第14話 「体育祭当日(後編)」
前回のあらすじ・・・
体育祭がいよいよ始まり100m走と二人三脚、
1年生の学年種目である[棒引き]や
3年生の[騎馬戦]と午前の部の種目が終わった
生徒達は、昼食の時間である。
座席を離れていく生徒が続々と校舎や家族の元へ
向かう為、友理達は遅めに校舎へ行く事にした。
友理「うーん♪
やっとお昼だね〜って言っても
私の種目は、まだだけど。
学年種目が勝てなかったのはちょっと残念かな」
駒「それは、私も少し悔しかった……です。
くじ引きで当たったとはいえ、
まさかD組と3試合目まで持ち越されるなんて
思いもしませんでした(汗)
体育祭では、クラス関係ないのかもしれませんね」
そんな発言に対して友理が、
駒にだけ聞こえる声でボソッと言った。
友理「駒ちゃ〜ん???(怒)」
駒「あっ、ごめんなさい!ごめんなさい(焦)
やっぱり何でもないです!!」
急に慌てた声で皆んなに謝るが、花梨が困惑した。
花梨「えっ?えぇ〜???」
と駒の発言に対してもう1人、弁護する人が居た。
それはジャージの袖を萌え袖のように手を隠し、
その手元の袖で口元を隠して百はこう言う。
百「そうどすな〜
コマッちゃんの言う事にも一理あります。
せやけど少しいちびる(調子に乗り)過ぎんと
また痛い目遭うさかい、気ぃつけや♪」
とそう言い、微笑み掛けてから駒に続けて話した。
百「そういえば、コマッちゃん?
体育祭が始まる前にお昼になったら
放送テント前で家族、待たせてはる言うて
まへんでしたっけ?」
それを聞いた駒が一瞬何の事か分からなかったが、
後からジワジワと焦り始めた。
駒「あっ!そうだった(汗)
百さん、一緒に行こ………いや、でも1人で
行かないとママにまた子供扱いされる。
でも〜でもぉ……(焦)」
そんな究極の選択を迫られた駒に提案した。
百「そんならコマッちゃんの家族が見えましたら
うちは遠目で見てはりますわぁ。
家族を見つけるまでは一緒に行きやへん?
話してはる所にうちがすれ違えば良いと思います」
駒「はあ♪
良いですね!ありがとう百さん」
百「ほんなら、決まりですな〜
うちらはコマッちゃんと先に行きますさかい、
ほなさいなら」
2人はゆっくりと校舎側を半周し、
それを見た花梨が微笑ましそうに見つめていると
学校の入り口が空いてきた所だった。
友理「私達も一緒に戻ろう!!
花梨さん、れん…かさん?あれっ?」
いつの間にか恋花が席から離れていた。
友理が探しに行こうとするので花梨が引き止める!
花梨「今は……そっとしてあげて(焦)
何だか怒っているみたいだったから」
友理「・・・そ、そっか〜(汗)
じゃあ私達だけでも先に教室に戻ってよう
花梨さん♪」
花梨「えぇ!」
一方・・・
校舎の左にある別のピロティで、
壁を殴っていた恋花の姿があった。
恋花「このっ!このっ!!(怒)
何でぇ、何で[Dクラス]なんかに負けたのよ。
絶対に勝てる相手だったのに、
負ける訳ない相手な筈だった………なのにっ!(涙)
どうしてよ。
こんなの悔しいに決まってる……じゃない」
と悔しがる声が響き渡るピロティに
赤髪の細いツインテールの人が、
背を向けたままの恋花に話し掛けた。
???「見ていたわ、あなたの戦い♪
下級クラスに負けるのは私達にとっては、
一生の恥…だけど。
クラスはお飾りであってただの肩書きに過ぎないの!
私達だって好きで[野良猫]になったんじゃない
それを言えるのは[下級妖怪達]も同じ。
確かに私達は、[野生に近い妖怪ではあるけれど
生きる為には下級妖怪なんかにナメられないよう
私達は[猫妖怪]としたの威厳を怠ってはならないわ。
その為にも私達は、外では堂々としていれば
何も怖くもないし、損もしないわ。
例え[D評価]されていても決して全員が全員、
弱い妖怪とは限らない事ぐらい(笑)
あなたも知っているわよね?恋花ちゃん♪」
と微笑みながら言う赤髪の女性に
静かに怒ってこう言った。
恋花「………観に来たの?
来ないでって言った筈だけど、何で居るの?!
私の事、馬鹿にしに来ただけでしょ」
???「嫌だな〜
こんな空気で馬鹿にする訳ないでしょう。
それにあなたを馬鹿にした事なんて一度もないわ。
一生可愛がった事は、否定しないけど♪」
ニヤニヤと楽しそうな表情を浮かべる
女性に対して恋花は、怒りを覚えた。
恋花「帰って!!
えっ?(???)
帰ってよ!私の事、笑いに来ただけなら
そう言えば良いじゃない!正直に言ってよ。
馬鹿っ!!(涙)」
と女性は思わず口を開けたまま、食いしばった。
???「今の今まで私の印象って最悪ね。
何も気付いてあげられないこんな[お姉ちゃん]で
ごめんね(涙)」
悲しそうな顔から笑顔に変えて抱きしめてから
恋花は、こう言った。
恋花「お姉ちゃん?
私……私ねっ!
ずっとヘラヘラ笑ってるお姉ちゃんが、
大嫌いだったの。
だからずっと…ずっと今まで距離、取ってきた。
でも、間違いだって思えたの!!
もう一度お姉ちゃんの口から家庭内ルールを
思い出せただけでも嬉しい。
ありがとう、お姉ちゃん(泣)」
姉「……っ!
もう〜あなたって子は、いつもズルいんだから♪」
お互いに涙を流しながらピロティの柱に隠れて
2人は抱きしめ合った。
一方D組では・・・
保健室に居る雫を迎いに来た2人は、
扉をスライドさせて先生を呼んだ。
美夏「し、失礼…しま〜す(汗)せ、先生?
居るわよ?(先生)
わ、わわっ!?居るなら返事して下さい(涙)」
保健の先生が2人の背後に立っていた。
芽亜「そうですよ〜
鬼塚先生が保健室に居なかったら
ユキっちを解放出来ないじゃん?
先生を探してる内に、このお昼を逃したら
夕方になっちゃう」
先生「知らないわよっ!
確かにそれは私が、この学校に来た時に
決めた保健室での規則であり破る者には罰を……
受けたくないわよねぇ?(怒)」
と無言の圧を掛けてくる先生に高速で頷く生徒。
美夏「は、ははいっ!
そ、それで…雪乃さんの容態はどうなりましたか?」
鬼塚「あぁ〜
それなら、そこでぐっすりよ。
最近は夜更かし続きだったみたいで
寝不足の影響で悪化したって所ね」
美夏は、寝ている雫の様子を見てこう言う。
「体育祭の準備で忙しい筈なのに
寝てないなんて……100m走のアレからですか?」
鬼塚「い〜や、眠ったのはついさっき。
体調不良を起こした理由について
聞いてみたんけど、
何をしたのかちっとも答えなくてね〜(汗)
やっと口を割ったのが、20分前さ」
2人「に、20分前っ?!」
鬼塚「そうよ。
口を割るのに苦労したさ〜
これ以上、長引かせたら私の残業にも
関わるからね一層の事、自白剤でも打とうかと
思ってな〜(悪笑)
それだけは先生として、色々駄目です!!(美夏)
うふふ♪冗談よ。
そういう事だから君達、許可は下ろしておくから
午後の部が始まる前にまた来てくれない?」
ガラガラ・・・
D組の教室に戻って
爆速でお弁当を食べ始める芽亜。
それを見た美夏は、少し引いていた。
美夏「そ、そんなに焦らなくても
お昼が終わるまでまだ1時間はあるよ芽亜さん(汗)」
芽亜「駄目だよ!
それじゃあ、隠し持って来たトランプが出来ない」
美夏「トランプ、持って来たの?(汗)
うん♪(芽亜)
2人しか居ないのにトランプするの???」
芽亜「あっ………
だってぇ〜お昼一緒に食べようって
朝、約束したのに突然居なくなるんだもん!!」
美夏「凛音ちゃん。
観に来なくても良いって
親御さんに伝えてたらしいよ?
それでも〜観に来たって生徒席に居た時、
私に教えてくれたの」
芽亜「えっ!そうなの?!
はぁ〜……何だ。つまんないの〜(汗)
あっ。良い事、思い付いた♪
じゃあじゃあ〜このトランプは、
来週のテストが終わった後に
パジャマパーティーのゲームとしてやろう☆」
美夏「えっ、えぇ〜?
私は〜その日、用事入ってて行け………
じゃあ決まりミカたん、良いよね♪(芽亜)
(あっ、コレもう無理やつだ。
ここは潔く認めないよう(汗)
そ、そうだね」
芽亜「やっほほ〜い♡
ミカたんは、もう私の仲間だぁ〜♪
後で2人にも知らせよっ!」
一方2年生は・・・
昼食を食べ終えた3人は、外に出ていた。
誠也だけ校庭にある水洗い場で顔を洗い、
前髪を掻き上げて空を眺める。
すると顔の前に白いタオルが現れた。
蘭「はい、誠也♪
またタオル持って来てないでしょう」
誠也「おぉ〜サンキュー蘭(笑)」
日陰から1ミリも出てこない日向を横目に
2人は楽しそうに話し日陰で待つ人の元へ戻った。
誠也「よぉしっ!!
早く午後の種目にならないかな〜?(笑)
何でそんなに元気なんだよ(日向)
い〜や、何てったって俺らの学年種目でもある
[棒倒し]が待ちきれないんだ!
あぁ〜大体、そんな事だろうと思ったよ(日向)
だって棒倒しだぜ?!
くじ引きとはいえ、運が良ければ〜
日向のクラスと真正面から勝負できる
この学校が、すげぇと思わねぇか☆」
日向「そう……か」
誠也「真面目に聞いて引くなっ!?」
後退りしそうな日向を力強くで
その場に居させようとしていると蘭が話し掛けた。
蘭「それに今年入って来た1年生と違って
この学校に慣れている2年生は、
去年よりも格段に進化してる筈!!
迫力もきっと違うよね♪
そういう他生徒の成長が見れる行事があるのは
私もちょっぴり体育祭が楽しみなんだ〜♡
メニューの参考にも出来るからね」
誠也「だ、だろ!!蘭は分かってるぅ〜
まるで僕が分かってない言い草だな(日向)
そ、それに日向が楽しくなくっても
俺は戦える種目があれば面白ぇんだよ!(汗)
紅葉のクラスにも当たるかもしれないだろう♪
だから楽しみなんだよ(笑)」
誠也の嬉しげな声が聞こえたのか
橙色の髪をした女子生徒と志童も後ろから
やって来た。
???「あなたとは、
去年の夏で付き合っているじゃない。
真正面から勝負するのは私だけじゃないのですよ?
そこら辺の区別は、付いていますよね」
誠也「んっ?
紅葉か、聞いてたのか?それに志童まで(汗)
お前らいつも一緒に居るよな〜仲でも良いのか?」
と誠也が尋ねると2人は、ギクシャクし始める。
志童「別に。
同じクラスでの話し相手としか見てないけど」
紅葉「そうね、私もそれ以外に見ていないわ。
他に一緒に居る意味ってあるのかしら?」
誠也「お、お前らな〜!!
そういう所が2人揃って気にくわねぇんだよ。
もっと素直に話せば良いだろ」
日向「いやいや、お前が言うな。お前が〜(汗)」
誠也「あぁ?
もう一回、言ってみやがれ日向ぁぁぁ?(怒)」
と右手で日向の頭を鷲掴み、
その様子をマジマジと見てからこう言った。
2人「お互い様だな」
蘭「落ち着いて誠也、日向くん(焦)
人それぞれ住んでる環境が違うんだから
誠也もその話は、もうやめましょう!」
志童(蘭さんはいつも大変そうですね(汗)
そうこうしている内にお昼の時間が終わり、
放送委員の声掛けが始まった。
放送「これから午後の部の種目に移ります!
生徒の皆様は、校庭へお集まり下さい。
午後の部での最初の種目の方々は、
控え場でお待ち下さい!!」
雫を連れて嬉しそうな顔をしている芽亜と美夏。
相変わらず皆んなに囲われる天野先輩一行は、
苦笑いで対応する人と笑顔で対応する人で
分かれていた。
誠也は、やる気に満ち溢れた顔付きをしていて
蘭は黒いハチマキを巻き深呼吸をし、
日向は変わらずドンヨリとしていた。
そして芽亜達がD組の座席に戻ると
一足先に戻っていた凛音と合流した!
友理は駒と少しだけ話してから控え場へ向かった。
借り物競争・・・
友理達A組が出場し、ルール説明を聞いた。
放送「これから借り物競争を行います!!
この借り物競争では、
トラックの中心に置いた3つのテーブルに
お題が書かれたボックスがあります。
そのお題通りの事が書かれた物もしくは人を
テーブルの前に立たせて移動させ、
次のポイントへ向かって下さい。
3箇所目のテーブルが終わった人の順番で
勝者が決まります!
そして同じ人から借りる事や相手が断った場合は、
次のポイントに進めませんので
最下位になるまでは最後まで諦めずに、
見つけて下さい!!
能力の使用は、オッケーです。
それでは、借り物競争の始まり始まり☆」
ルール説明を書き終えてすぐに整列した。
A組の最初は、傀来で津鬼の弟である
長男から始まった。
陽花「位置について……よーい、ドン!!」
友理「傀来くん、頑張れ〜!」
津鬼「あなたならきっと出来るわ♪」
という2人の声援に応えたのか
傀来は、微笑みながら1つ目のポイントに着いた。
すると、周りをキョロキョロし始めて
すぐに傀来と同じ列の1人が走り出した途端、
物凄いジャンプ力で校庭のど真ん中から
職員室のベランダに移動し、
ベランダに居た先生のメガネを取った。
先生「こら!
それは、私の眼鏡じゃ今すぐ返しな………」
と先生が怒鳴ろうとした瞬間、傀来が睨んだ。
傀来「こっちは今、競争してんだ。
アンタみたいにボーッとしてると、
こういう写真など盗まれやすいので
バレたくなかったら……貸せ?(笑顔)」
と3年生の四宮の盗撮写真を取り上げて
突き付けた。
先生「なっ!?わ、わわ分かった貸す。
貸すから、それだけはっ!!(汗)」
傀来「ニヒッ(笑)毎度♪」
そう言って写真と眼鏡を持ち出して校庭へ戻り
眼鏡を1つ目のポイントの机に置き2箇所目、
3箇所目をスムーズに終わらせて2位となった!
友理「す、凄いよ!?傀来くん☆」
津鬼(あの子ったら………また〜(汗)
2回目:津鬼
陽花「位置について……よ〜い、ドン!!」
とスタートの合図が掛かって
すぐに友理は応援した。
「ガンバッ!ガンバッ!!津鬼☆ちゃん」
津鬼「私に[ちゃん付け]する権利なんか
あなたには無いわよっ!(照)」
と走りながら友理の事を睨みつつ照れていた。
そんな話を終えると津鬼は
1つ目、2つ目を難なくクリア出来た。
続いて3箇所目のテーブルのお題箱から
紙を出して見ると険しい顔付きに変わった。
津鬼(こ、これは………[蚊取り線香]?
今の時期だと初夏だけど、
こんな物を持参してる人なんて生徒?
いや放送席の人か?それとも保護者、先生方。
それなら一層、傀来のように職員室に上がる?
いえ、私にはそんな跳躍力は無かったわ。
どうしましょう(汗)
友理「津鬼ちゃん、どうしたんだろう?
無理難題なお題は10分の1の割合だって
実行委員の人は、言ってたけど〜
ホントに当たっちゃったのかな?(汗)」
魁斗「あぁ〜もん!!
林堂が、そんな事言うから
俺も不安になってきたじゃねぇかよ〜(焦)」
友理「えっ!あ、ごめん…なさい(汗)」
傀来「落ち着け魁斗。
魁斗が、思うような姉さんじゃない。
姉さんが慎重なのは頭で考えている証拠だ!
不安になるからって人のせいにするな」
魁斗「だ、だってよ〜(焦)」
傀来「すみません、うちの弟が(汗)」
ちゃんと友理に頭を下げてから
友理はフォローをした。
友理「わ、私は大丈夫だよ傀来くん♪
それに不安がらせたのは私の責任でもあるから。
魁斗くんを責めないであげて!!」
傀来「分かりました。
ですが、これからは失礼の行為です!
僕から弟に言い聞かせておきますのでご安心を」
魁斗「えっ…?(怯)」
続々と津鬼と同じ列の人達が、
トラックから外れ探し始めている所だった。
津鬼(うーーーん、そうだっ!
あの人なら……あの人なら持ってるかもしれない。
どこ?あの人は、今どこに居るの?!)
とりあえず津鬼は頭より体を先に動かし、
机から離れてスターターである陽花に聞いた。
津鬼「あの陽花先輩、煙川先輩が
今どこに居るか知っていますか?
出来れば、定期的によく居る場所とか
詳しい情報を知りませんか?」
すると陽花は「えぇ〜知っているわ。
閻来なら時間帯的に体育館の更衣室に居る
と思うわ♪」
それを聞いた津鬼は、明るい顔付きになって
陽花にお礼を言ってすぐに体育館に向かう。
陽花(まさか、あのお題が彼女に当たるなんて。
まぁ〜閻来の事だし、向こうは大丈夫でしょう!
それに他の子達も苦戦してるみたいだし♪)
体育館の更衣室にて・・・
更衣室の扉を閉めてシャワー室の扉をロックし、
蚊取り線香に火を付け更衣室は煙で充満していた。
閻来「はぁ〜♡
久しぶりですね〜今日はラベンダーの蚊取り線香を
選びましたが、いつ嗅いでも良い気分だわ。
しばらく体育祭の準備や練習で
忙しくて出来ませんでしたが、
これでようやく私の楽しみが思う存分、
満喫できます♪
そろそろ良い感じになってきた事だし、
頂こうかしら。
それじゃあ[いただきます♡]」
と言って更衣室に充満した煙を吸い込み始めた。
約12秒間、吸い込み終えると両手を肩に掛けて
「はぁ〜♡美味しかった。
疲れた時に食す煙は、格別に美味しいわ♪」
と言って体を震わせた。
ルンルンになった所で更衣室の扉が開き、
外からの風が入って来た。
津鬼「ゲホッ!ゲホッ!!ゔぅ〜(涙)
け、煙川先輩…すみません。
気分転換してる最中に入って来てしまった(汗)」
少し驚いた表情をして津鬼を見上げた。
閻来「あら〜?
どうしました……津鬼ちゃん。こんな所まで」
津鬼「あ、はい。
ちょっと借り物競争で[蚊取り線香]を持って来る
お題で煙川先輩が持ってる事を思い出して
交渉しに来たのですが〜……(汗)」
それを聞いた閻来は、目の色を変えてこう言った。
閻来「・・・それで私の蚊取り線香を少しの間、
借りたいという事は
あなたもそれ相応の対価を支払う物を
持ち合わせているのでしょうね?
私の大好物でしたら、話は別ですが♪」
と津鬼は、思わず息を呑みある物を見せた。
閻来「コレは〜何でしょうか?」
白い球に紐が繋がっている物を見せた。
津鬼「煙幕玉……と言った方が良いでしょか?
えっ♡(閻来)
これだけじゃ物足りないと私は思ったので
せめて物、お気持ちとして
[煙幕玉2つ追加と発煙筒の白と赤の2色ずつ]
差し上げますよ♪」
それを聞いた閻来は体をカクカクさせながら
煙幕玉と発煙筒を掴み取ってからこう言った。
閻来「うふふ♡下さいな♪」
津鬼「うふ(ドヤ顔)
ありがとうございます煙川先輩っ!
私の出番が終わり次第、すぐに返しに来ますから
ご安心下さい♪」
と津鬼は、更衣室を去って能力:俊足を使って
蚊取り線香を机に置き1番にゴールしたのだった。
魁斗「うおぉぉぉ、姉さんがゴールした!!
やったぜ☆」
傀来「はぁ〜………」
友理「良かったね、2人共♪」
傀来「はい」
続いて魁斗の出番だったが、
2つ目のお題:ぬいぐるみに大苦戦して
3位という結果となった。
津鬼「あの子には……」
傀来「小さい子供が苦手だからな〜(汗)」
そして、いよいよ友理の出番となった。
友理「よ〜し、頑張るぞ〜!」
津鬼「頑張りなさいよね、林堂♪
1位逃したら承知しないわよ」
友理「は〜い☆」
陽花「位置について……よ〜い、ドン!!」
良いスタートを切った友理が、
一番最初に辿り着く。
友理「えっと〜黒いリボン。
(黒いリボン!?
………ってえぇ〜っと誰が持ってたっけ?
改めてお題を見ると意外と思い付かないもんだな〜
確か身近な人に居た…ような〜???
あっ!そうだ、思い出した☆)」
友理は思い付き1年A組、自分の座席へと向かい
すぐにある人に話し掛けた。
友理「恋花さんが付けてる[黒いリボン]
貸して下さい!!」
と頭を下げてお願いした。
すると恋花「もう〜友理ちゃん、そんな事で
気安く頭を下げちゃ駄目だよ〜(笑)はいっ!」
恋花はツインテールから
ロングワンサイドアップの髪型に変わった。
友理「はぁ♪ありがとう!!」
座席からトラックに入り、1箇所目の机に置いた。
続いて2箇所目の机に向かい、
お題箱から紙を取った。
友理「親子そっくり顔を連れて来る。
(親子そっくり顔?
しかも2人でも3人でも良いっていう人数まで。
なぁ〜んだ、それなら簡単じゃん!
駒ちゃんと駒ちゃんのおか……んっ?おと……
んっ?あれ〜…そ、そそうじゃん私っ!?)
と慌てて駒ちゃんの所へ猛ダッシュし、
着いてすぐに衝突にこう言った。
友理「こ、駒ちゃん(汗)
私……駒ちゃんの両親、人間の姿知らない!」
と辺りに風が吹き、駒は目が点になりながら
「えっ?」と言った。
駒「ママとパパなら、放送テントの隣に
居る筈だよ♪」
と嬉しそうに言うと友理が駒を抱えて
すぐに放送テントの方へ向かった。
駒「ぎゃあぁぁぁ!!
降ろしてぇ〜降ろして下さいぃぃぃ(泣)」
駒の弁明に対して遠目から心配する2人。
誠也「おい……アレ〜無理矢理じゃ…ねぇよな?」
蘭「た、多分…それは無いと……思いたいけど(汗)」
放送テント前にて・・・
友理は、大きな声を出して駒の両親に呼び掛け
続ける。
友理(というか今更だけど、木霊の姿の時は
そっくりぃ〜なのは木霊だからであって。
人間の姿で違ったらどうしよう!?
昼間でも妖怪になれるのかな???
いや、一層の事…今からでも他の親子をぉ〜)
と思い始めた瞬間、駒の両親が観客の前に
出て来てしまった。
友理「あぁ〜!?
……って〜めちゃくちゃ似てる!」
母駒の髪型はルーズサイドテールの白緑色で
透き通った肌、薄ピンクの口紅をしていて
父駒の髪型はサラリーマンのような短い髪、
卯の花色の髪色で黒縁メガネを付けている。
駒を見比べても母と父を半々に割ったような
髪色だった。
駒「そ、そうかな〜(照)
うぅ〜注目されてるよ。皆んなが見てるぅ〜」
そしてまだ借り物競争の真っ最中だという事を
思い出して3人にお願いした。
友理「あっ!そうだった。
駒ちゃんとお母さん、お父さんに
頼みたい事があってお題が当てはまってる
駒ちゃん達に2箇所目のテーブルの前に
立って貰えないかな?!
えぇっ!?(駒)
お願い。一生のお願いだから!!
2個目終わらせないと次に進めないの(汗)」
駒「そ、それはちょっとぉ〜(恥)」
母駒「良いじゃありませんか、駒ちゃん。
前の借りがここで晴らせるのなら
簡単の事でしょう♪」
父駒「そうそう。
母さんの言う通り、借りは軽い方が良いって
よく言うからね」
駒「うぅ〜ママとパパが言うなら…私もや、やる!」
と恐る恐る了承した家族一行は、テーブルの前へ。
友理「ありがとう、駒ちゃん!
すぐ終わらせるからもう少しの辛抱だよ☆」
駒「ゔぅ〜やっぱり怖いぃ(涙)」
3箇所目に着いた時には友理の前に2人も居た。
一刻も早く箱から紙を取り、
お題を見て驚きのあまりその場で崩れ落ちたのだ。
友理「……えっ?お題が[砂時計]?
林堂???(津鬼)
うそ…私、無理難題なお題を引いたんだ。
(砂時計なんて学校にあったとしても
精々、化学室のみ!
借り物競走での現在の私の順位は3番目、
前の2人が居る事を踏まえると〜
校舎に戻って化学室に行き、校庭に戻るまで
どうしても10分以上は掛かってしまう(汗)
部活で鍛えたこの体でも無理だ。
化学室に行くのは諦めて
この体育祭に参加している生徒もしくは、
保護者の中から砂時計を持っている人を……探す?
でも…そんな確率、原石を見つけるのと
同じくらい難しい筈。
これは、もしかしたら[お手上げ]かもしれない。
だって探し物を呼び掛けた所で、
もしそれが[大切な物]だとしたら手なんて挙げて
貰え……ない。んっ?
そういえば、あの時…落とした物も砂時計だった☆
あっ、まだ希望はあるかもしれない!!
だとしたら……どうやって借りれるのかな?
ううん。
今は、貸して貰える事だけを考えなきゃ!
それしか…今は方法が無いんだ)
友理は希望を膨らませある人の元へ走り始めた。
それは、神子と一緒に話していた桜だった!!
息を上がらせていた友理を見て桜はこう言う。
「何ですか?
あの時に言いましたよね。私に話し掛けないでと、
聞いているんですか林堂 友理っ!」
と息を整えた友理は、真面目な顔付きを見せてから
精一杯お願いし続けた。
友理「お願いです、神城さんが持っている砂時計を
私に貸して下さい!!
お願いします。神城さん、しか当てがないんです」
それを聞いた神子が口出ししようとした所、
桜が手をやって引き留めた。
神子が戸惑いながら桜の顔を覗き込むと
一番驚いていたのは、桜自身である事が分かる。
桜「な、なぜそれをあなたが知ってっ!?
(あの時……私が落としたほんの一瞬で
拾った物を砂時計だと分かった!?
確かに。
あの時の私は、喜びと一緒に焦っていた…けど)
フラッシュバック・・・
桜が特殊部隊として授業を途中で抜けてまで
見つけた御札を麟に見せた時の事だ。
御札を入れようとポケットに仕舞った時に
別の物がポケットから落ちたのが、
その[砂時計]だったのだ!
だが、あの[砂時計はただの砂時計では無かった]
なぜならガラス製のチェスのクイーンの形であり、
中にはほんの僅かな砂しか残っていないのだから。
フラッシュバック終了・・・
桜「あの一瞬で[砂時計]だと把握し、
一度しか見ていない記憶を疑いもせずに
[砂時計]だと判断するなんて。
あなた………何者なの?」
その一言を聞いた友理は、キョトンとした顔で
こう言った。
友理「私?私は[普通の妖怪]だよ♪
それにあの時の事、思い出してみたんだけど〜
あの砂時計の周りが透けてたし、
地面の砂と勘違いしたって感じかな〜???
……ってホントに砂時計で合ってますよね!!
神城さん!?」
淡々と口にする友理を見つめながら桜に
神子が話し掛けた途端、
桜はガラス製のチェスを友理に差し出した。
神子「お嬢様っ!?何をしてるんですか!(汗)
それが何なのか分かっているのです?!」
桜「コレが、今あなたにとって[必要な物]なら
貸して差しあげます。
ですが、この種目いえあなたの出番が終わり次第、
即刻返して貰えるのなら……渡しますが(汗)」
と思った反応と違った顔をしていたが、
友理はチェスを手に取る前にこう言った。
「あ、ありがとう…ございます♡
神城さん!絶対、すぐ返すからねっ!!
待ってて♪」
そう言い返してから優しく手に取り、
トラックの上を走った。
走ってゴールを向かう途中、心の中でこう思った。
友理(うふふ♡コレが………
あなたがどういう印象で私に渡したか知りません
が、そう簡単に信用できない人に[大切な物]を
手放してはなりませんよ。桜ちゃん♪)
と言って友理は無事、先に居た2人を追い越して
1位を取った。
津鬼達としばらく喜びあってから
チェスを持って駒にお礼をきちんとして
桜に返した。
その友理の後ろ姿を見て神子が忠告した。
神子「お嬢様、今後あのような勝手な行動を
取りましたら…次はその相手を私が殺します!
お嬢様に危害が及ぶ事を避ける為にも
それだけは、分かって下さい。
あと[先程の彼女]と今後関わる事がありましたら
その時は、観察対象として見て下さいね」
桜「えぇ。
次からは………いえ、今日限りで彼女を見る目を
少し変えようと思った所よ。
神子さんに心配を掛けた事も
今日でお終いにするわ」
と2人は、話し終えてから持ち場へと帰った。
棒倒し・・・
次の種目は、2年生の学年種目[棒倒し]だ。
クラスの代表者がくじを引き、
蘭達のクラスは、Bクラスと当たった。
蘭は瞳を見つめ視線に気付いた瞳が、
お辞儀をしてからBクラスの元へ。
Sクラスの元に一度戻った蘭は、
何やら誠也と真面目な話をしていた。
そんな2人の様子を見ていた瞳が、
後ろに居る日向に話し掛ける所だった。
瞳「あなたの言う通りね。
あちらは、蘭さんほぼ決まりでしょうね♪
少し身勝手な感じに思えて彼には腹が立ちますが(怒)
この種目では能力の使用はアリ……でしたよね?」
日向「あぁ。
その時が来たら僕は、身を潜めますので
瞳さんは誠也を封じて。出来れば、長く」
瞳「了解」
Sクラスの場合・・・
蘭は持ち場に着き、
支えの人と顔を見合わせてから
地に足を付けている生徒がU字型のサイドに2列、
曲がった所に残りの生徒で並んでおり、
誠也もそこに居た。
Bクラスの場合・・・
至ってシンプルで、O字型のサイドが2列で
曲がった所には1列5人ずつと配置され、
日向はO字型の上の列で真ん中に居た。
明「それでは、棒倒しのルール説明します!!
この棒倒しでは男女混合で行い、
妖術の使用+能力の使用を許可されています。
能力により戦闘不能になった選手は
体育祭の実行委員らが回収をし、
殴る事は禁止ですが攻撃など防いだり妨害する
などの[蹴る]行為は認められます。
棒が確実に地面に倒れるまでが、
勝負の決め手となります。
では、前置きが長くなりましたので
両者………始めっ!!」
と開始の合図が掛かると
日向はすぐにB組のグループごとに
指示を出した。
「鬼軍は左側に居るリーダー格に突進して
獣人軍はその鬼軍のサポートとして妖術の準備。
もう半分の獣人は、右側に分かれるんだ!!
目組は、各々の力を獣人軍の援護を」
1本角や2本角、ゴツい角を付いた鬼達は
Sクラスの一澄が居る方へ。
犬耳や狐耳を付けた獣人軍では、
鬼軍の後ろで前衛は妖気を溜める人と
後衛が様子見という感じで待機する。
もう半分の猫の獣人は、右側へ先陣を切った!
目組が獣人の後衛から援護する構えを見せた。
蘭の指示が一通り終わった頃に
誠也は蘭の真下で待ち構えていたが、
日向の指示を聞いて
すぐに蘭の真上へと移動した。
蘭「きゃっ!
ちょっと誠也、上に上がるなら言って。
支えてくれる人達がキツくなるでしょ(汗)」
下の人達「そうだぞ、誠也!!
何してくれてんだよ。馬鹿じゃねぇの(怒)」
誠也「うるせぇ!わったよ(怒)
(……っていうのは、今は置いといて。
指示を送るって事は奴だけ目を離さなければ、
良いだけのこ…あっ?やべっ?!)
蘭と下の奴らだけでも目を閉じろ!!」
誠也を何かを察知して後衛部隊だけに指示をした。
下の人達「は?何でだよ。
ただでさえ、支えるのに必死だって言うのによ。
言っとくが辛いんだからな?」
誠也「早くしろ!」
と誠也が言った頃には前衛に居た数10人の選手が、
地面にドミノ倒しのように倒れた。
なぜなら、B組の瞳が能力を使ったからだ!!
瞳達の棒に近付き過ぎたS組の前衛部隊が、
第一の脅威:催眠術によって倒された。
瞳が溜めた妖気の分だけ催眠術を解き放ち
その放った距離は、棒倒しのフィールドの半分を
占めていた。
B組の生徒は作戦を事前に知っている為、
目を瞑り全員残っています。
フィールド半分とはいえ、これがもし全体まで
呑み込んでいたらと想像すると誠也の指示を
聞いて目を瞑った蘭含めた人達は戸惑いの声を
上げていた。
蘭「んんっ!
あれ?皆んな、どうしたの?!
私達のクラスだけ担架で運ばれてる(汗)
えぇ〜…っと?ど、どういう事……誠也?!」
下の人達「おーーーい、修斗!晃!!
何でやられたんだ(焦)」
女子生徒「こんな一瞬で!?
何も触られもしなかったのにどうして?」
と混乱している生徒達は、
誠也が皆んなに届くくらいの声でこう言った。
「これは、あのB組の四つ目によって
やられたんだ!
外傷や触れられもしてないのなら[催眠術]、
担架で運ばれた奴らは眠らされてるだけだ!!」
誠也の説明に戸惑いつつまだ競技は、
始まったばかりだという事を思い出して
S組の一同は再び気を引き締めた。
Bクラス32人 対 Sクラス16名
すると誠也が蘭に話し掛けてから前衛へ出た。
誠也「蘭っ!
もしも棒が倒れそうになった時は、
糸を張って体勢を立て直すんだ。
わ、分かったわ(蘭)
(チッ。
よりにもよって、序盤から能力使うかよ?!
いや、前に出過ぎたアイツらの影響で。
くそっ!!
瞳の影響で、日向を見失ったじゃねぇか(汗)
蘭は………心配ないな)
んじゃあ、催眠術で受けた奴らの払いせだ。
反撃させて貰うぜ(笑)」
棒倒しのフィールドのど真ん中で立ちはだかる。
誠也「おっしゃあ、掛かってきやがれ(キレ)」
日向(どうやら瞳さんの妖気量でバレるとは
思ってもいなかったが、次は……封じる!)
瞳「・・・」
何も言わずただ口を閉ざし目元を暗くさせていた。
するとB組の鬼軍が、
続々と動き始めて誠也に直行して来た。
獣人軍の前衛と後衛で横2列で並び、
もう半分の獣人軍が鬼軍と一緒に反撃する!!
目組は、棒の真下へ戻って様子見となった。
突進して来る鬼軍を誠也は一回のジャンプで
鬼軍の背後に周り、片手で着地し足で地面の砂を
持ち上がらせた。
続いて攻撃を仕掛ける獣人軍には左腕を寸止めさせ
突き出す瞬間、強い風が舞い獣人が
吹っ飛ばされていく!
もう1つの獣人軍は、
前衛と後衛で一斉に妖術を解き放つ。
雷のような術が地面に接触し、爆風が起こり
誠也は一歩後ろに撤退する。
誠也「おっと!?……危ねぇ(汗)
はぁ…はぁ……流石に1人での強行突破は、
そう易々(やすやす)とはいかないか。
なら!!
お前達を頼って良いって事だよな(笑)」
ニヤリと笑う。
次の瞬間、Sクラスの前衛が猛スピードで
Bクラスの鬼軍に奇襲を仕掛けて来た!
ドン!!!!!!・・・
誠也「ニヒ(笑)
なぁ、どこに居るか知らねぇけどさ〜
仲間がやられてるのに1人で
ノコノコ隠れてる場合かぁ〜日向っ!
少しは、守る意志がないのかよ♪」
と言い放った直後、誠也の背後から
突如として日向の姿が現れ、
少し離れた所まで蹴り飛ばされたのだ!!
日向「ふん(笑)
この作戦を立てた時から考えていた事だ。
誠也の視点から消えれば、いつか隙が出来る!
その瞬間を狙えば油断させられる……からね」
そう話していると後ろから鬼軍を蹴散らした
一澄率いる部隊が突撃して来た!
が、日向はアッサリと攻撃を避け
背後に回る事をあらかじめ知っていた一澄が、
後ろを向いた時には姿が無かった。
一澄「き、消えた…だと?!
じゃあどこにっ!
蘭ちゃん、どこに行ったか見てないのか?」
誠也「蘭を[ちゃん付け]で呼ぶな!!(怒)」
と後ろから言い放つ。
蘭「ご、ごめ〜ん!(汗)
見てたんだけど、足場が少し揺れて
驚いて目を離しちゃったの(焦)」
それを聞いた一澄と誠也が、何かを察知したのか
同じ言葉を口にした。
2人「……っ!!
蘭、棒をネットで固定(して下さい)しろ」
最初、蘭は何を言われたのか分からずにいると
棒が傾いている事に気付いて
傾いた方の逆側に接着の強いネットを地面に
固定した途端、重さが傾く前へと戻った。
蘭「あ、あれ?元に戻った???」
誠也「きっと日向が、近くに居たんだよ!
良いから蘭と下の奴らだけでも周りを
しっかり確認してくれ。
誠也は、どうするんだよ!?(下の人)
俺は………瞳を地べたに引き摺り降ろして
この状態を打破すっからよ(笑)」
とその場で立ち止まり、少し走ってから
誠也の足が地面から離れ天高く舞ってる時に
突如、瞳の能力が発動してしまったのだ!!
瞳「(ずっと……この時を待っていた。
ここまで妖気の調整するのに
時間が掛かってしまった事には誤算だったけれど、
あなたが怪我を負ってまで彼を留まらせてくれた
お陰ね、新條くん。
だから女心も分からない彼には………
今すぐに退場して貰う!)
あなたは、ここで眠る時間なのですよ♪」
と不気味な笑みを浮かべ誠也にだけ催眠術を
至近距離から掛けられた。
今度は、目を瞑る時間さえも与えず
範囲がそう遠くない為、誠也は瞳の四つ目を
見てからすぐ睡魔に誘われてしまった。
キリッとした姿勢から空中でフニャフニャし始め
た姿勢の誠也を見てから蘭は呼び掛け続けた。
蘭「せい……や?
あっ!誠也っ!!目を覚まして(汗)
このままだと誠也まで退場してしまうわ!
棒倒しやる前に絶対、守るって言ったじゃない。
起きてよ誠也っ!(涙)」
という蘭の言葉は虚しく誠也は空中降下し出し、
次第に地面へと近付いていく。
誠也(んっ?………蘭の…声が聞こえ……たけど、
目を開けてられるのが精一杯で〜
体を…動かす余裕が……ねぇ(汗)
こんなカッコ悪いまま終わるのは何か癪
だけど、まんまと日向の策にハメられた
俺が馬鹿だった…よ。
何だか眠く……なってき…後はまか………)
一澄「そんな事、させるかよ!!」
と一気に走り進んで来た一澄が、日向の横を大体
にも通り、止めに入ろうとする。
日向「まずい、油断した(汗)早く止めっ……
ゔっ!(痛み)
(さっきの蹴りで体が耐えきれなくなったんだ。
人によって妖気が異なる理由は、2種類!
魂の周りぐらいが一般的な妖気の量だけど〜
妖気の容量によって体が強化されている。
例えば、[人の体が容器]だとすれば
妖気の多い誠也と同じ人達は、
鋼鉄のような強度のある体に変わる。
だけどそれは並外れた妖気を持った人達の事、
僕や鈴木さんには体全体にまで行き届く
妖気を纏っている訳じゃない。
こんな風に少ない妖気の人が、
誠也を思いっきり蹴ろうとすれば
足が骨折するのさ)」
無気力になった右足を手で抑え付けてから
その場で棄権する事にした日向。
一澄がB組の棒の近くまで行った所で、
足を踏み込んだ。
すると先程の誠也よりも高く飛び上がり、
誠也の背中が自分に向いた途端、
両脚で思いっきり蹴飛ばした!!
一澄「攻撃、するんだろ?
だったら………吹っ飛びやがれ八瀬っ!」
と同時に両脚で蹴飛ばした結果、
両脚複雑骨折となった。
日向「あぁ〜それやっちゃ駄目なのにぃ〜(汗)」
可哀想な目で一澄を見つめる。
一澄「うるさい。
大体、お前がそれを言うぅぅぅ……痛い?!(涙)」
と地べたで這いつくばりながら叫ぶ一澄であった。
そして飛ばされた誠也は、
Sクラスの一澄に蹴られた痛みのお陰で
目が覚め、何かを察した瞳が間一髪で避け切れた
矢先に棒に向かって強烈なキックを
お見舞いした事によりB組の均衡が崩れた!!
そしてあんまり状況が掴めていないながらも
斜めったB組の棒、目掛けて左手の拳を
解き放ったのだ!
誠也「なんか、よく分かんねぇけど〜
こうすれば俺らの勝ちって事だろうよ(笑)」
ドスン!!!!!!・・・
地面と衝突した勢いで棒の下を支えていた人達が、
宙へ舞う。
腹打ちの人や背中打ち、尻もちで着地した人が
大勢に居た。
あまりの迫力に口を開きっぱなしな明は、
自分の役目の事を思い出してこう言う。
明「あぁ(汗)
しょ、勝者:Sクラスっ!!」
と審判による声に観客から歓声の声が上がった。
拍手と一緒に感動してる人も居た!
日向「はぁ……全く(笑)
最初から敵う訳ないって分かってたんだけどね。
でも、僕はどうしても
今年の1年生には伝えたい事があったんだ」
日向の目線が、1年生の座席へ向いている。
一方友理は、マジマジと2年生の学年種目を見て
瞳の様子を見ていた事により催眠術で眠っていた。
駒「えっ!
何で寝てるんですか友理さん?!
もう試合、終わっちゃいましたよ(汗)」
友理「そうなの!?
うそ〜B組の四つ目の人見てたら、
何だか眠くなってきて……はぁ〜あ(あくび)
眠いよ〜(汗)」
そんな事を考えていると座り込んだままの日向に
気が付き蘭が声を掛けた。
蘭「日向くん、大丈夫?(汗)
いくら誠也が硬いからってそんなに体張らなくて
も良いのに。
……っ!(日向)
どうする、今からでも保健室に向かう?」
そう尋ねると日向は、微笑んでからこう言った。
「いや、この体育祭が終わった後でも
良いですから今は、平気です」
蘭「そう?
じゃあ、その時は私に声を掛け………てぇ(汗)
ううん。
終わったら私達が、連れてってあげるね」
日向「鈴木さん。いつもありがとうございます」
蘭「えっ?
今は敵でも同じ部活仲間なんだから
そういうのは気にしなくて良いよ。
それにその怪我は、誠也のせいでなったんだから
日向くんは全然悪くないよ♪」
と蘭の言葉を聞いた誠也がショックを受ける。
誠也「ガーーーン!!」
蘭「わっ!
居たの誠也?!気が付かなかったよ(汗)」
誠也「ズコーーー!!」
日向「うふ(笑)
全く、そういう所はあまり変わりませんね2人は」
蘭「えっ!か、変わってるわよ。
見た目は、そんなに変えてないけど〜
私はこの1年で磨き上げた……」
と蘭が言い掛けると日向がその先を言った。
「糸使いですか?」
蘭「そうそう、糸使い♪って何で分かったの?!」
日向「さっきの試合で、
かなり強い粘着質な糸を使ってたから。
それで、倒す事を諦めたんです」
蘭「凄いっ!
流石、誰かさんと違って日向くんは鋭いよね♪」
誠也「ら、蘭?
俺なんかより日向の方が良いのか?(焦)」
蘭「えっ?
そ、そそんな事ないわよ!?
私は〜………私は、誠也がす……好きよ(ボソ)」
誠也「んっ?
何か言ったか、蘭???
よく聞こえなかったからもう一回っ!
もう一回だけ言ってぇ……」
と真っ赤にした蘭の顔を覗き込もうとした
誠也を退けて恥ずかしくなったのか逃亡する
蘭の後を追い掛けるように誠也も走り出す。
誠也「お、おい蘭っ!?
どこに行くんだよ。おーい!!」
と2人のもどかしさに呆れる日向であった。
すると日向の背後に
おさげ三つ編みの水色髪の女の子が話し掛けた。
???「あ、あの…新條くん(恥)
んっ?魅緒さん?(日向)
あの先程のお2人がどこかへ行っちゃったみたい
だから新條くん1人で戻るの難しいかなって(汗)
なので!
私の能力で、座席までお送りしますよ♪」
「魅緒さんって確か〜………」
と日向が言い掛けた所で、魅緒が日向の肩に
触れた次の瞬間、座席へ移動させられていた。
魅緒は日向に向かって手を大きく振ってから
少し前に居た瞳と話しながら退場して行く。
日向(なるほど、魅緒さんの能力はテレポートか。
こんな身近な場所に居るもんなんだな)
何か思いながら横の椅子4つをベット代わりに
寝込んだ。
(それから私達は、残りの種目である
障害物競走で花梨さんがぶっち切りの1位を
取ったり、クラス選抜リレーに出ていた
神城さんや木虎くんそれから強面の男(羅生)が
出場!!
白熱していたリレーですが〜途中、
大柄の男が女の子にバトンを渡した所は
ちゃ〜んと見てた筈だったんだけど。
その女の子が、いつの間にか次の子にバトンが
渡ってて私以外にも皆んな!ううん。
リレーで走ってる人以外は、
観客の人も気付かなかったのっ!!
私も一生懸命、考えてたんだけど〜
気が付いたら私達A組の神城さんが2位となって
クラス選抜リレー、合計点数を合わせて
581点のA組の勝ちとなり、
体育祭の幕が閉じたのでした)
放課後・・・
保健室の中から緑色の光が溢れ出て
徐々に光が弱まっていく。
右足に包帯を巻き終えてからこう言った。
鬼塚「はい♪これで、おしまい!
もう〜無理しちゃ駄目って
これで何回目よ、日向ちゃん」
日向は呼び方に対して大きな溜め息を吐いた。
「はぁ〜……はいはい。分かってますよ(汗)」
鬼塚「もう日向ちゃんったら可愛いんだから♪」
と言いながら日向を抱き寄せ、
先生から頭を擦り付ける。
その2人の様子を廊下から見つめる蘭達。
誠也「なぁ〜?
蘭、日向は何であの激おこ先生に懐いてぇ〜って
いうかあんなにベッタベタなんだ?」
蘭「あれ?
誠也ってあの事件の事、知らなかったっけ?
事件???(誠也)
ほら〜私達が高1の時に
[不審者]が保健室に忍び込まれて
たまたま仮眠を取ってた鬼塚先生を
間一髪で助けたのが日向くんって訳なの」
誠也「へぇ〜
それでその犯人の動機は???」
蘭「それは〜………」
と蘭が言い掛ける所に先生が物理的に割って
こう話した。
鬼塚「その話は、もうお終い。
あなた達の下校時刻はとっくに過ぎているのよ?
日向ちゃんには怪我が、
治るまでは護符を剥がさない事っ!
3日くらい経てばすぐに歩けるようになるわ」
と言って先生が抱えながら日向を誠也が
おんぶする形で預け、3人は学校を出た。
蘭「はぁ〜あ(あくび)
流石に今日は、疲れたね〜
誠也は、棒倒しの途中で寝たから平気よね♪」
誠也「平気な訳あるかっ!!
一澄の野郎、全然手加減のカケラもねぇしぃ〜
お陰で俺もあと少しで足挫くとこだったんだぜ」
2人「知らない(わ)よ!」
誠也「まぁ〜にしても
俺を四つ目の視野に入れる為に蹴ったんだろ?
やるじゃんか(笑)」
日向「そんなに嬉しくないけど」
誠也「またまたぁ〜☆素直じゃねぇな♪
誠也にだけは、言われたくないな(日向)
んだと〜日向っ!?(怒)」
蘭「はいはい2人共、今日だけは喧嘩しないの〜
鬼塚先生に言われたでしょう。
ほら誠也も日向くんもちゃんと仲良くしてね」