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Y・Hファイル  作者: 白百合リーフ
林堂 友理サイド
16/29

第16話 「怪奇研究部の夏合宿(前編)」

8月2日・・・

神社の境内を回っては掃除をする

1人の巫女さんが居ました。

その人は、橙色で後ろに束ね

前髪ありの髪型で赤い巫女装束を着ながら

階段を少し登った先の小さな(ほこら)の周りの掃除を

終える所だった。


フサッ!フサッフサッ!フサッ……ザクッ!!

紅葉「ふぅ〜………

これで今日の仕事は、全部終えましたね。

去年の蘭さん達ではまともに私の相手にはなりません

でしたが、少しは成長してる事を見越して

今回は1日目から飛ばしますか♪

(太陽を眺める)

そろそろ5人も来る頃でしょうし、

この辺で支度をしなくてわ。

新しく入ったお2人は、どんな方々でしょうか?

また誠也さん以上の問題児でしたら許しませんよ。

うふふ♪

冗談はさておき、とても楽しみですね」


そんな事を呟いていると仕事上の先輩が、

階段を勢いよく駆け上がって来てこう言った。

先輩「も、紅葉ちゃん……今日も朝早いのね(汗)

もしかして、もう仕事終わっちゃった?!」

紅葉「はい。

これから学校の知り合いが、合宿の為に来るそうなので

少々、お早めに起きちゃいました(照)」

先輩「いつもより倍に早く起きたの!?

(紅葉ちゃんの起きる時間って確か〜………

[5時前]だよねぇ。今7時なんだけど(引き気味)」

紅葉「どうかしましたか、秋津先輩?

お顔が真っ青です……が〜…まっ、まさか(焦)

私、何かやかしちゃいましたでしょうか?!」

秋津「あぁ〜いや、違うの!!(汗)

そんなに早く起きて仕事する巫女ちゃん、

今まで指導してきた私からすると〜

紅葉ちゃんぐらいだよって思ってね!」

咄嗟(とっさ)に出た言葉とはいえ

先輩から言われた時の紅葉の顔は、

頬を赤く染めホウキを握り締めながら

真っ直ぐな気持ちを口にした。

紅葉「そ、そうでしたか。

何だか秋津先輩にそう言われると〜

とても嬉しい……ですねぇ(恥)

このお仕事を選んでこうして秋津先輩に出会えた事、

凄く誇りに思いますよ。うふ♪」

秋津(ドキッ!!)

とハートを撃ち抜かれた先輩は、

体をガクガクと震えながら自分の髪を触る。


ピロピロピロ♪・・・

すると突然、紅葉のスマホの着メロが鳴り出し

画面を見てすぐ秋津にこう言った。

紅葉「んっ?秋津先輩。

私、電話が掛かって来たので少し外れますね!」

秋津「あっ、は〜い♡どうぞ〜」

と少し離れた所で目元を暗くさせながら話し始めた。

紅葉「どうしたの?えぇ……えぇ、分かったわ。

あなたの予定が空いてる日にでも構わない…………

4日?えぇ…私は、大丈夫。

4日なら合宿の3日目ですし、

夜まで自由時間のつもりだから問題ないわ。

……分かった。準備が出来たら、また電話して」

と言って電話を切った時の紅葉の顔が、

ゴミを見るかのような目をしていた。


紅葉はしばらくの間、秋津と少し談笑し

仕事用の控え室へとすぐさま戻り巫女服から

トレーニングウェアへと着替えた。

羽織りには灰色とオレンジ色が入っており、

後ろに束ねた長い髪型からギブソンタックに変えて

神社の境内にあるベンチに座り5人を待った。

それから少し時間が経った頃に

特別部隊の皆んながトレーニングウェアを着ていた。

女子組はレギンスにショートパンツを履いており

誠也以外は白っぽい灰色の上着を羽織っている。


5人は紅葉の後を追うように歩き、

石の鳥居エリアを潜りながら

周りをキョロキョロする友理に紅葉が尋ねる。

紅葉「どうかなさいましたか。

何か周りに変な物でも落ちていますでしょうか?」

友理「あっ、いや…そういう訳じゃなくて………

ここって何の神社かなって思ってぇ〜(汗)」

誠也「はぁ?!

この神社に入る時、目の前で説明したろう!!

鈴木さんがな?(日向)

そ、そういう細かい事は、言うなっ!」

友理「ちょっとぼーっとしちゃってて(苦笑い)」

とうっかりな友理に対して蘭はもう一度、説明した。

蘭「ここは、[大森魂(おおもりたま)神社]っていう所で

前に友理ちゃんが[お守り]を買いに来た

[大妖國(だいようこく)神社は、仁川市一の有名な場所。

この神社は自然がい〜っぱいに囲まれた山の神社、

天守(てんもり)村での観光名所の1つになってるくらい

有名な場所だよ!!

私が、特にお気に入りの神社でもあるんだ〜♡」

とそんな事を蘭の口から聞いた

紅葉は、自分ごとのように喜んでこう伝える。

紅葉「あら、そうですか♪

私も〜[学校一の有名人なあなた]に褒められて

嬉しいです!

大森魂(おおもりたま)神社の神様もとても喜んでいる事でしょう」

と嘘偽りのない顔で紅葉は言うが、

当の本人は段々と赤面していきこう言う。

蘭「だ、だから〜紅葉さん(恥)

そういう話は皆んなの前でしなくて良いからね。

わ、私なんてそんなに強くないんだから(焦)」

紅葉「うふふ♡そうですね。

つい口が滑っちゃいました(笑顔)」

蘭「も、もう〜……そうですね!?(汗)」


そんな微笑ましい光景を見ていた友理は、

雫にこっそりと伝えた。

友理「あの2人、仲良さそうに見えるね!!

私もああいう関係って見てると羨ましいな〜

うふふ♪

………雪乃さん???」

雫「・・・」

と後ろ姿の紅葉をずっと眺めるので特に触れず、

石の鳥居エリアを潜り終わった所で

神社の敷地外に出るとそこには景色が一望できる

展望台へと辿り着いたのだ!

森一面に広がった大地に細い川や滝がはっきりと

分かれており、とても綺麗な景色が見えた。

友理「うわぁ〜☆綺麗〜〜〜!!」

蘭「今年は、とびっきり天気が晴れてて

良い景色になったね〜紅葉さん♪」

紅葉「はい、良かったです。

この景色を[お2人]に見せられて」

突如、日の光が差し込んできた事に驚き

雫は恐る恐る目の前の光景に大きな目を見開いて

口を少し開けたまま瞳に映る。

雫「わぁ〜☆す、素敵です♪」


綺麗な景色をほんの少しだけ6人で見てから

紅葉は、本題に入った。

紅葉「さて…ここに着いた事ですし、

そろそろ本来の目的である訓練を始めましょうか。

おぉ〜やっとか☆良いね、良いね!(誠也)

と、その前に新しく入って来た

新入生の方々にまずは、自己紹介をします。

初めまして♪

私は蘭さん達と同じ2年の日野寺(ひのでら) 紅葉(もみじ)と申します。

これから3日間、指導する側として

厳しく接しますのでどうかよろしくお願いします」

と友理の目をしっかりと見つめ名前を述べてから

綺麗なお辞儀を見せつけた。

その姿を見て慌てて友理も自己紹介をした。

友理「わ、わ私こそ…初めまして(汗)

雪乃さんと同じ1年の林堂 友理です♪

3日だけの付き合いになるとは言わずに

学校でもまた会えるだけで私は、嬉しいですよ!!

日野寺先輩☆」

紅葉「……っ!

あの学校に居る間は一生徒である以上は、

たった3日だけの関係でも

あなたは1人の人として受け入れてくれるのですね。

分かりました、これからは肝に銘じておきます♪

それから私の事は、紅葉と呼んで下さい」

友理「あぁ〜えっと…も、紅葉先輩っ!!

今日からよろしくお願いします(汗)」

紅葉「うふふ♡まぁ、良いでしょう。

まだまだ初日ですからね♪」


と2人で長々と話してしまった事に友理は気付き、

慌ててバトンを回そうと後ろを振り向くと

なぜか雫の姿が見当たらなかった。

友理「………って、凄く長話しちゃった(焦)

じゃ、じゃあ雪乃さんもどうぞ〜って?

あれ?雪乃さん???

あっ、居た居た!雪乃さ〜ん、どうしたの〜?」

と皆んなの横にある木の後ろに隠れていた

雫を見つけてぴょんぴょん跳ねながら呼び続ける。

すると日向が、雫の顔色を遠目からとはいえ

青ざめている顔を見て何かに気付いた!


木陰に自分の身を隠しながら雫はこう思った。

雫(な…なっ、何なの?!

[あの人]の顔を見てると

何だか胸がざわつく気がする。この感じは何?(怯)

思い出さないとっ!………そうだ。

あれは確か〜[式神様]が旅に出る為の準備から

1週間後に中等部へ上がる時の事だ。

今でも鮮明に覚えている!!

(中学の制服:明るい青緑色の襟とスカート、

スカーフ型赤リボンで白ベースのセーラー服)

新入生のオリエンテーションで校内を周り終えた

後で体育館に戻る際に[あの人]とぶつかったんだ!

まるで誰かを殺そうと密かに頭の中で

考えてるかのような悍ましい顔をしてた(焦)

だけど、今の彼女からは想像も付かないくらい

優しい人に見えるのは、なぜ?

あんなにも怖い思いをしたのは[彼女]が、

初めてだったというに。

[あの時の目]と[彼女の目]では訳が違う(汗)

一体、[あの人]は何をしにここへ来たの???)


中学時代の頃を思い出した雫は、

信用のない目で紅葉を睨み付ける。

そんな敵意の視線を向けられている本人は、

隣にいる友理の事が、気になるようで

無意識の内に顔を覗き込んでいた。

紅葉(・・・)

友理「んっ?」

静かな空間の中、ぼーっと眺めていた紅葉が

ふと目の前に目線を戻した直後に

慌てた声で叫んだ。

紅葉「……危ないっ!!」

雫「えっ?」

そこには展望台の柵のない木の後ろに後退りした

雫は、足場の無い崖から転落してしまった。

蘭達「あっ!」

友理「雪乃さーーーん!!(汗)」


スローモーションになりながら駆け寄っていく

3人とただ1人だけ焦らず、術を唱えた。

紅葉「つむじ風(小声)」

そう言って足場も何もない空中に風が巻き起こり、

強い風が雫の足元を持ち上げたのだ!

フワッと一回上げてから

もう一回持ち上がらせた途端、

雫は驚いてしまい重心を変に変えた影響で

崖からは救出したものの5人を飛び越すくらいの

勢いで地面に放り出される。

そんな顔からダイブする雫は目を瞑った所で

日向が、間一髪で受け止めたのだ!

蘭「えっ!?だ、大丈夫…2人共(汗)」

雫「んんっ?

ハッ!す、すみません。すみません!!

わた、私が………私のせいで迷惑を…(怯)」

と即座に日向から離れて目元付近に

腕を交差させて震えた声で言う。

そんな雫を真剣な眼差しで見つめ

日向は服に付いた砂を払いながら立ち上がり、

優しい眼差しで手を差し伸べた。

日向「大丈夫ですよ、これくらい。

どこも怪我なんてしてませんから♪

そんなに……自分を責めないで」

雫「す、すすすみません(涙)」

と手を掴む事に少し躊躇したが後ろめたさに掴み、

立ち上がらせてくれた。


まだ青ざめている雫と変わって日向は微笑み、

そんな2人の様子を見た蘭は、ホッとしたようだ。

蘭「ふぅ〜…良かった!

紅葉さんも協力してくれてありがとう♪

お陰で助かったよ」

紅葉「いえいえ、当然の事ですよ。

それにこれは私の[不注意]でもありますから(汗)

伝えるべき事をあなた方に説明していなかった

私の責任です。

それに……こんな時に聞く事じゃありませんが、

あなたのお名前をまだ聞いていませんでしたね。

お名前、お聞かせ願いますか?」

と紅葉がそう尋ねると雫は、

3分の1程度に(まぶた)を開けて

目を据わらせながらも申し訳程度に謝った。

雫「ゆ、雪乃 雫…です(焦)

先程は初対面にも関わらず、警戒してしまって

本当にごめんなさい!!」

紅葉「良いんですよ♡

この世界が窮屈なように上下関係の厳しい

世の中に散々振り回されてきた事でしょうし、

それに蘭さんの事ですから当日まで私が居る事も

[秘密]にしてたそうだから♪」

蘭「あっ……そ、それは〜あはは………(汗)

紅葉さんにも悟られないように気を付けたつもり

だったんだけどな〜

全部、お見通しだよね?」

紅葉「そうですね。分かりやすかったです(即答」

蘭「せめて本音だけは、隠してよっ!

紅葉さーーーん(焦)」

紅葉「うふふ♪」


先程のプチハプニングに友理は、

すぐに雫の元へ行き心配しに来てくれた。

友理「雪乃さん、さっきは大丈夫だった!?

前ばかり気にして見てると後ろの事なんて

眼中にない事よくあるもんね。

私もそうなる時、あるよ!!」

雫「そ、そう…ですか。ありがとう(汗)」

と少しでも元気付けようとしてくれる

友理に対してまともな返しが出来ない雫。

あまり手応えが無かった友理は、

必死で雫を慰めようとするが雫にとっては

何も聞こえていないのと同じだった。


それよりも雫は日向を気にしており、

誠也と2人で話している所を少しだけ見つめていた。

誠也「おーい、日向。

さっきの特に怪我とかしてないか?(焦)

本当に大丈夫なんだろうな???

合宿は、まだ始まっ……てもない時に怪我されると

こっちも困るぞ!

せっかくの[強化訓練]だって言うのによ(汗)」

日向「いいから。その話は、よせ(小声)

変に気を遣われるとこれから響くかもしれない」

誠也「はいはい(笑)

分かりましたよ〜また鬼塚に捕まんなよ☆」

日向「お前…なんか楽しんでるだろ(汗)

そもそも[あの事件]がたまたま保健室であって

彼女は、[鬼族]の秘書的な立場だ。

僕とは位が、違い過ぎる!!

あまり話をややこしくすると〜

[羅生門]に言い付けるからな。

アイツにいつも[チク]ってるのはお前かよ!(誠也)

今は、その話はどうでもいい。

また[あの事件]の話を持ち掛けて来たら………

次は殺すぞ(怒)」

誠也「じょ、冗談だからな!?(焦)

変に解釈して間に受けないでくれよ!!

なぁ?!なぁ〜?」


話し声まではギリギリ聞こえなかったようだが、

見るからに気分が下がっていた。

雫(やっぱり良いかな(汗)

合宿の間にもう一度、お礼を言いたい所だったけど

私は、今まで[男性]と話した事ないから。

謝ってばっかりな人として印象付けられても

一つ目の私にとってはもう慣れる事だから………)


自分の愚かさと他者を比べてしまい、

思うように言葉を掛けられないでいた。

日向の方を向いていた顔を友理に向け直すと

そんな雫の顔に気付いた友理が、

恋花のように雫に抱き付いて蘭達にこう言った。

友理「あの〜鈴木先輩、ここに来た理由って

単に自己紹介して終わりって訳じゃないですよね。

それなら、そろそろ始めませんか?」

とそれを聞いた蘭と紅葉は、慌てて行動し始めた。

蘭「そ、そうだね!

ありがとう友理ちゃん、教えてくれて♪

それから放ったらかしにしてごめんなさい」

紅葉「そうですね。

私とした事が、うっかりしていました(汗)

皆さんは〜準備運動でもして待っていて下さい!!

私は少し、それぞれ[課題の物を]配置しに

行きますのでまた後で♪」

と紅葉が風のように去って行き、

準備運動をし待っていた。

それから[準備]を終えた紅葉は、

皆んなの元へ戻って来て

ようやく夏合宿が始まったのだった!


まず最初に去年の課題を貰った3人から

紅葉自ら相手を引き受けた。

紅葉「それでは誠也さん、

去年の課題である[機動力]を活かした戦い方を

実際に使ってみましたか?」

誠也「うーん、機動力を活かした戦いは〜

そうだな……あんましてねぇわ(笑)

あら、そう(紅葉)

まぁ〜ただこの手で他の奴をぶん殴る事は、

確かに増えたかな〜☆

前は全然、使ってこなかったのによ♪」

日向「嘘付け〜(汗)」

紅葉「そう、良かったわね。

それじゃあ出来なかった分、ここで晴らさせても

構わない…わよね?」

誠也「おぉ〜それ良いなっ!やろうぜ(笑)

去年のようには絶対に行かないからな」


衝突に始まった実戦訓練に戸惑いを隠せない

友理と雫は、蘭に尋ねた。

友理「あ、あの〜………

これってどういう状況ですか?!

私達も時期に出番が来るとしたら、

具体的には何をすれば???」

蘭「あぁ〜そうそう。

友理ちゃん達は夏合宿、初めてだから

当日まで何も知らせなかったんだけどね。

うんうん(2人)

きっと大丈夫だよ!!

紅葉さんの事だから全然、問題ないと思うから♪」

2人「問題ありまくりですけど!?(汗)」

日向「まぁ〜見てれば、分かりますよ。

どうして彼女を合宿のメンバーとして

混ぜたのかをね」

2人「んんっ???」


紅葉VS誠也・・・

2人の足元を風が通り過ぎたと同時に誠也が

足を踏み込んだ途端、地面が砕け

観戦していた友理達からは目ではとても追えない

速さで人2人分の距離で紅葉に近付き、

すぐに上へジャンプしてから

空中で左手を思いっきり突き出した!!

すると紅葉は、風を水晶玉のような手付きで

半透明の丸い形を作り出し、

収縮(しゅうしゅく)した風が中で渦を巻く。

それを誠也の左手の拳をわざと接触させて

すんなりと右へ流し風で逸らした勢いで

強力のパンチが誠也の顔に

クリティカルヒットしたのだった!

誠也「うげっ!?(殴)」

と言いながら体をスピンさせるくらいの速さで

木の側まで勢いよく飛ばされた。


驚きのあまり言葉に出てしまった友理達と

去年も見た光景の蘭達は少し呆れている様子。

2人「ええぇぇぇーーー!!!!!?」

日向「アイツ、またやってやがる(汗)」

蘭「あ、あはは……もう誠也ってば〜」

そんな会話を漏らしていると紅葉は、

這いつくばる誠也の前で(おぞ)ましい顔でこう言った。

紅葉「立ち上がりなさい。

これしきの事で伸びていては、

私のやり気を損ねる事になるだけですよ。

蘭さんに私は、言いました!

[去年のようにバテていては、許さないと]

あなたも成長…したのですよね。この1年?」

と紅葉に罵倒された誠也は、

すぐに腕を付きながら体をカクカクさせ

上体を起こした。

誠也は、口元の黒い血を体育着の袖で拭って

こう言った。

誠也「………あぁ、これくらいでへばってたら

また志童に説教されるな(ニヤリ)

だから紅葉、この夏合宿中だけで良いから

その口調で俺を叩き直してくれ。頼むっ!!」

と真面目な顔付きで紅葉を睨み付けながら

真っ直ぐとお願いした。

紅葉「良いでしょう!

誠也さんの個人的な訓練には

私はいつでもお付き合い致します♪

ですが、今はあなたが[頭を冷やす]番です。

私は観戦をお勧め致しますよ」

と無愛想な目で見つめ、誠也は抵抗する事なく

木陰に腰掛けたと同時に蘭に(せば)まれていた。


蘭「ちょっとぉ〜誠也???

さっきの話はど・う・い・う事っ!!(怒)

また私の知らない所で[志童くん]と戦ったの!?

もう厳重注意、何回受けたか分かってる?!

3回よ!!さ・ん・か・い(激おこ)

これで4回目じゃないっ!」

誠也「い、いや……でも〜前のは無かった事に

志童がしてくれたお陰で

実質ノーカン、ノーカンだから〜なぁ?(汗)」

蘭「カウントされなかったから良いって

話じゃないの!!

分かってる?あと1回か2回でも見つかれば、

[特別部隊]としての権利が剥奪されると言っても

過言じゃないんだからね?!

そこ分かってるのっ!(怒)

あと、さっきの口振りからして

また挑戦しようだなんて調子に乗った事、

思ってるんじゃないでしょうね!?」

誠也「すっ、すすいませーーーんでした(汗)」

とすぐに謝る誠也だったが、蘭はガミガミ言って

お説教タイムはまだまだ続くのであった。

日向「あぁ〜前は嘘付けたっていうのに

自ら自爆するなんて、ホントにお前は馬鹿だなー」

と棒読みで言う日向とそれを聞いた紅葉は、

モヤモヤが消えたようにこう呟いた。

紅葉「あぁ、そういう事だったのね〜(納得)」


ただ1人だけ「?」が浮かぶ友理を見て

雫はこう話した。

雫「林堂さんは、[四大妖怪の規則]を

ご存知ですか?

[四大妖怪]と規則、何それ???(友理)

[私達一般人]と[四大妖怪]での規則だけでも

林堂さんには覚えて貰う必要があるようですね。

まず、その2つに定められた絶対的な規則が

あります!!

それは私達が[四大妖怪とは戦ってはならない]事、

四大妖怪には[一般人に危害を加えてはならない]

という規則を破ってしまった場合によって

成人や学生でも[一発冥界送り]もしくは、

閻魔大王様から特別な権限を与えられている者には

[1年の謹慎(きんしん)処分]を()せらます!」

友理「えぇっ!?

で、でも[冥界]って確か1度送られると生きてる

妖怪の記憶から抹消されるとか無かった?!」

雫「そうです(汗)

いくら私達が[特別部隊]という許可を得ている

とはいえ限度というものがありますからね。

そう何度も挑戦するのは、無謀な事なんですよ!

グサッ!!(誠也)

1回ならまだしもと納得しては駄目なのですが、

3回もやっているのには驚きです(汗)

こんな事、教えなくても林堂さんには

余計なお世話かもしれませんが、

よく覚えておいても損はしませんからね♪」

友理「は〜い♡」

誠也「うぐっ!な、何だか心が痛い(痛み泣き)」

日向「後輩に言われてんぞー(棒読み)」

蘭「ねぇ、聞いてるの誠也っ!!」


誠也のお説教タイムが一段落した所で

実戦訓練が日向から再開し始めた。

紅葉「ふぅ〜……

それでは、長々と誠也さんのせいで

大幅なタイムロスが、発生しましたが〜

1年生の方々はお気楽に観戦していて下さいね♪

はーい!(友理)は、はい(雫)

それじゃあ日向さんの去年の課題の方を………」

誠也「俺だけいつも毒吐(どくは)かれてるのは、

気のせいなのか?!気のせいじゃないよな(汗)」

日向「うるさい」

誠也「はい(涙)」

紅葉「では、ハエの声が無くなった所で

改めて日向さんの課題である[時間差攻撃]について

ですが〜習得できましたでしょうか?」

日向「去年の不甲斐なさよりは

一応、マシな形には仕上がりましたよ。

前に[火車との戦い]の時にちゃんと扱えてました

から」

紅葉「そうでしたか。

では、あの崖から私の風を不規則に送り込んだ

2つの的を使って実際に当ててみましょう♪」

日向「はい」

と言って左足を前に突き出し膝を曲げ、

右の手の平には妖術を生み出した。

それからわざと的を外してから

妖術を妖怪ゲートに通したり、

下の木に放った術を妖怪ゲートに通して

高低差のある難しい攻撃を使った。

日向の後ろから物凄い速さで的に衝突させた!!


誠也「す、すげぇ(汗)

外れたかと思ったのにぃ〜……

[時間差]ってそういう事かよ!?」

そんな誠也の驚きの声を聞いた後に

目を瞑ったままの紅葉が風を送り込む為に

集中しながら日向へ次の指示を出した。

紅葉「まだ、手を休めては駄目っ!

次は左右に動く的を4つ狙うのよ」

と言って下からの風力を変えて

予測しづらい軌道にレベルアップさせた!!

そんな的にも難なく対応する日向は、

4つの的に対して6発で仕留めた。

妖気を使う度に疲弊する表情に変わり始める。

日向「はぁ……はぁ…はぁ……はぁ…(汗)」


誠也(あの的に6発か。

連続で放った術でさえ[時間差攻撃]重視の訓練は、

アイツには厳し過ぎるんじゃ?(焦)

それでも使っている妖気は、

かなり小分けされているみたいだけど。

[遅れて来る時間の攻撃]と[的確な的の場所]、

[使う分だけの妖気の量]をあんな短時間で

対応できる奴が、ホントすげぇよ(汗)


紅葉「これが、[最後の試練]です。

消えた1つの的を正確な位置に当てなさい!」

と紅葉が言うと崖には的の姿が無く

見えないように何か細工しているようだ。

誠也「なっ!?

・・・(日向)

それは、ズリィだろう紅葉っ!!

目に見えない的なんてそんなの当てずっぽうで

当てるしかっ……」

と誠也が紅葉に抗議しようとした瞬間、

蘭が目の前に手を降ろした。

誠也「ら、蘭っ?!

どうして止めんだよ(焦)

あんなの[後出し]じゃねぇかよ!」

蘭「良いの、誠也。

これは日向くんの[課題]、当てればクリアだから」

誠也「はぁ?(汗)」


風を送り込んでいた紅葉は、

目を開けたまま平然と日向を見つめる。

日向(……っ!(笑)

なんだ去年は手の内がバレてないと思ってたけど

全てお見通しって事か。

気付かれたからにはしょうがない。

誠也には僕の能力を知らないみたいだし、

こんな的、既に………割れてるんだよ!!)

と片手からもう片方の手で手首を掴んで

妖術を展開させた。

小分けされた2つの妖気を使って

チャージし終えてからすぐに解き放った!

放った術が変な軌道を描いているが、

難なく妖怪ゲートへ入り消えた的の背後を取って

ゲートを繋ぎ、無事当てられたのだった。

紅葉「うふ♪お見事です。

多種多様な試練、よく乗り越えられましたね!!

日向さんには今後の課題を後でお知らせします。

どうか休んで下さい」

日向「はぁ…はぁ……はぁ………はい(汗)」

誠也「すげぇなってか大丈夫か!?

小分けしたやつ、もう良いんじゃないか?」

日向「そう…だな(汗)」

と誠也の肩を借りながら木陰の側まで運び、

妖気の回復を待った。


紅葉「では、続いて蘭さん。

あなたの課題である[重量級の避け方]について

これは、実際に出来ましたでしょうか???」

蘭「えぇ〜勿論よ!紅葉さん、聞いてよ♪

あ…でも、勘違いしないでね。

喜ばしい時に決して使った訳じゃないんだから!!

縁起でもない事を言わないで下さい(紅葉)

そこに居る友理ちゃんと初めて遭遇した時に

[ある事件]に巻き込まれた影響で

工事現場の資材が吹っ飛んだ時にちょっとね☆」

とニコニコした顔で蘭にこう言った。

紅葉「そうでしたか〜(愛想)

では[フィールド]は違いますが、

同じようなシチュエーションにしてみますね♪」

蘭「……えっ?」

そう言って紅葉は、鉄骨をいとも容易く風で

5つほど持ち上げてミサイルのように

蘭、目掛けて一気に発射させた。


蘭(うわっ!?

紅葉さん、実戦って言っても

それはちょっと早過ぎますだってば〜(焦)

でも、今は集中しなきゃ!

前と同じように蜘蛛の巣ネットを

周りの建物にぃ………って?!

ここ、そういえば森だから支えてくれる

頑丈な建物が無いじゃない!!

どうしましょう(汗)……かくなる上は)

と思ってからすぐに5つの鉄骨を避けながら

地面に粘着質のネットで固定させたが、

安心したのも束の間でもう10本追加で

空中に見せた!


蘭の動きを見越して10本の内、

1本だけを紅葉は意図的に残し待機させた。

蘭の服の表面上には細い糸をピラピラ(なび)かせ、

空中で体を一瞬だけ引っ込めた体勢から

何重にも重ねた太い糸を鉄骨に向けて解き放った。

それと同時に体を一気に広げ、

ジャングルジムのようにここ一帯が白い糸で精製

されたのだ!!

蘭「はぁ…はぁ……はぁ…はぁ……はぁ(焦)

あと1本。あと1本だけだから集中するの私っ!」

紅葉「それでは、行きますよ〜」

とその言葉の通り紅葉は、手加減なしに

かなり強い風を使って物凄い速さで

鉄骨を飛ばして来た。

蘭(……っ!紅葉さん、殺す気ですか!?

ううん、駄目駄目。

そんな事、考えてたら手元がブレちゃう(冷静)

チャンスはこの1回に限られる。

失敗は許されないだから!!)

その一心でジャングルジムを土台にし、

糸を握り締めながら鉄棒の要領で周り

風を遮るように飛んで来る鉄骨を足で受け止め

足で空高く宙返りの体勢から蹴り上げ、

地面に辿り着く前に仕上げで

1番強い粘着質な糸を生み出し固定させた!


拍手をしながら近付いて来る紅葉が、こう言った。

紅葉「とても良い動きでしたよ、蘭さん♪

いくら身体能力が高くても

全方位に糸を飛ばさなければ、防げない高難易度

の試練をよくぞクリアしてくれました。

お疲れ様です♪」

と戦闘が終わった合図として肩に触れられた事に

安心したのか蘭は足がすくんだ。

蘭「はぁ〜(汗)

ちゃんと出来るかヒヤヒヤしたよ〜

……っていうか紅葉さん!!

急に試練を始めないで下さい。

私、まだ心の準備が出来てなかったのにぃ〜(焦)」

紅葉「あら?自分の番が来るまでが、

心の準備だと思っていましたが〜………

うーん。そうでしたか」

蘭「ムッ!(激おこ)」

紅葉「すみません。

これからは、気を付けますね♪」

蘭「もう〜」


そんなこんなで3人の課題を終えた紅葉は、

引き続き雫と友理にこっちに来るよう呼び掛けた。

少し歩いた所で空中に固定していた鉄骨が剥がれ、

雫達の元へ振り掛かろうとしていた!!

紅葉(……っ!まずい、間に合わない(汗)

風の術を扱う者にはある程度、

チャージ時間が必要不可欠というのに。

さっきまで使っていた風は全て戦闘用に使う分、

妖気を整えていたからであって

瞬時に使用する事は不可能だ)


その瞬間、友理の右手が微かに動いて

雫を庇って友理は前に出た。

友理「雪乃さんっ!!

ハッ!(雫)

(………私が、雪乃さんを助ける!

私に助けられる力を貸して下さい、神様!!)

そう願うと大森魂(おおもりたま)神社の神様が応えたのか

友理に金色のオーラを(まと)わせ、

少し動揺しながらも両方の手の平を使って

大きな禍々しい妖術を展開させてから

紅葉「行けっ!」

すぐに鉄骨に解き放ったのだ。

鉄骨の中央部分に術を当てて紅葉が作り出した

風に乗せて展望台の方で爆発させた。

バーーーン!!!!!!・・・

友理「よ、かったぁ〜♪

神様…ありが……っ!あああぁぁぁぁ(発狂)

(痛い痛い痛い痛いぃぃ………(涙)」

発作を起こしたと同時に友理の両肩辺りから

黒灰色の煙のようなものが吹き出し、

肩を抑えながら地面へと倒れ込んだ。


蘭「あっ!落ち着いて!?友理ちゃん(焦)

今、少しだけ妖気を分けてあげるからね!!」

と慌てて紅葉達も駆け寄って来て

友理に妖力を注ぎ込む。

雫も少し怖がっていたが、自分の責任だと責めて

妖気をあげる作業に取り組んだ。

数分後・・・

発作が収まった友理は少し木陰で仮眠を取り、

休憩をした所で先に雫からを課題を与える為に

実力を見る所から紅葉は始めた。


一方蘭達は、先程の光景について話し合っていた。

誠也「結果的にあの光は、何だったんだ〜?

神社の方から来てたみたいだけど」

蘭「神様が、友理ちゃんに力を与えてくれた?

それに神様の力を使えるのは[神様]と[神の使い]

それでも友理ちゃんは、その妖怪でもなかった。

だからあんな風に発作を起こすのは、

そう珍しくはないけれど。

それ以前に……友理ちゃんは、

[妖術]をまだ使えないとも言っていたわ(汗)

これは、どういう事かしら?」

日向「もしかすると〜

初めて使うから操作が、不慣れな事もあって

妖力を全て使い果たしたのも原因かもしれないね。

そういえば前に水木が言ってね、

[火車に術を向けたものの使う事までは

まだ出来ていない]とか。

確かに言ってたな〜!(誠也)

それが正なら、発作を起こす理由は頷ける」

蘭「そう…ね」


奥の方で話している紅葉達に視点が向く。

紅葉「これで雫さんの能力も分かった事だし、

この3日間で出来る課題は[状況把握]ですね♪

えっ?来年じゃなくこの3日間で、ですか?!(雫)

あなた達は蘭さん達と違って特別部隊での出番が、

今後とも増えていく可能性を踏まえての話。

大丈夫♪

今回の合宿期間では、

そういう状況を取り入れた訓練をするつもりです。

他の人には見えない上からの視点や周りの視線、

隠れた相手の場所を見透かす能力を

どう活用するかを考えながらやりましょう」

雫「わっ、分かりました(汗)

(私の苦手な分野だ。

はっきりと伝えて全体に届く声掛け

リーダー的な立ち位置が、

私の中でもっとも嫌う立場!(汗)

周りに信用されていない

私からすれば悪いお荷物だから)」


そんな事を考えていると雫の気持ちを

先程の事を察して優しくアドバイスをした。

紅葉「そんなに硬くならないで。

落ち着いて今は、[あなたの力]が

どれ程か見定める為のものだから。

実際、失敗して得る事だって

この世で何回も経験する事なんですし、

畏まらないで目の前の事だけに集中するの♪

良い?」

雫「は、はい!(汗)」

紅葉「では♪

今、この周りのどこかに7体の人形が居ます。

その場所を正確に把握し、教えて下さい」

雫(どこかに隠れてる人形。

どれくらいの大きさなのか

範囲についての質問は、無しかな?

それによっては状況が変わりますが、

とりあえず周りに妖力のドームを貼ろうかな)


薄水色のドームが雫視点では展開されており、

周りの人達からは妖力をほんの少しだけ

感じ取るだけの感覚となる。

視界内である地面には居ない事を判断し、

周りの木に薄い妖力のドームを更に大きく広がると

数体の人形が枝の別れ目や葉っぱの後ろにいる事が、

確認できた。


妖気放出している影響で体全体に水色のオーラを

纏い、目を光らせていた。

雫(うーん、大体把握できた!!

でも〜あと1体がどうしても分からない。

どこに居るのでしょうか?(汗)

紅葉(どうやらこの子は、見かけによらず

とても良い目をしている。

普通の妖怪には無い観察眼を使って……ね♪

さぁ、最後の1体あなたはどう見つけられる?)

と不適な笑みを浮かべながら雫を観察した。


その瞬間、蘭に取り憑いた雫が辺りを見渡す。

雫からでは見えない視点などを他視点を使って

全て確認する事が、可能っ!

雫(なるほど………だから見つからなかったんだ。

新條先輩と同様の細工を施し、私自身の視点では

見えない角度を他の人の視点を使う事で

私の力を最大限に発揮できる[試練]を

日野寺先輩が設けてくれた。

そういう事なら、期待に応えないとね式神様!!)


薄い妖力のドームを展開させて数分後、

雫は答え合わせを始めた。

雫「日野寺先輩、6体の人形の場所が分かりました。

答え合わせ……しても良いんですよね?

えぇ♪あなたの実力を見定める時…ですから(紅葉)

1体目は、先輩方の後ろのあの木の別れ目。

2体目は林堂さんが居る木の根っこの側、

緑の子が草の色と同化させて私の視点から

見えにくくしていますね。

4体目が〜……………とここまでは順調でしたが、

最後の1体だけは[私から]では分かりません。

あら、意外と正直ですね。それは、どうして?(紅葉)

最後の1体だけは、[日野寺先輩の妖気]で覆った

人形だからです!

日野寺先輩がどんな妖怪かは存じ上げられませんが

この合宿に参加できる人はよっぽど強い妖怪である

以上は、間違いないかと。

それなら見えるものと見えないものがあっても

おかしくありませんから!!

私から見えないように細工したのですよね?」

と雫の問い掛けに紅葉は微笑むだけで

黙秘し続けた為、紅葉から聞く事を諦めて

蘭の方へ歩み寄った。


蘭の目の前に立って雫は、睨み付けながら

こう言った。

雫「鈴木先輩、あなたが……持っていますよね♪」

と笑顔で言う雫に対して

蘭は、物凄く困惑している様子だった。

蘭「えっ?わ…私が???(汗)

そんな事、紅葉さんに頼まれた覚えはないわ。

私は持ってないもの!!」

誠也「そ、そうだぜ。

蘭がそんなズルする訳ねぇよ!」

日向「お前は、もっと疑え……誠也」

と肩に手を乗せて呆れる日向。

蘭の顔をマジマジと見つめながら

雫は、蘭に向かって手を伸ばし始めた。

蘭「えっ!………んっ!!(目を瞑る)」

雫「これ…ですよね?」

と言いながら目に見えない蘭の上着ポケットに

手を入れ中から癖っ毛が特徴のストラップサイズ

人形を紅葉に見せつけたのだ。

紅葉「うふふ♪合格です!

想像以上の実力でしたよ、雫さん」

雫「そ、そんな事……ないですよ(照)

ある人が私にそう教えくれたお陰だから」


そんな喜ばしい時に2人は、

ポカーンとした顔で雫に問いただしたのだ。

蘭と誠也「へっ???

そ、それ…ってどういう事!?」

雫「気付かなかったのですか?

日野寺先輩が蘭さんに触れた[あの時]から

ポケットが無かった事にさっき思い出したんです。

それに日野寺先輩がどれくらいの妖怪なのか

鈴木先輩に取り憑いてようやく分かりましたから♪」

蘭「えっ!私に取り憑いてたの?!

全然、気付かなかったよ〜(汗)」

誠也「……っていうか、それって蘭に

取り憑く意味あったのかよ?

俺に取り憑く手もあっただろうに!!」

日向「そもそも相手に取り憑く条件としては

相手に攻撃を与えて意識に入り込むか、

妖力を周りに展開させた範囲内に入ってる人に

取り憑く事が可能だからね。

取り憑かれてる人にとっては、意識はあるものの

精神系の能力者以外は払えないから

分からないのも無理はないよ」

誠也「そ、そっか〜……ってぇ〜

なんか副作用とか無いよな日向ァァ?!(焦)」

日向「落ち着け、気持ち悪い。

取り憑く事は[妖怪の性質上]、

良い事なんだからな?

それに普段からあまり取り憑く人も居ない

この部員には必要な人材かもしれないよ♪」

蘭「そうだよね!日向くん。

よし。雫ちゃん、これからも頑張ろうね!!」

雫「は、はい???(汗)」

誠也「誰が気持ち悪いだよ〜日向っ!?」

日向「お前のそういう所だよ」

誠也「んだと〜ゴラァァァ!」

蘭「もういい加減、落ち着いてよね誠也(汗)」


そんな2人の内輪揉めに巻き込まれないよう

紅葉だけがその場から避難し、

いつの間にか起きていた友理の元へ向かった。

友理「ふぁ〜………あれ?私は〜(涙)

あ、そっか!

勝手に神様の力を使ったから私、発作を(汗)」

紅葉「この短時間でよくお目覚めになりましたね。

発作は、体内の妖力に多大なる影響が出ますので

無闇に願わない方が良いですよ♪

それに……あなたの課題だけは、

考えていませんでしたが。

これでよ〜く分かりました、友理さん?

は、はいっ!(友理)

あなたが3日間で行える[課題]を3つ言い渡します」

と口は微笑み、ニッコリとした目付きで

友理に伝えた。

登場人物紹介・・・


名前:日野寺(ひのでら) 紅葉(もみじ) 正体:???

髪型:三つ編みロング、もみあげ長め

髪色:オレンジ色(艶あり)

目:赤縁下メガネ(普段から)

瞳:オレンジ色

制服リボン:青ネクタイ

髪飾り:ダブル白リボン


キャラ解説:

長髪でオレンジ色の髪が特徴の紅葉は、

見た目通りの真面目さと気立も良く

とても優しい性格をしている。

が、3年前まではかなり性格が異なるようだ!

中学時代、紅葉と志童は[犬猿の中]で

口を開けば文句ばかりで

授業中にも関わらず衝突する時が多くあった!!

猛吹雪に襲われるような寒さが背筋を凍らせ

誰も止める事が出来ない程で

今と比べたら大分マシになった方とはいえ、

現在も同じクラスになっている人達にとっては

恐怖でしかないみたい。

ただ、その時の名残りがあるのか紅葉は

言いたい時は、はっきりと言い切り

相手を罵倒するスキルだけは高く

ダメージは相当なものらしいよ!

今では、天守村の大森魂神社の巫女と

瑠璃屋旅館のスタッフとして柄谷町で働いている。

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