大平原
キレイなお部屋。
でも息苦しいお部屋。
招かれたのはあなたの気まぐれ。
生きた景色は存在しない窓に凭れてみる。
丁寧に暴かれる恥ずかしいほどの腹の底。
キレイな瞳とキレイな髪。
でも聞き苦しいのはすり替えられた唇のせい。
言葉を繋げる術は見つからず、押し寄せるは見渡す限りの大平原。
か細い影が風車、声のない応援がふざけて揺らぐ。
15個の月を数えたら、残りの太陽は知らずじまい。
見えない月はどうするの。
雲に隠れた月のような、終わりたくない物語を失うような、望まないものを見せられた瞳のよう。
指定された覗き穴、何事も無いことを祈るだけ。
想定された落とし穴、滞りなく持ち主へと飛んでいけ。
きれいな賛辞、届く前に大平原に落ちていく。
高層ビルから優越を差し引いて、残りの階層に憂鬱を加えたら、等身大の雨粒降ってくる。
この部屋に広がる大平原、四肢を広げて堪能して。
見苦しいほど、幸せを謳歌して。