第11話 「特殊部隊」
桜(6月1日午前3時半頃に1本の電話から始まった。
この日は丁度、沖縄から帰還してきた司令官が
直々に対応を行い、羽田市の隣である
仁川市の特殊部隊つまり私と麟さん、
そして九城先輩が駆け付けた。
九城 羅生先輩は「羅生門の鬼」
と呼ばれる最強格の鬼が私の目の前に立っている
細身で着物を着込んでいるのが彼です。
羅生門の腕は、[鋼のように固く太い腕]を持つとされ
その腕に攻撃をしようとしても
針やそこらの妖刀では太刀打ちできない物こそ
彼の武器、まさに[最強の鬼]と呼ばれている事だけは
あります!!
私みたいに弱い鬼が言うのも癪ですが。
ただこの方は絶賛、大学受験に向けて
一時期…特殊部隊の回線を抜けていた。
こんな時に招集だなんて運が悪いですね。
まぁ、先輩の話は後にして今は仕事に専念しなければ)
麟「九城先輩、お疲れ様です♪」
桜「夜遅くに司令官から招集が掛けられるなんてね。
先輩の今の事情は、私も重々承知していますが…
いずれにせよ特殊部隊の仕事は、
しばらく控えるつもりは無いのですか?」
と桜の返答に少し反応が遅れながらも答えた。
羅生「そうだな。
大学受験の為に、必死に勉強している
俺を君達後輩から配慮して貰ったというのに………
だが、俺も恩を仇で返すようなクズじゃない。
他の仕事を後輩達に押し付けてまで
俺は、勉強する意味がないと思ってな(笑)
大学に行く事は、辞めにしてこの街を……
いや、この世界のあらゆる事件を処理した方が
良いと俺は思っただけだ!」
と羅生は、何か吹っ切れたように微笑んでいたが
桜だけは目元を暗くしたまま何も話さなかった。
その2人の様子を伺ってからやっと口を開く麟。
麟「え、えぇっと〜(汗)
とりあえず今回の事件ですが、
九城先輩は何か聞いていますでしょうか?」
羅生「んっ?あぁ〜そうだったな。
俺は、勉強の間は無線を留守にしてた訳だから
事件内容は確かに聞いていないな。
司令官から直接電話をくれたのは良いが、
あっちもあっちで何だか急いでいたみたいだから
忘れてたんだろう。
それで、今回の事件対応については
移動しながらでも聞いても構わないか?」
麟「あ、はいっ!!了解しました(汗)」
3人は屋根を足場にして、話を続けた。
麟「今回の事件対応はついさっきの事です!
今日の午前3時半頃、羽田市から女性が電話した
事から始まりました。
それで、その女性は羽田市の川沿い近くに住んで
おり、今はフリーランスとして仕事をしている
ようです。
今では、永井 悟という男性と
お付き合いしてるとの情報もありまして!
ふーん。それで?(無関心の羅生)
どうやら、永井 悟という者が羽田市の恵子神社
の家宝である結界の御札を持ち出したそうです!!
へぇ〜世の中には命知らずな奴がいるもんだな。
ただ持ち出した時は、別に酔っていた訳でもない
そうなので、故意だという事になります。
それはそれで、問題ですが……(汗)
御札を取られた恵子神社の主である狛犬が
そのショックから暴走したと見られ、
今回の事件対応は狛犬の暴走を止める事と
御札の回収をする事が目的です!」
羅生「ふーん。なるほどね〜取り押さえじゃなく
あくまで事の発端である御札を取り戻す事か〜
そんな仕事、久しぶりにやるね(笑)
で、その狛犬はまだ恵子神社に居るのか?」
いえ、狛犬の方はもう神社には不在のようで
今は街を徘徊して探してるよう
なんです(汗)
羅生「はぁ〜…そりゃ5箇所の街を結界から守って
いた御札が盗まれちゃあ〜
居ても立っても居られなくなるだろうな。
えっ?(麟)
それじゃあ現場まで少し飛ばしますかっ!!
ちゃんと俺に掴まってるんだぞ(笑)」
えっ、ええぇぇぇ〜!!!!!?
2人を両腕で挟み、屋根が割れるくらい力強く
走り抜けてから恵子神社へと辿り着いた。
麟「はぁ……はぁ…はぁ……死ぬかと思いました。
と、所で…何で恵子神社に来たんですか?
神社にはもう居ないんですよね?!
さっき、そう言いませんでしたか九城先輩!」
麟が疑問を口にすると桜が庇った。
「いいえ、これであっているわ麟さん。
御札がどこにあるか分からなくても
九城先輩の狙いは、目の前にあるのですから♪」
んっ?どういう事、ですか???
まぁ〜とりあえず階段を登ってからだこの話は。
石階段を登り終えると、3人が一点に集中した途端、
目の前には水色の大きな人魂が現れて
渦を巻くように段々と犬の形へと変化させた。
一瞬にして温厚だった狛犬の顔が、シーサーのような
怖い顔になり体も一回り大きくなっていた。
羅生「ふん(笑)
狛犬が神社ではなく、街をずっと徘徊していても
この神社の入り口に仕掛けた罠に俺らが
引っ掛かれば、御札を盗んだ奴と勘違いして
ゲートで移動して来る事ぐらい分かっていたさ(笑)」
狛犬が今にも飛び掛かって来る勢いで体を前のめり
にして威嚇して来た
麟「えっ!?わ、私達は特殊部隊の者です!!
狛犬さん、落ち着いて下さい(焦)」
と麟が慌てて弁解するものの狛犬はもう正気では
無かった為、3人に向かって飛び掛かって来たのだ!
羅生「2人共、避けろ!!」
逃げ遅れた麟をサクッと助ける桜は上へ逃げる。
そして、2人が避けた先には羅生がおり、
狛犬が羅生の左腕に噛み付き風が舞う!
麟「あ、ありがとうございます神城先輩(汗)
あっ!九城先輩は?!九城先輩!!」
空中に浮き続ける桜と羅生を心配する麟の姿が。
羅生「ハハッ!(笑)その程度か狛井ィ?
もっと、我を楽しませろ!!」
腕に噛み付いた狛犬があからさまに同様しており、
恐怖のあまり羅生の腕を噛み付いたまま、
払い退けて空中から降り立った桜達に向かって
噛み付いてきた!
(こんな近くまで狛犬さんが来てる?!
先輩の能力が間に合わないかもしれない(汗)
せめて神城先輩だけでも流さないと!)
麟「あっ…!!危ない、先輩!」
と言って桜を庇って少し驚きながらも
安心したような顔で麟は笑った。
庇った勢いが弱かったのか桜は足で止まり、
狛犬に向かって睨み付けた。
桜「私の前で……平伏しなさい!!」
エメラルドグリーンの瞳が光り、
狛犬は「キャイーーーン!」という声を出して
桜の目の前で伏せてまた1つ、恐怖が増えたので
あった。
桜「ふん!」
白髪の髪を手で触れてからムスッとした顔で、
麟を睨んだ。
ギクッ!!
麟「ご、ごめんなさい…神城先輩。
突き飛ばしたりしてしまって(焦)」
はぁ……麟さんが無事なら先程の事は、撤回します。
「あまり私の事は構わなくて良いので
1人でも多く現場から市民を流せるのであれば、
私はそれで良いですから」
は、はい(汗)
麟(また…私が足を引っ張ってしまいました。
いつも失敗ばかりな私と違って先輩は………
私は、先輩のパートナーに相応しいのでしょうか?)
桜「……九城先輩もですよ!!
1人だけ戦闘を楽しいんで何してるんですか?
戦闘狂なのは、存じ上げていますが〜
消極的過ぎます!」
ふーん、君がそれを言うんだ〜………
何ですか?
羅生「別に。
さぁ…狛犬いや、狛井を黙らせた事には、
俺も感謝していますよ姫。
それじゃあ狛井視点での話を聞こうか、良いな?」
はぁ…お前って奴はつくづく強欲な奴だな!!
犬夜「まぁ、そんな事言ったら俺はお前には、
敵わない事ぐらい分かっていた、
分かっていたがぁ〜……少々予想外だった。
そこの2人も良かったよ♪
友達を助ける為とはいえ、自ら犠牲になろうと
庇った心も〜庇ってくれたにも関わらず、
守ろうとする意志が俺にも伝わった。
君達は、良いパートナーを見つけたね!(笑)」
えぇ、あ…ありがとうございます(照)
桜「そのお気持ちは、この仕事を終えてから
お言葉に甘えさせて貰います。
ですので、御札についてお時間よろしいですか?」
はい、それは構いません。
犬夜「まぁ〜でも大体、特殊部隊に通報が
言ってるって事はあらかたの情報は知ってるんじゃ
ないんですか?」
狛犬からの返答を返したのは、麟だった。
「実を言うと、今回は深夜に発生した事なので
派遣された私達も情報をあまり持っていません。
本来なら、司令部の人達が電話の対応を行い、
情報を調べる所なんですが……
今日に関しては、帰還したばかりの司令官が
対応した為、急遽受けた仕事は情報を落としては
くれない事になっているので(汗)」
羅生「逆を言えば、司令官が対応した時は、
情報を得た事が、無い物ばかりじゃない時も
あるんだ。
つまり、情報を必ずしも教える時と教えない時は
実際の現場に行けば、手掛かりがあると推測される
からな!!」
犬夜(特殊部隊も意外と大変なんだな(汗)
「とにかくだ!狛井、御札は俺達に任せておけ。
お前に余裕があったら手伝って貰う事になるがな?」
あぁ、良いとも♪
ただ一刻も早く御札を回収し、蔵に納めないと
街が大変な事になる!!
羅生「うん(重く頷いた)
それじゃあ、狛井に御札をくれてやる」
さりげなく1枚の御札を目の前で見せた。
えっ?って何でお前が持ってるんだよ!?
羅生「実は、姫と麒麟に会う前に
司令官と会っていてね。預かっていたんだ♪
ちなみに、これはさっき角川さんが言っていた
盗んだ悟さんの彼女さんから電話越しで
受け取った物とも言っていた。
だ・か・ら〜狛井には預かって欲しい(笑)」
チッ。相変わらず、ズル賢いんだか(汗)
分かりましたよ。
だが、まだ持ってたりしないよな?!
持ってねぇよ。執念深い奴だな〜
お前が言うな!!
桜「とりあえず、今日の所はこれぐらいにして
御札を見つけ次第…回収という事でお願いします。
麟さん、九城先輩、帰りますよ」
あ、はい!待って下さい先輩!!
またな〜狛井♪
へーーーい(汗)
犬夜(はぁ……ほんと、めちゃくちゃなんだか
大雑把なんだかよく分からん奴だ。
まぁ〜アイツにしては良いんじゃないか?(笑)
帰宅・・・
住宅街の中にポツンとある平屋に入る桜。
「ただいま〜………んっ?返事がありませんね。
もう寝てしまったのでしょうか?」
リビングへ向かうと緑色の広いソファーの所に
白い子犬がおり、眠っていた。
桜「あら?
ここに居たんですか、犬山さん(汗)
風邪引いちゃいますよ。
(布団を掛ける)
今日みたいに夜遅くに招集が掛かって
運が悪いのは、九城先輩だけじゃないですね。
私も出来る事なら、犬山さんと過ごしたかったです。
こうやって一緒の場所に住んで貰って
日頃から付き添って貰っているのに
私、1人で仕事に向かってしまいました(汗)
守って貰っているのは私がイレギュラーなだけ。
犬山さんも私の為とはいえ、仕事を早く終わらせて
来ているというのに、
私は………私を守ってくれる人達の為にも
強くならないといけないのは、私なのにっ…!!
どうして……どうして、私は…こんなにも弱いの
でしょうか?(涙)
私の能力:服従にだって限界がある。
それでも、司令官は私を引き取ってくれた!
私に秘められた力を解放させる場所を設けて
くれたのが、この特殊部隊だった。
その司令官の恩を仇で返さなない為にも、
私はここで見つけたい…です(涙)
今は無理でも、必ずや皆んなの為にも」
両手を握り締めて言った。
すると、その声に反応した子犬が話し掛ける。
犬山「むにゃむにゃ………zzZZZ。んんっ?
お、嬢…さま???帰っていたんですね……スャ〜」
掛けた布団から抜け出して話し始めたと思いきや
ソファーの横へ寝倒れたのだった。
桜「(涙)んっ?神子…さん???
私の為に、ご無理をなさってはいけませんよ♪
約束……しましたよね」
桜は体を伸ばし、ソファーの上で神子を腕の中で
囲むように眠りについた。
翌朝・・・
目が覚めると私は、自分の部屋でいた。
「んっ?私は〜……確か、リビングで寝た気が。
あっ、時間は!?(7時46分)
いつもより40分遅れて起きてしまいました!
着替えなくては(焦)」
白ワイシャツ→膝丈白スカート→黒ネクタイ
→黒ベスト→青緑のブレザーを着て靴下を履き、
私は部屋を出た。
桜「おはようございます、神子さん。
朝から遅れてしまいごめんなさい!!(汗)」
その光景を見ていた神子は驚きながらフォローした。
「い…良いんですよ、お嬢様!?
朝から私に謝らないで下さい!
遅刻ぐらい誰だってしますから(焦)
さぁ、朝ご飯を食べて学校に行きましょう♪」
渋々了承しながらも落ち込み気味で返答する
はい。
学校に到着し、階段で・・・
神子「それでは、私はこれで。
お嬢様、朝の件はもう気にしていませんから
お気を確かに…ですよ!!
チャイムが鳴る前に行かなくてわ。
また、お昼に会いましょう♪」
と言って神子は階段を上がって行った。
ガラガラガラ・・・
私は、自分の席に座って教科書を取り出す。
桜(神子さんは、この学校では3年生なので
教室は別々となります。
このクラスでの特殊部隊の知り合いは、
麟さんただ1人だけ。
それでも神子さんからも信頼を得ている麟さんと
なら私は、心置きなくこの教室に入れるのです♪
他の人達からどう思われても私は構わない。
それが、私の永遠だから(寂しげ)
沈んだ気持ちでいると桜の机の前に友理が現れて
一方的に話し掛けてきた。
友理「あ、ああの……!
わ…私、前にやった体力測定の時から
神城さんと少し…お、話してみたかったんです♪
それでその〜ソフトボール投げの時の記録が、
歴代の1年生より超えてた凄い記録出したあの時から
神城さんの事、尊敬していて☆☆☆
あの、普段どういうトレーニングしてるんですか?
やっぱり特殊部隊での訓練が活かされているんで
しょうか?!!!!!」
と尊敬の眼差しを向けながら桜を反らせていた。
桜「えぇっと(汗)それで、あなたは誰ですか?
私は、別にあなたのような人に尊敬されても
嬉しくなんかありません。
次から私に話し掛けないで頂戴」
と桜が冷たくあしらうと何も言わずに友理は
立ち去り、近くにいた恋花に話し掛けて
嬉しそうに話している。
そこへ麟が教室に入って来て桜にこう言った
「神城先輩、おはようございます。
何だか朝から教室が賑やかですね〜♪」
ニコニコ微笑んでいる麟に水を刺した
桜「はぁ………呑気な事、言ってないで
麟さんも止めて下さい。
あんな子が、私達の仕事を邪魔されては
元もこうもないわ。
麟さんもちゃんとして」
そ、そう……ですね。あはは………(目が点)
先生「そろそろ、ホームルーム始めんぞ〜
早く座りなさい!!」
4限目・・・
先生「Aクラスの皆さん!喜んで下さい!!
今年の体育祭の季節がやって来ました♪
えっ、わ…わぁー(棒読み)
今回から体育祭の準備という事で、
生徒それぞれの種目選びの時間となりますので
じっくり考えてから聞きますから
選んでおいて下さい。
そうだな〜……この時計が50分になったら
決めるぞ!」
(現在:41分)
先生の合図を聞いてから席を立つ生徒の中で
2人は話し始めた。
麟「先輩は、どうしますか?
私は〜足に絡むような種目でなければ、
何でも良いですし……出来る事でしたら
私は、100m走にしたいです♪
(先輩のサポートをする為には足を怪我しては、
元もこうもありませんからね!!)」
麟の考えを聞いた桜は尊重して言った。
「なるほど〜
体育祭の中でも仕事重視の事まで!
でしたら私は、あまり目立たない種目かつ、
仕事が急遽入ってしまった事態に備えて
抜けやすくする考えですね♪
それなら私も麟さんと同様の100m走にした方が、
動けるかしら。
桜(角川さんも特殊部隊の仕事と学校の仕事を
両立しようと頑張っているのでしょう♪
とても良い事ですね)」
桜としては、納得したが麟は頭を抱えていた。
麟「えっと〜その場合、2人が抜けてしまうと
100m走に参加している他の皆さんにも
ご迷惑が掛かってしまいますが………」
じっと見つめながら沈黙する。
麟(まずいですね(汗)
何だか知らない内に神城先輩が変に解釈されたような?
でも〜でもぉ〜〜〜何というか……ううーん)
そう思い悩んでいると桜は少し訂正して言った!
「皆様にご迷惑をお掛けする事なんてしません。
しっかり隠密行動を取りますのでそこはご安心を♪」
そうとは知らず、麟を悩ませ続ける桜。
(…ど、どうしましよう?!
先輩の天然スイッチが入ってしまいました(汗)
こんな学校で、行事決めで発揮しないで下さい!
「特殊部隊の仕事は私と犬山先輩で片付けますから」
なんて今更、言えない(汗)
思い悩んだ末、フォローしたつもり…だった。
麟「あぁ〜あの神城先輩、落ち着いて下さい!!
早まらないで考え直して下さい(?)」
桜「麟さんが落ち着いたら、どうですか?」
麟自身が落ち着かなくなり、テンパりながら
フォローするも逆に心配されてしまう始末に!
そう話していると先生が全体に声を掛けた。
先生「よ〜し!!50分経ったぞ!
各種目ごとに集まって合わない所は、話し合いで
決めましょう」
100m走の班に分かれるとそこには駒と百と明+
麟と桜で5人集まった。
駒「これでは、人数オーバーです(汗)
100m走は毎年のように大人気ですね!」
明「そんな事、言ってる場合じゃないわよ。
5人も居るんだし、ここは公平にジャンケンで
決めましょ♪
3人勝ちで恨みっこ無しだからね☆」
百「ほな、そういう事にしときましょか〜
ジャンケンでしたね。受けて立ちましょう(キリッ)」
えぇ〜(駒)
一同「最初はグー・ジャンケン・ポン!!」
結果:駒、百、麟となった。
あっさりと負けてしまった桜を尽かさずフォローに
回る麟。
「残念でしたね……先輩(汗)
だ、大丈夫ですよ!
目立たない種目は〜まだ全然ありますよ絶対!!
えっと〜…二人三脚、障害物競争、クラス対抗リレー
(ど、どれも大した種目しかないじゃないですか!?)」
黒板を見ながら硬直する麟、その後ろで悩む桜。
(んっ?これが〜麟さんが選んだ競技???
そして、比較的足に絡まらない種目…これですね♪)
桜「麟さん!この中で目立たない種目でしたら
私は、クラス対抗リレーに致しますね♪」
満面の笑みで言う桜に対して盛大にツッコんだ。
「いや2番目に目立つ種目じゃないですか!!」
麟(ごめんなさい、犬山先輩(涙)
私にはどうやっても悪い方向に行ってしまいます)
そして何の躊躇もなく、桜は黒板に記入しに行くと
友理と会ってしまった。
「か、神城さんは、対抗リレーに出るんですか!
凄いですね♪
自分から進んで行けるような種目じゃないですが、
流石神城さんです。私、応援しています!!」
と言ってすぐに立ち去ると桜は大きく溜息を吐いた。
「はぁ……」
キーンーコーンーカーンーコーン・・・
昼食の時間
桜「さてと、麟さんもお昼ご一緒しませんか?
中庭で食べるのですが〜
昨晩の件で神子さんに話はないといけないので♪
詳しい詳細を麟さんから伝えて貰えると
助かるのですが〜……」
麟「あ、えぇっと…ごめんなさい。
私〜今日の放課後に生徒会の話し合いがあります
ので、その準備の為に……行かないと。
(犬山先輩が苦手だからとは神城先輩には言えない)」
そ、そう…分かったわ(悲)
ご無理を言ってごめんなさいね。
えっ、あ……先輩???
桜「それじゃあ、私は行って参ります♪」
は、はい。いってらっしゃい(汗)
桜は教室を後にして麟は教室に残された。
神子と合流・・・
桜「………という事が、ありまして。
私が帰って来た頃には、神子さんは寝ていたので
そのまま、私も寝たという形になります」
神子「なるほどね〜そんな事が。
ですが、ご安心下さいお嬢様♪
私は、途中で起きたお陰でお嬢様を
お部屋までお運び致しましたので!
お嬢様が風邪を引かれるとなると私の責任にも
なり得ますのでそれだけは守らせて貰いました」
桜「今は、そのお話ではないと思いますが〜……
ありがとうございます。
お手数、お掛けしてしまって(汗)」
いえいえ、これが今私に出来る最大限の事ですから
そんなにお気になさらずお嬢様。
えぇ♪
神子「それにしても昨晩に事件対応の招集が掛かる
なんて珍しいですね。
はい、そうなんです!!
それにお嬢様とは合わない、羅生門と噛み合う
なんて想像するだけで虫唾が走ります(怒)
そ、そんな……大袈裟なっ!九城先輩は………
いいえ!!
私は、あの人の本性を知っているからこそ
嫌なのです!
お嬢様が行くならば、私も同行すべきでした」
桜(どうしましょう(焦)
神子さんが、こう言ってる時は本当に怒っている
証拠!!
九城先輩の耳に届いてしまったら
仕事にまで影響する可能性も!
私に止められなくとも今は神子さんの方を
落ち着かせなければ)
桜「み、神子さん…落ち着いて下さい!
私はそんな顔の犬山先輩を見たくありません。
いつもの優しい………神子さんが私は好きです♪
九城先輩には何も言わないで下さい!!」
……っ!
そ、そんな事…言うのはズルいですよ、お嬢様(照)
んっ?
真っ赤になる顔を抑えて神子は別の話題を話した
「コホン!!
そういえばお嬢様は〜
体育祭の種目は、何を選びましたか?」
あぁ〜その事でしたら私は、対抗リレーを選びました。
目立たない種目を麟さんが選んでくれたんです!
神子
「んっ?今、何とおっしゃいましたかお嬢様?
よく聞こえませんでした(ニコ)」
桜「ですから神子さん、麟さんが目立たない種目を
選んでくれて対抗リレーにしたんです♪」
お弁当箱に入っている箸を手の中で握り潰す。
神子「そうでしたか、お嬢様(怒)
それは貶められたも当然の行為を
彼女は犯したのですね!!
ご報告、ありがとうございます。
彼女には今すぐしょ……始末書を書かせますので
ご安心を♪オホホホ(微笑み)」
その様子を見つめるも勘違いする桜。
(んっ?何だか神子さんの機嫌が良くなりました!
あれもこれも全部、麟さんのお陰ですね♪)
うふふ♡
桜がこの1週間あった出来事を話し始めた。
(それから私達は、1週間の間で神子さんと狛井さんを
含めて御札を探し街を出歩いた。
最初は中々、見つからず2日も損をしながらも
麟さんが1枚の御札を見つけてくれました)
3日目・・・
紙を加えた1匹の野良猫が恋花の足元で寛ぐ。
ゴロゴロゴロ♪
恋花「んん〜?どうした、私に何か用か?
コレ???
残念だけど、このアイスは餌じゃないよ〜♪」
清見さん???
「あっ?」とアイスを咥えながら返事をした。
恋花「麟じゃ〜ん、学校以外で会うなんて珍しいね!
何してるの☆」
ウキウキに話し掛ける恋花と慎重に猫に歩み寄り
ながら返答する麟。
「そ、そう…ですね〜(汗)
私は少し仕事として辺りを散歩に来ていただけで〜」
麟(私、まだ一度も話した事ないのに
凄く馴れ馴れしいんだけど?!)
恋花「へぇ〜所で、何で近付いて来るの???」
そっと近付いて来る麟に疑問を抱く。
すると、猫「にゃあ?……んにゃあ!!」
毛繕いをしていた野良猫が麟の存在に気付いて
その場から逃げ出した。
逃亡し出した猫に動揺しながら恋花に指示を出した。
麟「あっ!清見さん、あの猫を捕まえて下さい!?
私は、あの御札をずっと探していたんです!」
敢えて仕事として濁らせたのに全て話す麟。
「なに〜御札?」
恋花が目を凝らして猫が口に咥えてる紙に
文字が刻まれている事に気付いて、
二足歩行で走り抜けあっという間に猫の前に
立ちはだかり、捕まえる事に成功した。
恋花「はい、これ探してた物でしょ。あげるよ☆」
えっ、あ…はい。ありがとうございます!!
麟(清見さん、何の疑いもなく渡してくれるなんて。
手伝ったら普通何か聞くのが、当たり前なのに)
また、明日ね〜☆☆☆
はいっ!
4日目・・・
麟(学校の体育の授業で、御札を見つけた!!
それは、体育祭に向けてAクラスとBクラス
合同でやった学年リレーの練習をしてる時だった。
神城先輩は序盤の方で走り、終わって私が走ってる
最中に列から離れたいた事に気が付かなかった。
防球ガードのネット裏に御札が貼ってある事に)
桜「これは……あまり校庭には足を運んで
居なかったので気付きませんでしたが。
このネットには、野良の妖怪避けとして御札を
貼って居たんですね。
それに「1箇所だけ」逆様に貼ってある御札こそが、
恵子神社の御札!
九城先輩が帰り際に渡した御札を見ていなかったら
分からなかったでしょう♪
逆様なのは、風で飛ばされたからっ!
それにこんな身近な場所で、見つける事が
出来て良かったです!!」
ネットに付いた御札に一度のジャンプで
軽々とネット裏に足を引っ掛けて御札を取り、
校庭側に戻ると桜の背景には、駒がバトンと一緒に
ダイナミックに転んでいる所だった。
4日目の真夜中・・・
桜が説明する。
(九城先輩がいつの間にか悪鬼の群れに1人で飛び込み、
僅か3分で廃ビルごと片付けた。
流石と言っても過言じゃない戦闘狂ですね(汗)
3分で片付けた事もあって物足りなさそうですし、
良い勝負をする相手なんか今まで居なかった。
それでも、勝てるか敵わないかの話は置いておいて
この世に彼を敬う相手は居るのでしょうか?)
御札:3枚目
5日目の夜・・・
神子(Sクラスの妖怪を集めた特殊部隊は、
とある壁を乗り越えた人だけが遂行できる仕事を
与えられる。
毎日のように全国に行き渡っている私は、
お嬢様の身の回りのお世話や学校での優等生として
振る舞いなど色々行いながら特殊部隊を続けて来た。
世の中の事を知らないお嬢様をお支えする為にも
私は、身の回りの悪の仕事でも何でも狩り尽くす!
皆んな疲れ果て離れて行きましたが、私だけでも
お嬢様の側から離れるような行為は、
絶対にしないと心から決めたのですから!!
あっ…コホン。
話が逸れてしまいましたが、特殊部隊の仕事は
街にまで侵攻して来た、たった数体の野生の河童を
見つけ次第、排除する決まりとなっています!
街に来る野生の妖怪がどれくらい恐ろしい事か
私は、身を持って分かりましたから(汗)
河童の長や学校の行事の一環である野外活動の河童は
年々、やり過ぎな河童も多々居ました!!
あちらにとっては、ほんの悪戯のつもりなのでしょう。
ですが、ここに来た以上!排除する以外無いのです。
これは、河童の長から命じられた事だというのに
言い付けを破った者は、排除して良いと承諾を
得ているからこその行為!!)
獣化した全身白または灰色に包まれた狐のような犬
それが犬神。
神子「悪く思わないで下さいね!
凍結氷柱!!」
街に降り注ぐ雨が凍り付き、やがて氷柱のように
鋭く先が尖り、河童の頭上から地面へと突き刺さる。
横倒れた亡骸がたった数秒で消滅した!
神子が吐いた息は、この一瞬だけ白い息だった。
「さてと、この御札は私が預からせて貰いますね。
これは、あなた達の大罪です。後悔なさい!!」
とても冷たい目付きを河童が倒れた所を見つめ、
その場を去って行った。
御札:4枚目
1日過ぎて7日目・・・
桜(私達は、懸命に街中を探し回った!
が、見当たらず特殊部隊での事件対応は
終わりを告げようとしていたのだ。
犬夜さんは私達、特殊部隊に捜索を任せて
恵子神社の蔵の整理で先に戻りました)
犬夜「はぁ……これで見つからなかったら
俺はこの市から去らないといけない…か(汗)
そんな事、特殊部隊の皆さんにはお伝えしたら
お身体が持たなくなる。
5箇所の市を取り囲む結界の御札、犬山さんから
お預かりした時に言われた野生の妖怪が
この街に侵入している事。
その為の結界が、今では崩されてしまった!
俺は、この神社を持つ資格があるのだろうか?
狛犬として待つべき主人の期待に応えられぬまま。
俺には…合わなかったんだ………」
狛犬の姿で、涙を流しているとバコンッ!!と
何かが当たる音がした。
んっ!
帰宅・・・
麟「今回の仕事は、間に合わなかった…ですね。
せっかく、九城先輩と犬山先輩にも
手伝って貰ったというのに(汗)」
と神子が麟の肩に手をやってこう言った。
「良いのよ。
失敗だって誰でも経験するもの。
そんな事をいちいち、考えていたら
次回の事件対応に大きく響きますよ!!
それに今回は、いつもとは違った依頼要請ですから
時間が掛かってもおかしくない。
そう何度も口に出さない事よ。良いわね?」
はい、す…すみません(汗)
羅生「それにしても狛井の奴、遅いな〜
また蔵にしまった書類に埋もれてるのか?」
もし、そうだとしたら蔵に向かいましょうか?
桜がそう言うと全員悩んでいると犬夜が訪れた。
犬夜「すみません、お待たせしてしまって♪」
羅生「遅いぞ!狛井……えっ?」
そこには[子犬サイズの獅子]が犬夜の手の平に
乗っていたのだ。
羅生「それって狛井 玄獅か?
今更、帰って来て何の用だよ(怒)」
いきなり声色を変える羅生と暗めの低いトーンで
玄獅が口を開いた。
「何だ、その口の聞き方は?
私がしばらく家を留守にしていた事に対して
そんなに不満か?
むしろ、海外に行っている私の身を案じてくれたら
どうなんだ羅生」
羅生「ふん、お前の案じなんか心配するだけ無駄だ。
どうせボディーガードと一緒なんだろう!!」
と2人が言い争っている後ろでコソコソ話し出す。
桜「あの方は、どなたですか?神子さん。
何だか九城先輩のお知り合いのように見えますが…
(ボソ)」
桜の返答に対して瞬時に対応した。
神子「彼は、特殊部隊の6人しか居ない上官の1人です。
九城とは何度かオペレーターとして勤めていましたが、
戦闘狂のせいかまともに指示を聞かないで破損金額が
一時期、凄い事になった頃からの腐れ縁よ(ボソ)」
2人「な、なるほど……(汗)」
3人は目線をズラし、言い争っている2人は続けた。
羅生「大体、こっちはな!
この神社の御札を探してた大変だったんだぞ!!
招集されるわ、犬夜に噛み付かれるわ、
御札を探せだのこういうチマチマした作業は
退屈なんだよ〜!はぁ…はぁ……はぁ…はぁ」
この1週間の鬱憤をここで晴らさないの
(神子)
すると、玄獅は驚きの言葉を口にした!
「あぁ〜そんな事、全て知っているさ。
お前達が1週間掛けて探し回ったり、取り返したり
する様子を私は、間近で見ていたからな。
だが、最後の1枚だけは見つからなかったのは
なぜだか……分かるか?
何だよ、いきなりっ!!(羅生)
私自ら、隠し持っていたからさ」
羅生「はぁ?何でお前が持ってるんだよ!?」
玄獅「まぁ、私が帰還した時…丁度1週間前から
弟には内緒で帰って来ていたんだ。
それで、あの男が昼間からウロウロしてる所を
目撃していてな。
御札を持ち去って適当にばら撒こうするんだろうなと
思って私も少し悪戯をしようと思ったのだが、
それは神社の管理者としては駄目な行為でな。
だから、私は少し前に掛けたちょっとした縁を
掛けた事を思い出してそのまま、見守っていたんだ。
案の定、彼が盗んでくれたお陰で
最後の1枚だけは最初から自動的に私に飛ぶよう
仕掛け持ってから気楽に高みの見物をしていたって
訳だ♪
あぁ〜脳筋には、ちょっと難しかったか。
これは失敬(笑)」
羅生(カチン!)
「それなら…そうとさっさと教えろよな
ハゲジジィ!!」
玄獅「あぁ?誰が、ハゲジジィだ?!
言っとくがな、司令官はなまはげ…だが、
私はハゲてないからな!
そんなの関係ねぇけど、お前はハゲだろ!!(羅生)
どこがだ?!」
その様子を見つめる4人は、心の中で思った。
一同(それって、遠回しに司令官をディスってる気が)
桜(後日、2人は司令官に呼び出されて
怒られたのだった。
そして九城先輩は、狛井さんに煽られたお陰か
再び大学受験に(はげ)励む事にしていました)
今回の登場人物・・・
名前:九城 羅生 正体:羅生門の鬼
髪型:センター分けオールバック
髪色:紫蘇色
瞳:緑色
制服:上着青緑、白ズボン、
黒ネクタイ(十字架、白ライン入り)
キャラ説明:
特殊部隊に所属しており、五大勢力の中の1人で
別名:破壊の悪魔と称されている。
オペレーターの指示や仲間との連携は不要、
そして破損金額は月に更新されトップクラス!
なまはげ司令官は、特に金銭感覚がバグっている為、
そこまで悩んでいない。
対して同じ職員では、日々頭を悩ませている状態(汗)
特殊部隊で派遣される範囲:仁川市と全国各地を
点々としており数少ない掛け持ちで
高い戦闘力を誇る。
普段から羅生は、クールで基本的に興味が無い
事件対応はボー読みになるタイプ。
意外と後輩思いであり、後輩には危険な任務は
1人で飛び込み密かに倒すを繰り返し続ける為、
別の意味で常習犯である。
受験勉強をやりながら暇さえあれば、
全国各地の事件対応を特殊部隊の誰にも気付かれず
徘徊し回っていたのであった。
名前:犬山 神子 正体:犬神
髪型:ストレート、毛先だけ縦巻きロール
髪色:銀髪
瞳:金色の瞳
制服:上着青緑、膝丈白スカート、
黒ネクタイ(十字架、白ライン入り)
キャラ説明:
桜の眷属として付き従い続ける真面目な子!
彼女も含めて7人居たが、今では神子1人だけで
付き添い一緒に同居している。
「お嬢様」というのは、そのままの意味で
家でも学校でも変わらず、そう呼び続けています。
神子は、1人だけでも桜の為に命を捧げる覚悟もあり
付き従う事こそが眷属である事を示し続ける!!
スキルや能力、妖術、援護、学業など全てに対して
成績が高く特殊部隊では、良き先輩として接する。
そんな中、お嬢様を非難する破壊の悪魔こそ
九城 羅生ただ1人だけがその真相に辿り着き
2人の間には、大きな壁が立ちはだかっている。
一体、桜の正体は???
そして、2人が同居する本当に理由とは……?