Chapter6-1
更新を再開します。よろしくお願いします。
「やっぱりサクッと仕留めるべきだったか……でも増援が来るなんて予想外よ」
「いや、普通来るんじゃないんですかドゥーエ先輩?」
「むしろ普通は来ないのよ!! この手の奴らって幹部でも使えないと思ったら切り捨てるのが殆どなの」
今までの経験上の話ならばステラ・ドゥーエこと八重樫洸の言うことは至極当然で正しかった。これまでの敵なら自爆をさせ巻き込むパターンや、他の幹部のために捨て石にされる等が挙げられる。
「それは随分と無能な敵だったのだなステラ・ドゥーエ、君が勝ち続けている理由も分かるというものだ、しかし……私は同胞を決して見捨てない!!」
他にも色々と惨たらしい最期を迎えるか切り捨てられるパターンしか見ていなかった彼女からすればスターダストナイト二世の行動は完全に想定外だった。
「ちょっと~、ひかり~ん、明らかに向こうの方が正義の味方っぽいセリフ言ってるんですけど……」
「そうですね、何か記憶消そうとか色々言ってたんで……」
スターダストナイト二世のある意味で天然な本来の断己としての性格も相まって、なぜか他のステプレのメンバーからも一部賛同を受けてしまう流れになっていた。
「あのね、ここで逃がしたら奴とまた戦うのよ、この町の惨状を見なさい!! 一時だけの綺麗事なんかで星を、ましてや世界は守れないのよ」
「それは……」
「それが人々を守護るって意味なのよ……まだ分からないようだから見てなさい」
それだけ言うと今までの闘気の何十倍も表に出した洸は鎧をまとった状態の断己の前に立ち塞がった。
「その前に一つ提案が有るのだが?」
「何かしら二世くん? 私の怒りは控え目に言って最高潮よ」
睨み付けられるだけで圧が違い過ぎる。先ほどの決意を聞かされた断己としては敵の事情も鑑みた上で慎重に動きたいが、いつもの癖でつい口が滑ってしまった。
「今日は日も悪い、そこで日を改めてデートにお誘いしたいが、いかがかな?」
「えっ!? デート……マジ? でも明日は仕事だから午後なら……えっと」
「いや戦闘にという意味なんだが……」
戦闘をデートと言って少しオシャレに言ってみたと我ながら改心の出来だと勘違いした断己の言葉に全力で乗っかってしまったアラサーヒロイン洸に全員が固まった。そして真っ先に反応したのは律果だった。
「ちょっと……ひかりん節操無さ過ぎでしょ、昼間のイケメンどうすんのよ」
「そうですよ先生、じゃなくてドゥーエ先輩!!」
「だ、だってデートに誘われるなんて、まさか短期間で二回なんて……モテ期!! そう、これこそ私のモテ期なのね!!」
ガッツポーズしただけで地面が抉れたが断己はこれを最大のチャンスと見た。一時的にステラ・ドゥーエの注意が完全に自分に向いたのだ。
「諸君!! 撤退ルートEでコングマンを送れ!!」
「承知之助!!」「承知之助!!」
すると今まで何も無かった場所からいきなり下級構成員が次々と出て来た。
「なっ!? どこから!?」
「まさか……今のは光学迷彩!?」
「ご名答だストレーガ、いやステラ・リコルド!!」
最初から断己の狙いはこれだった。自分に注意を向けさせつつコングマンを撤退させる事で、ずっと光学迷彩装備で待機させていたコングマンの部下たちを近付けるのが狙いだった。
「お前達……」
「コングマン様、逃げましょう、スターダストナイト様が我らをここまで連れて来てくれて……」
「くっ、スマン……」
そう言うと肩を貸して逃走を図るが、そんな事はさせないと洸が全力で阻止するために動くが、またしても阻んだのはスターダストナイトだった。
「だから逃がさないって――――「おっと、ダンスの相手は俺がする!!」
「ちっ!! なら皆!!」
全力のステラブレードに対して黒の剣を臨界前出力で何とか一撃だけ防ぐと既にSKⅡの鎧はアラートの嵐となってしまったが断己は退かない。
「あっ、そうだ……止めなきゃ、え?」
しかしフィオーレ達が動こうとした瞬間、下級構成員に肩を貸されていたコングマンの周囲にプラズマがバチバチと走り空間が歪んでいく。
「ストレーガ、いやステラ・リコルド……俺は次こそ貴様に勝つ!!」
「待ってコングマン!! 今なら!!」
しかし言葉は届かずコングマンと部下はいずこかに消えた。これこそが断己の最大の発明で社内はもちろん未だ組織の一部にしか教えられていないERRORの切札の一つ『物質転送装置』だった。
「消えた……どうなってんの!?」
「ERRORのオーバーテクノロジーの超科学、いかがかな?」
これの凄い所は一切のリスク無しであらゆる物質を決められた場所に転送出来るという点だ。しかし帰る際には別な条件が必要なのだが今回は下級構成員がそれを満たしていたのでコングマンごと転送されたのだ。
「構わないわ!! なら、あんただけでも!!」
「それは遠慮しておこう」
そう言った瞬間、マントを翻して目の前から断己は消えた。本当に一瞬の出来事で百戦錬磨のステラ・ドゥーエですら数秒動きが止まった程だった。
「しまった先生!! あのマントも光学迷彩です、まだ近くにいるはず!!」
そう言ってライフルを構えるリコルドだったが手で制したのは洸だった。諦めたようにすっかり暗くなった空を見て彼女は言った。
「もう気配が無いわ……たぶん目視できる距離には居ない……逃げられた」
「そんな……」
そして嫌な沈黙が広がる中で駅前の修復が始まった。星守町の七不思議とまで言われている。これは街の損害が数時間で直るという奇跡としか言いようのないもので、それが始まったのを確認すると町にも人が徐々に戻り出していた。
「じゃあ帰るわよ」
「「「「はい……」」」」
勝利はした、そして新たな力も得たのに拭い去りがたい敗北感がステプレ五人の胸の中に広がっていた。
◆
「危なかった……万が一フォームチェンジでもされてたら捕まってたぞ俺」
そして一方、断己は五人が撤退した後に目覚めていた。実は断己は光学迷彩を起動させた後に近くのビルの物陰に身を潜めていただけだった。
「しかし、こんな機能が使えるなんてな」
このSKⅡの鎧は基本的に初代から改良されているのだが何個かは初代の力を再現した機構が取り入れられている。その中の一つが仮死化機能だ。
「つまり一時的に死んだフリの超リアル版が出来る……なんで、あの人はこんな機能を……」
ちなみにその後に鎧の内部にある蘇生術、つまり電気ショックを使われて目を覚まされる仕様になっている。取り合えず鎧の調子を見て断己は動けるのを確認すると撤退コースを確認して何とか本部に逃げ帰ったのだった。
◆
「と、言うわけでお願い断己くん天文部に入って!!」
「え? 話がサッパリ見えないんですが洸先生……」
翌日、登校して昼休みに入った瞬間に拉致された断己は屋上で洸と一緒に弁当を食べていた。
「取り合えず、お弁当ありがとうございます……」
「いいの、ストレスマッハでね料理で発散したら多く作り過ぎて……あの男、今度会ったらステラ・トライデントで串刺しにしてやるわ」
「そ、そうですか……ハハハ」
その名前からして物騒な槍に串刺しにされそうな人間が隣にいるんですが……正体バレたらどうなってしまうのだろうかと少しビビりながら玉子焼きを食べると、ほんのり出汁が効いていてアクセントのシラスも良い感じだった。
「うん、それで本題なんだけどね、実は相談に乗ってもらいたい事が有るの」
「はい、それなら今聞きますよ、天文部に入るのは嫌です放課後は仕事が有るんで」
たった数日なのに近過ぎる距離感は避けるべきだと思った断己は今日から程よく接触を避けようと考えていたのだが、アッサリ崩れ去っていた。
「そこまで即答しないで、ほら私の分の卵焼きもあげるから」
「えっ!? 本当ですか……うん、って何で俺がこれ好きだと?」
「だって卵焼き食べる時は特に目が笑ってて美味しそうに食べてくれるから、じゃあ私の話を聞いてからまた返事を考えてくれない?」
断る前に事情くらいは卵焼きに免じて聞いてみるのも悪くないと思って断己は問題無いと言って安請け合いしてしまった。
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