第25話 「玉藻前の脅威(前編)」
1週間前・・・
千葉県のとある街、真っ暗な街中に灯る温かい光が
疎らに散らばっており
街の一角に背が高く髪の長い人影が立っていた。
その人は、赤い着物の上に黒い羽織りを着ていて
袖に通していた腕を引き、
目の前に突き出してから手の平を空に向ける。
???「[流星の加護]を今、ここに舞い降りよっ!」
そう言って女性は口に出し、
曇り気味の夜空から突如として禍々しい黒紫色の雷が
街中に複数、落とされたのだ!!
静かな街とは裏腹に女性の瞳に映るのは、
まさに地獄絵図だが街の人達が慌てて家から出る事も
避難する事態にもならず、ただ静かな夜が流れた。
何とあの雷は無音で
一切、街に支障をきたすような事もなく
その雷は地面に落ちた途端、薄紫色の膜が開き切り
一瞬の内に小さな囲いが点々と現れたのだ。
逆に変な雷を落とした女性の周りには、
火柱のような真紫色の陣と
黒い電気がビリビリと鳴り続けるばかりだった。
女性「ふふっ、やっと……この時が…来た♡
どんなにこの日を私が待ち侘びていたか♪
これで私への[天狗の嫌味]が抜け落ち、
私は、晴れて自由になれる!
うふっふふ、さぁ………私の…時間だっ!!
はっはっはっ、アーッハッハッハ!!!!!!」
目の瞳孔が完全に開き切った目で
両手を大きく広げながら
魔女のような雄叫びと年相応の声で笑っている。
すると、女性が立っていた建物の下で
ヨタヨタと歩く子猫の姿を見つけるなり、
建物から颯爽と飛び降りて行く。
女性「んっ?猫又か???」
猫又「にゃあ……にゃぁ…にゃあぉぉ(鳴)
はあ♡猫ちゃ〜ん、猫ちゃん、おいで〜(女性)
……んにゃあ?・・・。にゃあにゃあ☆」
女性「よ〜しよし、偉いのね。にゃあちゃん♪
どうしたの〜?
こんな所まで1人で来て、
にゃあちゃんのお仲間さんと逸れちゃったのかな。
んんっ〜???」
さっきまで街中に雷を落としていた
人とは思えない程の変貌っぷりで
[三毛猫]を控えめに撫でながら話し掛けている。
猫又「みゃ〜ぁ。みゃあ?みゃっあみゃっあ!
うみゃあみゃあ☆(ドヤ顔)
うん、うん♪よく分からないねぇ(女性)
にゃぁぁぁ………」
耳と尻尾を下げてしょんぼりとする三毛猫を見て
キラキラした目の中には♡がはっきりと映っていた。
女性「まぁ〜☆可愛いにゃあちゃんですね♪
よしよ〜し♡♡♡良い子でちゅね。
にゃ〜あにゃ〜あ!!(猫又)
うふふ♪本当に可愛いわ。
今まで見てきたにゃあちゃんの中で一番♡♡♡
あっ!……ねぇ、にゃあちゃん。
私、聞きたい事があるんだけど良いかな?
みゃ〜ぁ???(猫又)
にゃあちゃんはさ〜
今後、お仲間さん達の住処に行って
一緒に暮らす為に帰りたい?
それとも〜……私の家に来ますか???
どう〜したい?」
そう言って女性は、左手を子猫の前に差し出して
耳をパッと立てて目を丸くした猫が、
女性の手を嗅ぐ。
嗅いですぐ女性の顔を見るなり、
首を傾げつつじっくり観察する素振りを見せながら
座っていた姿勢から立ち姿勢になった猫が、
尻尾をブンブン振り回して女性の膝に飛び乗った。
猫又「みゃあみゃあ!!
ん〜にゃお♪にゃあ〜にゃあぁぁぁ☆☆☆」
女性「そうか、そうか。
それなら私も歓迎してあ・げ・る♡
私から提案した事だけどにゃあちゃん達、
お仲間さんに言いに行かなくて平気なの?
みゃっあ!んみゃあんみゃあ!!(猫又)
(後で会いに行くとでも言ってるのかしら)
そうだ!
にゃあちゃん達、猫又は属してなかったよね?
組織って分かるかな〜???
にゃ〜あ?(猫又)
分からないかぁ〜…
それじゃあ、[私の眷属]にしてあげる♪
にゃあちゃんは、今のままでも十分可愛いし
ペットに武力を振る必要は無いのだけど、
この世界のにゃあちゃん達は
沢山、大変な思いをして来たんだから
私がにゃあちゃんを強化してあげられるよ。
少しでも……安心して貰いたい人が
私には居るからその人の事、守っていて欲しい。
いつか私が居なくなっても寂しく…ないように
だから、私の力を受け入れて貰えると嬉しいな♡」
猫又「みゃー………みゃっあみゃあ!!」
ユラユラと尻尾を揺らしながら
女性の頬をひと舐めした後、
キリッとした姿勢で顔を見つめた。
女性「……っ!ふふ、ありがとう♡♡♡
でも今は、まだ[あの人]に
にゃあちゃんを会わせる訳にはいかないから
私の部屋限定だけどね。
少し落ち着いたら、教えてあげる!!
でも、もし私の部屋が窮屈だったり暇だったら
たまに帰っても良いからね♪
あっ、その時は何も言わずに行っちゃ駄目よ。
にゃあっ!!(猫又)
よしよし、良い子だね♡じゃあ始めるよ」
4日後・・・
ガッシャーーーン!!!!!!
女性の妖力が強過ぎたせいか
子猫の体では。耐え切れなくなってしまったのだ。
過剰な妖力摂取は、
猫又だけでなく妖怪は誰でも起こり得る事で
破壊衝動という名の暴走が起きた。
その結果、破壊されたのは海渡市の発電所だけが
被害に遭うという経緯が事の発端である。
その1週間後ぐらいで
三毛猫は、事件の容疑から晴れて無事免除となり、
国内では猫又のペット化の話題で
持ち切りだったのだ。
それから2日後・・・
仁川市に隣接する柄谷町近辺では、
平屋や木造建築ばかりが建てられており
和風感溢れる街並みが出揃っている。
例えば、蘭達が合宿の時に泊まった
瑠璃屋旅館周辺は、八百屋さんや雑貨屋さんなど
日用品のお店の数々あるが、
単に仕入れるものが簡単に手に入るという利点から
観光客向けの歓迎の場となっていた。
そんな賑やかな町と違い、
左隣に隣接する桑我町では柄谷町より
店舗も少なく古き街並みといった景色だった。
その町外れには、知る人ぞ知る
小さな古着屋さんがポツリと存在した。
そのお店の外見は、駄菓子屋さんのお店のようで
後ろには家が建てられており、
店舗兼住宅という構造となっている。
???「んっ?うぅん……うぅん。
わたしゃは、
この店を引き継いでくれる子が出て来るまでは
諦めるつもりも無いよ♪
うぅん、はぁ〜い。
それじゃあ、またねナッちゃん♡
ふぅ〜………」
???「ばぁやさん、お茶が入りましたよ♪
うぅん。ありがぁとうね、タマちゃん♡(ばぁや)
また娘さんとお電話ですか?
最近、月1で掛かって来る事が、
多くなって来ましたね」
お婆さんが呼ぶタマちゃんと言われる女性は、
ボリュームのあるゆるふわ三つ編みで
藍色の髪が肩にのし掛かる程の毛力を誇り、
赤いヘアピンを付けている。
全体的に霞んだ系統の上下分かれの洋服を着ており
その上から赤いエプロンを付けていたのだ。
ばぁや「そうなのよ。
ナッちゃんは昔からわたしゃの事、
よく心配したり、寂しがっている子でねぇ。
こっちは大丈夫だって何度、説明してもさ〜
頑固過ぎて困っちゃうわぁ」
女性「それくらいばぁやさん想いの素敵な娘さんで
それで良いじゃないですか。
家族揃って仲がよろしくて♪」
そう言い終えると
女性は、ベージュの瞳を隠すかのように瞼を閉じ
手に持っていた湯呑みを口に運んだ。
ばぁや「まっ、まぁ……
そういう事にしとこうかねぇ(照)」
女性「ふっふふ。
では、そろそろ準備に行って参りますね!
ばぁやさんとばぁやさんのご家族の為にも
私は、もっとこのお店で働かなくては!!」
ばぁや「まぁ〜最近の子は、
意欲があってわたしゃも頼もしいわぁ。
一層の事、タマちゃんがこのお店を継いでくれたら
どんなに嬉しい…事かぁ♡
それは〜………どうですかね(曇る女性)
うふふ、気にしなくても良いのぉ!
これは、単なるわたしゃの独り言だから
いってらっしゃい、タマちゃん♡」
女性「はい……それでは、行って来ます!!」
女性は、さっきまでの暗い顔が無かったかのように
お婆さんに笑顔を見せた。
ガラガラと木が擦れる音と共に襖が閉じられ、
女性が部屋から出て行くとしんみりとした空気で
お婆さんは、湯呑みの底に溜まったお茶っ葉が
見えるまでゆっくりと飲み干す。
ばぁや(本音を言えば、
私は、タマちゃんにお願いしたいさ。
けれど…私と彼女の間には大きな溝がある限りは、
ダメだろうねぇ。寂しいなぁ、1人って)
お茶を飲み終えたお婆さんは、
四つん這いになりながらも
テレビの横にあるボタンを押した。
リビングから出て
後ろの家とお店の狭間である襖を開けて
すぐ女性は、開店準備に取り掛かる。
まず最初に昨日届いたばかりの品を
全てのダンボールから取り出し、
新しく仕入れた古着に付いたビニールカバーを外す。
商品化するまでその日の内に天日干しをすると
干した古着から種類ごとに商品を掛けていく。
※実際に、古着屋さんの本来の作業とは
異なるかと思われます!
あくまで作者の想像ですので、ご了承下さい。
天井に吊るされたシーリングファンを稼働させ、
お店の掃き出し窓を全開にし、
入り口付近をホウキで掃き始めたのだ。
女性(私の名前は、前澤 環。
遥か昔、訳あってばぁやさんに拾われた事から
ばぁやさんに恩返しが出来るように
お店を手伝っている…というよりかは
私が経営してる状態と言った方が、
正しいかもしれない。
ばぁやさんは、もう……年のせいか
思うように体を動かせず、
活動しづらい時期に入ってしまった時から
ほぼ私1人で回している。
それでも私は、ほんの少しでもばぁやさんを
安心させてあげたくて今、頑張っている所です!
お店を継ぐ事は、今も今後も私には出来ないけど
後継者を見つけるまでは、ここに居るつもりです。
継げない理由は、詳しくは言えないけど
[本当の家]に帰る時がきっと来る……
そう思ったら、何だか厳しいかもって
最近になって薄々勘付き始めちゃったから…かな?
・・・。
とりあえずこの話は、終わりにして
仕事に取り掛かりましょうか!!もう時間だわ)
今日も一日、張り切って頑張りますか♪」
ホウキを掃き終えると環は店の奥へと行き、
レジ打ちをしながらお客さんを待ち続けた。
まず最初に来たのは、
顔見知りの町のお爺さんお婆さんが来店し
ばぁやを心配しに来たり、古着を買ったりと
いつも通りの収益が入っていく。
次に訪れたのは、お隣さんのお姉さんで
環の事もばぁやと共に心配し、
気遣いに来る心優しい人。
実家に居るご家族からは、
毎月のように青森県から届くお裾分けを
いつも手渡しに来てくれる。
今回は、りんごを頂いた。
その後も着々とお客さんが入って来たり、
環と話そうもんなら遥々、遠方から来る
お客さんの話し相手にもなったりと
今日も大忙しだった。
環「ふぅ〜……
(とりあえず、これで一段落…かな(汗)
相変わらずばぁやさんの人望のお陰もあってか、
いつもの常連さん達が来てくれるだけで
このお店は、今も成り立っていると思います。
けど、最近は夏休みシーズンも終わって
いつも以上に観光客が減ったせいか、
思うように続かず伸び悩んでいる点かな。
今が、踏ん張りどころってよく言うけどさ〜
ここが一番、お店を継ぐにあたって躊躇う点。
ばぁやさんは、
今までどうやって乗り越えて来たんだろう?)」
すると、レジ前にあったウッドデッキ台の上に
何かが乗り、レジに入っていた環の目線と合わせる。
そこには猫又が座っており、
子猫の首には赤色のチャームが付いていた。
三毛猫「……みゃ?
みゃあ!みゃっあみゃっあ!!」
環「あら、苗ちゃん。
もうお散歩の時間、終わっちゃったの?
にゃおにゃお〜♪(苗)
ふふっ、やっと調子が戻って来たんだね♡♡♡
ごめんなさい。
私の力が、強過ぎたせいで暴走させちゃって(汗)」
苗「にゃあ〜ぁ!!にゃあにゃあ!」
環「私のせいじゃないって???
自分が弱かったからって言ってるの?
みゃ〜あぁぁ♡(苗)
それは、違うわ(即答)
にゃ???(苗)
私には………天狗のような繊細な技術や
妖怪の芯となる[妖力操作]ですら上手く扱えない。
力が膨大過ぎるが故の私自身の失態、
だから私の責任です!
苗ちゃんには、苦しい思いをさせました。
迷惑ばっかり掛けて本当に……ごめんなさい」
レジから出て来た環は、
苗の目をしっかりと見てから長く頭を下げた。
苗「・・・。
にゃ〜ぁ♪みゃあみゃあ!!にゃ〜あ♡」
環「許してくれるの?
みゃあ〜!みゃっあみゃあ♪♪♪(苗)
はあ☆ありがとう。苗ちゃん(涙)」
尻尾をユラユラと揺らしながら
環のお膝の上で伸び〜んをし、顎を差し出した。
ニコニコ顔の苗の顔を見て
またまた目に♡が浮かび、顎の下を撫でた。
苗「ゴロゴロゴロゴロ」
環「うふふ、苗ちゃんはとっても良い子ですね。
物分かりも良くて、
何喋ってるかは私には勘でしか分からないけれど
心配してくれてありがとうねぇ♡♡♡」
苗「ゴロゴロゴロ、みゃあ〜!!(高い声)」
環「そっか、そっか♪」
苗が環の膝の中で丸くなった途端に
外から耳慣れない音を聞いて
すぐ苗と環が同じタイミングで気付く。
2人「……っ!」
環「苗ちゃん♡
しばらくばぁやさんの側に居てあげて
私は、まだ仕事しなくちゃいけない時間だから」
苗「・・・。にゃあっ!にゃにゃあにゃ〜♪」
猫が通れるペットドアの取っ手を摘み、
開けてあげると苗は、スッと入り込んで行った。
レジからでも外の様子がはっきりと見えており、
掃き出し窓付近で4人の内、1人が立ち止まり
お店の看板を眺めていた。
蘭「・・・ハッ!
ねぇ皆んな私、このお店見に行きたい!!
行っても良いかな☆いい?!
えっ、あぁ…はい。どうぞ(日向)
わぁ〜い、ありがと♡♡♡」
友理「私も行ってみたいな♪行っても来ても良い?
ど、どうぞ……(2人)
やった!蘭先輩、待って下さ〜い☆」
吸い込まれるように入って行った2人を横目に
電柱の側で雫と日向は、少々呆れていた。
雫「こんな場所に古着屋さんなんてあったんですね。
桑我町…私、初めて来ましたっ!?
今、気付いたんですね(日向)
・・・(恥)
え、えっと……そ、そうだ!!
話は変わりますが〜
あの夜の時、助けて頂きありがとうございました♪
早くお礼を言いたかったのですが、
新條先輩、忙しそうだったので。
また先輩に助けて貰っちゃって〜すみません(汗)」
日向「僕は、別で頼まれていただけで偶然ですよ。
でも無事、逃げられて良かったです♪
あっ、あ…ありがとうございます(赤面する雫)
ふん(笑顔)
それに助けられてばっかりなのは、僕の方ですよ。
……えっ?(雫)
あの事件が起きる前、合宿最終日の時に
千秋の事、初めて話したの覚えてます?
あ、はい!勿論です!!(緊張する雫)
あんな事、今まで人に話した事なかったんだ。
何でだろうね」
目のハイライトを揺らしながら
ゆっくりと青い空へと顔を上げて思わず、
口に笑みが溢れた。
雫「・・・♪」
日向「それでも僕は、
あの事件で千秋と出会えた事、後悔はしてないよ。
確かに、再開した時は敵同士だったから
あまり良い意味として捉えられないと思うけど
今こうして、千秋は僕の家で未だ居候してますが
千秋と出会ってなかったら、
きっと…僕はあのまま殺されてたと思うんです。
その相手の方、殺人という話でしたよね?(雫)
……うん。
あの時は、千秋が助けたお陰もあって
僕は今ここに居る…と思います。
だけど、それは悪く言えば
僕が助かったせいであの子は殺された。
それだけは、悪い事したなって
今でも後悔してます(汗)
でも、それはっ!(雫)
分かってます。
自分でも分かっているつもりです………けど、
殺されるのが…僕だったらって考えたら
僕は、この特別部隊に居たかなってぇ……(震)」
俯いた顔で小刻みに震え上がる日向と同時に
雫の目には、日向の体から出る負の感情、
青いオーラが纒わり付いていたのが見えた。
オーラを目視した雫は、咄嗟にこう口に出す。
雫「それが被害者の人でも新條先輩だったとしても
引き合わせてくれたのは、
間違いなく鈴木先輩のお陰で
特別部隊に入れたんですよね?!
一度、同じクラスだっただけの赤の他人でも
離れた後もずっと鈴木先輩は、
新條先輩の事を遠くから見守っていたからこそ
分かったものなんです。
結果が、どうだったかなんて
私には…そんなの関係ありません!!(涙)
……っ!(日向)
佐賀先輩がその時、助けてても助けなくても
私は、いずれ新條先輩と出会えたと思いますよ。
???(日向)
だって、私はもう…憧れの目線から
新條先輩の事が……心の底から好きでした!」
日向「んっ?(目パチ)
雪乃さんが、僕のこと………を???」
雫「……はい?
はわわ!?ごめんなさい!!すみません!(赤面)
あ、あのコレはそのち、違います違うんです?!
私……最近、他の方々を見ていると、どうしてか〜
[感情の色]が体に現れるようになってですね?!
私にもよく分からない力…のお陰で分かった訳で
新條先輩がその悲しそうな顔する……から
咄嗟に言っただけ…ですので。
決してやましい意味じゃないです、はいぃ(焦)
(ああぁぁぁぁぉぁ!?!!!!
私は、この期に及んで先輩に何を〜?!
何か言ってあげないと先輩が、
また私から距離を離しちゃうんじゃないかと思って
それで浮かんだ言葉が、
私の本音だ………ったあぁぁぁ!!
もう…恥ずかしい。恥ずかしいぃぃぃよ(涙)」
日向「・・・ありがとう、雪乃さん。
…ふぇ???(雫)
そんな風に言ってくれる人、初めてだよ。
そう思っても口に出す人はまず居ないと思うから
雪乃さんだけ…ですよ、そう言ってくれるの。
僕も凄く嬉しいです♪」
雫「……っ!
・・・。
す、好きなのは本当…です、よ?(照)」
カッーと赤くなった顔で
大きな瞳を日向から逸らしながら
雫は、そのままの気持ちを純粋に伝えた。
日向「……うん(照)
顔、見れば僕でも分かりますよ」
雫「………はあ♪はいっ!」
まだまだぎこちない2人ではあるが、
お互い満更でもない顔で
そっぽ向く表情はどこか嬉しそうだった。
日向「そういえば、これで良かったんですか?
何が…です???(点目な雫)
分かってますよね……(ジト目な日向)
始業式早々に起こった事、これで果たせてます?」
雫「はい、私はこれで大丈夫です!!
だって[特別部隊の皆さんと出掛ける事]、
それが私の願いですから♪」
日向「・・・(照)」
雫「……それと先程から気になっていたのですが、
誠也さんはなぜ、不在なのでしょうか???」
日向「あぁーアイツなら今、[地獄]ですよ。
・・・えっ?ど、どういう事ですか?!(焦る雫)
お、落ち着いて下さい!
地獄…と言っても誠也が何かやらかして
追放された訳じゃないんです(汗)
まず補足として、言っておきますけど〜
地獄と冥界は全くの別物というのはご存知ですか?
全くの…別物……???(点目な雫)
あ、分かってなそうな顔。
冥界はそもそも行き来可能な場所で無いですし、
行く度に忘れられるのは割りに合いませんから〜
誠也が地獄に行くのは、
月1くらいのペースでよくある事なんですよ。
冥界は、死した魂を集め制裁する場所で
逆に地獄は、[修練の間]として呼ばれており
修行もしくは凶悪妖怪を駆除するお仕事を担うのが、
地獄という場所なのです。
へぇ〜知りませんでした!?でも、何故???(雫)
雪乃さんもご存知の通り、
誠也の攻撃方法はどれも威力の高いものばかりで
本人も加減が難しく破損する事が多くてですね。
その破損額を部費で補っていたんです(汗)
部費…ですか???それで足りてます?(雫)
……ご察しの通り、全然足りてません。
そもそも雄鬼さんがこの話を持ち掛けて来たのは、
僕らが2学年に上がった時ですから
学校から支給される部費は、
1年の内に全部使い果たしちゃいましたから。
それまた、どうしてですか?(雫)
・・・。
誠也がやりたい放題、暴れ回った事で
閻魔騎士から毎月のように送られて来る被害請求を
理事長が一時的にストップしてくれたんです。
許可を下ろして貰った[特別部隊]と僕らが学生って
いう事でその時は、多めに見て貰ったんですが。
今もマシにはなって来たものの
気を抜けば、すぐに破壊する誠也ですけど
その時は本当に踏んだり蹴ったりでしたよ(汗)
制御が出来ない、勉強しない、バカな短気でね〜
ひ、酷い……事実ですが(雫)
段々と破壊するものが多くなって来て
何にでも限度があるっていうけど、
誠也はお構いなし…だったよ。
だから……昔も今も誠也は、嫌いなんです」
声色を低くかなり怒った表情で睨み、
思わず雫もギョッとする。
日向「その分の返済を全て、誠也に任せた事で
今でも特別部隊は活動を継続されていると思います。
その仕事は、ほぼ肉体労働っていう話でしたので
力の弱い僕ら2人には難しいという事で
誠也に白羽の矢が立った。
そんな感じです」
雫「そ、その〜
非常に申し訳づらいのですが、
鈴木先輩は、どう思っているんでしょうか?
やっぱり………うーん(焦)」
日向「かなりお怒りだと思いますよ。
この部活を立ち上げたいって言い出したのは、
間違えなく鈴木さん自身が望んだ事ですから
どう思ったかは、正確には分かりません
が、その当時と今を比べて
随分と2人の仲は悪かったです。
今が大分、落ち着いた………
丁度、雪乃さん達が来てくれたお陰で、ね♪」
雫「……っ!
状況的には凄く不謹慎ではありますが、
私はとても嬉しいです。
たったそれだけで先輩方のお力になれているのなら
私としては願ってもない事です☆
少しでも変化が付いている…という
情報が聞けただけで
それは、良い機会が訪れるかもしれませんね♡」
日向「そうなると、良いですけどね(汗)」
深刻な話が終わった直後、
噂をすれば後ろから蘭だけが走って来たのだ。
蘭「お待たせ〜2人共っ!!はぁ…はぁ……
んっ?………げっ!?(2人)
ここの古着屋さん、品揃えが良くて
つい……つい買い過ぎちゃった☆☆☆」
雫「買い過ぎちゃった、じゃないですよ?!
何ですか、その量はっ!?!!!!」
と言うのもお店に入る前の蘭は、
焦茶色のポシェットだけだったのが
今では、両手いっぱいに大小違う紙袋を
腕に下げていたのだ。
かなりご満悦な顔で顔のツヤがより引き立つ。
日向「その〜…良かった……ですね(汗)
でしょでしょ♡♡♡(蘭)
は、はい……(引き気味)」
雫「あれ???
林堂さんは、一緒じゃないんですね。
中でお会いましたか?」
蘭「えぇ、ちゃんと会っているわ。
友理ちゃんは、
このお店の店主らしいお婆さんと
猫又〜……猫ちゃんと一緒だったわよ」
雫「へぇ〜この町にも飼われてる人が、
既にいらっしゃるんですね。
私の知り合いにもボチボチ居ましたが〜」
蘭「先日、猫又をペットにして良いって
ニュースになる前から
店員さんがちょっと前に保護してたんですって♪
なるほど、訳あり…なんですね(日向)
私、三毛猫ちゃん初めて、見ちゃったよ☆」
日向「……そうーですか(真顔)」
雫「それにしても遅いですね、林堂さん。
何してるんでしょうか?」
友理「ごめーーーん!
お婆ちゃんの話に付き合ってたら
何だか遅くなっちゃった(汗)」
蘭「えっ?
私が見た時は、店員さんに止められてたじゃない」
友理「うん!!
確かに蘭先輩が、居た時は止められてたよ。
でもお婆ちゃんも
久々に他の人とも話したかったみたいで
少し話し相手になってたんだ♪」
蘭「そうなの?
それじゃあ、ここで立ち話をするのも
このお店のご迷惑にもなりかねませんから
少し離れましょうか。
この町を抜けると由賀町と言って
私の行きつけの喫茶店がありますので
そこでお話するのは、どうでしょうか?」
日向「僕はこの後、予定はありますが
4時くらいまでなら平気です」
雫「私は、何もありませんので大丈夫ですよ」
友理「私もっ!
この間の事で蘭先輩に少し言い過ぎちゃったから
それで迷惑を掛けたお詫びとして
蘭先輩に、渡したいものがあるんです」
蘭「べ、別に良いのにぃ〜〜〜(焦)」
日向「受け入れても良いんじゃないですか♪
鈴木さんも自分に何か響くものはあったんですから」
蘭「もう日向くんまで〜……分かりました!
友理ちゃんとは、また後で話聞いてあげるから
とにかく先に喫茶店に行きましょ!!」
2人「は〜〜〜い」
日向「うん」
店内では・・・
環「スゥ〜………はぁ。
(カタッ)
い、いいい今のお客さん……
じゅ、10万も払ったんだけど?!!!!!
古着屋さんで嘘でしょおぉぉぉ!?
最近、古着の物価も
更に高くなって来てるっていうのに凄い。
ばぁやさんのお店でも高くても8千円くらいだし、
それでも安いんだけどね(汗)
スゥ〜………数え間違いじゃないよね???
もう1回、一、十……万だ。
本当に10万なの嘘でしょおぉぉぉ!?」
苗「にゃあ〜ぁ?にゃあ♡ゴロゴロゴロ」
環「あ、苗ちゃん。騒がしかった…かな(焦)
みゃ〜ぉ???(苗)
えっ?あぁ〜……ちょっとさっきのお客さんで
ふと…あ、いや沢山買ってくれる人が居てね〜
今その集計してて……あはは(汗)ごめんねぇ」
苗「にゃ〜ぁにゃあんにゃ」
環「(そうなんだって聞こえた…ような〜?)
あっ、そろそろお店も閉める時間だから
苗ちゃんは、もう少し待っててね!
後で美味しいご飯、持っていくから♪」
苗「にゃあ☆にゃにゃあ〜ん!!」
環「は〜い♡♡♡」
その日の夕方・・・
お店を閉めた環は、
自分の部屋である屋根裏部屋へと戻り
机に向かって何やらノートに記入しているようだ。
お風呂上がりのように環の髪が解かれており、
髪の長さは床にまで伸びていた。
環「今日みたいな人が定期的に現れる事で
生計を立てられて来たんだろうな、ばぁやさんも。
また、明日も…頑張らないとだね♪
私が居なくなった後も
ばぁやさんが安心して暮らせるように
今は、沢山お金を稼いで私が養ってあげたい!!
(・・・。
とまぁ、これが[前澤 環]という1人の人間であり
本当の私は、四大妖怪の1人[玉藻前]。
前澤 環とは、
皆の注目を浴びる程の理想的な人物を演じる事で
町の人達を意のままに操る架空の人格に過ぎん。
ばぁやさんに拾われるよう仕向けたのも
私自身で考えた事だ。
[拾われ子]と言う設定は、非常に便利でな〜
信頼をゼロから引き上げる為の行程の1つであり
お店に勤める事でこの町の人達から信頼を得られ、
働く意欲のある新人として誰にでも愛される存在に
なるのは時間の問題だった。
そして、最後まで騙された人も妖怪も……
全ての魂を食らうのが私のやり方♡
結局は、騙された人ほど上手い魂はないんさ♪
心優しい婆さんだからこそ、
その人が持つ心情を掴むのは
手に取るように容易かったわい。
日頃からお店を継いでくれる良い人材を
町でも…はたまた街の外からでも探し出そうと
必死で頑張る姿を見てきた。
けれど、それも今では自分の足ですら
探す事も出来ず歩く事もままならなくなった。
そんな時に運命……いや、まさか人工的に起こした
奇跡の罠に掛かったあの人はっ!!(笑)
探し求めていた人は、
仕事熱心で意欲も高く評価され
町の人とも交流深く一定の信頼を得ている状態で
こんな人材を欲しがらない奴が居るもんか!
あくまで私が演じる[前澤 環]という人間は、
ばぁやさんには、かなりの恩義を感じており
必死に養おうと頑張る働き者と言った
想像上の人物でしかないのだからっ!!
クックックッ(笑)
アンタの命は、もはや私の手の中にある!
あまり私の気分を損ねない事ねぇ、ばぁやさん♡
ただ残念な事に私が魂を奪ったからとはいえ、
その相手を殺している範疇には入らない。
あくまで、手中に納めただけに過ぎんからな〜
記憶には根強く残る。
私が食らわない限り、私が潜んで居る限り、
ばぁやさんの命を取れば私がすぐにでも疑われる。
………んまぁ、そん時はそん時さ♪)
ふぅ…気晴らしに散歩でもして来るかいなぁ」
と屋根裏部屋の壁に付けられた内窓を
ガラッと開けた玉藻前は、
窓の外へと町の上空を飛び出し柄谷町から離れた。
羽田市・・・
日は落ち、辺りが暗くなって来た頃、
雫は蘭達と別れて
大急ぎでマンションへと向かって行く。
雫「はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…
こんなに遅くなるとは思いもしませんでした(汗)
やはり、この後の予定は無くともあるって
ちゃんと言わないとですね。
じゃないと今日みたいに遅くなりそう………
はぁ……はぁ…無理に急ぐのも良くないですね。
今の私ではよく分かりませんが
近々、良くない何かが起こりそうでなぜか心配です。
何も……無ければ良いのですが〜………」
長い距離を走った所でようやく止まり息を整えながら
雫が次に足を前に出した時だった。
背後から迫る得体の知れない気配に思わず、
振り返ってしまう。
が、何も居なかったのだ。
雫「んっ?
何…でしょうか、この不思議な気配は???
うーーーん……うーん。帰ろうかな」
謎の気配を感じ取った雫は、
辺りをキョロキョロと後ろを見回しながら
念の為、妖気ドームを立てて歩いていく。
歩いて数歩くらいで
やっとマンションの建物が見えて来て
安心したのも束の間だった。
背後から赤い着物の裾と色白い手に赤い爪、
雫の背中に手を伸ばした時には
その場から雫の姿が忽然と消えていたのだ。
翌朝・・・
男性「えぇ、続いてのニュースです!!
現在、関東地方で立て続けに起こっている
失踪事件についてですが被害が減るどころか、
今月に入って既に600件をも被害が出ております。
消えた被害者のご家族からは、
失踪する前の情報としては違うようですが
栃木県の阿賀末町に住む女子高生は、
日帰り旅行から帰って来て
早々、部屋から居なくなった事が分かっています。
それから群馬県の菅原区に住む会社員の男性は、
奥さんからはいつも定時ぴったりに帰宅するようで
1日たりともメールのやり取りを疎かにする人では
無いともおっしゃられていました。
この事件について、閻魔騎士は〜………」
男子「ま〜た、この手の事件ばっかかよ。
平和になったと思ったらすぐ、これだ〜
どうにか何ねぇのか?……うーん」
どこかの家に住む男子中学生は、
制服姿で広々としたリビングにテーブルの横で
溜め息を吐きながらネクタイを締める。
外から入り込む日差しと涼しい風が
朝ご飯の良い匂いを運んでくる。
テーブルに配置された出来立てご飯を見るなり、
何やら不満げな顔でリモコンを持ち、
お風呂場に居る母親に大きな声でこう言ったのだ。
男子「ねぇ、お母さ〜ん!
またジャムが見当たらないんだけど、
いつもどこに仕舞ってるんだよ?!」
とこの呼び掛けに対しすぐに反応した母親が、
赤いジャムを手に持って現れたのだ。
母親「ごめ〜ん(汗)
洗面台のハンドソープと
一緒に置き間違えてたみたいで……ってあら?
拓馬?どこに行ったの拓馬???」
そこには、拓馬と呼ばれる男子中学生が
リビングに居らず付けっぱなしのテレビと
床に不自然に落ちたリモコンだけが目に入った。
母親「んっ?
たく…ま?拓馬〜!(玄関)拓馬ったら!!(部屋)
全然、見当たらない。
トイレに引き籠ってる訳じゃないし、
あ、そうだわ(焦)
スマホに電話を掛けたら
音で場所が分かるかもしれない!!
………ブー、ブー、ブー・・・
んっ?
あらまー…テーブルの上に置いてあったわ。
スマホもそのまんま、まだ居るのかしら?
でも、さっきリビングから声が〜…(汗)
流石に…学校に行くにしてもまだ時間が早過ぎるわ。
一体、どこに居るの拓馬???」
母親が溜め息を深く吐いた所で
電源が付いたままのテレビがこう続けた。
男性「このように何らかのトラブルで
帰って来ない人または、
さっきまで居た人が突然、姿を消した場合は
速やかに500当番をお願いします!
今回の失踪事件につきましては、
閻魔騎士と特殊部隊で特殊捜査チームを組み
今夜、関東地方全土に夜間警備が行われるそうです。
専門家からは2つの別組織が手を組まれるのは、
約20年ぶりのようだと驚いておりました」
女性「20年ぶりとなると、
四大妖怪の天狗様と河童様の衝突した年でしたね。
あの時は、私も驚きましたよ!!」
男性2「そうですね、あの年は色々ありました。
がまぁ……その話は、置いといてですね〜
このテレビをご覧の皆様は、
くれぐれも閻魔騎士の人達の邪魔にならないよう
早めに帰宅するようご協力お願いします。
以上、ニュースでした」
母親「た、たた大変だわ!?(汗)
とりあえず、お父さんに連絡してぇ〜
それからあぁー…大変っ!!どうしましょ(焦)」
学校にて・・・
2階フロアの階段を丁度、登り終えた日向は
B組の教室までスタスタと歩いていると
もう1人、階段から上がって来た。
日向を見つけるなり、
とてつもない速さで廊下を駆けて行く。
ダッダッダッと床を叩くように音を立てて
「ひゅーうーーがーーー!!!!!!」と叫びながら
前足を日向の肩に掛け、
上半身だけが後ろに少し仰け反られている状態。
日向「ちょ、ちょちょっと!?
落ち着いて陸、後ろに倒れちゃうから!(汗)」
陸「ぎゅうぅぅぅ〜♡♡♡
日向、日向☆おはよう♪
だからぁ〜……日向だってば!!(日向)
グリグリグリ♡
それ、やめてぇ(焦る日向)
う〜〜〜ん♪あっ!ねぇ日向、昼休み!!
昼休み中庭に来て、お願い☆
何で???(日向)
いい絶対だからね?じゃあ、またっ!!」
と言っていつにもなくキリッとした目で
嵐のように去っていったのだった。
日向「あ、んっ?(汗)」
瞳「おはよう、新條くん。
どうしたのこんな所に突っ立って?
あ、いや。ちょっと…ううん。何でもない(日向)
そう???それじゃあ一緒に行きましょう♪」
日向「……う、うん」
ニコニコ顔で教室へ向かう瞳と
頭の上に「?」を浮かべながら仕方なく
歩いていく日向であった。
その2人の後ろには、
なぜか2年生フロアまで付いて来た恋花が居た。
奏太「だからここ2階だから、さっさと帰れよ!
良いじゃ〜ん、もう少し居ても♪(恋花)
誰かに見られると面倒だからとっとと帰れ!!
今すぐ帰るんだ」
帰れと言わんばかりに階段を強く指差す奏太。
恋花「…ムッ!奏太のケチ!!!!!!
ケチケチケチケチケーーーチッ!
少しくらい居ても良いじゃーん。
ようやく皆んなの暮らしがまとまって来たんだから
奏太と一緒に居たいのぉ〜やだ!やだやだ!!」
奏太「あぁーもう、分かったから昼休み!
屋上で飯、一緒で良いから……!!
ホント☆☆☆やったーーー♪(恋花)
あっ、やっぱなs………
じゃあ約束だよ、奏太♡(恋花)
・・・っ(汗)
まった後でね〜♪」
左手をブンブン振り回してから
ルンルン気分で階段を降りて行った。
奏太「……ヤッベ、とんでもない約束しちまった(焦)
恋花を帰らせる為に行った口実が、良からぬ方にぃ。
自分で言っといて、何だけどー………
まぁいっか。
口に出した事は、
これから素直に言おうって決めたしな(汗)
……って、あっ!?日向、逃した………ガックシ」
普通にショックを受ける奏太であった。
昼休み・・・
恋花「でね、でね!!
友理ちゃんのお陰で私達、猫又は救われたんだよ☆
私もまさか野良猫をペットにするなんて
発想、思い付かなかったと思うんだよね♪
確かにそうどすね(百)
でしょでしょ〜♡♡♡」
駒「私もそういった想像力というものを
出来れば、働かせてみたいです!!」
恋花「あぁ〜それ、良い提案かも♪
想像力かぁ〜妖力の流れを意識するみたいな?
それは少し違うよ〜うな…(駒)
うーん、ちょっと難しいかも。
あっ!そうだ。
ねぇねぇ、友理ちゃんは
どうやってペットにするって発想が思い付いたの☆」
花梨「それ、私も気になります☆」
百「うちにも教えて欲しいわぁ〜」
途端に3人が目をキラキラさせて騒がしくなるも
窓の外を眺めていた友理の目はどこか儚く
恋花達の質問ですら気付いていなかったのだ。
駒「友理さん???」
友理「・・・んっ?あっ、何か言ってた?
ちょっとボッーとしてて全然、話聞いてなかったよ。
ごめん、何々♪」
恋花「えっと〜……(汗)
カクカクシカジカ・・・
そんな事???普通だよ(友理)
普通じゃないから聞いてんじゃん!」
友理「うーん、だって変だと思わない?
同じ野良出身なのに化け犬は自然と飼われて
猫又だけは、駆除されるって話。
確かにそうですね〜…(花梨)
それに、どの文献を読んでも
きっかけもなく飼われてたんだよ!!
あり得ないと思わない?!
ええぇぇぇ!?(駒と恋花)
でもそれも今じゃ、
猫又もペットとして迎え入れる人も居れば
この学校に通う為に目指す子まで出来た。
なんだかんだ言って
これから楽しい時間が過ごせるんじゃないかな☆」
恋花「うん。
それに関しては、
本当にありがとうの気持ちしかないよ!
友理ちゃんが手伝ってくれて
桜ちゃんを説得というか話してくれた、お陰(涙)
そういえば、住処はどうしたんどす?(百)
あぁ〜それなんだけどね☆
実は学校に通いたい子達には、
今私が住んでる住宅地のままにして貰ったんだ☆
後から閻魔騎士さんにお願いしたら
駆除騒動の時のお詫びも兼ねて
特別に許可下ろしてくれたの!!
[それで立ち入り禁止区域の住宅街は、
猫又の住処として承認してくれたんだ〜!
勿論、そこは立ち入り禁止区域のままだし
世間には公表されてない情報だから
ここだけの話だよ〜皆んな(小声)]」
一同「わぁ〜い♪♪♪」
百「そうなんどす?
そりゃ残念やわぁ〜
うちら海底出身の種族だと飼えへん言うて
水漏れなんて心配、無いんのに
なぁ、花梨ちゃんもそう思わんか?
えっ!?私ですかっ?!(花梨)
誰やと思ってたんどす???
え、いや…そうじゃなくてですね……(花梨)
・・・?
まぁ、とにかく猫又を一目会って見たかったんよ♪」
恋花「それなら私から友理ちゃん家に
何匹か連れて行こうか?
えっ???(友理)
ほんまどすか?!嬉しいわぁ♡♡♡(百)
それならすぐにでも取り掛かれると思うよ!!
仁川市周辺とか隣町とかにも連れて行きたいから〜
ていうか……ち、近いよハクちゃん(引き気味)
おおきに、恋花ちゃん♪(百)
・・・(照)
そ、それからあの事件の後、
皆んなでミケちゃんを探したんだけど〜
まだ見つかって無くてさぁ(汗)
皆んなと別れる前に
もう一度、会わせたかったんだけど、
どこか良い人に気に入られて
住み着いてるんじゃないかなって
勝手に自分で言い聞かせてるんだ……」
花梨「・・・。
じゃあその子も
きっと、どこかで幸せを掴んでるんじゃないかな?
大丈夫…また、すぐに会えるよ♪」
恋花「花梨……?(驚)
う、うん(照)ありがとう。
私、友理ちゃんがこうしてくれたように
他の人達の役に立とうかなって思ってるんだ!!
正直、その事件の時って
私自身、何も出来て無いと思ってたからさ
これから自分の手で誰かを助けて見たいの☆
久龍先輩には最初から敵わない事、
知ってたから諦めてたけど
今度は、自信を持って力を付ける事にするよ♪」
花梨「うん、そうしよう」
友理「そうだね!
恋花さん、私も同じ目標だから一緒に頑張ろう」
恋花「そっか〜そっか〜♡♡♡」
と前向きな事を言っている割りには、
花梨の表情は暗く自信を失ったかのような顔だった。
逆に花梨とは対照的に
友理は、明るく目を光らせると恋花が叫んだ。
恋花「あーっ!?
えっ、何?何々???(駒)
奏太と約束したのに忘れてたっ!!!!!!
ごめん、ごめんごめん。
私、行って来るにゃあぁぉぁ!!(焦)」
ガタン!バタン!!ガッシャーン!!!・・・
先生「こらー!
廊下は、走る場所じゃないんぞ!!(怒)」
駒「・・・(汗)
だ、大丈夫でしょうか?
クスッ…うふっふ(ツボる百)
朝比奈さん!?!!!!」
百「はぁーっ……ホント、オモロい人達やわぁ〜
楽しくて毎日が退屈せんわ♡」
目の下に出来た涙の雫を人差し指でそっと拭い、
腹抱えて笑っていた。
駒「え???えぇ〜?(焦)」
屋上・・・
パステルオレンジのシートの上で後ろに傾いた体、
お尻周りに手を立てて
足だけが大きく開いた姿勢で座っている。
雲一つ無い大空を眺めながら奏太は、
こう口にする。
奏太「アイツ、ぜってぇ忘れてやがるな(真顔)
家に帰ったら[爪切りの刑]にするか。
(陸の奴、ある人に大事な話があるとか何とか
今日は無理って言ってたな。
誰なんだ?ソイツ……(嫉妬)」
中庭にて・・・
日向「うぅ〜…(汗)
どうしたの日向(陸)
なんか、良くない感情が向けられた気がする。
んっ?(陸)
それで話って何、陸???」
そう日向が陸に尋ねると顔をなぞるように汗が流れ、
真面目な顔付きで息を呑む。
陸「・・・(汗)
日向、さ…先に謝らせて!
えっ?どういう……こと???(日向)
じ、実は今日の朝さ〜
日向が…日向が出て来て
その〜………(涙)
はぁっ…はぁっ……[消えちゃう]かもしれないっ!!」
日向「そう…なんだ(驚)
うーん。そっか、そうだよね」
陸が口にしたのは、
予言にまつわる事だというのに日向は驚きつつも
自分の中で納得してしまったようだった。
疑問に思った陸は、地面から目線を離し
目の前に立っている日向を見た。
陸「えっ!?
な、何で……何でそんなに冷静なの?!(焦)
もっと心配とか怖いとか思うでしょ!
だって消えちゃうんだよ。消えちゃうのにっ!」
勇気を持って奏太抜きで1人で伝えに来たのは、
日向を純粋に助けたい気持ちでいっぱいだったのだ。
すると、日向はこう口にする。
日向「そうだね(優しい声)
確かに、怖くないと言ったら嘘になるかも。
だったら…(涙する陸)
でも僕、思うんだよね。
僕がこうして[幸せ]な気分に浸っていると
必ず、何か起こるって事がさ
これで分かった……気がする。
あっ………(陸)
だから僕は、千秋が導いてくれた通り
陸達以外にはあまり人と干渉しないよう
ずっと生きてきた…つもりだった(後ろを向く)
でも、こんな僕でも真剣に見ていてくれる人や
自分の意思を強く持った子にも巡り出会えた。
……あの時から僕は、ちゃんと変われてるのかな?」
再び陸の居る前を振る向くと日向は、
薄陽を浴びながら朗らかな笑顔を見せていた。
陸「……っ!
うん、うん☆ちゃんと変われてるよ日向♪
名前を間違ってなければ、良かったのに(日向)
んっ???
で、でもこっちの言い分も聞いて!!
嫌な思いしてるのは、日向だけじゃないんだよ!
僕だって、皆んなより早く起こり得る予言を
知ってるだけで自分じゃ何も出来ないしぃ、
止めたくても止める方法が分からないんだもん(汗)
そこが一番、重要だって言うのにぃ…(日向)
そんな時に日向と出会えたんだよ!!
それからは、僕も落ち着いて対処できるように
予言の止め方や予言の見る方法だって
最近では、コツを掴めて来たんだ☆
褒めて欲しそうな顔してる(小声の日向)
でも前に猫又の事件みたいなので
奏太は、死んじゃう運命だったんだよ!!
……っ!?(日向)
奏太からは、日向には内緒にして欲しいって
言ってたけど、今回は約束できない!
だって、だってぇ………(涙)
次は日向が居なくなるかもしれないなんて
そんなの……無視できないもん!!」
日向「(奏太もあの時、陸の予言は伝わっていた。
けれど、それでも恋花さんっていう人
もしくは猫の為だったなら
死ぬ事なんて覚悟の上で言っていた…?!
あの後、奏太とは普通に連絡も取れてたから
消えた訳じゃないと………思う。
青石先輩は、
最初から殺す気が無かったとしか考えられない。
特殊部隊の事情は、僕も少しだけ耳にした事がある。
[意味の無い殺しはしない]と……
それがホントなら
奏太は、殺される未来じゃなかった。
逆に今回は〜………)
陸、聞きたいんだけど
僕が消えるのはいつだか分かる?
分かる範囲で良いんだけど。
(これ次第では、対策の使用はある、が……)」
陸「うん!
それならとっくに把握してるよ。
奏太と違って日向は、
僕にとって特別な存在だから授業すっぽかしてでも
沢山寝れたから準備は万全だよ☆☆☆(ドヤ顔)
えっ、それって…別の意味で大丈夫なの?(日向)
大丈夫、補習って言われたから!!
悪い方の開き直りだ……先が思いやられる(日向)
それでね、それでね♪あっ、喜んじゃ駄目だった!
日向が消えるのは………
ゴクリ(日向)
[今夜]だよ!!
……っ!うーん、まさかそんなに早いとは(日向)
だから今日の夜は、ぜ〜〜〜ったいに出掛けたり
外に行くのは駄目だからね!」
日向「別に、外に行く理由は無いと思うけど〜
まぁ陸の予言は運命を変えない限りは、
ほぼ確実に当たる。
僕の場合、消える意味にもよるけど(片目閉じ)
それなんだけどさ、いくつか情報あるよ♪(陸)
んっ?それって何???」
陸「えっとね、僕は三多田市から出た事ないから
分からないけど多分、ここの近くだと思うよ!
景色的にも住宅街の中で[大人]の女の人だった。
女性…?他には周りに人が居るとか(日向)
ま、周り……はちょっと分からない。
でもその女の人の特徴は赤い着物を着ていて、
魔女?みたいな白い肌で赤い爪とか付けてたよ!!
もう少し日向に情報を落としたい所なんだけど、
僕の目じゃとてもじゃないけど
よく見えなかったんだ。
何度も見ようとしたのにぃ…う〜ん(汗)」
日向「ううん。
そんな事ないよ!十分、役に立っててるし、
陸も僕の為に頑張ってくれてありがとう♪」
陸「はあ☆
やっぱり日向、だーい好き!!
ぎゅうぅぅぅ〜♡♡♡
ちょっと陸、少し離れてよ(日向)
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!
折角、奏太を置いて1人で来たんだもん。
日向と少しでも長く一緒に居たい♪」
日向「んんっ?どうして???
奏太も連れてくれば、良かったんじゃない?」
と言うと陸は、必死に頭を横にブンブン振り回して
ベンチに座らせた日向を逃さないように
後ろ足は地面に前足は、ベンチの背もたれに掛ける。
陸「それじゃあ日向を独り占め…出来ない、よ!!
日向は、奏太と違って本当に特別なの!
何も出来ないけど、一緒に居るだけなら出来るよ☆
……なのに予言を見た張本人が、
今日に限って用事が入ってるんだもーん。
だから今だけは、一緒に居させて…ダメ?(涙)
・・・陸。うん、それなら良いよ(日向)
はあ♡
ホントに!?ホントに良いの!!
やった〜♪
えへへ、これで奏太より一歩リードだね!
どういう事?(日向)
うふふ、何でな〜〜〜い☆
日向。
んっ?(日向)
僕との約束、絶対守ってね!!」
日向「……うん、分かったよ。
絶対だよ、絶対の絶対♡♡♡(陸)
分かった分かったから!
それと陸、ドサクサに紛れて耳舐めないでくれる?」
陸「んっ???」
嬉しさのあまり
無意識の内に日向の耳をはみはみする。
陸「んーんっ!もぐもぐもぐ」
日向(こ、これは……無理か、も。
流石にぃ誠也とか千秋以外には
あの技は使えないし、今回は多めにみよう(汗)
相手は陸だし、気が済むまで付き合うよ。
それと大勢、変えちゃ…駄目?!)
陸「ふっふふ〜ん♪日向〜日向」
日向「・・・。
もう、良いよ(汗)好きにして……はぁ」
日向は観念したのか、両手を低く上げて
お手上げというポーズを取っていた。
放課後・・・
下駄箱前で自分の場所をなぞりながら
日向は、何か思う事があった。
だが、それを頭の中で起こす事をやめて
顔を横に振ると目のハイライトを揺らし、
玄関口を後にする。
前まではチャイムが鳴っても
オレンジ色の空だったが、
今では5時半で暗くこの日は曇った紫色の空。
高等部の校舎と中等部の校舎を抜けて
1人校門のレールを超えたとこだった。
その瞬間、背中をバッと強く叩かれ、
カタカタした動きから後ろを睨み付けると
そこには、誠也と少し離れた場所から
走って来る蘭が居た。
蘭「はぁ…はぁ……誠也…足、早過ぎるよ(汗)
少し待って……はぁ…はぁ。
いや〜それ程でも!(誠也)
褒めてないわよ!!もう〜……」
誠也「ニヒッ☆
だって丁度、良い所に日向が居たもんだから
引き止めようと思ってさ(笑顔)」
日向「人を引き止めるような力じゃないって
いつもいつもぉ(怒)」
誠也「別に利き手でやった訳じゃないし〜
そんなに強いか?普通じゃね???
誠也の普通がおかしいんだよ!(日向)
うーん?
お前の防御力が弱いからじゃね。
グサッ!!なに、僕の力が弱いから?(日向)
いやー別にそこまでは、言ってねぇけど………
(コイツのNGワードって[弱い]だろ(焦)
何かと力に持ち込む思考やめれば、良いものを……)
それよりも日向っ!この後、予定あるか♪
話を逸らすな…って、急に何???(冷静な日向)
いや、なんか今さ〜
連続失踪事件だとかニュース見てばっかじゃん?
しかも今晩、
仁川市にも閻魔騎士の警備も来る訳だし、
俺らも内緒で夜間パトロールしようと思ってよ☆」
日向「そういうのは、専門に任せれば良いんじゃ……
今日から閻魔騎士も特殊部隊が始めるっていうのに。
ていうか…何で?」
誠也「そりゃ〜♪
手柄を横取りしたいからに決まってんだろ!!
………秘密とは?!(日向)
だからさ、日向にも手伝って欲しいんだ☆
今すぐにでも行こうぜ!
ここ最近はさ、友理達ばっかり動いててよ〜
2人が来る前の俺らの実績が、
沈みつつある気がするんだ。
そこでだ!!
折角、特殊部隊も加わって協力してるんだし
俺らも手伝えるんじゃないかってさ♪
見つかった時は、特殊部隊から要請がとか何とか
適当に言って調べられるだろう?
なぁ、めちゃくちゃ良い考えだと思わないか?!」
日向「……そ、それは〜相変わらずノープランだな」
蘭「うんうん☆
久しぶりの部活って感じがして私も大賛成でさ〜
凄く良いと思うんだよね♪
叱られる覚悟で私も行ってみたくなっちゃって〜
どうせだったら日向くんも誘えたら
良いよねって話になって♡(ワクワク)」
日向「す、鈴木さん……までぇ〜(汗)
気持ちは凄く有り難いんだけど
僕、今日は大事な予定があるから今回は、パスで。
(まっ、まずい(焦)
この2人のペースにまた巻き込まれれば最後、
もう後には戻れなくなる!
やると決めた時の威勢だけは無駄に良いのに〜
それを、部活に活かして欲しいくらいだよ。
そもそも力が増し過ぎて誠也に持ってかれると
目的地に着くまで拘束されて
普通に逃げられなくするし、
シンプルに話聞かないし論外だった。
鈴木さんは鈴木さんでこのテンションを否定すると
しばらく部長としての機能が停止するらしく
完全に空気に徹してた時期が〜………(汗)
こうして気分次第で動いている部活は、
パトロールだけは怠らない人達の集まりだ。
積極的に動いてる後輩を見習って欲しいよ(ジト目)」
誠也「なぁ日向は、どうする☆☆☆
本当はさ、俺と蘭だけでやっても良いんだけど〜
さっきも言ったが、
後輩ばっかりに手柄を取られるのもなんか癪だ。
先輩の意地として、もう一度やってみようぜ(笑)
久しぶりに俺らだけでこの事件を解決しねぇか!!」
ワクワクキラキラした眼差しで
日向を見つめて来る2人に対して、
自分の命が掛かっている事実を
突き付けられた気分だった。
日向は、無性に腹が立ったが平静さを装いつつも
2人に正確な詳細を言うよりも先に口が動いていた。
日向「・・・。
悪いんだけどさ、今回は参加…出来ないんだ!
また、2人の都合1つで動いて結果が出た事って
片手で数えられるぐらいしか成功できていない。
そんな身勝手さや危うさがあるから
命取りになるっていうのに少しは自覚持てよ!!
僕は……はなから2人と協力する気なんて
更々無いし、参加もしない。
僕、なんかに話すよりも
2人で勝手にやれば良いじゃないか!
言いたい事はそれだけ。また、明日」
トコトコと早歩きで帰る日向の後ろ姿を
見つめつつ誠也は首を傾げて
蘭は、少し止まったがすぐに立て直し、
なぜかルンルン気分だった。
誠也「んだよ、面白くねぇな!!
ちょっとくらいリスク犯してでも
俺らで解決、出来るかもしれねぇ事件なんだぞ」
蘭「まぁまぁ、誠也。
日向くんも最近、忙しそうだから
今回は私達2人だけでやりましょう♪」
誠也「ちぇ、まぁ…仕方ねぇな。
な〜んかアイツの顔、
妙に強張ってるのが無性に気になるけど
んじゃあ、俺らで頑張るとしますかっ!
そうだね♪(蘭)
(んっ?
待てよ、アイツもしかして………)」
いつにもなく暗い夜空の下で
2人は歩き、妙に明るいテンションの蘭と
ちょっとした悪巧みに心を弾ませる誠也がいた。
その夜・・・
羽田市のマンション5階に住んでいる2人。
千秋は自分の部屋に、日向はキッチンに
夕飯を済ませ終えたのか絶賛、皿洗いをしていた。
ガチャガチャと音を鳴らしながら
広々としたシンクの上に置かれた水切りラックに
重ねる度に日向は、時計を見たりと繰り返す。
キッ!!・・・
日向「ふぅ〜……これで洗い物は全部かな♪
もう10時半過ぎ、
そろそろ千秋に話しても良い頃合いかな?
はぁ………(汗)
(なぜ、今になって
話を持ち掛けようとしているのかというと〜…
今日に限って帰りが遅く
帰って来て早々、千秋はお風呂に入る。
僕は僕で家に帰れば、
夕飯を作る為に何かと準備に取り掛かるし
食べるのは一緒だけど、
食事中はよっぽどじゃない限りは
普通に話さない事にしている。
そして食器洗いとか家事全般は、
僕が好き好んでやっているだけに過ぎない。
千秋に任せると多分、大変な事になるだろうし
それに、一人暮らしを始めた時から
ずっとやって来た事だから譲る気も無い。
だから千秋との自由時間は、
消灯までの時間と平日くらいかな。
ついでに、昼休みも………(嬉)
そんなこんなで僕は今、千秋の部屋に居る)」
千秋の部屋には、
日向の家と比べて家具が充実しており
黒灰色のベッドの上で仰向けの体勢で
漫画を読んでいた。
すると、いつの間にか部屋に入っていた
日向の存在に気付き、勢いよく漫画を閉じたのだ。
千秋「んっ?!
おま、いつ入って来たんだ…日向(汗)
ついさっきだけど?(日向)
はぁ〜………家だから落ち着くのは仕方ないが、
頼むから…俺の前では、姿を消さないでくれ」
日向「……っ!わ、分かってるよ(動揺)
(ど、どうしよう。
今更ながらちゃんと話せる時間を
約束だけでも作っておくべきだったって
今だけ後悔している。
最初の頃は、
僕がキッチンに立つ度に変に付いて来たり
部屋にまで勝手に入って来る始末。
1人になる時間が段々と少なくなっていった事を
きっかけに今のような形となった。
読書と寝るタイミングさえ、被らなければ
僕はそれで良いと…思っていたが、
まさか今になって、これが響くとは……?!(汗)
今更、何もせず部屋から立ち去るのも
なんか違うけど…やめた方が良いのかな。
いやいや、後になって何か起こってからじゃ
遅いから今、こうして話しに来たのに言葉が詰まる。
千秋になら、きっと上手く話せると思ってた。
何が来ても対策の予知もあるだろうし、
せめて、千秋を味方に引き入れたいんだ!!
・・・だけど、出来る事なら……
このまま千秋を…千秋だけは、巻き込みたくない(涙)
もし僕だけが消えるような事態になった時は、
その場に千秋が居れば
千秋にまで危害が加わる可能性だって
あるかもしれない!
いつもこうだ。
知り合いからは、よく頼まれる事が多く
ほんの些細な事でも僕を頼ってくれるのは嬉しい。
嬉しいから僕なりに出来る限りの事をするまで
だけど、いざ自分に降り掛かる
何か不都合な事が起これば、途端に頼りづらくなる。
これは、簡単に頼んでいい筈もなく
僕はそのどうしようもない状況下に
追い詰められている………)
千秋の部屋に入った日向はずっとだんまりで
しばらくの間、口を割らなかった。
いつになっても喋らない日向を不審に思い、
ベッドから床に足を付けた。
すると、日向は瞼を目一杯押し付けながら
服の裾を握り締める。
そんな顔を見た千秋は、
咄嗟に体が動き日向を自分に抱き寄せたのだ。
千秋「日向???
日向、一体…何があったんだ?
何があったのか、俺に……話してくれないか」
真っ直ぐな目で千秋は迫り、
日向が口を開くまでじっと目の前で待ち続けた。
日向「・・・分かったよ(汗)
千秋、落ち着いて聞いて欲しい。
実は僕…今日、陸にぃ……っ!!」
と勢いのままに日向が告発しようとした瞬間、
運悪くインターホーンが鳴ってしまったのだ。
2人が居る一面が真っ白になり、
かな〜り驚いた顔でフリーズしてから
3回くらい間隔開けでチャイムが鳴らされた。
千秋「はぁ………呆れた。俺が行って来るよ」
と言って千秋は、先に部屋を後にし
フリーズし続けていると我に返った日向は
急いで玄関へと向かった。
するとそこには、
千秋と扉前に見慣れた黒髪がこちらを見つめる。
日向「……げっ!
な、何で…ここに居るの???(焦)」
誠也「決まってんだろ!!
夜間パトロールしに行くんだよ☆」
日向「えぇー………って、
何でさっき聞いたのこっちの弁明はっ!?
それは、行きたいの間違いだろ♪(誠也)
どうやったらそんな思考になるのさっ!」
千秋「何しに来たんだ?(怒)
丁度、日向から大事な話をする最中に」
日向「し、嫉妬って怖い……」
誠也「んっ?ふん(笑)
もしかして、日向からまだ聞いてないのか???
何がだ…(千秋)
最近、また事件事件………ばっかでさ〜
釈然としねぇ事件が、
より多く目立つようになった気しないか?
それは、そうだな。ごもっともだ(千秋)
相槌は……しっかり打つんだね(日向)
そこで俺達、特別部隊がそういった未解決事件を
ボチボチ取り合って解決するのが、主な内容だ☆
そんでそのパトロールに日向を
借りる約束をしてたんだ!!(笑)」
千秋「そうなのか、日向?」
と虫を目で追うような目でじっと見つめてくる。
そんな返答に対し、
日向は必死に顔を横へブンブンと振り回す。
日向「そういう事なら躊躇いもなく
とっくに千秋に言ってるよ!
それもそうだな…(千秋)
誠也は誠也で平気で嘘を吐くな!!
ていうか、ボチボチじゃなくて
もう少しは解決しようとする努力をしなよ(汗)
不定期過ぎて解決した事件の数よりも
世の中に出払っている事件は、
何倍も上回る程に増えてるんだからさ」
誠也「……ニヒッ!
そうやっていつも無責任に物を言うよなって事はさ
同じ特別部隊である日向も
付いて来る義務があるよな、なっ☆(笑)」
日向「言った筈だよ。僕は、無理だって!!
参加しない前提なんだから
誠也は、早く行きなよ。
鈴木さんを待たせる暇があるなら
さっさと行けば……」
手の平を揺らし冷たげにあしらうと
誠也の背中を強引に押し返そうとした瞬間、
不意を突かれ日向の手首をガッと掴む。
掴んですぐ誠也は、日向を脇に挟み抱え上げられ
外へと無理矢理掻っ攫われてしまったのだ。
日向「えぇ〜!?ちょっと待っーーー……(焦)」
と誠也を制止する声ですら届かず、
曲がり角を曲がるとマンション中に
声が響き渡っていた。
千秋「・・・。
(日向、お前は…牧田に何言われたんだ???
まさか……まさか、嘘だよな(汗)
さっき牧田の名前が出てから
ここら辺が妙な胸騒ぎがするのは、
気のせいじゃ…無いのか?)
………何とか、無事に帰って来てくれよ」
心配な眼差しで目のハイライトが揺らいでおり、
悲しそうな表情をしていた。
5階からマンション横の階段を
目にも止まらぬ速さで駆け降りて行き、
やっと安定した地を踏み締めて
マンションからどんどん遠ざかっていく。
それを見兼ねた日向は
もう一度、誠也を制止するよう口を開いた。
日向「ちょっと!…ちょっと、止まってよ!!
勝手に連れて来るのもどうかと思うけど、
今日は……今回だけは、本当に駄目なんだ!(焦)」
誠也「何が無理なのか、
先に言えっていつも言ってるだろ?
平気だよ、下見みたいに街をグル〜ッ!と回れば
終わりなんだしよ☆」
日向「誠也は、まだ平気かもしれないけど
後で絶対に後悔する!!
だから早く全部手遅れになる前に、誠也っ!(汗)」
と言うと誠也はポカーンとしていて驚いた顔で
うっかり手に力を入れてしまい、
日向の肩を締め付ける。
日向「イタタタッ!!何っ?!何するのさ!
・・・(誠也)
ちょっと痛いから離してくれない!?
せい……や???誠也っ!!」
自分の手の震えようをガン見しながら
日向の声に反応できた事で我に返ったのだ。
誠也「えっ、あ…いや、悪りぃ何でもない……
無理言って悪かった。
また俺の我儘で勝手に連れ出して、そのごめん(焦)」
日向「え、まぁ分かれば良いけど…?
(また、今になって気付いた事がある。
誠也は……いつもの事だが1人で調子に乗った時、
周りが見えなくなる程…暴走に走る傾向があるんだ。
暴走って言っても悪い意味じゃなくて
それが誠也の良い所なんだけど、
本当に迷惑しか掛からないんだよね…これが(汗)
水を掛ければ、簡単に直るんだけどね物理的に)」
そんな事を心の中で淡々と語っていると
誠也は既に何かを喋ってたのか
話の終わり辺りの言葉だけが耳に入ってきた。
誠也「……俺、前にも同じ事…言われて
誰かに釘刺されたような気する。
でも一体、誰に言われたんだっけな?」
日向「どうしたの急にブツブツ言って???」
誠也「あ、いや…俺もよく分んねぇ。
今更、頭に流れ込んで来て……それでー」
誠也は再びブツブツと言い始め、
少々呆れ気味に頭を横へ振る。
日向が、ふと右斜め後ろにあった3本先の電柱に
目線を送ると何かが落ちている事に気が付く。
日向「んっ?アレは???」
誠也から少し離れて無我夢中に
電柱の側まで駆け寄るとそこには、
オレンジ色と緑色のミサンガが
輪っかの状態で落ちていたのだ。
日向「こ、これは〜………確か。
合宿の時に雪乃さんが足に付けてたものだ!
どうして、こんな所に?(小声)
ミサンガ?ミサンガって何の話だよ(誠也)
それは〜……あれ?誠也は聞いて無いの???
鈴木さんも友理さんも
同じミサンガ付けてる話だけど、
知らない顔してるね(汗)
嘘だろ!?何で、俺には秘密にされてんだよ(誠也)
いや、雪乃さんから聞いた事だけど
なんか〜合宿に来た証として作ったって…
・・・ふふ(???)
んっ?!……え?今の声、どこからだ!?(焦)」
後ろを勢いよくバッと振り向くと空気だけが遮られ、
他は何もなかったのだ。
誠也「声???
俺には、何も聞こえなかったが〜
お前の聞き間違いじゃねぇの?」
(確かに聞こえなかった誠也からすると
そう思うのも無理ないと思う…だけど、
今のは決して聞き間違いなんかじゃないんだ!
僕の耳元で囁かれたような感覚が
まだ生々しく耳に残る。
こんなにも近くで声が聞こえた気がして
少し落ち着かない………(汗)
何だったんだ、今の???」
呆然とその場で立ち尽くす日向を見て
半信半疑ながら、こう尋ねてきた。
誠也「日向は聞こえたのか?どんな感じだった??
声なら、性別くらい検討が付くだろう」
日向「分からない。
けど性別としては、女性っぽかったけど〜
……ハッ!?女性、それって…まさか(焦)
女性「ふふ、ふふふ♡アーハッハッハ!!
……っ?!(日向)
今の声、俺でも聞こえたぞ!どこだ!?(誠也)
ふっふふ♡………み〜つけたぁ♪」
夏の夕焼け色の瞳が強調され、ギロッとした目で
遠くから2人の姿を捉えると辺りが少し暗くなり、
黒い霧が視界を過る。
その黒い霧を見た2人は突然、
目眩のように視界が定まらない状態で
同時に吐き気にも襲われた。
立ち姿勢から片膝を地面に付く程の威力で
2人は手や袖で口元を抑えて
気分が悪そうな顔で重たい体を震わせた。
誠也「……っ!(滝汗)
何なんだ、次から次へとこの霧は…一体?」
日向「はぁ……はぁっ…はぁ……うっ…はぁ(汗)」
今ではしっかりとした呼吸の吸い方も難しく
段々と意識が遠のいていく日向の視界は狭くなる。
すると、藍色の長い髪を生やした女性が、
ゆっくりと2人の前へと姿を現したのだ。
日向は既に顔を上げる事も辛く、
逆に誠也は瞬きの回数が多くなっただけで
視界は良好だった。
誠也「……お、お前は何者だ???
この黒い霧は何なのか教えやがれ(片目閉じ)」
日向「・・・うっ(汗)
はぁ…はぁ……はぁ…せい……や。
い、今は挑発するのは…駄目……だ、駄目だょ。
(女性、赤い着物、魔女のような白い肌、赤い爪
・・・間違い…ない!!
陸の予言通りの特徴の人だ。
て事は、予言は……[変わらなかった]んだな)」
女性の前のめりな姿勢を見て
誠也は咄嗟にジャンプをして逃げ切ったが、
女性の狙いは誠也ではなく
日向しか捉えていなかったのだ。
誠也「日向ーーーっ!!!!!!(叫)」
日向「……えっ???」
呼吸がやっと追い付いて来たのか
少し立ち上がれた日向目掛けて女性は手を伸ばす。
同時にカプン・・・
という水に雫が落ちて来たかのような反響した
聞き慣れない音が聞こえたのだ。
その音が鳴った直後、
日向は目線を下へと落とし目にしたものとは
胸辺りに掛けて水色のオーラが広がっており
女性の手だけが、日向の体に侵入していたのだ!
誠也「・・・ハッ?!ひな…た?(ドクンドクン)」
高く飛び上がってしまった誠也は届かない事が、
必死でとにかく必死で目の前の光景に手を伸した。
咄嗟に誠也の方へと振り向いた時の日向の顔は、
悲しさと安堵の笑みで一言だけ言葉を掛けた。
日向「……ごめん。誠也、後は頼んだよ♪(涙)」
と言うと女性は、[言伝は済んだか?]と尋ねて
すぐ日向の魂が引き抜かれたのだ!!
魂が抜かれたと同時に
日向は魂に吸い寄せられるように体が消え、
水色と淡い白色の魂が女性の手に収められる。
女性「ふっふふ♡
さ〜て、今日の狩りはこれでお終いじゃの。
良いご馳走ばかりを収穫できて気分が良いぞ♪
テメェ、よくも日向をっ!お前は誰なんだ(誠也)
ほう?
あの状況下で動けるとは、
お前さん…良い度胸をしているじゃないか。
それに良い色の魂じゃ、
その魂もぜひ欲しいが惜しい事をしたもんだ。
いつものペースならスッカスッカなんだが
今日は、効率よく魂を狩れたもんでな〜
既に定員オーバーなんじゃ♪
また、今度でも狩りに行くとしようかねぇ♡
そして、良い魂を見してくれたお礼だ。
私の名前は、玉藻前……四大妖怪じゃ。
はぁ?!玉…藻前だと???(汗をかく誠也)
そんじゃ運が良ければ、その時は…な?」
誠也「あっ、待ちやがれ!!日向を返しやがれ!」
と言って女性は、素早くその場から立ち去って行き
誠也は拳で空気を切る事しか出来なかったのだ。
誠也「日向……ひな…た。クッソオォォォ!!」
暗い夜空の下で誠也は両膝を付き、
いつの間にか黒い霧も消えており
自然と空気を吸っていた。
羽田市の住宅街で泣き叫ぶ声だけが街に轟き
その声を聞き付けた蘭が上から降りて来たのだ。
蘭「誠也、どうしたの……そんなに叫んで???
日向くん、やっぱり誘えなかった?」
誠也「ぢがう!違うんだ、蘭(涙)
俺は、俺1人で避けたせいで日向が……日向は!!」
誠也の泣いた顔を久しぶりに見た
蘭は、体が勝手に動き誠也を夢中で抱き締める。
2人の側に落ちていたミサンガは、
無残にも紐だけが引きちぎられていた。
翌朝・・・
意気消沈し切った誠也と訳を知った蘭は、
酷く落ち込みながら2人だけで登校したのだ。
校門を通り終えた生徒達は、少しだが疎らに居た。
誠也と蘭「・・・」
???「……がは?」
2人「・・・」
???「ねぇ、日向は一緒じゃないの?」
2人「……えっ?
おまっ、急に話し掛けて来んなよ?!(焦)
ま、牧田…くん……(蘭)」
陸「ねぇ、日向…知らない???
昨日の夜と今日の朝も
連絡したんだけど繋がらなくてぇ〜
何で俺達に聞くんだよ、そんな事…(誠也)
だって日向に予言の事〜話して
昨日、約束したんだよ!
外に出ないように忠告したから♪」
誠也(よ……げん???
おい、待て!!そんな話、日向から聞いてないぞ?!
[全部手遅れになる前にっ!]…あ、アレか!?
くっ、日向は本当に行きたくなかったのかよ!!(汗)
蘭「ま、牧田くん。
その〜舞い上がってる所、言いづらいんだけどさ
私達、今……元気…無いんだ。ごめんね(汗)」
陸「何で?何で元気無いの?何で何で???
だから〜…(焦る蘭)
牧田、悪い!先に謝らせてくれっ!!(誠也)
う〜んっ?ハッ、何々☆☆☆」
蘭「牧田くんには、
悪いけど嬉しい知らせじゃないの。
その逆……」
陸「逆って???」
誠也「牧田、俺…日向から
予言の事、何も聞いてねぇから知らなくて
昨日の夜……外に連れ出し…たんだ。
・・・へっ?……だって、だって約束…(陸)
俺の興味本位で無理矢理連れ出したから
日向の力じゃ、どうにもならなかったと思う。
やく…そくしたのにぃ……(陸)
予言の通りにして俺は、反省してるし
本当に…本当に悪いと思ってる。
だ、から日向の事は、俺らn………!
陸「ふざけるな!!
バカッ!バカッ!!……バカッ!!!
バカーーーッ!!!!!!(涙)」
ボカボカと弱々しい拳を
誠也の腹を殴るが陸の怒りに怯み、
誠也は、怒る気力や反論すら出来ないでいた。
蘭「・・・はぁっ、はぁっ…ごめんね(涙)
ごめん、ごめんなさい!」
陸「蘭ちゃんは、別っ!!
お前は、お前だけは許さ・な・いー!」
と言って瞬時に誠也の背後を取り、
前足で肩を押さえ付けて立ち姿勢のまま
地面スレスレの所まで後ろに反らせるという
鬼畜な姿勢へと持ち込んだのだ。
誠也「牧田、それはまずいって!?
ヤバいヤバい!!おれ〜……」
陸「折れれば良いじゃん、バーカッ!バカバカ」
蘭「牧田くん、それは駄目だって?!!!!!
誠也が、誠也が怪我しちゃうよ(焦)
怪我で済むような事じゃないってぇ〜!(誠也)
牧田くん、やめてあげて!!」
ギッシギシギシ・・・
誠也「まっずいって!?マジでやめろっ!」
陸「折れるまでやるもん!!
日向がどうなったか知らないけど、
日向の痛みを知れぇ!(涙き叫ぶ)」
誠也「アタタタッ!!」
伸ばせられる腕だけが天へと上がり、
バタ付かせる手が助けを求めているサインであった。
奏太「何してんの?陸も、2人も???」
蘭「水雲くん、見てないで誠也を助けてあげてよ!
牧田くんが止まらなくなっちゃって〜(汗)」
陸「だって奏太、日向が日向が」
奏太「日向だって、いつも言ってるだろ!!
はぁ…まぁいい、あ〜ぁ。誠也、ちょっと良いか?
んっ?何だ、今じゃ無いと…駄目か???(誠也)
………ご愁傷様」
誠也「はぁ?
バッキ・・・
いっ、イイイイイタアァァァァ!!!!!!」
特別部隊、部室にて・・・
蘭のテレパシーによって
突発的に呼び出された友理がドアを開ける。
友理「し、失礼しまーす?
蘭先〜輩。誠也…せんぱっ………いぃぃぃ!?
どうしたんですか、そのベッドと包帯はっ?!」
控え室兼部室の中に介護用の電動ベッドが
設置されており、その上には体中に包帯が
巻き付けられていたのだ。
その隣に居た蘭の顔は、かなりの苦笑いを浮かべて
友理を目の前の椅子に座るよう促す。
友理「そ、そういえば〜
新條先輩は今日、休みなんですか???」
蘭「……ごめんね。
んっ?(友理)
急に呼び出しちゃっていつも脅かせちゃって(汗)」
友理「いえいえ、別に平気ですよ。
今回は、本当に驚きましたけど(滝汗)
それでね、本題なんだけど〜(蘭)
はい!何ですか?」
蘭「誠也、話せる???」
誠也「あ、あぁ…まだズキズキするけど
鬼塚の治療で大分マシになったし、俺が話すよ。
元々は、俺が始めた事だしな。
う、うん……(涙ぐむ蘭)
心配すんなよ。
牧田の時よりも分かりやすく説明するさ。
友理、単刀直入に言うぞ?
はいっ!(友理)
結論から言うと日向は〜………玉藻前に攫われた」
友理「うふふ……えっ???」
ニコニコした顔からみるみる内に真顔になっていき、
友理は、絶句した。
初めは恋愛描写を描くつもりは無かったのですが〜
なんやかんやキャラが増えていき、
無意識の内に幼馴染のカップリングが増えました(汗)
でも、日向と雫はなっても良いかと作者個人の考えです
今回の登場キャラ・・・
名前:牧田 陸 正体:くだん
髪型:短髪
髪色:焦茶色
瞳:緑色
制服:青緑のブレザー、黒チェック柄のズボン
青ネクタイ
キャラ解説・・・
奏太とは幼馴染と言った関係で
2年生でありながらも
容姿や言葉遣い共にかなり幼くショタ顔の男の子!
見た目は、牛の下半身を持っており
上半身は人の体となっている不思議な体の持ち主。
かなりの臆病さと恥ずかしがり屋さんで
他人からの注目を浴びるような事があれば
すぐにでも逃げ出す傾向が高確率で起こり得る。
自分に視線を向けられる事が、
非常に敏感らしく意外と[目]に対して嫌悪感があるそう。
陸の中では、奏太より日向の方が優先順位が高く
奏太と違って何しても怒らず許してくれて
いつでも優しく接してくれる日向が大好き!!
なお、奏太はこの事をよく知らない。
運命を変えない限りは、同じ通りに起こり
ほんの少しでも変化を与えても
見た予言通りに事が運び、
直前になるまで何が起こるか分からない。
奏太と陸との出会いは、突発的に起こったのだ。
陸は、授業に集中する事が出来ず
居眠りをしては先生に怒られるを繰り返す
無意識の常習犯であった。
そんな時、
昼休みで2人の男子生徒の揉め事が起こり
その内の1人の生徒が壁に突き飛ばされてしまい、
頭を強く打って死ぬ未来を見てしまった
陸は廊下を走っていた。
何も出来ない自分を責めながらも現場へと向かい、
2人の男子生徒が居る場所に行き
今にも殴り掛かろうとしていた所に飛び込み、
後ろ足で蹴飛ばし、前足で奏太を突き飛ばす。
突き飛ばした時にしっかりと鳩尾に入ってしまい、
気絶した経緯から2人は出会えたのだった。
めでたし、めでたし。
奏太「全然、めでかたねぇよ!!!!!!」




