第19話 「恋花のお土産」
これは友理達が海坊主と戦っている
8月3日の頃、仁川市で平穏な日々を過ごす
恋花達の日常である。
登山用リュックを背負った4人家族が、
仁川市に帰って来たのだ。
その4人家族は仁川市の宿木の森近くの一軒家、
廃屋と化した人の気配の無い所に住み着く
家なき、野良猫達の溜まり場となっている。
恋花「たっだいま〜☆
はあ♪久々の実家だ!!!!!!
旅行に行ってる間、
皆んなと離れるのは嫌だったけど〜
これでまた会える♡
お母さん、今帰って来たばっかりだけど
学校の皆んなにお土産、持ってても良いかな?」
柿色髪のお母さんにそう伝えると
難なく了承してくれた。
母親「そうね。
夏休み後に渡すにも部屋が狭くなっちゃうし〜
うん……行って来なさい、恋花。
皆んなの今日の[ノルマ]はこれで決まりね♪」
恋花「やった〜☆
お母さん、ありがとーーー!!」
その言葉を聞いたお父さんが口を開く。
父親「えぇ〜………
そんなあっさり[ノルマ]、決めないでよ母さん(汗)
もう少しゆっくりしてから…でも〜」
茜「そうだよ、お母さん!
帰って来てすぐに私……出掛けたくな〜い。
夜でも良いでしょう☆(キラキラ目)」
母親「駄目です♪(笑顔で即答)
晩御飯までに[ノルマ]を終わらなければ、
連帯責任でご飯を抜きとします。
勿論…私も含めて家族全員で
これは、私達の絶対的なルールで・す・よ♡」
2人「ええぇぇぇ〜!?
お父さん!(茜)茜、大変な事になったぞ!!(父親)」
とテンパリ散らかす2人は抱き合い、
そんな2人をよそに恋花は、包装し始める。
恋花「よぉ〜し!頑張るぞ〜
お母さん、包装だけ包むの手伝ってくれない?
お昼の分と夜の分で分けたいからさ♪」
母親「えぇ、良いわよ。
じゃあ〜このお土産はこっちに移して
これから始めましょうか♡
まずはココをこうして………」
着々と準備を進めていく2人を見て
茜達は、キョトンとした顔で目を丸くし
お母さんと目線があった途端、
2人は慌て出しせっせと友達用のお土産を
包装し始める。
数分後・・・
ナス色の風呂敷にお土産を包み、
首の後ろに回してから息を吐きこう口を開く。
恋花「これでよしっ!!
それじゃあ私は、3人よりも多いから
早めに始めとくね☆行って来ま〜す!」
母親「は〜い、いってらっしゃい♡
さてと……あなた達も早く行った〜行った〜
私もこれからママ友に渡しに行くんだから
それとも〜………
2人は、まだ行く予定では無いと言うの?
それじゃあ2人のどちらかに
家のカギを閉めてくれるなら話は別なんだけど〜♪」
と家電の棚の上にある家のカギを模した
錆びた針金に目線を向ける。
すると2人は、鍵を見た途端に顔が青ざめ
冷や汗をかいてからお土産を持って慌てた様子で
家を飛ば出した!!
母親「あらあら、まぁまぁ。うふふ♪
そんなに怖いの?」
屋根の上を素早く駆け抜け、
1人の家へと向かって行きながら語り出す。
恋花(私達家族揃っての旅行は
久しぶりで夏休みが始まって数日経ったくらいに
東京から大阪まで遥々、旅行に出掛けていた。
そんな大阪のお土産を皆んなに配る事が、
今日の[ノルマ]なんだ〜☆
私は、期限が付いてた方が捗るから良いんだけど〜
お姉ちゃんとお父さんは、乗り気じゃないみたい。
でも、なんだかんだやってくれる人達って
分かってるから!
私は〜心配してないよ♪
さぁてと、まずは憎っくき明からやって
それから仲良しの友達に順に渡して行く
感じにしよっと☆)
そう思った恋花は、屋根から住宅街のブロック塀に
乗り移り、加賀江市の共同アパートへと向かった。
そこは出来たばかりの正方形の新築アパートで
白を基調とした外見に屋根は紺色、
二人暮らしが可能な広さはあるようだ。
恋花「ふ〜ん、明って意外と節約とか出来たんだ〜
だったら私なんかの為にわざわざ時間を割かなくても
良いのに。
ハエみたいで耳障りなんだよね(不機嫌)
悪かったわね、ハエみたいで?(ジト目な明)
め、明っ!?何でここに!!
私が外に出て悪い訳?!買い出しに出てたの(明)
そ、そっか〜………忙しいんだったら
私はコレを渡しに来ただけだからすぐ帰るよ!」
と言って明に和菓子の入った紙袋を渡した。
戸惑いつつも恋花にお礼を言い、引き止めた。
明「あり、がとう?……ってアンタ!?
旅行に行くなら夏休みが始まる前に教えなさいよね
全く!!
ちょっと待ってなさい!
私もあなたに渡したい物があるから」
そう言って明は、恋花をアパートの玄関前に
呼び止め家の中へと入って行った。
扉を開ける頃には照れたような顔で明は、
恋花にあるものを渡した。
明「……は、はい(照)
さっき恋花から貰ったもの中身、見て来たけど
あなたより劣るかもしれない。
わざわざアパートまで来てくれたお礼として
コレあげる…わよ(汗)」
恋花「んっ?
別に私と張り合わなくて良いのにぃ。
どれどれ〜………って
[深沢市の高級チョコのブランド]じゃん!?
私なんかと比べてそっちの方がレアじゃない!
そ、そう…かな(照れる明)
えっ?!
よ、よく1日、数量限定のやつ買えたねっていうより
私なんかが貰って……本当に良いの?(焦)
いっ、良いわよ。アンタにあげたんだから!!(明)
そっか〜………なら(汗)
明って意外と気が効く奴なんだな♪
ありがとー、これは家族皆んなで食べるよ☆」
と言い、恋花は八重歯を少し見せた笑顔をしたが
明は終始、恋花と目を合わせられないでいた。
恋花「それじゃあ明、チョコ…ありがと☆
う、うん。恋花もあり……ありがとう(明)
うふ♪
私は、皆んなにお土産あげないとだし
あんまり長居すると[ノルマ]、終わらないから
そんじゃあねぇ〜!」
と嵐のような勢いでまた屋根の上を駆けて行った。
アパートの扉を閉めてリビングまで足を運んで
すぐに明は、はっちゃけた。
明「はあ♪恋花から貰ったお土産っ!!
あんまり期待してなかったけど、
私の大好物だとは恋花は知ってそうな素振りも
無かった。決して気まぐれでも…
今、この瞬間だけはとっても嬉しいわぁ♡
閻来先輩から貰ったお裾分けの[チョコ]とはいえ、
ブランドものだったなんて感謝です!
和菓子も貰った事だし………頂きます♪
(花の形をした和菓子を摘む)
あームッ!んん〜美味しい☆♡
↑
夏休みの上旬の間だけ柄谷町に滞在していた。
恋花「明ってあんな良い奴だったっけ?
オフの時なら愛想良いとか
今まで人によって態度が変わると思ってたけど、
オフだったら別に関係ないなんて変な話。
ずっとそうしてれば、明自身も疲れずに済むのに
まぁっ!!
ひとまず届け終わった人の事を
いつまでも気にしてたら
それこそ気持ちが悪いだけなんだし、
相手が良かったならそれで良いじゃない♪
んじゃ、メイちゃん家へ行こうっと☆」
と言って恋花は、凄まじいスピードで
羽田市の25階建ての高層マンションへ向かい
しっかりとエントランスから入ってったのだ。
15階に住んでいるある人の玄関前に辿り着いた。
1503号室にて、ピンポーン・・・
家の中に居た人はインターホンを覗く黒髪の子が
すぐに恋花だという事に気付き、
廊下をダンダンダンダンと外からでも
よく聞こえる音が出しながら
玄関の扉を勢いよく開ける。
芽亜「おっはよう、久しぶりれんれん☆
夏休みにも会えるなんて私、嬉しいよ♪(涙目)」
と恋花の首後ろに手を回し、
ポールダンスの遠心力で5回転した。
恋花「うわぁぁぁ!?
芽亜ちゃん、ここ高層マンションだから
一旦…中に入ろう!
周りの人に迷惑が掛かるから、ねぇ?!(焦)」
とまぁ玄関でこの通り騒いでいると案の定、
芽亜の両隣の部屋からこちらに歩いて来る音を
キャッチした恋花は、すぐに芽亜を部屋に
連れ込んだのだ。
1502号室「???
あっ、こんにちは。
今日は何だか賑やかですね、お隣さん」
1504号室「そ、そうですわね。オホホ……(汗)」
恋花「はぁ〜あ、なんか疲れた。
大丈夫…れんれん?今日は、ありがと♪(芽亜)
あのねぇ〜まあちゃん、情緒どした?
えっ?情緒、平常だと思うけどな〜♡(芽亜)
じゃあその目の下は、何なのさ?」
と恋花が涙跡を指差す。
芽亜「目の下……ってあぁ〜これ、玉ねぎだよ☆
はぁ?(恋花)
い〜や、今日ちょっと友達とお泊まり会する
予定だからさカレーの準備を丁度してたんだ〜♡
はぁ〜………あっ?(恋花)
カレパしようと思って友達の皆んなに
それぞれ自分のカレー作って持って来るっていう
出し物に決めたから私も気合い入れてたんだけど、
ゴーグルが無くて目がやられちゃった(テヘペロ)」
恋花(えっ、何?
カレパが出し物のお泊まり会の為だけに
カレー使ってよそから持って来て〜
果たして何の意味があるっていう…の???
いやいやいや、想像だけで判断しちゃ駄目って
言うんだから直接、本人に聞けば良いの!!)
め。芽亜ちゃんはさ〜
何でお泊まり会にカレパしようと思ったの?
やっぱり、ひとんちでやったら盛り上がるから?」
その返答に対してポカーンと口を開けていた芽亜、
すると口元が猫口に変わり、こう言った。
芽亜「れんれんはお泊まり会の醍醐味を知らない?
友達の皆んなって
元々、住んでる場所がバラバラな訳じゃん!
それって地域によって
材料がちょびっとだけ変わるだけで
友達だった子と更に仲良くなれる
略して[親友は何人作っても面白いじゃん会]って訳☆
どこが略してんのさ!?(恋花)
それで私は、[カレー]をチョイスしたんだけど
これって賢いと思わない?!(キラキラ目)」
恋花「あっ、あぁ〜…なんか一番、無難そーだね。
(褒めて欲しそうな顔してる?!(汗)
………でもまぁ、地域によって
作り方や材料が異なる料理は、少々気になる。
珍しいものって地元を出て県を跨ぐぐらいしないと
滅多にお目にかかれない方が楽しいかもなぁ〜(笑)
芽亜ちゃんの考えている事は、大体分かった所で
私が、ここ来た理由を語らねばいけないねぇ☆
んんっ?(芽亜)
実は、芽亜ちゃんには黙ってたんだけど
私……今まで大阪旅行に行ってまして〜
そのお土産を今、友達に配ってる所なの。
だからコレを芽亜ちゃんと芽亜ちゃんの友達に
渡して欲しいんだ♡
れんれん☆うん、大事にするよ!(涙目な芽亜)
えっと〜私の話…聞いてた?(ジト目)」
ブッシュン!!と鼻の音を立てながらこう言った。
芽亜「パッ☆(効果音)
じゃあさ、れんれんのお土産って
一体全体…何を買って来てくれたの!?」
恋花「ふっふふ。
よくぞ聞いてくれた少女よ!
ドヤァ♡(めちゃ素直な芽亜)
芽亜ちゃんの事だから
友達とシェアが出来るタイプのお土産、
幅を取るのは終わりがあるもの………
結構悩みに悩んで毛玉が作れるくらい悩んで〜
それ〜れんれん…が大丈夫そ?(困惑な芽亜)
え、大丈夫だけど???まぁ〜とにかく!!
1ホールのチーズケーキに決めて来ました☆☆☆」
ケーキの箱をテーブルの上に置いて見せる。
芽亜「わあぁぁぁ、そ…それ……ほんど?(キラ目)
邪魔にならなくて友達とシェア出来て
1回で食べ切れるやつ、しかもチーズケーキ♡
ありがとう、れんれん♪
この御恩は一生、大事にするから!」
恋花「え、そ……そう。良かった…わね(汗)
そうだ。ミカたん達にも教えてあげなきゃ(芽亜)
ミカたんって美夏ちゃんの事だよね?
花梨が自分から進んで友達になった子、
良いな〜私も会ってみたいな」
芽亜「うふふ♡んっ???
れんれん、まだミカたんに会ってないの?
あの話からもう3年も経つよ。
何でそんなにぃ〜………」
恋花「そんな事、言われても知らないよ(汗)
花梨に私が何度…懇願したことか!!
上機嫌になった所で
花梨にこっそり尋ねてみた時もぜんぜっん!
私と目も合わせてくれなかったんだからね!?
私にはど〜しても会わせたくないらしくてさ、
もう……私が、いつ何したっていうんだか!!」
↑
これだけ日頃の行いについて何とも思っていない。
昼間からお酒で酔い潰れるかのように
テーブルの上でうずくまり恋花の頭を
優しく撫でてあげる芽亜。
芽亜「ふぅ〜ん、れんれんも苦労してるんだね。
あっ、そうだ☆
れんれんも今晩、暇だったら一緒にカレパしない?」
恋花「うーん、でも今日は[ノルマ]がぁ〜………
あ、その手があったか芽亜ちゃんナイス!?
えっ!どうも?!(芽亜)
[ノルマ]が終わらなかった保険として
カレー残しといて☆
帰らなかったら明日のお昼ご飯にするから!」
うるっとした眼差しで
大きな口に八重歯がはっきりと見える笑顔で笑う。
芽亜「わっ、分かった!!
れんれんの事だから
あんまり期待しないで待ってるよ♪」
恋花「じゃあ私は、芽亜ちゃんにお土産を届けた
終えたという事で……これにて失礼するよ」
芽亜「うん。
れんれん、今日はありがとーーー☆♡♪
所で………[今日のノルマ]って何???」
芽亜の部屋から出て行った恋花は、
エントランスを通り芽亜のマンションを
後にした。
恋花「なんか芽亜ちゃんと一緒に居ると
不思議と気持ちを曝け出せてる気がして
気分が晴れるな〜
私には無い魅力を芽亜ちゃんは、
自信も持って誇れてる。
良いな〜羨まし過ぎるし、
芽亜ちゃんと居て思いっきり叫んだり愚痴を溢しても
どんなに私が落ち込んでても優し過ぎる。
色々驚かしてくれる生活も案外…悪くない☆
……って最近、思い始めて来たんだお姉ちゃん。
今なら分かる………あっ、そういえば!
ま〜た位の話、芽亜ちゃんに
聞くの忘れちゃったよぉ〜(汗)
やろうとしていた事、悩んでいた事すらも
綺麗さっぱりに忘れさせてくれる
それもコレも全部、芽亜ちゃんの魅力の1つだね」
と微笑みながらふと
恋花は、腕に付けていた時計を確認する。
恋花「うわっ!?ヤバッ、もう1時じゃん!!
意外と芽亜ちゃん家に長居し過ぎたんだ。
早めに切り替えないと!
えっと〜次は……っ!?が、頑張らないと(緊張)」
と頬をパシンと強く叩いて顔を引き締め、
次に恋花が向かった先は羽田市から柄谷町まで
全速力で走って行ったのだ。
柄谷町の街並みは、仁川市と違って
住宅街ばかりではなく平屋とレトロな一軒家などが
綺麗に並んでいる。
そして、あの[空き地]の入り口とは反対側にある
平屋がそうだったのだ。
綺麗に生え揃った庭の木々、
毎朝のように磨かれた飛び石の上を歩いて
緊張が走る中、恋花は深く深呼吸をし
チャイムを鳴らす。
押してから少し経った所でドアが開く
そこには………陽花が居た。
陽花「あら?
あ、あの〜先輩っ!……ご無沙汰しております(恋花)
・・・うふ♪
久しぶりね、恋花ちゃん。
こうやって目の前で話すのは、何ヶ月ぶりかしら」
と言いながら陽花は何とは言わずに
笑顔で出迎えてくれた。
あの日以来、停学期間を設けられ
他学年との交流を禁止された陽花、
学校の教室や部活すらも出来なくてなってしまった
彼女とは一生、会えない関係になっていたのだ。
恋花「そ、そう…ですね(沈む声)
(駄目。浅見先輩の前で悲しい顔も辛い顔も
見せちゃ駄目なのに先輩の顔が見れない!!
あの日……あの時から
私は、嘘だったんじゃないか?って
考えるようになった。
もし、あの場に私が、私達が買い物に
足を運んでいなかったら先輩は〜………先輩は、
助かったのかな?
現実から目を背けたかった(本心)
私達が、3階に居なかったら聞こえなかったかな?
耳を向けたくなかった(本心)
……私が1人で来てたら逃げられてたのにぃ(涙)
邪魔しなきゃ何とか…なったのかな???(本音)
家に帰って来てからずっと後悔してきた。
何が正義で誇って……何が正しいのか
今まで何回、考えても分からなくてぇ〜………
学校サボって…遅れて行ってまでして
私は、何がしたいんだろうって…ずっとずっと(泣)
誰かに打ち明けたかった!!!!!!)
あの日、些細な喧嘩をしながらも
花梨となんだかんだ和解し家に帰って来た恋花。
部屋にあった鏡で自分の顔を見てから
初めて自分の真意に気付いた恋花は崩れ落ちた。
ベッドの中で次第に妖怪化が始まる
恋花の姿が変わっていく中、
悲しみの声だけが空高くある月に響き渡り
語り掛けたみたいで月は光を放つ。
そして今・・・
膝丈ぐらいのワンピースの生地を手で巻き込み、
自分の意志で足止めしてしまった申し訳なさに
陽花の顔を見る事が出来なかった。
微かに震える肩を見た陽花は少しフリーズした後、
さりげなくハンカチを差し出す。
今にも涙が出そうな恋花に陽花と初めて
顔を合わせ、微笑み掛けながらこう口を開いた。
陽花「何があったかは追求しませんが、
これだけは分かって下さい。
自分で進んでやった事を恥じるのではなく
相手に同情する事でもありません。
これは、ある種の[毒]なのです!
毒は一定の時を過ぎれば呪いのように
相手を死に追いやり、体を蝕み続ける。
それと同じように人も考え過ぎれば毒され、
同じ過ちを繰り返してしまぬかもしれん。
・・・。
恋花ちゃん、これは[ある人の定め]よ。
人は誰しも[定められた運命]がある、
決められた通りに生きられるかは
私にもそして誰にも分からないものだ。
その定めを過ちに反してしまわぬよう
これからも前へ進みなさい!!(力強く)
……っ!(恋花)
([人としての定め]は、時に早まる時が来る。
私も…もうこの体でやれる事は
とうの昔に枯れ果てているのだからな(右目隠れ)」
ハンカチに手を伸ばす恋花は、
その話が陽花自身の事を告げている事に気が付く。
恋花(違う?!
これは、先輩自身のことを話していたんだ!
それに…私があの時から後悔している事も悟られ、
気を遣わせてしまった。
馬鹿だな、私はもう先輩に心配掛けないように……しっかりしないとって思って
カッコ良い自分になろうと努力して来たのにさ(嬉)
でも、でも…そのお陰で私は花梨や芽亜ちゃん、
それに先輩にも出会えた…んだよね?(涙)
だったら今、この瞬間の私……って
誰よりも[幸せ]なんだよね!!(嬉し泣き)
いつまでも…会えなくなっても
先輩は、学校に居る!
側で見ててくれますよね?浅見先輩♪
うっ………(涙)でもやっぱり、それって寂しい…なぁ)
とハンカチに手を伸ばした恋花は端っこを持ち、
前を向いて陽花の顔を見れた恋花は、涙が溢れた。
その顔を見た陽花は、安心したのか
左目から涙が溢れ静かに泣き叫ぶ恋花を
抱き締めたのだった。
恋花「……っ!!(泣き声)
数分後・・・
恋花「はいっ!
浅見先輩だけにおまけでチーズケーキ。
その他、諸々の品も♡
差し上げますので…どうか受け取って下さい♪」
(4つの大きな箱を重ね置きされている状態)
陽花「こんなに沢山っ!?
ひ、1人で食べられる……かしら(悲しみの涙)」
恋花「まぁ!!
浅見先輩の友達にでも分けて食べて下さいな♡
これは、私からのほんの僅かなお礼です。
それでは、私はこれで。
次は休日にでもお邪魔させて貰いますね、先輩☆」
と言って陽花の平屋の庭から飛び出して
全速力で走り去ってしまった。
陽花「あっ、ちょっと!?
もう〜こういう時だけ都合が良いんだから。
はぁ………(溜め息)
で、いつからそこに居たの閻来?」
そう陽花が呆れながらジト目で言うと
すぐ側で煙が炊き上がり、
煙の中から閻来が出て来たのだ。
閻来「うふふ♡
あらぁ〜いつから、気付いてはりましたの?
音も煙も聴いても見てもいなかったのにぃな。
不思議やわぁ♪」
と体育祭の時よりも
ほんわかとした喋り方で京都弁をスラスラと話す。
陽花「何が不思議よ(汗)
無臭にした所で
私が気付かないとでも思っているのかしら?
何年、あなたと一緒に居るとでも(片目閉じ)」
閻来「ふぅ〜なんや、つまらんなぁ。
折角、良いムードを潰さんよう
配慮したはるっていうのに。
ハルちゃんは厳しいなぁ〜」
陽花「(カチン!)
何が良いムードだから配慮したよ!?
私にだけ煙の濃度を変えてまで
茶を啜るなっ!!(怒)」
(陽花視点では、そうなっていた)
閻来「あらあら。
ハルちゃんの可愛らしい顔が台無しやわぁ〜
一体、誰がやりはったんやろか?
アンタじゃ!!!!!!(陽花)
あら、やだ私か(テヘペロ)」
陽花「もう嫌だ、疲れた。
アンタと付き合ってると妙に体力が削られる…
分かりました!
じゃあ閻来には恋花ちゃんから貰った
お土産のチーズケーキ、あげようと思ってたけど
そういう態度を取るならあげません!!
大人しくお帰り下さい。ふん」
と言って家へと戻ろとした所で
閻来に止められた。
閻来「け、けけケーキですって!?
それ本当なのハルちゃん!
今、恋花さんから貰ったお土産の中に
ケーキがあるんですの?!
えぇ、あるわ。でもあなた、チーズがにが(陽花)
それはケーキだから許されるだけであって!!
……ってその話は、今は良いのよ!
ねぇ、お願い。一生のお願いだから
そのチーズケーキを分けて下さいませハル様。
良いお紅茶、ありましてよ☆(ちゃっかり)」
陽花「・・・良いでしょう。
はっ、ハル様…好きいぃぃぃ!!♡♡♡(閻来)
ただし、今日の晩御飯を一緒に食べてくれるなら
分けてあげても良いわ♪」
閻来「えぇ、えぇ〜☆問答無用に喜んで!
言葉、間違ってるわよ(陽花)
それくらい嬉しいって事で良いじゃありませんか♡
わぁ〜楽しみ過ぎて待ち切れない!!」
陽花「それは良かった♪
楽しみに……しててね、閻来(不適な笑み)」
閻来(あら?
待ち切れないとは言ったけど、
[チーズケーキはすぐに出すわよ!]って
てっきり突っ込まれるかと思いましたが〜
うーん。まぁ、そんな事…私には関係ないか♪
うふっふふふ〜♡(鼻歌)
楽しみだな〜」
と陽花の薄暗めな家の中へと入って行った。
恋花(それから私は、友理ちゃんの家は
当然…知っているのだけど
絶賛、夏合宿を満喫している事だし、
今行った所で鍵が閉まってる。
だから夜に送り届けようと後回しにしました。
私は、日頃からお世話になっている人に
お土産を盛り沢山に小分けされたものを
先生やまぁ〜ママが知り合いの子達にも
お裾分けして来なさいと言われたからには
渡さない手はないのです。
他クラス子に渡し、好印象の人もいれば
日頃の行いのせいか逆印象付けられたりと
これだから他クラスは〜………
そして私は、日が暮れる前のまだ青い空の下で
前半の分のお土産を最後の家に届ける所だった)
学校から一番遠い羽田市に辿り着き、
最後まで走って向かった。
向かった先には、
大きな縄を広げたような歪な形をした池。
恋花「ふぅ〜……うふ(笑)
ここに来るのも
浅見先輩と同じくらい久しぶりだな〜☆
(一瞬だけ真顔になる)
うんうん。あの日から全然、変わってない♪
いや………昔は、もうちょい小さかったかな〜」
と人差し指と親指の両方の手を使って四角く測る。
恋花「うーん、まぁ池だし変わんないか☆
少しは変わってるっての?!(???)
はあ☆その声、良かった〜
まだ締め切りじゃなかったんだね奏太!!」
と言って池の側にある大きな石によたれ掛かるよう
座っていた男子高校生の腹に頭突きしたのだ。
奏太「ぐはっ!(汗)」
チーーーン・・・
恋花「奏太、奏太☆会えて嬉しいよ♪」
と言いながら腹の上で4回も跳ねた。
奏太「おっ!りっ!!ろっ!!!っての!!!!
あぁ〜ごめんごめん。つい(悪気なしの恋花)
ついじゃねぇってぇ〜(げっそりした顔)」
海色の髪にもみあげの外側には
両サイド白メッシュが入っており、
左目が蛍光色の黄緑色と右目が水色の瞳をした
青年だった。
奏太「それで……うーーーん、はぁ〜(背伸び)
今から行くのか、珊瑚宮市に?
うん、そうなの!だからお願い、奏太(恋花)
行くのは構わない、僕に拒否権は無いからね。
拒否権?ある時はあるじゃない!!(恋花)
それは〜………お前が、締め切り過ぎてから
スライディングして来る時だっての!(早口)
※巻き込まれた被害者。
過ぎてなきゃいんだよ、過ぎてなきゃな。
3分ルールくらい守って何が悪いのよ(恋花)
アウトだよ?!
てか、3分じゃなくて3秒じゃないんかい!!」
2人「はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…はぁ…はぁ」
奏太「もういい!
さっさと珊瑚宮市に行って来いよ。
濡れたくなかったら早めに終わらせて来るんだな」
恋花「ふっふふ♪そんな事、言っちゃって
本当はお客様を送るサービスの時間が終わっても
仕事、放棄できない癖にぃ〜(煽りスキル激高)」
と両手で矢印を作り奏太のイタイとこを突く。
奏太「あぁ〜もう!!
お前と一緒にいると毎度のようにイジるな!
……ったく、お前といい[虎っ子]といい
今日は運が悪すぎんだよ(怒)」
恋花「アハッハッハ!!(笑)
んっ?まだ[虎っ子]っていう人が来てるの?
いい加減…追い返したら???
昔みたいに本人の前で愚痴って追い返すとか〜」
奏太「僕は、新手のマフィアからの追われか?
てか、勝手に人を蔑ろにすんな?!
えぇ〜昔は、堂々とやってた癖にぃ(恋花)
お前のせいで売り上げ下がったわ、その時だけ。
まぁっ!
僕は別にお金を取ってサービスしてる訳じゃない
んだし、その辺はどうでもいいけど」
恋花「で、追い返すつもりは無いの?
奏太、一時期…そのとら………っ!」
ともう一度口に出そうとした途端、
奏太が目の色を変え瞬間的に恋花の口を抑え付けた。
恋花「……なっ、何するのよ!?(照)
か、かか勝手に私に触らないでくれる。
バッカじゃないの!
うぅ〜(恥)………んっ?奏太???
奏太、どうしたの顔が真っ青だよ!?(汗)」
と恋花が気付いた頃には
奏太は顔面蒼白で恋花の後ろの方に居る人を見て
呼吸が早くなっていく。
奏太「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……
(なっ、なん……でまだ…ここにぃ…居るんだよ?!
しかもこの気配、まさか[アイツ]が………
[四大妖怪の1人]なのか!?
嘘だろ!いや今はと、とととりあえず(汗)
す、すみません。すみません、すみません!!
もう言い……ません。だから恋花だけはっ!)
と狂ったように心の中で謝り続けた。
奏太の必死さに免じて
[その人]は2人の間をすり抜けて行ったのだ。
恋花「えっ、何今のっ!?
(私の耳ですら感知しなかった人が
目の前を横切った。
ほんの微かに水の匂いだけして
鼻が効いてて助かった?けど。
いや、それは良いんだけど………
一体…誰が通り過ぎたっていうの???(怯)」
数分後・・・
奏太「悪い。
恋花は、何ともないか?何もされてないか?!
えっ?えぇ…私は、平気だけど(恋花)
そっか!!良かった(安堵)
あ、珊瑚宮市に行くんだったよな!
すぐ準備すっからな(笑)」
恋花「う、うん。ありがとう(困惑)」
と池に近寄って足並みを揃える奏太の後ろ姿を見て
先程までの奏太の怯えようを思い出していた。
恋花(奏太、あなたはさっき何を…見ていたの?
私にはその得体の知れないものを見ていないから
分からないけど。
化けた何かを見たの?怖くなかった???
今でも笑顔で笑ってくれるけど、
きっと私がこの場から居なくなったら
後悔してるよね?
だったら私が、埋めてあげる!!)
そう意気込んだ瞬間、
奏太は指先に集中させた妖力を
池の水に触れると水紋の波が広がり、
全体を覆い尽くす頃には
本来の池の姿へと変化させたのです。
上から見ても分かる通り、
池の中には珊瑚礁のような色鮮やかな
建造物がはっきりと見えており
池なのにまるで海の底のように広く大きな都市が
まるでパレードのような照明で煌びやかに放ち、
一色に塗られた街が鮮明に認識できた。
奏太「ほら、行って来いよ♪
今日はおまけで家まで送ってやっても良いぞ」
先程の怖がりぶりが嘘のように
奏太は、笑顔で振る舞う。
特に恥ずかしがるような素振りもなく
真剣な眼差しで恋花に言い放ち、
そんな奏太の顔を見て恋花は覚悟を決める。
恋花「うん、そうだね。
はい、コレ。私から奏太へのお土産!!
私が帰って来るまでに
お土産の中身を見たらあげないんだからね。
ふん!」
と言ってちゃんとラッピングまでされた袋を
奏太の手を取って渡した。
そっと奏太から離れ、池の側まで近寄ってから
クルッと回ってこう口を開いた。
恋花「それじゃあ、行って来ます☆(満面の笑み)」
ひょいっと軽くジャンプしてから池のゲートを潜り
抜けた先では全身を覆うシャボン玉のような膜が
貼られたのだ。
奏太「ふん(笑)
昔から素直じゃねぇんだよな、アイツは♪
まぁ!
恋花とはそんなに親しき仲でもない
僕が言うのもなんだけど。
([アイツ]と出会ったのは、
5年前くらいの時の付き合いだからな。
僕は、いつものようにこの石に座って居た。
この池がまだ綺麗な丸だった時、
そして[アイツ]もまだ野良猫だった頃だ。
獣人系の妖怪は、生まれた時から
その獣の幼子の姿で年を越すを繰り返し、
昼間も夜も同じ姿で不便な事はあまり無かった。
姿よりもアイツらは〜
恋花達、野良猫は住む場所が見つからなかったんだ。
当時というか最近のようになるまでは、
[野良猫や野生の妖怪達]が街に侵入する事が
頻発していた頃、
よく[駆除対象]として街を騒がせていた。
最初は、[5つの市]を取り囲む[魔除けの結界]に
入れないでいた野良猫達だったが、
諦めずに何度も山から下山し続けて来た。
そのお陰か徐々に野良猫だけは結界の性質に
馴染んでいき、特性:[結界破り]を習得させたのだ。
勿論、全部の野良猫が習得している訳じゃない為、
野良猫達は一刻も早く全員が通れるよう必死なんだ。
で、現在のようにこの街だけは野良猫の姿を
よく見掛ける事も普通になって来た。
それが1つの実績でもあり、
街に入ったからとはいえ課題は山積みだった。
そもそも住宅街ばかりが揃っている街に
果たして野良猫達に住む場所があるのかと。
その度に特殊部隊や閻魔騎士が派遣される事が
多くなり捕まれば最後、
駆除されるぐらい猫達は当然知っていた。
今まで野良猫達は団体で1つに固まる事ばかりをし、
結果的に多くの犠牲を招いてしまった。
そんな絶望と生きる希望の為にそれをバネとして
皆んなの安全を第一に別行動するべきだと話し合い
[殺傷人]を見つけ次第、仲間に報告・連絡を
最優先事項として猫達は常に伝達し合っていた。
そして、派遣される特殊部隊や閻魔騎士の通報は
日に日に無くなっていき平和になったのだが、
特殊部隊の[司令官の命により]
それぞれの街・市・村に特殊部隊の数名が、
派遣されるようになったのもこの時からだ。
物陰やそれぞれの能力のお陰で
野良猫達は生き延びられたのも束の間、
家を探したくとも派遣された数名の特殊部隊による
夜間警備の影響か夜に活動する事も
ましてや昼間に出れば通報される恐怖に押し潰され、
野良猫達は食料の底を尽き餓死で数匹を失った。
そんな危険な状態を知らない住人達は、
特に追求する事もなく平和な日々を送っている。
それからまもなくして水を求めに来た
1匹の子猫がこの池にやって来たのだ。
ボロボロでな……(悲しげな声)」
フラッシュバック・・・
埃を被ったような霞んだ洗朱色の毛色をした
猫が池の方へゆっくりと歩いて来る。
歩くのがやっとな猫はフラ付き、
池の手前くらいで力尽きてしまったのだ。
その様子を見兼ねた奏太は、
そっと猫に近寄り逃げる様子がない事を
確認した上で猫を持ち上げてこう聞いた。
奏太「ど〜した?
かなりヨタヨタだったけど、水でも欲しいのか?」
そう猫に尋ねながら猫の顔を見てみると
舌をちょこっとだけ出して奏太に訴えていた。
奏太「み、水が…欲しいんだな(汗)
あいにく……この池は飲み水じゃないんだ。
だから、俺の水筒の水でも良いなら貸すぞ?
(舌を出し入れする猫)
分かった。
水は、沢山あっから慌てず飲むんだ」
と聞いた猫は水筒のフタに注いだ水を
チョロチョロと飲み始め、
飲み終えた頃でお腹を鳴らしていた。
奏太「全く、こうなると思ったよ。
欲張りな奴だな。で、いつから食べて無いんだ?
……にゃ、にゃにゃあ〜(もじもじ猫)
一昨日くらいか、その辺りだろうな。
↑
※ただの感で話しています。
住む家は、点々としてるのか?
にゃ、にゃん!(激しく同意する猫)
そうか………なら。
しばらくの間だけ俺の家に居るんだな。
最近は猫騒ぎが鬱陶しく付き纏ってる事だし、
それから…お前の家も探してやる。
その辺についての異論は無いな?
……っ!にゃおにゃお♪(嬉しい猫)
そんなに嬉しいか?
まぁ、確かに住む家が無いのは色々困るもんな☆
よし!!
今日は人の出入りが少ない日だし、
早めに切り上げっか♪
???(首を傾げる猫)
あぁ、お前には関係ないよ。
これはあくまで………俺らの仕事だからな」
そう言って奏太はニコッと笑顔を見せ付け、
猫をどう持ち帰るか考える事にした。
奏太(さて、どうするか?
流石に野良猫を自分の足元を歩かせる訳にも
いかないし…めちゃくちゃ目立つ。
懐に忍ばせられるなら簡単だが、
もし暴れるようなヤンチャな性格の猫の場合……
腹を裂かれる覚悟が無いと!
いや、そうじゃないと願いたい(汗)
うーーーん…どっすかな(悩)はぁ〜………)
そう悩み悩んでいる奏太の様子を見ていた猫が、
何やらお尻を揺らし始めた次の瞬間!!
腹に思いっきり猫キックをお見舞いされた
奏太は、倒れる訳ではないがカタカタと体を揺らし
その場で痛みを堪えたのです。
奏太「……うっ!
な、何するんだよ?!いきなり…(焦)
にゃ〜ご!!ゔぅーーー(不機嫌な猫)
なんか、怒ってません?(汗)
意外と気が短ぇ猫なのか???
いや、腹が減ってるから
俺がきっと機嫌を損ねたんだな。
まぁ…別の意味で気に入られたからには
最後まで付き合いますよ☆
ほら猫、他の奴らに見つかりたくなかったら
俺の懐に入ってろ!
いいか?
家に着くまでは、絶対に大人しくしてるんだぞ」
猫「みゃ〜う(呆れ気味)」
と鳴いてから奏太の腕をガシッとホールドし、
懐に入るよう促した。
そして、特に何か起こる事もなく
池のある空き地から奏太の家までは、
そう遠くなく羽田市の神社近くの家に辿り着いた。
一見ボロそうに見える茶色の屋根と白い壁、
2階立てでそれぞれ5人は入れる中古アパートだ。
中に入ればそこは、
畳部屋とチークな床が広がっており
ザ・一人暮らしのような広さの家だった。
猫「……みゃーぁ。にゃ?(渋い顔)」
奏太「おい、待て!!
今、何となくだけど[チッ]って聞こえたぞ?!
こう見えて俺は、まだ中学生成り立て
ほやそやなんだぞ?!(汗)
屋根が無い外よりはマシだと思え!」
猫「にゃ〜?……みゃーあみゃ」
奏太(カチン!!
コイツ、絶対…とりあえず謝っとけ感出してやがる。
あぁ〜もう、いやそれはさておき。
アイツのご飯の準備しねぇと(汗)
と奏太は台所へ向かい、
シンクの側まで行き再び考え始める。
奏太「あれ、待てよ?
アイツと出会ってからかれこれ20分くらい
経ってるけど、野良猫の好きなものってなんだ???
うーーーん。
とりあえず、冷蔵庫に入ってるものしだ……あっ」
何か閃いたのか奏太は、
今からイタズラするような無邪気な子供の顔を
していた。
数分後、皿に乗っけたものを持って
リビングへ向かうとそこには香箱座りをした猫が
部屋の隅っこで待ち構えていたのだ。
奏太「なぁ〜んでまぁまぁ広い部屋の中で
そんな隅に居るんだよ(汗)
野良猫でも狭い所は好きなのか?
・・・(ジト目な猫)
はぁ〜まぁ良いさ。ほらよ」
と言って猫の目の前に皿を見せ付けたのです。
皿にはミニトマト5つ、キャベツの葉っぱ数枚に
りんご、キャットフードを少々と
バラバラに盛りに付けたメニューだった。
奏太「まぁ、偏ってはいるかもだけど
我ながら自信作だぜ☆
こんな豪勢なもの見た事も聞いた事もないだろう!」
と1人で盛り上がっていると
猫は恐る恐る皿に近寄り水滴がまだ付いている
キャベツの葉っぱから喰らい付く。
ムシャムシャと食べ進む猫の姿を見た
奏太は一瞬、残念そうな顔をしながらも
少し離れた所で見守る事に専念した。
1時間後・・・
水もお腹も膨れた猫は器用にも人のように座り、
ふっくらとしたお腹に手を掛ける。
奏太「お前……前世、人型の妖怪だったか?(汗)
みゃあ???(猫)
なぁ?そろそろ、教えてくれないかお前の名前。
(手をペロペロ舐めながら)
・・・私?私は、恋花だよ♪(恋花)
やっぱり最初から喋れたのかよ。
通りで大体の獣人系の妖怪は、
知性は発達している割には幼子の姿でも
人語が喋れない奴は極稀にしか居ないと思ったぜ」
恋花「えぇ〜完璧だって思ったのになぁー!!
まぁ、でも食料に困ってるのも本当だし
皆んなの為にも住む場所を確保したいの!
だから協力してくれない?(うるうる目)」
奏太「はぁ……
何言ってんだよ、お前の家を探すって
言ったのは俺なんだぜ?
俺自身が後から断るデメリットはあんのかよ」
恋花「異論は無いかって聞いてきたのは
そっちじゃない!!
あなたの回答は、私はまだ聞いてないもん」
奏太「んだよ、そんな事かよ。
そんな事ってない…で〜あっ!(恋花)
イエスと言ったからには、
最後までやってやるって言った筈だろう」
恋花「……っ!
アンタ、意外と良い奴なのね♪
じゃあ今から行こう。すぐ行こう!!
ちょい待ち、今から!?(奏太)
ふっふふ♪」
とちょっぴり悪顔を見せる恋花であった。
その夜・・・
結果的に時間も時間だったので
恋花には空の収納ボックスにクッションを
入れただけの寝床を作り、寝かし付けた。
多少、抵抗され奏太の腕には爪痕が残っていた。
恋花「シャッーーー!!!!!!(怒)」
奏太「イタタタ…アイツ、手加減っていうものを
知らないのかよ(涙目)
いいや、今はそれどころじゃねぇか。
早く……一刻も早く恋花の仲間達の空き家を
見つけ出さないと!
(野良猫達にとっての好みのスポットで………
あんまり人が寄り付かない場所かつ
夜間に人の出入りが少ない場所なんて
そんな都合の良い物件、どこにあんだよ(汗)
猫達は柄谷町の平谷山から下山してるけど、
あんまり近過ぎるのも万が一猫が逃げ道として
森を経由する場合、森に住む妖怪達に被害が……
はぁ〜駄目だ。
考える事が沢山、あり過ぎる(焦)
こんな事をしてる間にも猫達は餓死寸前だろうに
めちゃくちゃ…辛いだろうにぃ(汗)
そもそも野生の妖怪と同じ扱いをされる
野良猫にとってこの世界は厳し過ぎる!!
だから絶対に……見つけ出してみせるからな恋花)
それから奏太は数日間、
詳細は省くが学校など1人で聞き込みをし
耳寄りな情報はあったものの保留にした。
実際に現地へ行き片っ端から
街並みや区域を意識しながら街の雰囲気など、
野良猫達に合う家を見て回った。
1週間と2週間もの日を跨ぎながら
着々と範囲を狭めていく中、
猫を撫でつつパソコンで周りの情報を調べていると
撫で過ぎて逆に手を噛み付かれたり
尻尾を激しく床に叩いたり、
奏太の腹に頭突きをしたりと愛情表現が激しい恋花。
特にお腹を見せる仕草は
一切、この時はしていません。
それから腕や足に出来た爪痕が
点々と出来てきて深刻な悩みに発展した
その時だった!
パソコンでたまたま仁川市と宿木の森を越した
唯波町は野良猫を歓迎している街だという
情報を見つけたのです。
奏太「んっ!
これなら、唯波町までの脱出経路を
恋花達に覚えさせておけば何とかなるかもしれない。
それに柄谷町の平谷山から仁川市の宿木の森に
引っ越すのは簡単な話だ!!
それなら話が早い、学校の皆んなから
聞いた情報によると仁川市の宿木の森付近に
建てられた住宅がかなり前から廃屋と化し、
ここ数年、使われてない家があるとか
お得過ぎるし立ち入り禁止区域にあるらしいな☆
そこだったら酔っ払い以外は来ないし、
誰も文句は言わないか。
仁川市は比較的、落ち着いて来ている事だしな♪
うん!これだ☆」
と1人で心の底から喜んでいると
猫が近寄って来たので一緒に喜び合おうと
体を持ち上げた途端、
恋花の肉球が奏太の目を押さえ付けたのだ。
恋花「ゔぅーーー(ムカムカ)」
奏太「………はい、もうやりません。
俺が調子に乗りました(汗)
(コイツと過ごした時間は多かった筈なのに
今だにこの調子でちっとも面白くない。
猫の機嫌を取るのにこんなに時間が掛かるとは)」
この日の昼頃・・・
猫を懐に忍ばせ、仁川市の森近くの場所まで
ゲートを使って立ち入り禁止区域へと入った。
古代紫色のパーカーとフードを被り、
下は黒いパンツを履き
いかにも不審者のような格好で堂々と侵入し、
廃屋となっている住宅地へ向かった。
奏太「ここだ、恋花。どうだ?
外見、内装、近くには森があって
その先に行けば野良猫を歓迎している街に出る。
ここなら何度でも森の下見が出来るだろ?
………(無我夢中で見る猫)
(恋花なりに色々、考えてんだろう。
まぁ、俺の家よりはずっと快適だし
なんか腹立つけど〜猫の体格からして
もうそろそろ恋花も人に慣れる日が近い。
キャットフードや食料は、
俺が出来る限り買ってやっからな☆)
そろそろ中も見てみっか?
……うん(ボソッと言う猫)
流石に埃だらけだな、掃除すれば何とか(汗)
にゃあ!にゃあにゃあ!!(猫)
こら、あんまり騒ぐなよ…興奮してるのか?
みゃあみゃあ☆(キラキラ目な猫)
(猫の考えてる事は、よく分からん。
とりあえずこの興奮が、
家を気に入ってくれた合図であって欲しい(汗)
頼むぞっ!)
他の家も見てみるなら移動するが〜?
みゃ!?みゃみゃあ!!(頬を舐める猫)
うわっ!くすぐった……わ、分かった分かった。
移動してやっから一旦、離れろぉ?!(裏返る)」
と奏太は慌てて猫を顔から引き剥がした。
恋花「みゃあ?!にゃおぉぉぉ(上目遣い)」
奏太「そんな鳴き声、出しても無駄だぞ?!(焦)
俺に構う暇があるなら
仲間達の家を探し出す方が最優先事項だろ!!
いいから早く決めるんだ(汗)」
恋花「にゃ〜お(悲しい目)」
奏太(俺の言葉を聞いてから恋花は、
家はしっかり見るもののあまり反応しなくなった。
少し……言い過ぎたかな?
でもこの家探しが終われば、
俺はきっと恋花とお別れする事になる。
こう言わなきゃ恋花の為にもならないし、
悪い…俺にはこうする事しか出来ないんだ!!)
夕方・・・
奏太「恋花、家は決まったか?
うん(恋花)
そっか〜…これでお前の仲間とも再会、出来るな。
みゃあ(恋花)
今日の夜にでも……引っ越すのか?
にゃあ!(恋花)
そうか(俺が凹んでも仕方ない)
元気にやっていけよ☆
(顔にも声にも恋花に悟られるな!!
俺に出来る事はこれしか無い…が、
この役目だけは……俺だけにしか出来ない事だからな)
恋花、見てろよ。これは、俺からのオマケだ!」
恋花をそっと懐から降ろした所で
奏太は、覚悟を決めたように家を視界に捉えた。
奏太「シール!」
と言い放ち、全身が銀色の光に包まれ
自身の体に妖力を纏わせた。
その眩しい光に思わず目を瞑ってしまった恋花、
光が無くなる頃には禁止区域の住宅街の見た目が
一瞬にして新築のように綺麗になったのだ。
終わった所で奏太は、
お腹に手をやり恋花に振り向く。
奏太「………(汗)
俺は、これくらいしか出来ねぇからさ☆
安心して行って来いよ。
食料の件に関しては安定するまでは
近い内にまた会えると思うし、
心配する事はお前の仲間達だけだ。
これっきりじゃない事だけは、分かってくれよな」
とただ伝えたい事だけを伝えて
奏太はあっさりと別れ、
恋花を1人置いてその場を後にした。
恋花は、奏太の姿が見えなくなるまで
ずっと何かを考えていた。
首を振り、溜め息を吐きながら
家へと入って行ったそこには……!!
恋花「にゃあ?!(驚愕)」
帰宅後、トイレにて・・・
奏太「オロロロロロ………はぁ…はぁ……はぁ…はぁ
流石に全部、取り込むのはキツいな(げっそり)
まぁ、俺が出来る最大限の礼だし
あっさりと別れた方がアイツの為にもなる。
それに当分、会えなくなる訳じゃない!
そう信じたい…(汗)
……うっ!オロロロ(吐く)」
数時間・・・
奏太「うげっ!?まだ吐き足りないのかよ(汗)
やっぱり埃は、いつになっても嫌なやつだ〜
ずっと付き纏って来るこの感じ、
一生、馴染めないわぁ……思い出すだけで
オロロロ!!
はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……」
と寝床の側に置いてあるエチケットに
しばらく吐き続け更にげっそりした顔だった。
吐き終わった所でふとカーテンの方から
風が入って来たのです。
そこには1匹の猫が居た、見慣れた猫だ。
奏太「恋花っ!?何で!
こんな時間に来て…どうしたんだよ?!(焦)」
恋花「・・・。
さっき、帰り際にやってたアレって
奏太の能力……だよね?
家の中にあった埃、全部…吸い込んでまでして
そこまで私ってお礼を言われる程の事してない。
どうして奏太は体を張ってまで…そこまで………」
奏太「・・・たんだよ。
なんて言ってるか、聞き取れなかった!!(恋花)
・・・(恥)
あ、あんなに…長い時間一緒に居て
[情]が移らない奴なんて誰も居ないだろう!(照)」
恋花「……えっ?私に???
あんなに嫌われるような事した、私に?」
奏太「嫌われる前提だったのかよ!?
[情]が湧いてなんか悪いのか!!(ふん)
俺は、動物が好きなんだよ」
恋花「そっか、そうだったんだね。
えへへ♡嬉しいな〜♪」
と言って恋花は猫の姿でトコトコと
こちらに歩いて行き、
ズボンをよじ登り奏太と見つめ合い
我に返った奏太が恋花を振り払おうとした所、
恋花は肩に飛び移り頬を再び舐めたのだ。
奏太「わっ!?
それ、やめろ!くすぐったいってば〜(焦)」
猫の顔を必死に抑えながらも恋花は手までも舐め舐めし、
頬と手と行ったら来たりで
舐め回されたのであった。
奏太「やめろおぉぉぉぉぉーーー!!(照)」
フラッシュバック終了・・・
奏太「全く、本当に世話を焼く奴だったな〜」
一方・・・
泡の膜と共に花梨の家へと向かった
恋花は、辺りを見回しながらこう思った。
恋花(やっぱり海の中って気持ち良いな〜
濡れるのは嫌だけど!
花梨、元気にしている良いんだけど
学校が無い日は、いつも暗い顔をしてたから
心配だよ。まだ変わってないのかな?
そういえば〜………話変わるけど
麟にまだお土産、渡してないじゃん!?
仕分けや包装も何もかも!!
まずい(汗)
流石に家までは知らないし、
皆んなへのお裾分け少なくなっちゃうけど
仕方…ないよね?
同じクラスメイトになったからには
お世話になった人に分類される。
配るのが礼儀!!
お母さんの事だもん。絶対、こうする!うん)
と考えている所で花梨の宮殿が見えてきた。
恋花は、正面玄関から入るのではなく
何やら宮殿の周りを彷徨き始めた。
恋花「えっと〜
1、2、3、4……10、11、12!
確か12個目な筈♪」
と嬉しそうな声色に変わった所で
恋花の目の前には2枚の引き窓があり、
そこにノックをした。
コン……コンコン・・・
ガチャという窓の内側の鍵音がして
すぐ部屋の中が不透明で見えなかったが、
鍵を開けたお陰で中身が透けて見えるようになり
引き窓が開いた。
そこには………髪を伸ばした花梨が居た。
恋花「花梨っ!!
恋花!?今、何時だと思ってるの?!(花梨)
良かったぁ〜
意外と大丈夫そうな顔してる(ホッと)
あっ、もしかしてお風呂上がりだったりする?
うん。ちょっと今日は早めに入って来たの(花梨)
そっか〜
あ、そうそう。花梨にお土産、渡しに来たの!
はい、コレ花梨の好きなやつ☆」
花梨「そういえば、家族全員で旅行に行くって
夏休み入る前に言ってたもんね♪
わざわざ、届けに来なくても良いのに。
でもありがとう♡」
恋花「良いよ、それくらい☆
家の都合であまり外に出られないだしさ」
花梨「……う、うん。ありがと………(悲しげ)
それに恋花こそ、いつも[ノルマノルマ]とか言って
家の門限…破ってるじゃない!!」
恋花「えっ?
あ、いやでも私は花梨と違って〜
夜行性だから門限なんてかんけ……(汗)」
花梨「あるわよ!
それじゃあもし、門限が無いなら
まだここで長話し出来るわよね♪」
恋花「あっ、奏太のサービスが
もう時期、終わる時間だから私、帰るね☆
待ちなさい、恋花?!(花梨)
さいならーーー!!(焦)」
花梨「………もう、都合が悪くなれば
いっつもその手…使うんだから(ムッ)
お土産……何が入ってるのかしら?
(開けてみると和菓子と紅茶の粉末があった)
もう恋花ってば、本当にズルいんだから(嬉)
うふっふ♪」
ニッコリと口元が笑った所で
部屋の引き窓を戸締まりし、不透明な部屋へ変わる。
池から帰宅・・・
恋花「とうちゃーく☆
奏太、待たせちゃってごめんね〜(汗)
あぁ〜別に良いぞ♪(奏太)
良かった♡あっ!
まだお土産の中身、見てないみたいだね。
それじゃあ奏太にネタバラシしよっかな☆」
奏太「んっ?
コレの中身なら、さっき見たけど〜………」
恋花「……へっ???えぇーーー!!
あんなに見ないでって言ったのに…返してよ!
え、何でだよ!?コレはもう俺の手元だぞ(奏太)
それはそうだけど、約束破った罰って事っ!!
で、中身は何が入ってんのさ♪(奏太)
お・し・え・な・い!
アンタに知る権利なんてもう無いんだから
早く返しなさい」
奏太「へぇ〜
じゃあさ恋花こそ、何慌ててんの?
この袋の中に入ってるものって
ひょっとして[ネズミ]だったりする?(疑いの目)
ギクッ!!ち、違うしぃ(目を逸らす恋花)
お前、ホントに嘘付くの下手だよな〜
ニヒッ(笑)
中身を見てない俺が当てたんだ
もう返せだの言えなくしたぜ恋花☆
はぁ?!そんな事、今は関け………えっ?(恋花)
ふん(ドヤ顔)
え、本当に見てなかったの?!嘘、ホント!?
すっげぇ動揺してやがる(汗)
あぁ〜本当だぜ。
お前の考えている事は、手に取るように分かる」
恋花「なっ!?……(恥)
私、もう帰る!さようなら」
奏太「おっと、1人で帰らせねぇって言っただろ。
送るよ、最後まで。
は、はあぁぁぁ?!!!!!(赤面恋花)
…そんなにデカい声、出すなよな〜全く。
(ネズミねぇ〜……まぁ、俺の好きな分類だから
今回は多めに見てやりますか。
それに貰ったプレゼントは、有り難く貰わないとね)
※ちなみに恋花が奏太に渡したものは、
手乗りサイズのネズミのぬいぐるみですので
生きてるやつではありません*^_^// ご安心を〜
一時、帰宅・・・
恋花「たっだいま〜☆
お母さん、前半の部は無事に終わったよ♪
うふっふ。あれ?」
とリビングで言うとお母さん以外は、
酷くげっそりしていた。
恋花「どうしたの?!
あぁ〜恋花か?その鍵…をやってしまってねぇ(父親)
えぇーまた、やらかしちゃったの!?
無理に開けなくても良かったんじゃない?
それがお父さん、昼間からお酒飲んで来ちゃって(茜)
うわ〜だから少しお酒臭いんだね(汗)
お母さん、大丈夫だったの???
えぇ、まだマシな方だったから平気♪(目が開く母)
ひぃっ!?(怯える父)
あららぁ〜まだ続きそうだね。
じゃあ私、後半の部の皆んなに渡して来るから!」
母親「あ、待って。
今日は長期戦になりそうだから
恋花、晩御飯を少し食べてから出掛けなさい」
恋花「はーい。
その代わり明日の洗濯は、よろしくね(母親)
げっ!もしかして私だけでしょうか?
うんうん、うんうん(父と茜)
あちゃ………ペナルティーくらっちゃった(汗)
オッケー私に任せてよ、お母さん☆」
茜「何でペナルティーくらってる
恋花が一番、嬉しそうなのよ(汗)
一応、罰なんだからね!!」
恋花「分かってるってお姉ちゃん♪
晩御飯の準備も手伝うよ、お母さん」
晩御飯が終わり・・・
母親「よいしょっと、これでよし。
良いわよ、恋花♪」
と言って柿色の毛色をした猫と赤色の毛色の猫が
朱色の毛色の猫の体に口で加えながら巻き付けた。
茜「気を付けるのよ、恋花ちゃん。
夜間警備が徐々に少なくなったとしても
嗅ぎつける特殊部隊や住民の人達には
なるべくバレないように穏便に済ますのよ?」
恋花「分かってるよ、これはいつも私の役目だもん。
皆んなの命が掛かってるんだから
そう簡単に見つけられる訳にはいかない。
今までの努力が全部、水の泡になる!
私達の家族は、[清見家と猫又達]なんだから
それじゃあ行ってきます☆」
父親「気を〜付けるん…だぞ。ヒック(しゃっくり)」
茜「もうホント、お父さんはだらしないな〜」
母親「本当に……誰に似たんだか。うふふ♪」
昼間と違って恋花は猫の姿な為、
歩幅は小さいが俊敏に動けるので
ブロック塀や屋根の上を軽々と移動が出来た。
恋花「さてと、まずは友理ちゃん家から
お届けに参りますかねぇ。
早く会いたいな〜♡会って舐め回したい♪
………おっと、最初から気が抜ける所だった(汗)
友理ちゃん家は、確か〜……あ、アレだ!!」
灰色っぽい暗めな屋根の上に立ち
膨らんだベランダの所から着地をし、
閉じた窓から堂々と侵入したのだ!
↑
※家の戸締まりは、基本的に結界です。
廃屋の家の恋花達が特殊なだけです!!
恋花「へぇ〜2階ってこんな部屋なんだ♪
意外と質素な部屋だねぇ〜
友理ちゃんの事だから
もっと女の子らしい部屋かと思ったけど、
これも悪くないね☆
あんまり長く居座ると皆んなを待たせちゃう。
にゃーにゃー鳴かれると流石に困る!(焦)
とりあえず、お邪魔しました(小声)」
と言ってベランダを使って外へ出て行き、
家の囲いの裏から通り友理の家から脱出した。
仁川市から羽田市まで一生懸命、走り続け
羽田市に入る手前で来た所。
恋花「桜と麟の家を知ってれば、届けられたけど〜
道草食うのもアレだし、仕方ないか。
諦めよう!!
そもそも仕分けも何もしてないしなぁ〜はぁ。
んっ?んっ!?アレって麟じゃない!!
おーーーい、麟☆☆☆」
と噂をしている所に丁度、目の前に麟が通り掛かる。
麟「げっ!
(この声、まさか!?こんな時間に遭遇するなんて)
こ、こんばんは〜清見……さん?!(汗)
(猫又に驚いている)
もう同じクラスなんだから恋花で良いのに♪(恋花)
そ、それは出来ませんよ。
何で???(恋花)
私は〜あくまで特殊部隊です!
学校に配属された側ですから
本当の生徒さんを呼び捨てには出来ませんし、
お仕事の為なので(焦)
それに急いで帰らないとひっ……
あ、何でもないです(汗)
それじゃあ私は、これで!」
恋花「あっ、待って!?
(麟の腕をホールドする恋花)
麟ってさ〜……………
ゴクリ(麟)
麟って……桜のお家知ってる?
へっ???(麟)
いや〜学校の時はいつも桜と一緒に居るし、
家まで同行してそうなイメージがあるんだけど
知らないかな?
し、知ってます…が、なぜ?(麟)
ホント!?良かったぁ〜
じゃあ麟と桜の分のお土産、渡しとくね☆
私、夏休み始まってから家族で旅行に行ってたから
皆んなのお家回って配ってる所なんだ♡
はい、和菓子2段盛りと紅茶の〜………粉末っ!
そこ忘れる所なの?!あ、ありがとう(麟)
うふっふ♪喜んで貰えて嬉しいよ。
それじゃあね☆」
と言ってブロック塀を使って
器用に家を乗り越えて麟の視界から消えてった。
麟「本当に……嵐のような人ですね〜(汗)
じーーーーまぁ、でも神城先輩と犬山先輩なら
喜んで貰える品かもしれませんね♪
わざわざ夜まで探してたのかな清見さん???
ビッビッビッ(アラーム音)
あぁ〜!?
早く帰らないと犬山先輩に怒られる時間だ!!」
一方・・・
恋花「ふぅ〜危なかった(汗)
渡せたのは良いけど、
麟も特殊部隊なのすっかり忘れてたよ。
怪しまれてないよね?付けられたりしてないよね?
……大丈夫そう…だね(焦)
はぁ〜………あっ、皆んな!?」
羽田市の廃ビルに急ぎ足で駆け上がり、
ビル内の小さな隙間を通り抜けて行った。
途中、荷物が突っ掛かりながらも
仲間の為に突き進み猫達の目の前に現れた。
猫又「……っ!ミャーミャー☆
にゃあにゃあ。にゃーにゃーあ♪」
恋花「うふ☆
よ〜しよし皆んな、私の話をよく聞いて。
昼間にこの建物に入って来た奴や
建物を周りを彷徨く輩は居たか?
ミャーミャーミャーア。にゃ〜ご、にゃご!!(猫又)
ふむふむ、何もなかったんなら安心したよ。
はい、皆んな…しばらく私達が居ない間、
留守番任せたお礼だ。
食べ物を沢山、持って来たよ☆
にゃあ☆にゃーにゃーあ(猫又)
うふふ♡くすぐったいよ、でもありがと♪」
皆んなは恋花に寄って掛かって毛繕いをしてあげ、
食べ物を食べながらとても楽しい時間を過ごした。
↑
※猫又は、何を食べても平気ですが
現実世界の猫ちゃんには食べられないものを
与えないよう注意して下さい。
恋花「あはっはっは♪
(あぁ〜こんな楽しい時間がずっと続けば良いのに。
でも今は、そんな甘えてられない。
この子達の為にも私は、私達の溜まり場まで
連れて行かなくちゃならない!
麟や桜には悪いけど、特殊部隊が相手になろうと
私はこの子達を見捨てて逃げる事はしない。
助けたい命を無駄にする訳にはいかない☆
ホントは、皆んな良い子だって
皆んなに……特殊部隊の人達にも………
仁川市の周りの住民だけでも分からせたい!!
だから私は、皆んなを守る為に強くなってやる☆」
浅見の家にて・・・
恋花に貰ったチーズケーキを閻来に振る舞った陽花、
閻来の大大大好き(嫌い)なチーズ盛り盛り合わせ
晩御飯を振る舞われ
この後、閻来を見た者は誰も居なかった。
陽花「さぁ〜閻来、め・し・あ・が・れ♪(怒)」
閻来「い、いやあぁぁぁ〜!?!!!!!(うる目)」
今日の登場人物・・・
名前:水雲 奏太 正体:雲外鏡
髪型:ショートヘアー、
もみあげ外両サイド白メッシュ入り
髪色:海色
瞳:左目が蛍光色の黄緑色、右目が水色
左分け目:黒のヘアピン2個
キャラ解説・・・
奏太は、恋花の1つ上の2年生。
雲外鏡という妖怪で羽田市と御中町、
柄谷町の隣にある市の空き地の池を担当しているよ!
囲われた池や水に反射するものなら
何でもゲートを繋いで移動が可能で
雲外鏡は猫又ほどではないが、
人数が多く各地に出回っている。
羽田市には決まった場所の池から
珊瑚宮市という名の街への出入りが可能になり、
その橋渡しとして奏太が居る!!
予定が無い日は、普通の雲外鏡なら
12時間だけ営業なのだが
奏太は18時間程、営業している事が大体。
なぜ、そこまでやっているかというと
珊瑚宮市に住む住人のほとんどが帰りが遅く
帰る人が全員戻るまではじっとしているらしい。
逆に学校がある日は、遅刻しない程度で
1時間程、滞在しそれから学校へ通っているよ!
ちなみに奏太はあまり世の中に興味が無い分、
楽しい学校生活だけはよく日向に甘えている。
誠也は毎度のように奏太からいじられる為、
[おもちゃ]としての認識である。