした。
びっくり要素な仕掛けが凄く張り巡らされていて
私はあらゆる壁という物にぶつかって
ようやく出れましたが。。。
あの子は全然、余裕で…秒で出て来ました!
雫[す、すご……い(汗)]
続きましては、ブランコ!!
はい、こちらは文字通りブランコなのですが〜
乗ってみるとあら不思議、
アトラクションという名のデスゲームが始まって
出題されるクイズに答えられないと落とされる
幻覚アトラクションの出来上がりって………
そんなもの普通の公園にあって堪るもんですか?!
雫[特殊部隊に所属している黒い化身は???
ひえぇ〜〜〜!こ、これは流石にっ……(汗)]
↑
マグマの床として幻覚に惑わされる単純な人。
天邪鬼 [八雲 紫陽さん]
↑
幻覚を見慣れている為、平気で答えられる人。
雫[え、何でっ!?(焦)]
とまぁ〜私なんかより凄く優秀な子でした(汗)
一通り公園で遊び尽くした2人は、
再び、ベンチへと戻り腰掛けて
地面に届かない足をぷらんぷら〜んさせながら
両手を付けた状態で肩を下げる。
雫「はぁ……何だか、どっと疲れた気がする。
(いやいや、小さい子と
久々に私が遊んだからであって
普通はもっと振り回されて当然の筈…だけど。
でも実際は、
私が散々……叫んで疲れてるだけ…なんだよね。
こんなにも頭を使って遊んだのは初めてで
慣れない事をするのは、やっぱり難しいです。
普通の遊びって何も考えずに
お友達とひたすらに遊んで、他愛もない話をして
どこかで終わりを迎えるものと想像しますが〜
なんか……なんか…この子だけは
どこか他の子とは全然、違う気がします。
意思疎通の出来ない鬼じゃないし、
それに無意識かもしれませんが〜
[魅了]の力も少し感じました、不思議です。
私〜……それに当てられたのか分かりませんが、
心臓の鼓動がさっきから鳴り止まない。。。
私は、このドキドキを知っている。
その原因と言ったら聞こえが悪いのですが〜
何だか新條先輩に似てる…気がする?)
そう疑問に思った雫は、
さっきまで2人で遊んでいた公園の遊具から
少年の顔を覗き込むようにじっと見つめた。
一方、天邪鬼「・・・。
(し、ししし……しまったぁぁぁ!?!!!!
やってしまった、使ってしまった。
僕の不注意で使わないように
あんなに、努力して頑張って耐えてたのに(汗)
はぁ〜……だから嫌なんだ。
僕の放つ[魅了]に耐性の無い男女関わらず、
ほぼ確実に掛かる恐ろしい力を
誰にも向けたくなかったのにぃ!!
ただ前と比べたら
魅了の発動条件は、大体…把握できた。
それは[感情のコントール]。。。
それを上手い事、制御して
ようやく被害を最小限に減らす事は出来てるけど、
この姿になるとな〜んか感情が溢れ出やすくて
普段から控えめにしてる反動なのかな??
ちょっとした油断で感情が決壊しちゃうのが、
千秋と同じく僕の悩みの種。。。
これのせいで昔、襲われかけた経験もあって〜
その時は誠也に助けて貰って事なきを得た
……代わりにバレたけど。
それ以降、この姿になるのは
ずっと躊躇ってて嫌で嫌で…仕方なかった。
それから紅葉の合宿を得て
やっと落ち着いて来た所にハロウィンで水の泡。
コレだけは、もう……無理だ。
一度ならず二度までもならないと難しい…とは〜
聞いてないよぉ(汗)
……はぁ。帰りたい、もう一層…帰ろうかな。
元々は、そのつもりで家からも遠ざかって
謎に公園で勢いで夢中に遊んでしまった。。。
あんな遊び方で良かったのかな??)
……んっ?!」
感情の乱れは顔にあまり出ないだけで
心の中では、喜怒哀楽がはっきりとしており
その全てを抑え込んだ後に顔を横に向けると
そこには雫の大きな目にマジマジと見られ
驚きと恥ずかしボルテージが急上昇してしまい、
動揺を隠せずベンチからズリ落ちたのだ。
天邪鬼「………あっ(赤面)」
雫「あ、、危ない!(叫)」
体勢を崩した天邪鬼の咄嗟の機転により
伸ばしていた手を掴み取った雫が、
引き上げる…程の力もなく倒れ込んでしまう。
雫「っん、あ〜!?
アタタタッ〜……うえ?(天邪鬼)
き、キミ…大丈夫だった???(焦)」
天邪鬼を押し倒す形で
雫は落ち葉に埋めていた顔を上げて
葉っぱと土で汚れた顔で、それすら忘れる程に
必死に、少年の肩をゆすって心配し続けた。
天邪鬼「だ。。。平気だよ、お姉ちゃんっ!!
良かった〜♪(雫)
お姉ちゃんこそ、大丈夫?
目に何か……ゴミでも入ってない?!
えっ?特に、何ともない…けど??(雫)
お顔、汚れちゃってるよ(汗)」
雫「えっ!?
あ〜そっか。さっきキミの事を助けようと
勢いで落ち葉に飛び込んじゃって〜
それで、えっと……(赤面)
ありがとう、心配してくれて!立てる?」
天邪鬼「・・・う、うん(照)」
互い(片方)の正体を知らずに接しているのに
何故か分かり合えてしまう
この2人は、何らかの縁で繋がってるのだろうか。
ほんの少しの会話だけで仲を深めた所で
少女が少年に手を伸ばして引き上げて貰い、
その手を離さずに繋いだまま公園を後にする。
そして、今まで見えなかった筈の化け物達を
認識する事となる。
妖怪となった友達同士が普通に立ち話をしたり、
雫と同じ一つ目の妖怪が居るのだが、
何故かボロそうな小袖を着て無邪気に走り回ったり
その場を離れていく人も居る中、
今まで見た事のない異形な化け物達が
ノサノサと街の中を練り歩いており
小さな揺れを起こしながら鳴り響く足音。
それに、ただ怯える事しか出来ない天邪鬼を見て
さりげなく自分の方へと引き寄せて
安心させてくれる。
雫「大丈夫、怖くない。怖くないよ(笑顔)」
天邪鬼「……あ、ありがとう(困り顔)」
雫「あらまぁ(汗)
さっきよりも人が多くなって来ちゃったね〜
どうする?一度、路地に入って
抜けてから行った方が早いよね。
だからあの時、
キミも裏路地から出て来たんですか?
え?んー、そ…そうかもしれないです(天邪鬼)
そっか!!
今回は、お姉ちゃんが一緒に付いてますから
きっと大丈夫だよ♪」
天邪鬼「・・・う、うん。
(でも…ここは、僕と雪乃さんが出会った
同じ通りにただ戻って来ただけで
こんなのが居たら
普通、気付く筈なのに……なのにぃ。
どうして、見えなかったんだろう???
それだけじゃない。。。
雪乃さんは、コレを見てもいつも通りで
強がってるようには見えない。
まるで、この光景を普通のものとして
見慣れている……そんな感じがしてならない)
お姉ちゃんと一緒ならボク、行けるよ(汗)」
雫「ありがとう♪
あ、そういえば私〜
ずっと[キミ]としか呼んで無かったよね?
初めは早とちりして勝手に連れてって
そのままの勢いで来ちゃったから
本当は、知らない人に付いて行っちゃ駄目だけど
私が言えた事じゃないから。
キミには、お名前があるのかな?」
天邪鬼「えっ?!
(そうだっ…た。
僕視点では雪乃さんと分かってるけど、
雪乃さんは僕だと知らないんだ。
いつもながら忘れる、
それどころじゃなかったから(汗)
ど、どどうしよう。今度こそ、バレる!?)
名前……名前は、えとえ〜と!(グルグル目)」
雫「・・・。
やっぱり、そう…だよね。
見ず知らずの人に、
気軽に名前を聞いたら困らせちゃうよね。
ごめんなさい(汗)」
天邪鬼「だ、大丈夫です。
(僕の余裕が無くて。。。
また子供扱い、はぁ……でも聞かれる度に
こんな風に戸惑ってたらそう見えちゃうか(涙目)
それじゃあ、そろそろ(雫)
しずk………ううん。ゆ、雪お姉ちゃん!!」
雫「……っ!
○○姉ちゃん♪(???)
てぇ、呼んでも…良いかな??(照れる天邪鬼)
・・・。
雪お姉さん???(天邪鬼)
ハッ!!
うん、キミがそれで良いならそう呼んで♪
(昔も似たような感じで呼ばれてたっけ。
あの子達、今もどこかで……元気してる…かな?
皆んなに会える機会があるなら
また、会いたいな〜♡)
暗がりの路地をゆっくりと進んで
雫の目には、白い眩い光を体に浴びながら
不思議と心が踊った。
前に居る雫の後ろ姿を眺めるだけで
天邪鬼からは雫によってその光が妨げられており、
月が雲に隠れたような暗さの道を進んでいく。
天邪鬼「・・・。
(このまま、このまま……
雪乃さんと居て僕はそれで良いのだろうか?
今までだって
雪乃さんに沢山、迷惑をかけてばかりで
いつもより動揺したり涙ぐんだり…困らせたり
散々、惨めな思いをしてまで
……一緒に居るべき存在じゃないっ!
こんな、こんな”想いを抱くくらいなら
もう一層の事…逃げた方がマシだ。
ごめん、雪乃さん。。。
僕の身勝手な理由で恨んでもいいし、
その後にいくらでも怒ればいい。
僕はただ……雪乃さんの前で
この姿で、会いたくなかった!!(涙)
ごめん…なさい。雪お姉さん……ぼ、ボク!」
そう思い立った天邪鬼は、意を決して
雫に静止するよう言い掛けたのと同時に
雫の足がピタリと止まって
天邪鬼は、そのまま吸い寄られるように
背中にぶつかったのです。
天邪鬼「みぃ!!
イタタ、雪…お姉ちゃん?どうしたの???」
路地を抜けた雫は、既に目を見開いた状態で
雫以外の周りの人達がスローになり、
大粒の涙を顎に流して
今までに無い程、荒げた声で誰かの名を呼んだ。
雫「……へ?
う…そぉ。だって、そんな……はぁっ、あ…!?
ま、待って。待ってぇ!
何で、そこにぃ………真さぁ”ん!!」
雫が取り乱す程の人物とは、
あの学校襲撃を企てたとおもしき
ヌシの格好をしたお坊さんだった。
その姿はすぐに曲がり角を曲がってしまい、
またしても顔は見えなかったが少なくとも
赤い面布は付けておらず、素顔なのは確かだ。
それを見た雫が路地から飛び出してでも
追いかけようと踏み込んだ途端、
路地横を歩く異形な化け物にぶつかる寸前。
それを見ていた天邪鬼が思わず、
[危ない、雪乃さん!!!]と名前を呼んで
未だ繋がれたままのその手を思いっきり引っ張った。
その反動からか勢いよく2人は後ろへ転倒し、
化け物[危ないじゃないか、気を付けろ!]
と怒鳴るような強い口調で言われたのだ。
幸い、暗かったお陰で
天邪鬼の姿は目視されず魅了の対象から逃れ、
2人は再び、倒れ込んでしまう。
天邪鬼「はぁっ……はぁ…はぁ……はぁ〜(滝汗)
(危なかった、ギリギリ間に合って。。。
というかあの化け物、見た目の割りに
人語で喋れてたし普通に聞き取れるんだ。
咄嗟とはいえ、
急に引っ張ったりして悪い事したな〜
それについ…雪乃さんって言ってしまった(汗)
今のでもしかしたら、バレたかもしれない……)
雪…お姉s………っ?!」
雫「何でぇ!何で〜……
何も言わずに行っちゃう…のぉ。。。
私を、置いて行かないでぇ……よ(泣)」
か細く弱々しい声で
ブツブツと呟くその言葉…その声は、
とても辛く悲しくなるにはいられず
それに共鳴するかのように
天邪鬼の目にも自然と涙が溢れた。
天邪鬼「・・・え?(涙目)」
ほんの一瞬の出来事で2人の感情は、
既に抑えられない程に壊れてしまったのか
それとも…その溢れ出る思いが本心か。。。
仁川市のとある空き地・・・
広々としたあの空き地と比べて
2人の居る空き地は小さく
不気味な雰囲気とめちゃくちゃ荒んでいて
人が使った形跡の無い場所が、
ひっそりと住宅街の中にあるのが怖い所。。。
空き地のど真ん中に立つ古臭ったベンチには座らず
ひとまずマシな塀の上に座った。
2人は、目や言葉でさえも交わさない空気が続いて
それが影響したのか
赤く染まった空を雲が覆い隠す。
雫は、未だシクシクと小さく啜り泣く声が
天邪鬼の心を突き刺さして来るも何も言わず、
ただ落ち着くまで背中をさすり続けた。
数分後・・・
肩の揺れやしゃっくりのように出る声も
ようやく収まって来たものの
後遺症のように残る乱れた呼吸で喋り出す。
雫「……はあっ…はぁーっ……はぁっ…はぁ……
ごめっ…んなさぃ。
お姉……ちゃんが、こんな事にならなかったら
きっと今頃…キミも帰れたのにぃ。。。
付き合わせちゃってぇ、ごめん……ね?(涙目)」
天邪鬼「・・・。
平気、今は……ボクの事なんか…考えないで
良いから気が済むまで居ればいい」
雫「……っ!!
キミは本当に、物事を理解して…るんだね。
凄いなぁ〜私もそう有りたかった(苦笑い)
・・・(天邪鬼)
ねぇキミに、聞いて欲しい事があるの。
もう少し私と〜……付き合ってくれる?
・・・うん!何でも言って(天邪鬼)
……ありがとう♪」
そう言って2人は、
左右対称にそれぞれ体を向けて話すのをやめて
雫は背筋を伸ばして向き合うと
既に、天邪鬼は正座しており
きちんと話を聞く姿勢で待っていたのだ。
雫「呑み込み……早いんだね(汗)
私もそれに応えないとです、
えっと〜何から話せば良いのかな?
そうですね。。。
まずは、お姉ちゃんの昔話から…しましょうか。
昔と比べたら比較的、今は落ち着いて来ましたが
その……お恥ずかしい話〜
今よりもっと貧しい生活を送っていた時は
家は疎か、まともに暮らせる程の食べ物も
ありませんでした。
それから…その頃の私は、
小学校に通っていたのですが〜
昔は、妖力だってまともに扱えなくて
火を焚ける程度の術を使えるかぐらいで
生きる事が憂鬱でした。
キミは、通った事がありますか?」
天邪鬼「え?あ、いや……その〜
ぼ、ボクは通った事はありません…し。。。
それに初等部は通う人もいれば、
通わない人も居ますから別にと言いますか(汗)」
雫「えっ、小学校って通わなくて平気なの!?
は、はい。確か、任意制だった筈です(天邪鬼)
初めて知りました、そうなんだ!!
そ、それで?話の続きは??(天邪鬼)
ハッ、そうだった!
あまりにも衝撃過ぎて(焦)
えっと〜それで食事も……それなりでして木の実や
同じクラスの知り合いから果物を分けて貰ったり、
担任の先生からの頂き物のお陰で
食い繋げるくらいには苦労しました(汗)
・・・っ(天邪鬼)
それに、私が前に住んでいたのも
こんな感じの公園で住宅街の中を隈なく探した所、
家と言える場所とはかけ離れていますが
その奥の洞穴でひっそりと暮らしてたんだ。
結構、広かったんですよ♪
・・・(天邪鬼)
その洞穴で過ごして
季節が3回くらい通り過ぎた時でしょうか?
初めての冬がやって来まして寒々しい日が続いた
ある真冬の日に、1人の白狐が訪れました。
私と出会った時は見るからに容態が悪くて
食事や生きていけない程に衰弱していたその子と
しばらく共に暮らす事にしたんです。
それって、平気…なんですか?!(焦る天邪鬼)
大丈夫ですよ♪
その子と話してみたら、ちゃんと良い方でしたし
私達にとっては、それが日常茶飯事ですから
……それに、私より弱ってる子を見ると
どうしても放ってはおけなかった。
一緒に過ごしていく内に、
かなりその子とは仲良くなったとは思います。
その時間がとても楽しかった、嬉しかった、
誰かと一緒に過ごせてるだけで幸せだった。
天邪鬼(僕は、その幸せを知っている。。。
楽しい日々も嬉しい日々も何もかも
そんな時間は無かったと…否定されるように
誰かによって引き裂かれる事も………知ってる)
雫「まぁ、そこまでは順風満帆な暮らしで
何不自由の無いと言ったら多少、ありましたが〜
容態が安定した所であの子は、
一度、帰って来なかった日が数日ほど続いて
その子がお仲間さん達を連れて来るまでは。。。
結論から言いますと
あそこは白狐さん達の縄張りとして占領され、
私は追い出される形で家を無くしました」
天邪鬼「その時の白狐は、
どういった様子でお姉ちゃんを見てた?」
雫「鋭い…ですね。
そこから逃げる際、
一度だけあの子の方を一瞬だけ見たんです。
とても…悲しくて辛そうな顔をしていました。
今思えば、あの子はもしかしたら
仲間内で何かあって
食料を集める事が非常に困難だったせいで
痩せ細っていたのかと思います。
標的にされて……いた…という事ですか?(天邪鬼)
私は、そう感じたってだけ。
あの子と過ごした時間の中で
そんな悪い気は全く感じなかったし、
何より気遣いの出来る優しい方だったから
そうなってもおかしくないのかなって。。。
あの子、自分の事よりも
仲間の事を思って心配してた……から。
だから善意で皆んなに相談したのかもしれない
ここなら安全に暮らせるよ!!みたいな」
天邪鬼(それが裏目に出てしまった
姿形は違えど僕らと同じ生き物なんだな。
やる事も変わらない、卑怯な手口だけど)
雫「この世は、弱肉…強食ですから(苦笑い)
仲間同士でも白狐は、
私達より遥かに強く長命な人達でもありますから
生きる為には仕方ないのかも。。。
そ、れは……っ!(天邪鬼)
分かっています。
世界は公平でも平等でもなく
優劣を付けたがる人達の集まりで生きる為なら
同じ種でも犠牲を厭わない残酷さを知っている。
ボクには、その気持ちが分かりません(天邪鬼)
分からなくて当然だと思うな♪
根本的な所が欠落してる時点で、区別は付くから。
それから…私は新しい家を見つけても人は、
どこにでも出入りする生き物だから
何度も何度も追い出されちゃって〜……
ついには…いえ、心はとっくに折れていたと思う。
体力も食料も、何もかも失っていく現実に
耐えられなくなった……そんな時でした。
彼が私を見つけてくれた日を♪」
彼女のその声は嬉しげで、でも震えていて
どこか懐かしくも寂しそうな顔付きで
出会いの日の事を思い出しながら…語り始めた。
回想・・・
「はぁっ…はぁ………はぁっ……はぁ…はぁっ……」
寒空の下で少女は白い息を吐きながら
あの巫女装束ではなく薄汚れた灰色の小袖で
必死に手足を動かし続けて
歩道された道から道無き道へと突き進んだ。
それが少女の止まった歯車を
再び、動かす出来事に遭うとも知らずに
……この時は分からなかった。
あの洞穴からどのくらい離れたのか
本人ですら覚えていない程に、
途方もない距離を走った足がようやく止まる。
少女は暗い夜道でもよく行動している為か
ある程度、慣れた目で周りを見回すと
雲のように盛り上がった地形の影が、
視界の端々に見えていたのだ。
それが、何なのかまでは有耶無耶なままに
少し開けた場所を歩いていると
何やら所々、不思議な感触が足に伝って来て
地べた?だと思い込んでいたのが、
いつもより目線が高く感じ取れた。
少女「何だろう、これ??
でも、今は〜今日をちのがないと!!
あでなんかがよたとうだね♪
うぅ、やっぱぢ…たむいぃ(汗)」
そんな疑問に抱きながらも特に詮索する様子もなく
ある物がすぐ目の前にあったので
そこで、今日は暖を取る事にした。
少女「ここなだ誰にも邪魔たでない……はづ、
だけど…ここに来てかだ
人と全くつで違ってないのは何でだどう?
・・・。
明日にでも、ようつ…見に行こうかな」
外の暗さと違って少女は真っ黒い穴の中で
明日の予定を立てて丸くなり、
疲れていたせいか早くも眠りに着いていたのだ。
次に少女が目覚めたのは、
昨夜の寒々しい気温から打って変わって
多少、暑い程度の暖かな日差しに当てられている。
少女は薄暗くも不思議と安心する土管の中で
一夜を過ごしていて未だ眠っていたのだが、
すぐ近くでカサカサと草を踏み締める音が
少しずつ近付いて来た事に目を覚ます。
少女「ん……んんっ?あ、ん?
ごめん、起こしちゃった…かな???( ? )
……うぅん??だ〜ぁれ?」
???「本当に、ごめんね。
この辺りだと見慣れない子が居たから、つい(汗)」
少女が目を開けて土管の壁を見つめながらも
ゆっくりと顔を上げると
そこには、銀髪の髪で翠色の瞳を持つ
黒い長着を着た青年だった。
その顔は同じ一つ目なのに、
やけに整った顔立ちで優しい目を少女に向けて
困ったような笑みを浮かべていた。
少女「ひっ、ひ…とぉ?!(怯)」
青年「あー……大丈夫だよ。
その辺の事なら
ここは、安全な場所だ。人は来ないよ♪
と、とう…なの??(少女)
ん?キミ、もしかして上手く喋れないの?
ちたっただずの事でつか???(少女)
あ、うん。その調子だと〜
ろくな環境下でしか育って来なかった感じだね。
学校とかは通ってたのかな?
あい!一応、5年生でつ(少女)
そうなんだね。
良かった、少しはマシな場所で学べてて」
少女「???
お兄ちゃん、そこで何してるの??( ? )
……っ!?(焦)」
青年の背後から少女と
同じくらいの歳の子がいつの間にか来ており、
その子は黒髪に薄紫色の瞳をしている一つ目だ。
突然、聞こえて来た声に
慌てた様子であわあわし出す少女を見て
青年は冷静に宥めた。
青年「一応、さっきも伝えた事だけど
ここには普通の人は来ない。
この子はキミに危害は加えないよ、多分」
? 「多分って酷い!!
折角、お風邪さんが治ったから
お兄ちゃんに遊んで貰おうと甘えに来たのにぃ〜」
青年「はいはい、そうだね。
他の子と違って
君は治りが遅かったから心配したんだよ?
まぁ、遅かった原因は分かってるけど(苦笑い)
とにかく風邪が治って良かったね♪
別に良いもん、私が夢遊で暴走したせいだし(?)
あのぉ?(少女)
あ〜紹介が遅れたね。
僕は真、こっちは夢で
他にも別の子達とも一緒にこの地で暮らしてて
皆んな、身寄りがない孤児達の集まりだ」
少女「・・・こぢ?
親も居ない、仲間も居ない人の事だよ!!(夢)
ゆ〜め?ちょっと言い方には気を付けよっか(真)
うぐっ!?ごめんなさ〜い(夢)
?????」
真「まぁ、本当の事だから否定しないけど
それで傷付く人が居るって事だけは忘れない事。
は、はいぃ(夢)
宜しい!
それで…次いでに言うのもなんだけど、
キミも一緒に僕らと来ないか?
来る??(少女)
そう。僕は、キミみたいに
不自由な生活を送ってる子達を
どうしても見捨てたくなくてね。。。
勝手に見放す大人達を
頼りたくても頼れない子は大勢、居るから
そんな子達の味方であるべきだと僕は考えたんだ。
……それが今じゃ」
夢「皆〜んな真お兄ちゃんの事が、
大好きな子達ばっかりだよ!!
勿論、私もその1人だけどね☆ふふ〜ん♪」
真「みたいな感じで
僕を慕ってくれる子達が周りに居る限り、
少しでも生きる希望になったらと思ってるけどー…
今はその途中って感じか、な♪
どうだろうか?」
少女「・・・」
夢「どうどう!
ここに居れば、絶対に楽しいし嬉しいし、
辛くて苦しい時があっても
皆んなと一緒なら全然、怖くないよ☆」
少女「えっ、あ…あのぉ(グルグル)
ねねぇ、どうかな!!(夢)
あ、あぁぁあぁ〜……(困惑中)」
真「こらこら、夢。
相手をそんなに困らせたら駄目だよ?
考える時間を作ってあげて」
夢「あっ、ご…ごめんねぇ(汗)
(またやっちゃったぁぁああ、私っ?!)」
少女「……あ、ううん。
良いの、との〜あたちも2人の事を見てづと
何だか嬉ちとうで…良いなぁって思ったの。。。
は……はい、はぁっ…はい……っても。
ホント!?本当に良いの!嬉しいぃぃい♪(夢)
あぁ……う”ぅ〜(グルグル目)
夢、落ち着いてっ?!(焦る真)
どうしても調子に乗っちゃうよ!!(バツ目な夢)
う、ぅう”。うぅん……平気…だよ。
とでにこでは、
ちゃんとぢぶんで言わないといけない事だかだ
……えっとえと、あたちも入ぢたいでつ!(恥))」
夢「はあ♡
うん…うんっ!!嬉しい、嬉しいよ!
調子に乗って遮っちゃってごめんねー☆」
少女「……うふ♪大丈夫でつ(笑顔)」
真「全く、世話が焼ける子達だ」
未だ土管の中で低姿勢のまま少女は、
夢と仲良く談笑を始めるとそれを微笑ましくも
真はつい先程の事を思い返す。
夢の粗相の数々に溜め息を吐きながら
やれやれと目を瞑り、
自然と組んでいた腕をぎゅっと掴んでいた。
それから夢と一通り話した事で
打ち解け合ったのかようやく少女は、
土管の中から身を乗り出して姿を見せる。
すると、昨夜はあまり見えなかった風景が
少女の瞳に大きく映った。
それは今まで見て来た
どの街よりも酷く荒んだ状態で
今が現代なのか疑う程に、
文明が早くも衰退した世界が広がっていたのだ。
しかも人が住んだ形跡は愚か
そこら中の建物が苔で覆われてたり
いくつか苔の重さに耐え切れず、
崩れた瓦礫の山が点々としている。
少女「ゆ、夢…たんに真しゃん(汗)
との〜ここって一体??
ふふっ、面白い街でしょ♪ここ(夢)
で、でも……こではたつがに、おかちぃよ!」
真「そうだね。
確かに、この街はおかしい。。。
でもね?
こういった所こそ、人ってあまり詮索もしないし
無闇に怪しい所には出入りはしないから
僕らにとっては都合の良い穴場なんだよ。
少し歪な環境下である事には変わりないから
それは僕でも否めないけど♪
と、いうもの…何でつか???(少女)
……うん。
キミには少し難しい話になるかもしれないけど、
これから徐々に分かっていくさ。
この世界の不遇さが…以下に悪なのかを、ね」
その時の彼の言葉は、
生気が全く感じられない虚ろな目をして
既に諦めが着いている様子だった。
そんな目を浮かべていた
彼の重たい言葉の意味が幼いながらも
少女は、理解する事が出来た。
それは何故なのか、現にこの世界で生きる上で
色んな大人に厄介者扱いされて
挙げ句の果てには、妖怪として認めない
大人達の醜さをよく知っているからだろう。
そういった経緯からか、
いつしか彼女の中には世界に多大なる
不信感を抱くようになった。
少女「・・・。
(どうちて、どうちて〜?
あたち達が苦労ちないといけないの???
何も、悪い事…ちてないのに。
こっちはただでさえ、
何も……知だない事ばかぢで暮らちて行けづかとか
生きる為にはどうすれば良いのか
毎日、たがちてるだけ…なのにぃ。。。)
ふっ……はぁ…はぁっ……はぁ…何で?
何でぇ、あたち達……だけ」
真「・・・そうか(悲)
キミは、とっくに気付いていたんだね?
……何が正しいとか、何がいけないだとか、
そんなの…人が勝手に作り上げたルールを
無理矢理、押し付けられてる状態だ。
そのルールを僕らが知る機会さえ与えてはくれない
この世は理不尽、極まり無いんだよ。。。
もう……手遅れだけどね」
少女「・・・」
夢「ん〜??
あー、またお兄ちゃん難しい事…考えてる!!
それも2人して、ムゥ〜!
そんな事より……私が・何で・ここに来たか
本当に覚えてるの〜?
早くしないと日が暮れちゃう。遊べなくなる(汗)」
真「おっと。。。
そういえば、その為に来たんだったね。
すまない。気難しい話が続いて退屈だっただろう?
遊びの再会をしようじゃないか。
それなら良いけど〜(拗ねる夢)
悪いけど、キミにも夢のご機嫌取りの為に
付き合ってくれるかい?
勿論、夢と一緒に遊んでくれるだけで良い。
きっと楽しいと思うよ♪」
少女「でもお邪魔…じゃないの??(困)」
夢「何言ってるの〜?もう仲間でしょ☆
だったら、もう一緒に遊べるよね!!」
少女「んー………じゃあ…とうちようかな?(照)」
夢「ヤッタ〜!
じゃあさじゃあさ、
今日はあの建物で鬼ごっこでもやらない?
お兄ちゃんが鬼で、私達は逃げる。良いでしょ♡」
真「まぁ、そういう事なら良いよ。やってあげる。
でも、その代わり手加減はしないからね?(笑)」
夢「うわっ!?これ、マジなやつだ?!
お兄ちゃんが機嫌の良い時は、
あんまり優しくしてくれないから気を付けて。
かっ、ずは〜数えなそうだから
キミも早く逃げないと置いてっちゃうよ〜☆」
少女「ま、ま待ってよ!!(焦)」
突如として始まった鬼ごっこに
夢は、ウキウキで走り出してしまい
その後ろを必死に追いかける形で少女も走る。
目先に見える建物へ
2人が入ってった所を確認して
すぐ真は脚に力を込めて爆発的な飛躍を見せた。
その建物はこの街の中でも
一番、高いビルで苔も割と少なく
真新しめのようにも見えるが、
窓ガラスは貼られていない。
内装もいたって
未完成と言わざる負えない程の杜撰なもので
建物の支えであるコンクリートの柱ぐらいだ。
足音や声が反響しやすい作りらしく
そこで、鬼ごっこをしてる2人の無邪気な声が
二、三重にも響き渡る。
夕方過ぎ頃・・・
明るかった昼間の空も
今では曇り空でより暗く圧迫感を感じるも
窓から差し込まれる月明かりの光が、
鬼ごっこを終えた3人に当てられていた。
ビルの地面に2人が寝そべっており、
夢は久しぶりに遊んだせいかそのまま眠ってしまい
同じく隣で疲れ果てた少女は必死に起き上がると
彼女の肩を揺さぶる。
少女「ゆ…めしゃん……夢ちゃん、起きてぇ〜
ふわ〜〜ぁ(あくび)
眠い、疲でたぁ。。。
そうだね。そろそろ帰ろうか、キミも(真)
かえ〜で?どこにぃ???」
真「それは…っと、まだ歩けるかい?
あ、あい(雫)
それじゃあ行こうか、僕らの家に♪」
地面に寝そべったままの夢を真がそっと持ち上げて
少女に優しく微笑みかけると
その場を後にする。
大きな建物が聳え立つ街並みの中を
ゆっくりと歩み進んで行くと
街を出る帰路に差し掛かった所で口を開いた。
真「・・・。
今日、夢と遊んでどうだった?
純粋で無邪気な普通の子供そのものになって
幸せだと思えるような…そんな時間に出来たかな。
ん???(少女)
今まで、キミは沢山の辛い想いをして
色々な事を抱えて、生きて来た訳だから
子供らしい遊びも
あんまり出来なかったんじゃないかって。
だから今日は、少しでも楽しんで貰えたかな?
……うん、楽ちかった…でつ!つごく!!(少女)
そっか、そう言ってくれると
僕がキミを見つけて救った甲斐があったよ。
こちらこそ、礼を言うよ。ありがとう(笑顔)
うふ♪あたちも会えて嬉ちい☆(少女)
……ふん(笑)
さぁ、あんまり遅くなると
他の子達に迷惑をかけちゃうから早めに帰らないと。
???(少女)
キミが来る少し前にも起こった事だ。
周りの子達と比べて
比較的、大人しくて物静かな子が居るんだけど〜
ある日、その日はかなり遅れて帰って来てね?
あの子は待ち切れなかったのか
突然、家を飛び出しちゃったみたいで
夜な夜な探す羽目にもなったからな。。。
あの時程、皆んなに心配かけちゃいけないって
身に沁みて分かったよ(汗)
すまないが……少し急足になるけど、
付いて来れるかい?」
少女は、目を見開きながらも
真の目を見てコクコクと頷いた所で
高所地帯を抜け出した。
足早に立ち去った2人が向かった先は、
現代建築とは思えない
平安時代の質素な家々が建ち並ぶ住宅地で
苔が屋根全体をも侵食していたのです。
真「家とは言った僕も僕だが、
少しくらい期待させちゃったのなら謝るよ。
まぁ…見た目はアレかもしれないけど、
こうなった以上、贅沢は言ってられない。。。
キミもそれは分かるよね?
……うん(少女)
ありがとう。
でも見た目に反して意外と中は広くてね〜
構造的にも脆い箇所は多少、合ったけれども
僕でも手直し出来る程度だったから問題ない♪
つ、つごい(驚く少女)
当たり前だよ(笑)
僕は、皆んなの[子守り役]だ!
誰か1人でもちゃんとした人が側に居ないと
あの子達は……何も救われない…から。。。
キミも今日からここで遠慮なく過ごすと良いよ」
その笑みには優しさもあったが、
どこか悲しげな面影が見え隠れしていたのは
この時の少女では気付けなかった。
少女「はい!!
で、では……お邪魔…ちまつねぇ?
そんなに、警戒しなくても大丈夫だよ(真)
けけけ警戒はち、ちちちてまてん!(慌)」
真「本当に、大丈夫??(汗)」
数分後・・・
少女「……スゥー…スゥ……スゥー…スゥ………」
真「フフッ(笑)
やっと寝てくれた、まさか〜……
あれから30分くらい落ち着きが無かったなんて。
警戒しながら生きて行くしか術が無いのは、
今に始まった事じゃない。
キミの気持ちも十分に分かるよ(悲)
本当に今まで、キミはよく頑張った。。。
お疲れ、そして……おやすみ。良い夢見なよ♪」
少女の背中を一定のリズムでトントンと叩きながら
玄関口から漏れ出る僅かな光を
じっと見つめて夜番しているようだ。
翌朝・・・
チュンチュンと鳥の囀りが耳に入る時、
少女とその周りの子達が起きる時間。
? 「はあ〜おはよ」
? 「うん、おはよう。よく寝れたね〜」
? 「お前ら、また起きるの遅くねぇか?」
? 「そんな事〜ないよ!!
私の腹時計がそう言ってるもの。間違えないわ」
? 「ホントかよ、それ……てか〜」
少女「ふあ〜〜ぁ。むにゃむにゃ……(あくび)」
全員「・・・。いや、この子…誰っ?!(汗)」
少女「……ん、おはよう?」
全員「ま、まま↑真さーーーん!!!!!!
どうしたの皆んな!?(真)
こ、こここの子、この子の〜説明を求めますっ!」
真「???
あー、その子なら昨日…保護した子だよ。
ごめんごめん、昨日の時点で話したかったんだけど
皆んなもほら〜……早めに寝てたから
起こす訳にもいかなくて。。。
伝える暇があまり無かったんだ」
? 「何だよ、また新入りか!脅かすなよ(焦)」
? 「やった〜また女の子だ!!仲間〜☆☆☆」
? 「えぇ〜何ちゃん!?
何ちゃんが良いかな?また、考えないと!」
侑「ねぇ、私〜侑って言うのよろしくね♡」
赤茶髪にオレンジ色の目。
光「私は光って言うんだよ〜♪」
白髪で淡い黄色の目。
夢「はいはいはーい!!
私は夢、昨日はキミと遊べて楽しかった!」
侑「えぇーもう遊んだの?!
ズルいズル〜い、夢ばっかりズ・ル・い!!」
夢「まぁまぁ。
でも私も今日は、
侑ゆと遊びたいって思ってたから
この子も混ぜて皆んなで一緒に遊ぼう!」
女の子達「さんせ〜い!!」
侑「……って結果的に皆んなとじゃない!?」
女の子達「あははっ!
それも楽し…そう。私も遊んでみたぃ(七)
そうそう!!
皆んなで遊べば一件落着、万事解決〜☆(椛)
難しい言葉使わないでよ〜椛ちゃんっ!(焦)」
椛「えへへ、それほどでも(笑)」
深緑髪で紫色の目。
夢「別に褒めてないよ、多分。。。」
女の子達の圧倒的なコミュ力の前では、
少女は既に限界を迎えており
頭からシューッと煙を吹き出しながら
天井を見上げている。
真「まぁまぁ、今はそれくらいにしてあげなよ?
その子も困惑してるだろうし。。。
あ、そうだった。
そろそろ食事にしようか、皆んな外に出て」
男の子達「よっしゃあ!!俺達、いちばーん!」
女の子達「は〜〜〜い!!
今日のご飯、何かな?楽しみ〜♪♪♪(夢)
アレ続きだから変わらないんじゃない?(侑)
でも、アレは私〜美味しいから好きだよ!(椛)
もっと違うのがいいっ!!(夢)」
真「あんまり贅沢を言うな、夢。
誰とは言わないが叱られても知らないぞ?(汗)」
夢「大丈夫、大丈夫♪
これは私の独り言だから、問題ないの☆☆☆
いや、どこが大丈夫なのか逆に教えて欲しいよ(真)
こういうのは何事もないのが定ば……ハッ!?」
? 「誰が・何だって〜??(笑顔)」
夢の目の前には育ち盛りの子供達よりも
遥かに高く、真ですら余裕で超える巨漢が
そこに立ちはだかっていたのだから。
ほぼ2mそれ以上越えの身長の彼は、
お坊さんのようなスキンヘッドが特徴で白い肌の上に
青みがかった長着、黄色みあるベージュの一つ目だ。
真「ありゃりゃ〜
タイミングが良いんだか悪いんだか(汗)
まぁ、今日はあらかた来る事は
知っていたからどっちにしろかな〜」
夢「あ……あっ、あ…ぁあ(涙目)
そ、その〜……す、すすすみませんっでした!!」
空中で一気に足を折り畳み
土下座体勢に入った夢は目一杯、頭を下げる。
? 「・・・。真?」
真「んー?何かな??
……一応、言っとくけど僕に選ぶ権利は無いよ。
偶然、夢の会話を聞いただけで
僕は何も見ていない。。。
え、真…お兄ちゃん??(夢)
それに……(睨)
ヒッ!?あ、あの…っ!何でもないですぅ(夢)
匠の好きにすれば、良いよ」
匠「……分かった。
少し夢を借りるぞ、先に朝飯でも済ませておけ」
真「了解、くれぐれも…乱暴は駄目だよ?」
匠「あぁ……当然だろう?(笑)
ほら、来い。逃げられると思うなよ」
夢「だ、誰か…助けぇ……」
ついさっきまで
仲睦まじく会話していたお友達はと言うと
夢の方には一切、目線を送る事なく
言葉をかける訳も無いままで
この後、何があるのか分かっていながら
無視を貫き足を動かし始めた。
女の子達「・・・」
男の子達「・・・」
夢「あー、待って。
待ってよ、皆んな行かないで…きゃっ!!」
真「それが終わったら
夢のご飯の準備をして待ってるから覚えておいて。
とりあえず、頑張って来な?
それと〜ご愁傷様だよ、夢(笑顔)」
夢「いっ、いやあああぁぁぁぁ!?!!!!」
匠に抱えられながら皆んなの居る方とは、
逆方向へと歩みが進んでしまったが為か
耳をつんざく程の悲鳴がそこらで響き渡った。
それを皆んなより先に、席に着いていた少女は
その光景を途中から見たのか状況がよく掴めず、
1人で慌てふためいていたのだ。
少女「・・・あわわわ(震)」
そして、何事も無かったかのように
夢を除いた他の子供達が席に着き、
手を合わせるよう促す。
真「……さぁ、皆んな〜席に着いたね?
それじゃあ…今日も匠への感謝を忘れずに」
全員「いただきます!」
光「わあ〜今日は、久しぶりのおむすびだ♪」
侑「ホントだね☆やった、やった!!」
椛「しかも、3つもある!?こんなに良いのかな♡」
3人「ねぇ〜〜〜!!!!!!」
今日のメニューは、
笹の葉で包まれたおむすびのようで
子供達や少女にとっては久しぶりの米だ。
真「……うん。
今回は上手く出来てる!匠も喜ぶだろうな♪
皆んな、どうだ。上手いか?
うん☆美味しいよ!!(子供達)
そうか、良かった良かった。。。」
司「ねぇねぇ、真。
ん?どうした??(真)
これ〜しばらくの間、
残して置いてもすぐに腐ったりはしないよね?」
真「あぁ〜それなら大丈夫だと思うぞ。
司もようやく風邪が治ったとはいえ、
まだ病み上がりだもんな。
無理して食べる必要もないし、
食欲が出た時にでも食べると良いよ!
数日ぐらいなら持つだろう」
司「はあ♪ありがと、大事に食べるよ(笑)」
紺色で金色の目。
新「真〜!!
真のもオレにくれよ、まだ食い足りない!」
オレンジ髪の青い目。
真「新、お前…食べるの早いって(汗)
今日はいつもより1つ多めにした筈だが?
それでも足りないものは、足りないんだよ(新)
はぁ……強情な奴だな〜良いよ。1つだけあげる」
新「えっ、マジで!?
やりぃ!!こういうのは意外と頼んでみるもんだな。
サンキュー☆」
椛「あ〜真さんの取った!いけないんだ〜」
新「いや、取ってねぇし!?
ちゃんと許可とって貰っただけだし!!」
七「うぅ〜静かに…食べたいのにぃ(涙目)」
青紫よりのすみれ色の髪で、ピンク色の目。
椛・新「……っ?!(焦)」
真「こら〜新、あんま周りに迷惑をかけんな。
今日は多めに作って貰ったからあげただけで
次からはあげないからな?」
新「あー?!
それはダメっだ!ダメだから……謝るよ(慌)
はぁ…僕じゃなくて七だよ?(真)
ご、ごめん……七。。。
オレ、その〜…うるさくするつもりは無くて」
七「……っ(泣)」
新「だ、だから…(焦)」
真「はいはい、新も謝れて偉い偉い♪
七の事は僕に任せて先に食べて来なよ、ね?
……は、はい。ごめんなさい(新)
良いよ(笑)
新がこれからも
周りの事を気にかけてくれるだけでも
僕には有難い限りだから。さぁ、戻りな」
新「うん…うん、分かった(涙目)
ほらキミはまだやり直せる。だから泣くな(真)
……あり…がどぅ」
真「七、君は少し皆んなと離れた所で食べよっか。
僕も一緒に居るから安心して♪」
七「……うぅん。う…ん(涙)」
真「よしよし、大丈夫。
立てる?……うん、そうそう。ゆっくりで良いよ」
数分後・・・
全員「ご馳走様でした!!」
真「お粗末様でした」
侑「美味しかったね☆」
光「うん♡すっごく美味しかった!」
椛「また、食べたくなっちゃったよ♪」
奏「ねねぇ、今日は何して遊ぶ?
前に見つけた公園とかに行くのはどうかな(光)
確かにっ!!じゃあ、そうしよっか」
暗い金髪に水色の目。
侑「うーん、それも良いと思うけど〜
あの子と少しお話してからでも良いんじゃない?
おぉ〜!親睦も兼ねて、交流するのね(椛)
良いね良いね♡」
仲良し4人組が話し合いを終えると
シュッとその場を立ち上がってすぐ少し離れた所で
ちょこんと座っていた少女に
一斉に、質問攻めの被害に遭ったのだ。
侑「ねーねー、キミはどこから来たの?!
何しにここへ来たの教えて教えて!!」
光「どこかから追い出されて来たのですか?
ずっとお外で暮らして苦労しなかった??」
奏「私達のお家より
もーーっと凄い所で過ごしてたりする!?
ねぇ、どんなお家?どんな所に住んでたの♪」
椛「何色が好きぃーーー☆☆☆」
少女「えっと…えーーっとえとえと、えっと(焦)」
真「こらこら、また君達か〜(汗)
全く……君らは、新入りの子が来ると
毎度のように質問攻めして困らせているんだから
そろそろ気遣いというものを…覚えようか?(笑顔)
ひぃっ!?(女の子達)
その子に聞きたい事があるんなら
答える側の身になって考えてくれないと
会話なんて一生、出来なくなるぞ。
それでも良いんだったら、僕は止めないけど」
女の子達「・・・ごめんなさいっ!(焦)」
真「……ごめんね。
この子達も悪気があって
キミに話し掛けている訳じゃないんだ。
ここには少し…いや賑やか過ぎて困る子供達だけど
ここで暮らす上で、
どうしても皆んなと交流して行かなければならない。
それだけは……分かって欲しい。。。
勿論、まだ馴染めない所は多いと思う…し
何が良くて何が正しくないだとか分からなくても
そういった懸念点は
これから先、ゆっくり自分のペースで
探して行けば良いよ♪
もう……誰かに追われるような非常な日々から
逃げなくて済むから、ここは…安全だ!!」
少女「・・・(涙目)」
目が合うように少女の前で膝を曲げ、
真っ直ぐな目で肩を掴み優しく引き寄せる。
真「辛かったよね?怖かったよね?
誰にも理解されない苦しみから
……ようやく解放される。
そんな生活は、今日でお終いだ。。。
今まで、見つけてあげられなくて…ごめんよ(涙)」
少女「……っ(泣)」
その言葉に、少女の中で何かが切れた気がした。
誰かに優しくされて、感謝されて、
誰かに私を受け入れてくれる人が
1人でも居るだけでこんなにも嬉しい事なんだと。
[救ってくれて]ありがとうの気持ちを込めて
自然と真の背中に手を回して服を握り締めた。
今日まで数え切れない程の苦難や壁を当たって
人に拒絶され、追い払われ、蔑まれ
時には全てを投げ出して逃げた時だってあった
そんな彼女の苦しみが今、浄化されていく。
少女「・・・はぁっ…あぁ……う”うぅぅ…(汗)
あぢがと、あぢ……がどう。
こん…なあたちを………見つけてくでてぇ(涙)
(涙がとめどなく溢れ出て止まらない、
止めたいのに、ここで止めたら終わっちゃう。
真しゃんと離れるのは嫌だ、嫌だよぉ!)
この…まま、このままずっと……っ!!(泣)」
真「うん。
ずっとこのままってのは難しいけれど、
どうしても泣きたくなったら
いつでも僕はこうしてあげられるし、
今は…キミが落ち着くまで一緒に居てあげる。
だから心配しないで、ね♪」
少女「……ごめんっ…なたいぃ(泣)」
真「良いよ、謝らないで。
気が済むまで居ればいい、まずはそれからだ」
真の穏やかで優しい顔は少女には見てなかったが、
言葉の一つ一つが丁寧で優しく
語り掛けて来る。
そんな少女の氷すら真のぬくもりで
不思議と魔法のように溶かしてくれる。
少女の子供ながらの小さな力で
目一杯、抱き締めて真の腕の中で泣き続けた。
あれから1週間くらい経った時だろうか。
少女はたった1週間で
真と一緒に住んでいた子達と少しずつだが、
打ち解ける時間は早かった。
中でも七とは仲良しで親友と言い合える程に、
彼女も過酷な暮らしを得て真達に出会ったのだ。
元々、七は少女と出会う1ヶ月前に真に拾われたようで
過酷な暮らしを虐げられて来なかった子達とは
露骨に距離を置いていたらしい。
そんな何もかも同じ境遇関係からか
少女とはよく気が合い、性格も控えめで
次第に七も心を許してくれた。
七「……お外は、キケンがいっぱぃ!楽しくなぃ。
七の事、皆んな嫌ぃって言うの」
少女「うん。あたちも沢山、言わでた事あるよ
聞くだけで嫌になっちゃうよね。
でもね、嫌な事ばっかぢじゃないんだよ?
お外で暮らちてづ子達の中にも
心の優ちい子がいっぱい居づの♪
話ちてみると、意外と楽ちいよ!!
そ、そうなの??(七)
うんっ!とれかだ木の実とか貰ったぢちてね♡」
七「えぇ〜お裾分けって事?
凄ぃ、周りの子と関われて私には出来なぃ。。。
もっと…聞かせて欲しぃ☆」
少女「ふふ、良いですよ♪」
アレはね?コレはね?と今まで沢山の経験をして
食い繋いで来た少女の軌跡を七に話していると
2人の方へと近付く足音がした。
真「本当に、君達は仲が良いね」
2人「真 (しゃん)さんっ!!」
真「おっと、あんまりはしゃいでいると
転んで大変な事になるよ。気を付けて?
はい!(2人)
でも、2人もようやく
人前で甘えられるようになって来たみたいだね。
まだ君達が控えめで、助かってるけど(苦笑い)」
2人「・・・(汗)」
夢・侑「真お兄ちゃん!」
光・椛「真さ〜〜〜んっ!!」
真「あ、ははっ……見つかっちゃった(焦)」
と言った時には既に飛び付かれており、
背中や腕、脚にギュッと抱き締めて離れない。
4人「あ〜そぼっ♪
ねぇ、今日は何して遊ぶ?かくれんぼ??
それー昨日もやったじゃん。また僕が鬼?(真)
うん、そうだよ。
だってお兄ちゃんは私達より背が高いんだから
当たり前でしょう?」
真「いやいや身長不利は、
あんまり関係ないと思うんだけど〜(汗)
私〜昨日、参加してない!かくれんぼしよ(光)
たまには子供達だけでやってみなよ?
そっちも十分、楽しめると思うし」
夢・侑「嫌だっ!!
何でだよ、僕より皆んなで遊びな(ジト目な真)
や〜〜だ!」
真「はぁ……困ったな。
まぁ、いつもの事だけどさ〜(汗)」
匠「おうおう。
今日も今日とでモテモテだな?
いや、すっかり懐かれてんな〜真(笑)」
真「そう思うんなら
ニヤニヤした気持ち悪い顔で見てないで
匠も手伝ってよ?」
匠「私は、人より忙しい身なんでね?
真達ほど、暇じゃないんで…って〜
おい!?気持ち悪いとは、何だっ!!」
真「皆んな〜今の匠の顔に一言。
キモい!(夢)
気色悪い顔で見ないでっ!(侑)
不快です〜(光)
穢らわしい!(椛)
ぐはっ……な、何でぇ??(匠)
フフッ。そういう事、分かったか匠♪(笑顔)」
匠「真、お前…卑怯だぞっ?!(汗)
えぇ?良いじゃん、皆んな僕の味方だよ?(真)
お前なぁ〜子供を味方に付けんなし。。。
んっ?そういえば、お前らの意見……
まだ聞いて無かったよな?
是非とも聞かせて欲しいな。あぁ?(無言の圧)」
2人(と、飛び火来た!?こっちに!!)
少女「あぁ〜あ、あの…その〜……(グルグル目)」
七「わた…し達は……関係なぃ…ですぅ(汗)」
2人揃ってその場で膝を突き、
互いの肩を抱き合ってブルブルと怯え切った目で
匠を見つめる事しか出来ないでいた。
そこへ割って入って来るのは、勿論。。。
真「はいはい。
こっちの2人は関係ないよ〜?
たまたま居合わせただけの……ただの外野だ。
話なら僕が聞くよ?」
匠「お前さんと話して…る訳じゃっ……」
真「た・く・み・さん、何かな??(笑顔の圧)」
匠「・・・(汗)
フンッ、別に〜そんな大層な事は聞いとらん。
今回は見逃してやろう」
真「いや、これからも…だ?
意味の無い争いは僕が好まないし、許さない!(怒)
必ず正義の為に動くとはっきりと言える。。。
……とっくに匠は、知っていた事だろ?」
匠「・・・は、はい。勿論です(滝汗)」
真「うん、宜しい!!
て事だから今回は、匠が隠れる側で
僕らが鬼になるかくれんぼは…どうかな?
えーでも、それじゃあ簡単に終わっちゃう(侑)
さっきも言ったでしょ?
身長不利なんて関係ないって、まぁ〜アレだ。
匠が2人に詰め寄った罰として
子供達と、とことん付き合って貰おうじゃないか。
いい、やるからには本気で……だよ?」
匠「わ、わ分かった…分かったから!?
そんな恐ろしい目で私を見るなっ!」
少女「ん???」
この1週間、常に真の側を離れずに見ていたが
ずっとニコニコと微笑んでいる印象が強かった。
どうしても恐ろしい顔が思い付かなかった少女は
夢中で真の隣に立って顔を覗こうとした所、
七に背中を触れられ、頭をブンブンと振り続ける。
急に止められた事に疑問に思い、
七の意志を汲み取ろうと興味がズレたのだ。
夢「七ちゃん達も一緒に遊ぼう!
今日は、かくれんぼになっちゃったけど
鬼ごっこの時にここら辺を走り回るのって
結構、スカッとするよ☆
前に私と真お兄ちゃんと遊んだ時みたいに
キミも参加してみない?
鬼ごっこもかくれんぼも鬼や逃げる側だって
絶対に楽しいと思う!!」
光「・・・どうかな?」
匠「ん?……あー、そういやお前〜
ここに来てもう1週間ぐらい経つんだったか。
だったら、そろそろ名前で呼んだ方が良いよな?
あっ(全員)
な、まえ???(少女)
そうそう。名前が無いとお互い不便だろう?」
少女「・・・」
侑「ねぇねぇ!
こことは違う所から来たって前にも言ってたけど〜
今度こそ、有ったりするのかな☆☆☆」
椛「確証は無いって言ってたけど、ね?(汗)」
[どうどう?]といつの日かの夢のように
詰め寄って来る侑にもどこか面影があり、
羨望な眼差しに圧倒されているのか
少女は口を閉ざす。
そして、少女[なま…えとは、何ですか???]
その言葉に意味が分からないと言いたげに、
顔が一気に青ざめて後退りする。
七「だ、大丈夫っ!!
名前は別に、怖ぃ事じゃ……なぃよ?
ほら私だって七って名前があるみたいに
い、一種の呼び名みたぃなもの…なの。
とでなだ、種族名でも良いじゃないでつか(少女)
そ、それは〜……(焦)」
真「・・・。
よく考えてみなよ?
キミの周りには、僕達はどう見えてるの」
少女「え、だかだ………とでは〜……あっ(汗)」
ふと少女は気付く、
皆んなをいくら確認して見ても
真達は、一つ目妖怪の集まりだ。
つまり自分を含めても同じ一つ目では、
一人一人の区別が付かないという事に。。。
匠「それだと、
誰が誰を呼んでいるのか分からんだろう?
そういった意味での不便さを無くす為に、
加入時は敢えて皆んなと過ごす事で慣れさせて
警戒が解けた頃合いを見計らって
私達の[家族]の一員であると認める。
その証として[名付けの儀式]をすると
そう決めているのだ!
どうだ、少しは分かったか?」
少女「……は、はい」
分かったようで分からない目をパチパチさせながら
真っ白になった頭で真に目線を送る。
真「まぁ、そうだね。
基本的にはさっき匠が言った通りだよ♪
元々、名前を呼び合う文化は
僕らが決めたんじゃない
人が義務付けるべきだと考えたそうだ。
僕達は例外だが〜
それに従うしか他ならなくて、ね?
どうしてもって時は、その着想を得たり
時には本筋とは違ったやり方で使う時もある。
まぁ結局の所、
名前が無いと不便なのは僕らが認識しづらい…から
夢や侑のように、僕が真であるように
あらかじめ決めといた方が損はしないと思う。
それが嫌だったら、無理強いするつもりは無いよ。
こういうのは本人の自由……って事だから」
人の知恵とはいえ、
真は無理にその意見を突き通すのではなく
本人の意志を聞いてから決めると
真なりの優しさで少女に委ねてくれた。
それを聞き入れた少女は終始、あわあわしていたが
自分を落ち着かせようと
胸元の服を握り締めて目を閉じても尚、
その瞼の中ではビクビクと動いていた。
少女「・・・。
スゥ〜……はぁ…………………ます。
えっ?(七)
名前、皆んなと同じ……名前をお…願いちまつ!
あたち……だけ仲間外で…は、
もういやだぁかだ……だかだっ…(涙目)
せめて、み”んなと同じが………い…いぃ!(泣)」
そこには困った笑みで歪ませた顔、
目の下を真っ赤に腫らして
大粒の涙がスルスルと顎下へと伝って流れて来る。
この地に降り立ってから
追い払われたり、攻撃されたり、裏切られたりで
幾度もなく仲間外れにされて来た事。
それが今じゃ叶おうとする希望が見えて
嬉しくて、あまりの嬉しさからの表情で
うわ〜〜んと子供ながらのか細い声が響いた。
真「……うん、そうだね。
仲間外れはもう懲り懲りだよね、それで良いんだ。
その言葉を吐き出せるだけで
キミは十分、頑張った。
辛いのにごめん、そしてありがとう。。。(笑顔)」
匠「お前さんも苦労して来たんだな。
真がそこまで、
お前の事を気にかけていたのがよく分かる!
愛されてるな〜いつかは報われる運命にっ(笑)
晴れて、お前は……自由の身だ☆
子供らしく泣きながら生きりゃ良い!!」
匠は姿勢を低くした真の肩を、少女の頭に
手を置いて優しくだが強い手で頭を撫でられる。
2人の間に立つようにして
大きな腕の中へと2人を抱き寄せた。
真「あんまりくっ付くな、鬱陶しい(怒)」
匠「酷いな相変わらず、こんな感動的な時でも
私への当たり強くないか!?
男に、しかもベタベタされると流石に引く(真)
はぁ?!お前、またその話かよ!
どんだけ根に持ってんだ、サイコイカれポンチ」
真「フフッ、どういう意味かな〜ソレ?(笑顔)
そういう所だよ!!笑顔を振り撒くな(匠)
嫌だな〜匠は、すぐその言葉を使うんだから
皆んなもそう思うよね?ね、ねぇ??(圧)」
女の子達「うんうん、はんたーい!(棒読み)」
匠「お前ら、本当にそれで良いのかよ!?」
女の子達「うぅん!!」
少女「えへへ、ははっ〜(笑顔)」
真「ん?そんなに、面白かった??
僕らからすると日常的な事なんだけど〜
あい♪仲良ちしゃん(少女)
そっか。。。
何か言いたい事があったら誰かと歪み合うと良いよ。
気持ちが何もかも解消されるから!
それー、お前だけじゃ……(匠)
んー?何かな???(即答)」
匠「何でも…ごさいません(滝汗)
所で、名前の話だったよな。脱線したけど」
真「そうだね〜……何が良いか。。。
皆んな、何か良い案はあるかい?」
夢「うーん、今の季節だと冬だから
白いものって事で[雪]とかは?」
真「夢にしては、良い考えだ」
夢「私ってそんな風に見られてたのっ!?」
侑「えっと、侑はね〜
[蛍]ちゃんっていうお名前の友達が欲しいな!!
それは、侑の願望じゃないか(真)
ムッ。い、良いでしょうお兄ちゃんっ!」
真「ん〜まぁ、候補としては良いか(呆)」
光「私の光繋がりなら[火花]ちゃんはどうかな?
おぉ〜あの紐みたいなパチパチするやつか(匠)
うん、それそれ〜!!」
匠「じゃが、それだと
一つ目は一文字っていう概念が駄目になるな」
光「あー、そうだった。ごめんなさい(汗)」
椛「まぁまぁまぁ!
そういうこだわりは無くすべきって事じゃない?
古いものは新しいものに変える、みたいな☆
ちなみに私は[海]ちゃんに[幸]ちゃんとか
[仁]ちゃん、[咲]ちゃんとか色々!!
2文字だと[氷花]ちゃん、[美和]ちゃん、
[紗良]ちゃん、[千代]ちゃん。こんな所かな〜?」
真・匠「一気に出されると困るんだが(汗)」
匠「じゃあ私からも一つ、良いか?
どうぞ、どーぞ!(夢)
……ふん。
ズバリ、[眼]という名前はどうだ!!(ドヤ顔)
一度は誰かに付けてみたかったんだよな♪」
真「・・・。
何で、僕はコイツと腐れ縁なんだろうか?
本格的に縁を切ろうかな、そろそろ。。。
はぁ〜〜〜〜〜……」
匠「おい、そこ溜め息が長いぞ?!
てか腐れ縁の時点で切っても切り離せないんだし
そういう運命だ、むしろ良い関係だろ☆
ホント、キモい引っ付き虫だな〜お前(真)
キモいとは何だ!そこまで言うか!?」
真「うん(諦)
おいぃぃぃぃ?!!!!!(匠)
どんまい、匠お兄〜ちゃん♪(椛)
自慢げに人の名で遊ぶな、それでドヤるな!
真面目にやれってんだ」
侑「で、でも…匠お兄ちゃんが〜
こんなにもウキウキして気色悪い事ないと思うから
眼ちゃんで良いんじゃないかな?(焦)」
匠「フォローになってないぞ。。。」
夢「それに何だか、
真お兄ちゃんや匠お兄ちゃんみたいに
3文字で1文字って感じでカッコイイと思う(汗)」
真「何で、お前達は匠をフォローするんだ?
半分は出来ていないが。
だって〜この後に響くでしょ、きっと(2人)
おそらく、その通りだろうな。。。
全く世話を焼くのは子供達だけにして欲しいね」
2人「ホントだよね〜♪」
匠「お前ら、どれだけ私の傷をエグるんだい?」
少女「・・・」
真「そうだなー……
匠や侑が決めた通りだと眼でも良いが、
あまりにも安直…過ぎないか?
少し文字るとか、うーーん。。。
よし、それじゃあ眼と書いて眼と読むのは
どうだろうか?匠のを採用にするなら一石二鳥だ」
夢・侑「匠お兄ちゃんより
真お兄ちゃんの方が頭良〜い、元からだけど!!
お前ら段々、私の扱い酷く無いか!?(匠)
ううん、気のせい!(黒目)」
匠「酷いっ?!」
真「……どうかな、もしキミが良ければ…だけど
気に入らなかったら別ので考えられるし」
少女「まな……ま・な☆うん、嬉ちい!!」
匠「・・・。
ほ、ホン…トに……それで良いのか?駄目なら別に
無理せんでも良いんだぞ??」
真「何故、提案した奴が
一番…困惑してるんだ(ジト目)」
少女「ううん。
あたちは、とれで良いの……でつ♪眼が良い!
だかだ…これかだは眼として、
よろちくお願いちます♡」
匠「ふん、そう……か。なら、そうするか(笑)
ありがとうな、眼っ!!」
眼「はい!」
真「フフッ。
さぁ、眼の名前も無事…決まった所で
手始めにその舌足らずさをどうにかしないとな。
生きていく上で
言葉はある程度、言えるようにならないと
今後の支障にもなり兼ねない。。。
やるなら……みっちりと…ね?(笑顔)」
眼「ふぇ??……んー、あいっ!!」
どう考えても
怪しい笑みを浮かべている真の顔に戸惑いながらも
曇りないとびっきりの笑顔で返すのが、
少女の全てだった。
その笑顔が、消えて無くなるとも知らずに。。。
回想終了・・・
雫「とまぁー、私の昔話はこんな感じです。
私が真さん達と巡り出会えたのは何かの縁で
そのお陰で匠さんや七さん……光さんとも
お友達になりました。
本当に、良かったと心から思えます♪
私にとって
大事な人達だった…のに、なのにぃ(涙)
あの日、皆んなと離れ離れのままなんですっ!
どこで生きているのか居ないのか分からないけど、
私……もどうしてあんな事が起こったのか
異変にいち早く気付く
あのお2人でさえも原因が分からなくてぇ。。。
匠さんはいつもの場所で血を流してて
真さんも何が起きたのか把握、出来ていなくて
私に、[逃げろ!!]ってそれで…それでぇ!
どうしたら良いのか分からなくなって
夢中で、そこから…皆んなの……私達の家から
逃げ出したんです!!
それっきり、ぞれっぎりぃ…で。。。(涙目)
・・・(天邪鬼)
なん……でぇ、逃げちゃったんだろう?
何でぇ、私は皆んなを
置いて行っちゃったんだろう??
あそこで…引き返しておけば、
皆んなと一緒に逃げられた筈なのにぃ
どうして戻らなかったんだろう。。。
何も、出来なかった。
私はまだ…何もしてないっ!恩だって返せてない。
ぐっ……う”ぅ…はぁっ……はぁ…はぁっ〜………
謝りたい…また会って謝り……たいよぉ(泣)」
心をザワ付かせて来るような雫の嘆きが、
公園の外にまで響き渡る声が体の中を掻き乱す。
小粒の涙を拭っては出て拭っては出てを繰り返し、
毛先をクシャッと掴みながら
思い出すだけで涙がとめどなく溢れ出る。
その様子をただ呆然と見つめる事しか出来ない
少年は、目を潤ませて俯かせていた。
天邪鬼「・・・。
(そんな…事が雪乃さんに、
起こってたなんて今まで知りもしなかった。。。
至って普通のこの少女が、
壮絶な人生を送っていたとは誰も思わないだろう。
人を見掛けで判断される世間の目がっ!
はぁ……何だか、
僕のって全然、大した事じゃないんだろうな。
人の過去の重さなんて所詮、
自分自身しか推し量れないものだって
思っていた…けど雪乃さんのは、違う!!
比べる価値すら起こせない、全くの別物だ!
そう思い込もうとした自分が恥ずかしい。
何で、こんなにも……世の中は
自由や権利を平等に与えてはくれないのだとか
問い詰めた所で相手にもされない。
まともに、聞く気すら無い…のだから
とっくに諦めていた事だけど。
弱者には選ぶ権利も、
その下に居る人達の足元しか見ていない。
こんな世界がつくづく理不尽だ。。。)」
雫「…………えば、良かった」
天邪鬼「……え………?
雪…お姉さ……ん、今…な、に を???(汗)
(嘘だと言って欲しかった。
それが、何なのか分かっていながら
聞いてしまった。彼女に言わせてしまった)」
聞かなくても分かる言葉に、嫌でも想像が付く。
雫「・・・。
……っ、キミには分からないと思うけど
私は過去に何度も、何度何度も…
嫌な事からも目を背け続けて逃げて来たの。
ただ逃げるだけじゃ、
状況も何も変わらない事ぐらい分かってる。
それでも私に今の力があった所で
どうにも出来ないぃっ!!
逃げなきゃいけなかったの。
でも……で…もぉ先輩は……せん…ぱいは、
そう言われても逃げなかっだのにぃ
私は迷わずに逃げた!
皆んなを置いて私1人だけ……安全な所で
もう…皆んなに会えないのなら一層の事、
……あの時、
皆んなと一緒に死んじゃえ良かった!!(叫)」
その言葉に思わず、唇を噛む。
天邪鬼「・・・。
(ドックン…ドックン……ドクンッ!!!)
………こと、そんな事っ……言っちゃ駄目だ!」
雫「えぇ?何…でぇ??(涙目)
どうして今日、
会ったばかりのキミがそんな事……言えるの?」
途絶える事なく流れ出る涙から
不意に泣き顔を晒しても尚、悲しい目で見続けた。
天邪鬼「どうしてって、そんなの。。。
君がボクの友人に似ていたから…かな?
ゆう……じんに、私が??(雫)
うん!!その子はね〜
人一倍、警戒心が強くて
誰よりも人目を気にしていて
他人の怒りが自分に向けられた時は、
いつもおろおろしてる。
まるで、昔の自分を見ているようで
どうしても…放っては置けないんだよね」
天邪鬼がそう言い終えると、
ベンチからはみ出ていた手足を折り畳んで
体育座りをすると腕に顔を埋めながら
視線を引くくし、ハイライトを揺らす。
天邪鬼「そんな…どうしようもない子でも
見た目の割りに意外と強い所が有ってね〜
そこに惹かれたようなものなんだけど、さ。
ボクには、それが真似できなかった。。。
いつも弱気で、それでいて落ち着きのない彼女でも
彼女なりの信念で
ボクを正してくれた時もあったんだよ?
ついさっきの君みたいに、
[誰かが犠牲になるより僕が死んだ方が良かった]
……って、気付いた時にはそう口にしてた。
そんな風に思ってたら余計に幻滅されるのにね。
それでも彼女は自分じゃ、絶対に気付けなかった
些細な事に気付かせてくれた!
今でも…あの子の事を思い出す度に、
どうしたら巻き込まれなかったのか
僕自身が付いて行ってたら、
どうなってたんだろうとか色々と考えてたら
ずっと同じ場所で立ち止まってた。
ボク1人だけだったら一生懸けても
通れなかった分かれ道に、
彼女が光を照らして導いてくれた。
その人の想いまで踏み躙る程、
ボクはそこまで薄情じゃないから♪
そ、れ……って??(驚く雫)
・・・。
でも、これだけは忘れないで?
[自己犠牲]なんて…もの、
自分を見失ってまで捨てて良い命なんか無いから
それは逃げる為の口実でただの綺麗事だ!!」
雫「……っ!」
ドックン!!!・・・
無意識の内に考えていた事を簡単に見破られ、
逃げるという行為に習慣付いてしまった雫には
あまりにも衝撃だったのか
目を見開いた状態で固まってしまう。
その間、辺りに風が吹きやられ
木々が軋んでサーッと葉音を鳴らして
ただひたすらに静かな空気が流れた。
天邪鬼(これでいい。。。
これで、ボクの正体が雪乃さんに伝わっただけでも
それだけで気持ちが晴れるのなら
他は何も望まないし、要らないっ!
こんな秘密、
いつまで隠し通せるのか分からないんだし
一層の事、明かしておいた方が
支障もなく済むんだから…むしろ清々しい。
さっきまで、雪乃さんから逃げたい一心で
色んな口実を立ててたのに
今じゃ、もう真逆な事を言い出してる。
……ふん、おかしいよね(笑)
でも、それが雪乃さんにとって呪いだったんだ。
せめてもの罪滅ぼし…じゃないけれど、
その罪をボクも一緒に背負うよ。
今まで、雪乃さんが1人で抱えてきた記憶を
引き継ぐ為にも歩き出さなきゃいけない!!
それに……あの時、
確かに千秋はボクに[逃げろ]とは言っていたけど
本当は、すぐにでも逃げ出したかったさ。
でも千秋が居なかったら自分は何も出来ないから
一緒じゃないなら…行けなかった。。。
ただ、この想いだけは
雪乃さんに伝えてなかったんだよね。
言ったら、きっと情けないと思われるのが
嫌で伝えなかった……それが心残り、かな?)
瞼を一度、閉じてから朗らかな笑みを浮かべて
ゆっくりと顎を顔を、頭を上げて
後悔の念が混じった顔で夜空を眺めた。
雫「・・・。
……っ、ふっ…はぁ……はぁっ…はぁ……はぁっ…
あ”、り……がどうっ!あり…がとう”ぅ”ぅぅ(涙)」
天邪鬼「……ふん、大丈夫。
雪お姉さんなら…きっと、き〜〜っと出来るよ♪
真さんを見つけられたんだから
見間違いなんかじゃない、希望はまだあるよ。
あの日、何が起きたのか真相を聞くべきだ!!」
雫「……う”ぅ、くっ………う”ぅん!!!(涙)」
再び、溢れ出て来る涙を腕や手で拭い取りながら
ぐしゃぐしゃな顔で
ハイライトのある目を大きく見せたのです。
天邪鬼「うん♪
(雪乃さんは、気付いてないかもしれないけど
ボクはそんな君に何度も救われてるんだよ。
だから…今度は、ボクが君の手を引く番だ!
この先、何があろうと必死に食らい付くから
安心して雪乃さんはもう……1人じゃない!!)
さぁ、雪お姉さんも…今日は遅いんだし帰ろっか」
雫「……勿論!
私が責任を持って、キミを送り届けるよ♪」
初めは正体を偽っていた少年、
かたや自分の過去を知って欲しかった少女の想いが
届き、ここにある種の信頼関係を紡いだ奇跡。
でもその関係も今夜でお終い、
そう思って意気揚々と天邪鬼は先に離れて
少し歩いた所で後ろから腕を掴んで
[待って!!]と勢いよく止めた。
天邪鬼「???」
雫「わた…し、ずっとあなたに隠してた事があるの。
最初は、言うかどうか迷ってたけど……けど
私の話を聞いてくれたお礼として、言うよ。。。
私っ…………実は………………[野良]なの!」
天邪鬼「・・・え?」
雫の思わぬ告白により、
その言葉の意味を頭が理解するのに時間かかったが
次第に心のモヤが晴れていく。
今日の出来事で思った
不可解な現象が一気に解消され、
それに気付いた天邪鬼が、再び雫を直視すると
そこには複雑そうな顔をしていた。
503号室前・・・
日向「……はぁ、つ…疲れたぁぁぁ〜(汗)」
↑
マンションのエレベーター内で元に戻した人。
日向「はぁ〜……
(あの後、雪乃さんは自分が野良である事と
善良な野良の人達だって存在する事を話した。
まぁ、雪乃さんと
手を繋いでいる間だけ見えた光景と化け物の言葉、
あの白狐との会話も全部、理解できて
当たり前なのかもしれない。野良なら。。。
…でも、だからと言って
そんな秘密を知った所で切り捨てる事はしないし、
僕の気持ちは変わらない!!
それを見越して、わざわざ言ってくれたんだ。
全く……そういう所だよ?
それに、僕らには
野良の言葉を理解する事が出来ない。
これは致命的な弱点だ!
でも、その橋渡しが出来る雪乃さんなら
野良に対しては極めて有効な手段の一つ。
ちなみに、学校襲撃の際に襲って来た野良は
河童の山によく生息してる人達で
あそこは野良以外に向ける憎悪や殺意が、
異常に高く手の施しようが無い危険地帯らしい。
中でも鬼は、人の言霊を持たないせいで
言葉が通じないし、無差別に殺しにかかるらしく
野良からも恐れられている存在だ。
野良にも色んな種類があるだな〜
……なんて感心してる場合じゃない!!
今は、夜の8時前………時間が時間だから
千秋は〜…流石に起きていないだろうけど
念の為、慎重に入らないと。もう後が無くなる)」
と緊張の汗を額に流しながら
ドアノブを捻り、中へとこっそりと入って
ガッチャと静かに音を立てて鍵を閉める。
日向「……ふぅ(汗)
ひとまず、これで…………だいじょ。。。
ん?………はいっ?!(目パチ)」
自分の家に帰って来た事への安堵からか
玄関の電気スイッチを押して安心したのも束の間で
電気が付くとそこにはリビングを繋ぐ廊下で
ぶっ倒れていた千秋の姿があった。
日向「ち、ちち千秋…大丈夫っ!?(焦)
何でこんな所で伸びて居るのさ!
……っ、日向か?!(千秋)
はやっ反応だけは!!」
千秋「だ、だって〜
どこにも行かないって言ってたから
ずっと呼んでるのに来なくてぇ〜〜
匍匐前進で探してたら力尽きてたんだもーん(泣)」
日向「いや、普通に探せよ!?
てか〜千秋ってそうなると
急激に弱気な姿勢になるのどうにかならない?
弱ってるだけかな。。。
日向ぁぁぁ!!!!!!(泣く千秋)
うわっ、急に脚掴まないでよ。危ないからっ!(焦)」
家に帰って来てもギャーギャー騒ぎ立てるのは、
いつもの事だが今日は一段とうるさい。
日向「近所迷惑になるから
……お願いだから、早く寝てぇ!!!(汗)」
千秋「うっ、うん。分かった、そうする(涙目)」
スッと立ち上がって、
ササッと自分の部屋へと帰って行き
ガチャリと鍵を閉めた。
さっきまで匍匐前進してた人とは思えない潔さだ。
日向「聞き分けは……あるんだね。。。
まぁ、今日は色々とあったから
夕飯抜きに寝よう。作り気力、無いし(汗)」
そう言って玄関の電気を消すと
真っ暗闇な家を手探りで自室を探し当てて
早くも眠りに着いたのであった。
ようやく、2人の関係が進展しましたね!
日向が頑なに妖怪化したくない理由や
玉藻前の脅威(前編)で、
雫は思わぬ形で日向に告白していますが
日向は普段からあまり顔に出ない為、
あの時は良い具合にはぐらかされて
どこが好きなのか?どこに惹かれたのか??
意図的に描きませんでしたが、
それが明らかになりましたね♪( ^ω^ )y
小話:雫の過去回想で
赤い空の日の事を描かなかったのは作中でもあった通り
雫の知らない所で起こった事なので
今回は、省かせて頂きました!
……文字数の都合もあります(小声)
近い内にその経緯について描きますので
読者の皆様は、今しばらくお待ち下さい!!
さて、次のお話は何と[あの人]の正体を
徹底的に掘り下げますのでそちらもお楽しみに〜♪




