第10話 「野外活動」
2年S組の授業・・・
誠也「なぁ〜なぁ〜蘭。
この時期って確か、1年って遠足あったよな?
良いな〜俺もまた行きてぇ〜〜〜(ボソ)」
黒板に書いてある事をノートに
書き込みながら小声で話した。
蘭「遠足というか野外活動でしょう!
確かに。あの時は、私も楽しかったな〜♡
ある意味、良い思い出にもなったしね♪
あの頃の私は他のクラスと関わるのは、
相手を傷付けてしまうんじゃないかって
少し気が引けたけど。
それでも、良い機会だと思うんだぁ〜(ボソ)」
鉛筆を鼻と口の間に挟んで椅子をギコギコ揺らす。
誠也「だよなぁ〜!!
確かにあの頃は楽しかったな☆
でもさぁ〜あの遠足って確か………一筋縄じゃ
行かなかった気がすんだけど何かあったよな〜」
蘭「えぇ、そうよ!
[あの山]について知っている人は、
ごく僅かな生徒のみ。
いわば、目隠しされてるような状態で
新入生は登山という目的で登っている最中ね。
それに「あの人」も付いて行くと思うから!!
今回の1年生も難なく超えられるかしらね♡
帰って来たら〜2人にも感想、聞こうかな♪」
やっぱ蘭は鬼…だな〜あはは……(汗)
誠也(……って事は今年も[アイツ]も行くって事か〜
毎年、大変だねぇ)
とコソコソ話していた誠也に先生が気付いた。
先生「八瀬っ!!
授業をちゃんと聞いているのか?!
じゃあ、この問題を答えてみろ!」
へっ?あっ………(汗)
突然、先生に呼び掛けられた事に
驚くあまり椅子を戻す隙もなく椅子と誠也が、
一緒に後ろへと倒れてしまった。
バタン!!!!!!
蘭「誠也っ!?
ねぇ、大丈夫???誠也!誠也!!」
野外活動の1年生・・・
ガサガサ…ガサガサ……シャララン(草を退かす音)
生徒達は、体操着姿で山道を歩いている。
友理「はぁ…はぁ……ね、ねぇ〜まだ着かないの?
2人共。もう…疲れたんだけど………」
恋花「何言ってるの〜友理ちゃん(汗)
まだ登って10分も経ってないよ〜〜〜?」
そ、そんな…事言っ……てもぉ〜!
恋花「自分の日頃の運動不足を恨むんだねぇ〜(笑)」
うへぇぇぇ(涙)
花梨(私達は今、学年行事である野外活動の為に
ここ風来の山を登っています♪
私は、走るよりも歩く方が好きなので平気ですが〜
林堂さんはもうへとへとのようです。
以前やった妖怪体力測定の時も
次の日には、全身筋肉痛だったとか!
野外活動では、登山と他のクラスと交えて
レクリエーションを行うそうです♪
私は、他の人達ともっと交流したい………けど、
恋花は絶対に駄目だって止められてるから
気軽に行けないのです(汗)
はぁ……皆んなが皆んな悪い人達じゃないのに(ふん)
数分後・・・
登りが段々急になっていく事に
疲弊していく生徒達。
その中でも友理はAクラスから外れてBクラスの
列に紛れ込んでいた。
花梨「林堂さん、もう少し早く歩けますか?
もっと置いてかれちゃいますよ!(汗)」
わ、分かって…ます……が、待って…下さい!!
「しょうがないですね〜林堂さんはって……きゃっ!」
見てられなくなった花梨が友理の方へ駆け付けよう
とした途端、足を滑らせてしまった!!
黒い影が斜線から入り、誰かが救い上げた。
???「おっと、大丈夫?
ここは、急だからあの子は僕に任せると良いよ」
と言ったのは付き添いの男子生徒だった。
あ、ありがとう…ございます(恥)
???「気を付けて♪」
そう微笑みながら花梨をそっと降ろし友理の方へ
花梨(あの人は……一体???)
そう思いながら登山を続けて雨が降った影響で
土がぬかるみ抜け出せない生徒や転がり落ちそうに
なった生徒など、トラブル続きだったが、
付き添いの男子生徒のお陰で頂上へ無事到着した。
先生「はい、ここまでお疲れ様です生徒の皆さん。
昼食を食べてからレクリエーションを行いますので!
それじゃあかい………んっ?何々???」
解散しようとした先生が女性の先生に止められ、
ある事を伝えられて思い出す。
先生「あぁ〜!!
そういえば、紹介が遅れました。
この野外活動の付き添いに来てくれた
2年生の河原 志童くんです!」
志童「今日は、よろしくお願いします」
花梨(あ……あの人、2年生の人だったんだ!?
あ、後でもう一度お礼しないと(汗)
D組の方に画面が向く。
雫(んっ?あの人はっ!
それにこの風来の山って
確か、あの妖怪の………住処だった筈!?)
先生「という事なのでこの道中、助けられた人は
沢山いると思うが、その為の付き添い人です。
昨夜は、雨も降ったばかりなので尚更でしたね!
助けられた人は後で、お礼しとくんだぞ〜
それじゃあ改めて解散!!」
は〜い♪
昼食の時間・・・
山頂に行く道中で助けられた生徒達が
志童を取り囲み、それを見つめる友理の背後から
声を掛けて来た。
恋花「友理ちゃん、友理ちゃん!
ここまでお疲れ様〜〜〜☆」
わっ!?びっくりした(汗)な、何ですか?
恋花「一緒にご飯食べよう♪
最近、木之下さんとずっと一緒に居るからさ〜
今回は私達と食べようって話♪」
いいですが、駒ちゃんもご一緒でも良いかな?
恋花さんの言う通り、
前々から約束はしていたんで!!
「それは良いよ〜
2人で食べるより皆んなで食べた方が、
絶対に良いもん☆」
友理「はあ♪ありがとう、恋花さん」
テクテク周りを彷徨っている駒に声を掛けた。
「駒ちゃーーーん、こっちこっち!!!!!!」
友理は、自分のお弁当を美味しそうに食べた。
「あ〜む♡もぐもぐ。う〜ん♪やっぱり美味しい」
恋花「あぁ〜木之下さんって確か〜………
あの時の非力ちゃんだね〜〜〜(笑)」
そ、そんな覚えられ方…いつもしてるんですか(涙)
花梨「こら!恋花、初対面でそれは失礼よ。
Aクラスだけでも名前は覚えなさい!!」
あはは……ごめんごめん(汗)
じゃあこれからは木之下 駒さんだから………
うん、[コノハちゃん]って呼ぶね〜
どこをどう取ったら[ハ]が付くんですか!?(駒)
えぇ〜?じゃあ[コノちゃん]が良かった???
コノハで良いです!コノハで良いですから(駒)
あはは♪私は清見 恋花。恋花で良いよ〜☆
は、はぁ……よろしくお願いします(駒)
そうこう話していると百が来た。
百「なぁ〜に、皆さんでわちゃわちゃ話して
はりますの?
うちも誘って貰いましたら輪の中に入ろうと
おもてましたのにぃ〜(拗ねる)」
朝比奈さん!来てたんですね♪
見当たらなかったからてっきりお休みかと思って(汗)
なるほどな〜それはうちが悪かったかもしれん。
んっ?どういう事ですか???
百「少しな〜この森に来た時に感じ取った
妖気もそうだし、野外活動をここでする意味が、
よ〜く分からんくてな。
少し周りを散策してたんや♪」
ここでする意味っていうか野外活動は、
毎年恒例の行事なんだから意味なんて
それくらいだと思うけど〜?(恋花)
それで、何かありましたか?
「それがな〜………見当たら無かったんや(汗)」
んっ?別に何も無かったんだったら良いんじゃ?
百「普通はな〜
せやけど、うちが感じ取った妖気が無くなっとって
少しけったい(不思議)なんや」
ふ〜ん。もぐもぐもぐ…ゴクゴク……はぁ〜♪
それで〜?
百「あんま、興味なさそうやなあんさん(汗)」
んあっ?何か言った?(無意識)
いえ、何も(ふん)
この後、お昼を食べ続けるが人数は増えたものの
次に誰かが話す事は無かった。
数分後・・・
瑛二「おーい、そろそろレクリエーション
始めるらしいぞ!
クラス毎に整列してくれーーー!!」
あっ、待ってもう少し食べれるのに……(汗)
駒「あまり食べ過ぎると動けなくなりますよ?
この後のレクリエーション」
でも〜でも、デザートは食べたい!
急いで食べて1人遅れて整列した。
先生「登山やお昼も過ごした所で、
これからレクリエーションを始めたいと思います!!
動きたくない人もいるかもしれないが、
君達にとっては1番大切な物だ。
各自で探しても良し、グループで探しても良し、
何でもありな「霊魂探し」です!
山分けも全然して良いので周りと協力して
探し出して下さい。それでは始めっ!」
霊魂探し・・・
友理と駒の2人、花梨に恋花と百が同行している。
森の奥深くにある洞窟までの範囲があり、
それぞれのペアまたはグループで協力した。
友理達は2つ目の霊魂を拾おうとした所、
B組の雪宮 天音と被ってしまった。
友理「あっ、えっと〜………
霊魂を見つけたのって今が初めてですか?」
は、はい……(焦)
そっか〜♪じゃあ、譲りますよ!!
えっ…良いの???(天音)
うん!勿論だよ♡
あ、ありがと〜う(照)
天音は嬉しげにどこかへ移動しに行った。
駒「あの子は確か〜雪女…だったでしょうか?
とても良い人そうで良かったですね♪」
確かにっ!!
「それより駒ちゃんも霊魂、絶対欲しいよね?
あと3つくらい欲しいから〜早く探しに行こう」
うん!
一方、花梨達は・・・
黙々と霊魂を探し続けて3個取っていた。
花梨(それにしても3人で
こんなにも探しているのにも関わらず、
3つしか見当たらないなんて偶然……なのかな?
霊魂とは、妖怪の妖気を蓄えるものの事!
ほんの僅かしかない妖気や逆に妖気が削れていて
ずっと回復が出来ていなかった人など、
霊魂は、誰でも欲しい代物なのです!!
このような形で霊魂を下さる学校が、
私はとても好きです♪
だけど………先程から何かに見られているような
気配を感じるのは、どこからでしょうか?
ただならぬ学校の生徒ではない、
野生の妖怪の気配がする。
念の為、恋花達からあまり離れないように
行動しなくては!!)
そう疑問を持っていると恋花に呼ばれた。
「お〜い、か・り・んーーー!
こっちにも行ってみようよ☆
ボサッとしてると皆んなに取られちゃうよ〜
霊魂探し、しよう(笑)」
花梨「ま、待ってよ恋花!」
としばらく2人で歩いているとさっきまで居た
であろう百が居ない事に気付いた。
花梨「あれ?恋花、朝比奈さんはどこに行ったの?」
んっ?花梨がボサっとしてるから
もう、先に行ってるよ!!
えっ!
先に行っている事を聞いて慌てて恋花を、
追い抜いて走り去った。
「えっ?か、花梨……???」
物凄い速さで森の中へ入り込み、
止まって周りを見渡す。
花梨(本当に先に行ってるとしたら
1人行動は絶対に危ない?!
野生の妖怪と私達規則的な妖怪とじゃ訳が違う!
野生の妖怪とは、普段から群れで行動するもの(汗)
これが、どれだけ危険な事か。
は、早く朝比奈さんを見つけないと!!
恋花は猫又だから野生に近い妖怪だけど、
気付いてないのかな?
ううん、今は朝比奈さんの安全を………!)
すると、花梨の猛スピードでここまで来た事に
上から眺めるように百が居た。
「な〜に、そない慌ててどないしましたの〜……
花梨ちゃん???」
あっ、朝比奈さん!?大丈夫ですか?!
どこかお怪我とかはしてませんよね!?(焦)
百「うちは、この通りどこも怪我してまへん!
そないに心配せんくても〜(汗)」
良かった♪わわっ…!
安心したら力が付けて膝から崩れ落ちる所を、
百が抱き寄せる。
「おっと、うふふ♡
ほんまかいらしいな〜花梨ちゃん♪」
あ、ありがとう……ございます(照)
そして雰囲気が変わるように声色を変える百。
「うちの事を心配しに来たという事は、
花梨ちゃんも分かるのですな〜この野生の妖気が」
んっ!それじゃあ、朝比奈さんはわざと…?
少し気になって調査してる真っ最中なんや♡
花梨「それではもし、朝比奈さんが、
訳も分からない妖怪に襲われてたら
どうするつもりだったんですか?!」
……っ!うふふ♪
確かに、後の事を考えてはいませんでしたわ。
そんな身勝手な行動は……!!
百「命取りになる、やろ?
そないな事は、うちも承知の上どす。
もし、うちが襲われていたら…花梨ちゃんは……
うちの事、助けてくれますよな?」
緩やかな風が会話を挟んで入ってくる。
……えっ?わ、私が…ですか???
「そうや〜他に誰が適任やとおもてますの♪
人という者は、その子が下級やろうと
上級妖怪だろうと関係ない。
体は居ても立っても居られんくらい、
真っ先に前へ進んで助けに行くもの!
せやから、花梨ちゃんに任せたいんや♪」
……っ!
うふふ♡少しは、自信を持てはりましたかいな?
は、はい…多分(汗)
なんや〜まだ持ててへんやない(ニコ)
もっと自信持ちぃ♪
すると、遠くの方から恋花の声が聞こえてきた。
「あ、いたいた!!やっと見つけたよ。
2人共!もう探したんだからね?!(汗)」
花梨「恋花!ごめんね。
恋花を置いてけぼりにしちゃって!!
ひ、引き続き霊魂探しを再会しましょ(焦)」
花梨、さっきの聞こえなかったの?
もう先生から集合の合図が出てるから
2人を探しに来たんじゃない!
えぇ〜嘘っ!?
百「クス……うふふ♪ほんま、かいらしいな〜」
急いで立ち去る3人を目で追うように、
周りには何十体の黄色く光る目が見つけていた。
到着・・・
駒「友理さん、あれから5個も見つけて
合計で6個になったよ!
結構、見つけるの難しかったのに凄いです♪」
えへへ♡そうかな〜?(照)
「へぇ〜友理ちゃん達、凄い集めてるじゃ〜ん☆」
あっ!恋花さん♪どれくらい集まりましたか?
「私達そんなだよ〜5個しか見つけられなかった。
誰かさん達のせいで長々と話してるから(拗ねる)」
あはは……それは本当にごめんなさい(花梨)
ほな、うちも悪い子ですな〜♡
笑顔で包まれながら駒は霊魂を見つめて問い掛けた。
「あの〜この霊魂ってどなたか使った事は、
あります…でしょうか?
私は一度も使った事なくて〜(汗)」
あぁ〜それは………
と友理が言い掛けた瞬間、恋花が割り込んだ。
「使った事ないんだね、キノちゃんは☆
まぁ〜そもそも霊魂なんて滅多に、
お目に掛かれないもんね(笑)
その分、良い経験かも!
やり方は簡単だよ〜〜〜☆
霊魂を3つ取って自分の妖気を流し込み、
馴染ませてからその3つが一体化して
人魂サイズに変われば、
自然に体内に入るからこれで作業は終了!」
んっ!凄いです、本当に増えました!?(駒)
ふっふふ♡良かったね〜成功して。
はい♪
ムッとした顔で睨む友理の視線に気付いて、
気まずそうな顔をして汗を流す駒。
全生徒が霊魂を自分の体内に宿す作業を終えると
先生が話し始めた。
「えぇ〜これにて、霊魂探しのレクリエーションを
終わります。
そろそろ帰るお時間となりましたので
生徒の皆さんはどうか焦らず、
足を滑らせないよう足元に十分注意を払いながら
下山して下さい。
ご武運を願っております」
とだけ話して先生の後を追うように歩く生徒、
続けて帰ろうとする一同が進み始めた。
恋花「もう帰れる時間かぁ〜
こっちもそろそろ飽きた所だったから
丁度良いや♪帰ろっか、皆んな☆
えぇ〜……そうね?
花梨(何?!さっきまで無かった妖気が、
そこら中に何体も居る!!
しかも、囲まれてる!?いつからっ!)
そう花梨が気付いた瞬間、後ろから悲鳴が飛んだ。
「きゃっ!?」
悲鳴をあげた駒の足元には水掻きの手が掴んでおり、
友理達が気付いた時には深い川の底にまで
引き摺り込まれてしまった。
花梨「木之下さん?!」
川に近付こうとした花梨を百が止める。
百「花梨ちゃん、それ以上近付いたら
あきまへん!!(汗)」
間一髪で避けきれた花梨は礼を言う。
花梨「わっ!?
ありがとうございます…朝比奈さん(焦)」
友理「駒ちゃん!待ってて、私が助けるから」
と呼び掛ける友理は、森の茂みの方へと移動する。
そして先生の後を追っていた生徒達は、
いつの間にか先生達の姿が消えていた。
更には川と石辺の所だけ結界が貼られている事に
気付き、中には河童によって引き摺られる生徒も
居て悲鳴と声が入り混じる。
桜「皆さん、逃げられる人だけでも
川から離れて下さい。
(これでは、皆さんに私の声が届かず
混乱を招いてしまう!)
麟さん、とりあえず引き込まれた生徒の安全を
第一に河童を水から出して下さい!!」
麟「分かりました、先輩(汗)」
そう言って麟は、川の方へと走って向かい
水を思いっきり蹴り上げた。
麟「はあぁぁぁぁ!!!!!!」
ザパァァァーーーーー!!・・・
水中に潜み待機していた河童が水から弾かれる。
それを桜が妖術で生み出した
刃が付いたロープを振り回し一網打尽にする。
が、河童はちゃんと腕の鱗で攻撃を防ぎ、
すぐに振り払われてしまったのだ。
桜「……っ!?」
前線で戦う2人の後ろでは、
この場において一番、冷静かつ黙々と志童が
黒妖縄を川の中へ投げては引いたりと
溺れかけている生徒を順に引き上げていく。
花梨「朝比奈さん、これからどうします?
他の生徒の皆さんも引き摺り込まれてますよ!」
うーん(汗)
何やら悩みながら河童から攻撃を防いでいる。
花梨「んっ?朝…比奈さん???」
(そうだ!!恋花の速さだったら河童の速さにも
追い付けるし、追い込めるかもっ!)
花梨「れん………!!ってどこに行ったの?!」
先程まで居たであろう場所を見ると恋花の姿は、
無くなっており、辺りを見回すと
隠れきれていない木の後ろにひっそりと居た
花梨「恋花、そこで何をしているの!?
皆んなが引き摺り込まれてるっていう。
状況にって……あっ(察)」
花梨はある事を思い出すと恋花が叫び泣く。
恋花「花梨は、知ってるでしょ!!
私は水が苦手な事をおぉぉぉ〜〜〜(涙)」
花梨「そ、そうだった。
(恋花は、猫又つまり猫の妖怪だという事を
すっかり忘れてました(汗)
百「花梨ちゃん、とりあえず溺れている
生徒の皆さんから助けに行きますよ!!」
花梨「えっ!ちょっと待っ……てぇ?!」
ザパーーー!!!!!!・・・
川に潜り込んだ百の下半身が、
金色の人魚ヒレに変わり川の奥底まで
沈んでしまった明を優先に助けに行った。
百「だんない(大丈夫)ですか、明ちゃん?!」
明「ゲホッゲホッ!
あ〜ぁ……あり…がとう。助かったわ(汗)」
その様子を見つめながら花梨は深く考えた。
花梨(私は……誰かを守れるような力が欲しいと
浅見先輩を見て学び、そう思いました。
憧れは私の中だけの憧れのまま、
心の片隅に置いておくべき事…なのでしょうか???
けれど、衝動とはいえやって良い事では無かった。
先輩の過ちは触れては……いけない。
触れる事なんて出来ないっ!!
でも、それでも私は、ここで皆さんを…
学校の皆んなを助けたい。
助けたいのにぃ………(涙)
私の足には〜まだ出来ないの?未熟者だから(汗)
私は、何を怯えている…のでしょうか。
早く助け出さないと皆さんが、溺れて……!
???「…りん?花梨!!ワシの声が聞こえるか?」
花梨(んっ?この声は〜………お祖父様!?)
回想・・・
花梨がまだ3歳の時でプールの水に
小さな体が浮かび上がっている所を白髪のお爺さんが、
救いあげた。
???「花梨、ちゃんと水の中でも
呼吸は、出来とるかい?」
花梨「……ゲホッ…ゲホッ……はぁ…はぁ……
出来ないよぉ…じぃじ(涙)」
お爺「ふーむ(汗)
(これは困ったな〜どうしてじゃろうか?
どうして花梨だけは、変化しないのだろう。
双葉家は先代からの遺伝であれば、
水に触れるだけでヒレも呼吸も現れる筈なのだが、
困ったのう(汗)
「じぃじ、まだ修行しないと…ダメ?(うるうる目)」
うーーーん、そうじゃな。
「よし。少しの間は修行をせんで良い!
気が向いたら、また再開するんじゃぞ。
休みなさい♪」
う…うん、ごめんなさい。
じぃじの期待に応えられなくて(涙)
良いんじゃ、花梨はまだ幼い子供じゃ!
これから徐々に慣れるじゃろう♪
修行とばかり詰め過ぎたワシの責任だ。
すまなかったのう!!
じぃ……じ??!(驚きの目)
小学1年生の花梨・・・
「じぃじ、私もう一度あの修行したいの!
まだ…出来ないかもしれないけど(汗)
でもねっ!!」
と頑張ろうとする花梨を素直に受け入れ、
優しい声で花梨の頭を撫でた。
「良かろう、やってみなさい花梨」
はあ♪うん♡
修行・・・
海深くまでゆっくりと潜り、2時間、4時間、
あっという間に12時間が経った所で浮上して来た。
花梨「ぷはっ!じぃじ、呼吸出来たよっ!!
半日も。やったぁ〜♪」
ニコニコと微笑みながら頷くじぃじ
「ゆっくりじゃが、それで良いんじゃ花梨。
やはり急速も必要という事だ」
うん!これからも私、頑張るよ♪
じぃじ(これでも尚、ヒレは現れないか。
呼吸はあるようだが……はて〜???)
9年後・・・
中学生になった花梨
「お祖父様、今日こそ私自身の願いを力に変えて
形にして魅せます!!
それでは修行に行って………」
と花梨が行こうとした所、声が漏れてしまった。
「ふーむ、本当にそれで良いのじゃろうか(ボソ)」
んっ?どうかしましたか、お祖父様???
「いや〜あれからワシも考えたんじゃ。
どうして花梨は先代がして来た過酷な修行を
超えても尚、覚醒しないのかをな?
それは……私が弱いから…だと思います(落ち込む)
ふむ。なるほどなぁ〜(ニコ)
花梨、これから言うワシの話をよく聞くのじゃ!
君の今後に関わる事だ」
何か、分かったのですか?
お聞かせ下さい、お祖父様!!
じぃじ「良かろう♪
花梨、君は………修行の時、何を思って考えておる?
何を…思ってとは、どういう事でしょうか(汗)
そのままの意味じゃ、花梨はどう望んで考えているか、
それをワシに話してみるのだ」
えっ、えぇ〜と……(焦)
焦らんくともゆっくりで良いのじゃ♪
は、はい!
花梨(私自身が修行の時に考えてる事。
そ、それは………必要のない感情だけ、
それでもお祖父様に私自身の考えを
お伝えするべき時なのです!!
少しでもお祖父様の力になれれば)
花梨「はぁ……ふーーー。
お祖父様、私自身は内心焦っていました(汗)
先祖代々伝わる修行をいくらやっても
私にはなぜか、身に付かない事。
修行をやる度に私自身の力を早く覚醒しなきゃ
急がなければ、家の跡取りのお手伝いが、
出来ないと途端に思い始めてから
焦って取り乱していたのかもしれません(焦)」
なるほどのう。
良くぞ、話してくれた♪
これで覚醒まで道のりが少し分かったぞ!
んっ?
「君は、先代にはない気遣いや優しさ、
何より感情の表れが人の良さを引き立てるのだろう。
体から滲み出るオーラこそが繊細そのものさ♪」
でも、これは決して修行の時に抱く感情じゃ!!
じぃじ「感情が豊かで何が悪いのじゃ?
君には他の人にない要素もあり先代にも居ない
イレギュラーなケースだからこそ、
覚醒の条件が上がったのだとワシは思うぞ♪」
んっ!……でも〜それでは私は(汗)
「そう焦らんくても花梨自身では一種の短所とも
捉えてるかもしれんが、むしろプラスだと
思って欲しい。
君が望むものは今は無くとも、
必ずや〜分かる事だろう!
いずれせよ、君自身や君の周りがピンチな時が
必ずや訪れる。
その時は、今すぐに欲するものを願えば、
その願いが一種の形にもなるやもしれんの
だからな♪」
……っ!はあ♪
お祖父様の言う事なら待ってみても、
良いのかもしれませんね!!
「そうじゃ、何事も前向きに考えるのじゃぞ花梨」
回想終了・・・
花梨(そう…だった。
お祖父様が、私の覚醒について
家族よりも1番にずっと側で見てくれた。
私に付きっきりで教えてくれた!
私の願いが力を発揮してくれるなら………ううん。
今だけ…ほんの一瞬だけでもいい。
私の願いに応えて、
私に力を……皆んなを助ける力を貸して!!)
と両手を重ねて口元近くまで寄せる。
川が波を打ち、桃色髪が揺らぎ風が吹き始め、
白い光を体に宿しオーラを放った。
花梨「……っ!!」
地面を強く蹴り上げて川へと潜る頃には
花梨の下半身が人魚の青いヒレが現れており、
物凄い速さで引き摺り込まれた生徒を救助させる事に
成功した。
百「あっ、けったい(不思議)やな〜
さっきまで無かった妖力が満ち溢れてはるわ〜♡
……っ!花梨ちゃん、後ろ!!」
と最後の1人を救助しようと
上へ浮上した所で河童にヒレを掴まれたのだ。
花梨「あっ!は、離して下さい(汗)
この子を早く上に上げないと溺れてしまう」
ギロッとこちらを見つめると河童が力強く引っ張った。
天音「ゔぅ〜………ぷはっ!」
花梨(あっ、駄目。
この子が最後なのに…せめてこの人だけで地上に〜
いえ、水中で有利なのはこの妖怪達だけじゃない。
私だって水の妖術くらい、使えるんだから
ここで諦めてたまるもんですかーーーーー!!)
と右腕で天音を抑えて左手の力を緩め
ゆっくりと外側に払った途端、
一瞬で扇子が出現させ妖術を使ったのだ。
花梨「渦紋の柱!!」と大きな声で口にした。
すると、花梨のヒレを引っ張っていた河童の足元から
渦を巻き、上へ上へと上昇させていった。
その間に花梨は川から脱出し
続々と河童の群れ達が先程の攻撃で川から弾かれ、
防御がガラ空きになった河童に
桜は、先程の攻撃方法で相手を切り裂く。
河童の群れを一網打尽に切り裂いていったが、
まだ森には黄色く光る目が沢山あった!!
百「まだ、こんなに居てはるんですの?!
キリがありませんね(汗)」
百の言葉を聞いた生徒達が、
川の目の前に立ちはだかり引き摺り込まれた生徒達が
戦う意志を示したのだ。
花梨「はあ♪………皆さん!」
生徒「今度は、私達(俺達)が相手します!!」
生徒達から戦う強い意志を感じた事により
先生方がようやく姿を現し、志童に視線を送る。
その視線を感じ取った志童がコクリと頷き、
口を開こうとした。
志童「そこまっ……だ?!(小声)」
先生方「んんっ???」
そう言い掛けた瞬間、
微かな禍々しい妖気が放たれ風に乗って来ると
同時に鋭い赤い目が、志童を睨み付けたのだ!!
志童「……っ!
(な…何だ、この禍々しい妖気。
こんなにも微量な妖気な筈なのに
膨大で威圧的な雰囲気は!!(焦)
俺には見覚えがあるのだが、
アイツは………もうとっくに死んだ筈じゃ?!(汗)
全盛期より弱いが、間違いなくこの力は奴のものだ。
一体、どこだ。どこにアイツが居るんだ!?)」
そう考えていると、
頭の中で響き渡る声が聞こえてきたのだ。
???「貴様、妾の同志……に手を出した事を
決して許されると思うなよ!(怒)
どういうつもりかは知らなぬが
妾を怒らせた事、後悔せねばならないな?
お前さんが精々、怯え待つ夜が楽しみじゃ♪」
目元は暗くさせた志童は、瞬時に気持ちを切り替え
生徒と野生の河童達の交戦を止めた。
志童「そこまでだ!!」
というドスの効いた声が、
生徒達の勢いを止め志童を見つめると再び話を続けた。
志童「1年生達には悪いが
今回は…いやコレは昨年からの恒例行事、
「野外試練」は生徒達全員が協力する
意欲を高める為のテストだ」
生徒達「・・・えっ?…ええぇぇぇ?!!!!!」
瑛二「じゃ、じゃあこの森ってまさか〜(汗)
あの有名な河童の森なんですか!?」
先生一同「見事じゃ1年生の皆さん」
男子生徒「あっ、先生!!
今の今までどこに行ってたんですか?!
大変だったんですよ(焦)」
先生「いや〜素晴らしい♪
今年の1年生も難なく、クリア出来ましたな」
校長「そうですな♪」
女子生徒「あの〜……先生、聞いてます???(汗)」
先生「これを成功させるには、
河童の長を務める河原 志童くんに手伝って貰う
必要があるんですよ!!
へっ???(生徒達)
あはは(笑顔)
その顔は、信じていないようじゃな。
彼が、[四大妖怪の1人]である河童様だ!
登山はほんの一部の始まりに過ぎんでね♪」
志童「長以外は、基本的に意志を持たない理由なのは
閻魔大王様が定められた制約の元でして
最初から決まってたんです(汗)
だから先生方だけで
この森に行かせるとなると交渉どころか
最悪、全滅する程の重症を負う可能性があったので
僕が同意の下で許可制に変えてくれたんです。
お、恐ろしいぃぃぃ(ドン引き生徒達)
僕が河童の長である事を隠した上で付き添いという形で
影ながらサポートしていた訳です。
少し誤解が生まれない為にもこれだけは言わせて下さい。
1年生の皆さんの事を死なせるつもりも冥界へ行かせる
つもりも更々ないので、そこはご安心を♪」
女子生徒「よ、良かったぁ〜(安堵)」
男子生徒「助かった〜〜〜もうクタクタだぜ(涙)」
先生「所で霊魂探しも一種の試練でもありましたが、
気付きましたか皆さん?」
生徒一同「・・・知らん」
先生「・・・(汗)
どうやら今年の1年生は学年問わず、
一致団結はしたものの特異の妖気の気配だけでは
疎い人ばかりという事が
露天してしまったか、いやはや(呆れる)」
志童「ま、まぁ〜……ボチボチ行けますよ。
きっと〜(苦笑い)」
男子生徒「あんまり期待してませんよね、先輩?!」
男子生徒「あはっはっは(笑)」
女子生徒「うふっふふふ♪♪♪」
笑顔になる生徒の中で少しだけ口元が緩む友理の姿が。
友理(ふーん、な〜んだ。そういう事、だったのか)
そして志童もその中の1人だった。
志童(まぁ、本命は想定通りに一歩進んだ。
久しぶりに会えて僕も嬉しいよ、
それに僕がここに来た理由も来た甲斐があった。
報告が、増えましたよ「水神様」)
放課後・・・
誠也「んんっ?うーーん。ここ…は?」
あっ!誠也、起きたの♪良かった!!
もう〜放課後なんだからね?
はぁ?!マジかよ!
日向「うるさいな」と言って起き上がった誠也に
デコピンして勢いよく後ろに倒した。
うげっ!?イッテェな日向!!
蘭「はいはい、落ち着いて(汗)
んっ?あっ。志童くん、お疲れ〜♪」
保健室から少し離れた所で止まって蘭に尋ねた。
志童「あれ?まだ、居たんですか蘭さん。
ここ保健室ですよね???」
あ〜ぁ、ちょっと授業中に誠也が事故って
今の今まで寝てたの(汗)
誠也「事故ってねぇーよ!!!!!!」
本を読みながら頭にデコピンを打ち込む。
日向「黙れ、鬱陶しい」
あの2人はいつも通りですね(汗)
色々とお疲れ様です、蘭さん。
ま、まぁ〜ね。あはは………(なんかごめん!)
蘭「あ、そうだ。
今回の1年生はどうだった?
今日、野外活動の日だよね♪」
志童「そうですよ。
戦闘面では、学年問わず協力してくれましたから
問題ないかと!
ただ、気配には疎い人ばかりでしたので
そこが少し心配ですね」
へぇ〜流石、観察だけは長けてるよね♪
「だけ」は余計ですよ(汗)
それじゃあ、僕はそろそろ帰ります。
お疲れ様です♪
保健室から立ち去る志童の後ろ姿を見つめる誠也が、
口を開いた。
「んっ?な〜んか、アイツやけにご機嫌だな。
気持ち悪りぃ(汗)」
こら、誠也。失礼でしょう!!
いやいや、蘭には言われたくないね(笑)
何よ!私は何も失礼な事、言ってないわよ!
さっき言ってただろ?!
蘭「ムッ。知らないわよ、誠也なんか(ふん)」
はぁ〜!!んだよ、蘭!さっき言っただろ。
日向(・・・誠也のカバン、教室に閉まっとこ。
いい加減、幼馴染には優しくしなよ(汗)
今回の登場人物・・・
名前:雪宮 天音 正体:雪女
髪型:ぱっつんカットのストレート
髪色:黒髪
瞳:パール色
制服:上下青緑、プリーツスカート、赤リボン
キャラ説明:
彼女は、1年B組で比較的口数の少ない子です。
寒い場所、冷たい飲み物、冷たい食べ物などを
好んでおり、かき氷が1番好きらしい!
他にも氷の術や氷の守りなど妖術には、
非常に長けている。
心優しい一面と戦闘の時だけ人が変わる一面を
持ち合わせています。
Bクラスでありながら、健気に妖術の授業だけは
頑張る努力家でもあるよ!!
名前:河原 志童 正体:河童
髪型:ベリーショート
髪色:艶のある深藍色
瞳:シルバー
制服:上着青緑、黒チェック柄ズボン、青ネクタイ
キャラ説明:
河童の長でありながら、
学校にはあまり知られていない存在。
だが一部の者が知っており、去年の野外活動を
参加した蘭達2年には当然知られている事。
彼は、見た目に反して心優しいごく普通の男子生徒で
四大妖怪としての威厳を特に出さない。
そして意外にも花梨とは[幼馴染]でもある!!
花梨が覚えていないのは、
小さい頃から離れ離れになっている影響もあるだろう。
それでも花梨を心配するお祖父様の願いを聞いて
密かに見守っている。