Chapter5-4
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「ちょっと、何か凄いもの見ちゃったんだけど!! 見ちゃったんだけど!!」
「私もです……先生があそこまで落ち着きの無い様子は初めて見ました」
律果と花音がすっかり興奮する中でメリアは不思議そうにしていた。そして一番最初に二人を見つけた涼子は茫然として退店する二人を見送っていた。
「三人共、デザートは後回しよ!!」
「え? 何でだ涼子、私はパンナコッタを……」
「二人が気にならないのメリア?」
「気に……なる、かなり……」
そのメリアの発言に残りの二人も頷くと得意のチームワークを発揮してすぐに店を出ると洸と四人にとっては謎の人物の断己の追跡を開始した。
「二人は間接キスした後にあっちに行ったわ!! 追いましょう!!」
「涼子ちゃん、声大きいよ!!」
そういう律果も同じくらい大きいのだが今は急ぐべきだと四人は互いに頷くと追跡を開始した。そして数分の探索の後に二人を見つける事に成功していた。これは耳のよい涼子と戦場を渡り歩いたメリアのお手柄だった。
「わ~可愛いですね……私も猫ちゃん欲しいんですよ、パパがダメだって言って飼えないんですけどね」
「そうなのか花音は猫派か私は昔、ご飯を猫と奪い合っていたから苦手だ、犬は忠実だったから好きだったけど」
サラッとストリートチルドレン時代の重い話をするメリアに他の三人が若干引いていると律果が改めて二人の入った店を見ていた。
「猫カフェかぁ……うっわ見てよ涼子ちゃん、ひかりんカップルシートで猫を抱っこしてるんですけど」
「そうね、それに隣の男性はネコが苦手なのだろうかビクビクしながら触ってる」
今現在、断己と洸はレストランを出ると洸の先導で猫カフェに来ていた。洸のデートコースはレストランの次は猫カフェだったのだ。
「でも先生、幸せそう……」
「こう言うの見せられるとひかりんも可哀想だよね……だってあのイケメンとも」
「うん……でも洸先生が居ないと……」
そんな三人が話し合っているとメリアが花音の肩をツンツンと叩いた。
「どうしたのメリア?」
「二人は店を出て行ったんだけど……」
見るといつの間にか二人は居なかった。店の前の看板を見ると滞在してたのは三十分コースだったようだ。
「じゃあ、このまま二人を追いまっ――――」
「きゃあああああああ!! ERRORよ、ERRORが出たわ!!」
花音が二人を追おうとした時だった。住民の悲鳴が聞こえた。学校や商店街の近くの住民はERRORに対して慣れ切っているのだが新市街や駅前は未だに怖がっている人間も多い。
「出たわね……行こうカノちゃん!!」
「うん……先生に連絡は止めておきましょう、私達だけで行きましょう!!」
律果の言葉に素早く答えを導き出したのはリーダーの花音だった。洸は幸い今の騒動に気付いていない。だから自分達だけで解決すべきだと、そしてそれは他のメンバーも思いは同じだった。
「分かったわ!!」
「了解!!」
四人は人目の付かない場所で変身するとすぐに駅前広場のERRORに立ち向かって行くのだった。
◆
そんな状況など知らない断己と洸は猫カフェを出ると少し離れた住宅地に近い公園に来ていた。
「こんな所に公園が……」
「ええ、昔は私この辺りに住んでてさ、今は実家もこっちには無いからマンション住まいなんだ」
そう言ってベンチに座る彼女に続いて断己も静かに腰を下ろした。二人の距離は少しもどかしく人が半分くらい入るスペースが空いていた。
「そうなんですか……そう言えば田舎に帰らないといけないとか言ってましたね」
「うん、今は家族は皆揃って父さんの実家に帰っちゃってね……私だけが育ったこの町に残ったんだ」
そう言ってフゥとため息を付いた洸を見ると、その横顔は少し寂しそうだった。
「「あのっ!?」」
「先にどうぞ」
「いえいえ、そちらが先で」
そして互いに譲り合っている内に気付けば空は少しづつ夕焼け色になって来た。まだまだ陽は高いがそれでも間も無く夜がやってくる。
「じゃあ俺から……先ほどはすいませんでした」
「先ほどって……えっと、何かしら?」
本当に見当がついてないようなので断己は先ほどのレストランでの間接キスのことを話す事にした。
「その、そちらを配慮せずに間接キスを……」
「あっ、ああああ、そ、それは、うん……もう、いいから」
実際の所かなり恥ずかしかった。これでも十三年ステプレとして生きて来て楽しかった事、辛い事、恥ずかしかかった事も多く経験をしてきた洸だったが今の所、異性との最大接近が大学時代の同級生と手を繋いだことだけだった。
「俺はあんまり気にならなかったんですけど、洸さんへの配慮が足りませんでした」
「いいよ、笑っちゃうでしょ?結婚したいとか付き合いたいとか言っててさ、過去の失恋がトラウマで最後は全部ふざけて逃げ出しちゃうんだよ私……」
自嘲気味に笑うとその横顔は夕陽に照らされて表情が分かり辛かったが断己には口元しか笑ってなくて目は泣いているように見えた。
「そう、なんですか? 俺にはそう見えなかったんですが」
「ううん、今日付き合ってくれたお礼に教えたげるよ……結局、最後は私が何とかしようと、出来るからやろうとすると私はいつも失うんだ」
そこで少しの沈黙が有ったが、その沈黙を破るように「何をですか?」と断己が問うと洸は夕陽を見つめて言った。
「全部だよ……あっ、勘違いしないでね死んじゃったりとか絶交とかじゃないから円満に分かれてるんだよ仲間とも……ただ皆と私はどんどん離れて行く」
「それが失う……つまり関係が遠のくと言う意味ですか?」
「そんな感じかな……私しか分からない感情って言えば聞こえがいいけどさ、要は寂しくて羨ましいんだ皆が」
そこで言葉を区切りさらに洸は心情を吐露すると呟くように言った。私も皆みたいに普通に戻りたい、戻って普通の恋をやり直したいと小さく震えながら言った。
「それは……」
「ううん、でもそれは無理……だって私は十三年前に選んだから、戦うって大事な約束のために皆を守るためにって、自ら望んでおいて今さら言えないでしょ?」
そこで話を区切って再び沈黙した洸に断己は何と言葉をかけるかを逡巡した後に口を開いた。
「今さら全ての責任を捨て普通に戻りたいなんて言えない……ですか?」
「うん……凄いね断己くん、私の事好き過ぎじゃない? 心の中を全部見られてる感じよ、少し驚いちゃった」
少し余裕が出て来て軽口も叩けるようになったようで口元が笑っていた。そして釣られて断己もクスっと笑っていた。そして口が自然と動いていた。
「自分とは真逆なんで理解できる、いや理解しようと解釈できたと言うべきですね……自分はある目的のために特別になりたいから」
「あ~、なるほど……でもね特別なんて良い事も有るけど大体、悪い事の方が多いのよ、だから先生からの教えよ、避けられるなら特別なんて諦めなさい」
そう言われて一瞬迷った断己はニヤリと笑って洸の目をしっかりと見て宣言した。
「それは洸さんが、洸先生がそれを知ってるからですよね? スタートラインにすら立ててない人間は悔しいだけなんじゃないですか?」
「なっ……ったくもう、これだから天才は……舌戦じゃ私勝てないじゃない」
「これが俺の偽らざる本音ですから……他を偽っていてもね?」
最後にニヤリと口角を上げると断己が意味深な一言を放った瞬間、洸と断己のスマホが同時に鳴り出した。
「えっ!? 四人が戦ってる!?」
「なんだと、また独断先行だと!?」
洸は神乃理事長からの連絡を断己はERROR本部にいる歩からの連絡だった。そして両者の通信の意味はほぼ同じだった。
「「町で戦っている!?」」
二人の声が夕焼けに包まれた公園に合わさり木霊した。
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