Chapter8-3
更新再開します。
◆
「四人とも大丈夫か……模擬戦でもしたのか、ボロボロだな」
花音の膝の擦り傷を消毒しながら他の四人を見た。あれから断己は他の部員と合流せずに一人で合宿所で溜まって業務を片付けながら待っていると入口から声が聞こえ見に行くと洸と満身創痍になって帰って来た四人がいた。
「ううっ……すいません断己先輩」
「あ~、別にいいのよ断己くん、そんなの星信力で明日には治ってるから」
「そうは言いますが雑菌などが入ったら危険ですよ、花音はこれでよし涼子は腕を見せてくれ……大丈夫そうだな切り傷くらいか消毒する」
「んっ、ありがとうございます先輩……私、実は回復系は苦手で」
少し恥ずかしそうにする涼子の腕の切り傷を診ながら消毒して行くと顔をしかめている。だが断己は全く別な事を考えていた。
「苦手とか有るのか、てっきり自動回復や自動防御だと思っていたが」
「ま、それは色々と秘密が有るんですけど断己先輩こういうの慣れてるんですね」
テキパキと手当てをしていくのは断己がERRORで訓練を受けていたのも有るがアメリカで体が復調してからボーイスカウトで学んだものも多く、言い訳する時は大体それで通している。
「そういえばアメリカでそういうのが有ったな私はERRORで覚えたのだが……なるほど」
「そして洸先生は無傷と、さすがは最強のステプレというべきですか」
感心しながらも断己は内心驚いていた。おそらく状況は四対一なはずで自分も過去に彼女たちを撃退したが奇襲で勝った面が大きく洸が真正面から倒したと考えると、その強さに改めて戦慄を覚えた。
「まあ、私は鍛え方が違うからね~」
「なら手当ての邪魔ですので、ご退出を」
断己はこの機会に四人から洸のことを聞き出そうと考えていた。いくら秘策が有るとはいえ情報が多いに越した事は無い。だがそれに待ったをかけたのは当然のごとく洸だった。
「あっ!? そういえば私も最近は肌荒れや手荒れが……」
「それは不規則な生活習慣が原因では? ビタミンB2が足りてないからかと」
断己はその点あらゆる栄養をサプリメントで完璧に補充しているから問題無いと自負している。
「何よ断己くんだって、いっつも夜遅いじゃない今日も寝坊してたし不規則さなら君の方が上でしょ」
「そ、それは……お、俺の場合は仕事ですので……」
そうなのだ断己は寝る間も惜しんで目の前の洸を倒すために例の鎧の改良や、さらには四天王としての世界征服計画も練っているので当然のように激務だった。
「そうやって、す~ぐ仕事仕事って、ご飯もサプリばっかで私が作らなきゃ食べないでしょ? 最近は起きれないからモーニングコールもしてあげてるしさ」
そんな激務の断己は日本に戻ってから頻繁に洸にサポートされ業務を成立させていた。洸がいなければ栄養失調で倒れていたし高校も遅刻の連続で何かの拍子に正体がバレていた可能性すら有る。敵に助けられている時点で本末転倒だった。
「「「「えっ!?」」」」
そして驚いた四人は思った。こいつら何で付き合って無いのと、もはや半同棲みたいな状況じゃないかと思ったのだが二人の話は続いていた。
「それに断己くんは他にも……」
「うっ、今後は善処する……から、それで良いですよね」
「ちゃ~んと洸先生の言うことは聞くように、ね?」
最後には、またしても分からさせられる断己だった。一度敗北したという擦り込みか、はたまた何か別な要因かは分からないが洸には万事この流れだ。そして気付けば合宿も最終日の三日目を迎える。
◆
「今日は起きれた……にしても何でここに居るんだ」
今日は一人で起きれた悪の天才幹部の夜剱断己くん十七歳だったが問題が有った。自室で起きると合宿所の自分のベッドに突っ伏する形で洸が寝ていたからだ。
「うぅ~ん、私はいつでもぉ、ふへへ……夢のおよめさ……」
「先生、洸先生、起きて下さい」
「へっ? あっ……起きたのぉ、ダ~リン?」
完全に寝ぼけている洸を見て呆れた表情を浮かべた後に断己は腹が立った。理由は分からないがなぜかムカッとしたのは人間として当たり前だと自分に言い訳すると思わず低い声を出していた。
「だいぶ夢が抜け切ってないようですね……ふぅ、ステラ・ドゥーエ情けないな」
「っ!? 敵っ……あれ、夢?」
「どうしたんですか先生、嫌な夢でも見ましたか?」
「いやいや今一瞬、断己くんが敵に見えた気がして……あと表ではステラ・ドゥーエとか言わないで、戦う時以外はなるべく現実忘れたいから」
そんなにステプレ嫌なのかと少しの同情と、それ以上に過去に一度引退したのに復帰までして続けているのは使命感以上の何かが有るのかも知れないと気になった断己は自然と洸に手を伸ばしていた。
「そんなに忘れたいなら……俺がっ――――」
「えっ? 断己くん、あっ……」
思わず腕を掴んだら洸の体がアッサリ倒れ込んで来て、そのまま洸は腕の中にすっぽりと収まってしまった。
「だ、大丈夫……ですか洸先生」
「う、うん……ごめん寝ぼけてて、本当は気になって今日も起こしに……」
そう言われて時計を見ると八時少し前、起きれたけど七時起床なので寝坊は寝坊だったと思ってベッドから降りようと考えて洸と目が合った。
「と、とにかく……離れまっ――――」
「洸先生、断己先輩は起きました? 三十分も経ったから迎えに……えっ」
「どうした涼子、花音や律果が待ってるから急げ……あっ」
二人して見つめ合っていたのは数秒だと思っているが実際は、かれこれ五分以上経っていた。なので二人が様子を見に来るのも当然だ。
「済まない二人でお楽しみ中だったか、戻るぞ涼子……」
「あっ、ああ……やっぱり二人って、そういう関係なの……って何でメリアは余裕なのよ!!」
「昔アメリカで訓練をしていた頃は日常茶飯事だった……部下同士が付き合っていた事も有ってな」
そんな事が有ったのかとメリアこと元四天王を見る目が少し変わった断己だったが洸を抱きしめた腕を離すのを完全に忘れていた。
「え? あれって機械とかじゃなかったのっ!? いつも『承知之助』しか言ってないのに!?」
「ああ、あれも大変なんだ、私も新人時代は発声練習をさせられたんだ」
そういえば自分も幹部養成時代には無駄と思いながらも声出しをやらされたと思い出す断己だった。実は密かに自分が総統になったら無くそうと考えている伝統の一つだったりする。
「そ、そうね……でも断己くん、そろそろ離してくれると、ね?」
「あっ!? すいません、思わず抱き寄せてしまって」
そこで慌てて抱き締めていた腕を離す断己と少しボーっとした表情から慌ててジャージの着崩れを直す二人を見て涼子は余計にジト目で見るがメリアが我関せずの態度を示しその場は収まった。
◆
その後は何事もなく朝は過ぎジョギングと筋トレという天文部とは何なのかと違和感しかない流れが続くが昼食をはさんだ午後はさらに混迷を極めた。
「さて、午後は組手、つまり模擬戦ね……今日は私とじゃなくて組み合わせを発表します、まずは四人とも変身して」
「「「「はいっ!!」」」」
「あ、断己くんは見学で良いわよ~」
四人が変身するとポーズを決めている。あれは変身後に必ずやらなきゃいけないらしく伝統だと洸が言っているのを断己は半分流しながら聞いていた。
「そうですか……どうせなら俺も一勝負と思ったのですが」
「いやいや、せんぱ~い、変身したらさすがに私達の圧勝だから」
「メリアはともかく他の三人なら勝てそうだが」
律果の言葉に断己が答えると場が一気に嫌な沈黙に包まれて次の瞬間ステラ・アローの試射をしていた涼子が怒気を露わにした。
「へぇ、言うじゃありませんか先輩……やってみますか手加減してあげますけど」
「ちょ~っと私もイラっとしたんだけど、イケメン無罪とか私の中で無いんで」
さらに言い返した律果と困った顔の花音を見て断己は不敵に笑った。その笑みを浮かべた口元に一瞬、洸は強烈な違和感を覚えた。
誤字報告などあれば是非とも報告をお願い致します。(感想ではなく誤字脱字報告でお願いします)
感想・ブクマ・評価などもお待ちしています。
下に他作品へのリンクが有りますのでよろしくお願いします。




