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悪の幹部やってるけど変身ヒロイン(年上)に目を付けられているらしい  作者: 他津哉
第五話「悪の幹部と正義のヒロインデート狂騒曲」
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Chapter5-3

後書きの下に他作品へのリンクが有りますのでよろしくお願いします。


 時刻は少し前、断己と洸がレストラン「トラットリオ・渚」に入ってくる数分前の出来事だった。


「これでメリアの洋服とか雑貨とか色々買えましたね」


「うん、ありがとう花音、それに二人も……私、ERROR時代も買い物とか殆どした事が無かったから……」


 彼女らは現役のステラ・プエーレの十代目の戦士たちで先々代以来の全員が入れ替えとなった珍しいチームだった。その分だけチームワークは強く新たに加わった一人とも絆が深くバランスの良いチームと言われていた。


「ま、私が見立ててあげたんだから当然、メリアはスラッとしてるし似合う服多いから羨ましいよ」


 森野律果、ステラ・プロメッサはチームのムードメーカーで賑やかし、こんな見た目ながら戦闘では防御や拘束など搦め手が担当だ。武器は去年まで所属していた新体操部のリボンのような物を使っている。


「でも最後のは花音の選んだ服だったでしょ? 律果は選ぶのが少し派手なのよ」


 そして一番後ろを歩くポニーテールの少女は天文部と生徒会を兼任する氷見野涼子だった。彼女はステラ・アウローラ、武器は幼少期からやっている弓道の影響からか氷の弓を得物としている。


「じゃあ行きましょう、ここのイタリアン凄い有名なんですよメリアも気に入ると思いますよ」


「花音が言うなら……私、レーションとかサプリばっかり食べてたから……」


 どこかで聞いた事の有る話をしているのはERRORを裏切りステプレに目覚めた元四天王でメリア=ソムニウムことステラ・リコルド。実は彼女は名前以外は全てが謎でERROR所属前はアメリカでストリートチルドレンをしていた。


「それじゃあいけません、美味しい料理を食べて幸せになりましょう、もしかしたら記憶の手がかりが有るかもしれませんし」


 メリアはERRORに拾われる前の記憶が殆ど無かった。自分がなぜストリートチルドレンをしていたのかを含め全て不明だったが戦闘能力を認められ四天王まで上り詰めた。装備は使い慣れたライフルがモデルとなっている。


「花音、お料理食べて記憶が戻るなら、とっくに戻ってるよ」


 そして中心にいるお嬢様然としているのが今代のリーダー咲野花音だ。去年の一月頃に今代のステプレとして任命されてからはチームをよく支え戦う優等生だった。


「でも……あ、そうでした、ここのお店はパパの知り合いが経営していて四人で良い席に案内してもらえるんです、本当は別な人が予約していたらしいんですが別の場所に移ってもらったそうです」


「さすがカノちゃん、お嬢様~!! 一生付いて行くよ~」


 そんな感じで四人でキャイキャイして席に着いて注文をしている時に、その衝撃的な事件は起きた。




「二名です、に・め・い・で・す!!」


 どこか聞き覚えのあるアラサーの声に最初に反応したのは涼子だった。弓道をやっていたからなのか音には人一倍敏感な彼女は、それが自分達の部活の顧問の声だと気付いたのだ。


「この声って……」


「どうした涼子?」


「ううん、何でも無いわ気にしないでメリア、気のせいよね……」


 初めてのパスタに四苦八苦するメリアを見ながら涼子は声のした方を見るが、すぐに自分の聞き間違いだと悟った。なぜならその女性の横には男性が居てカップルだったからだ。


「はぁ……取り合えず水を飲ませて下さい」


 かなり疲れているようで両手に荷物をいっぱい持たされている長身の男性はフラフラで疲れているように見えて水を求めていた。


「だからゴメンって、えっと席は予約した八重樫です」


「ぶっ、げほごほっ、ごほっ!?」


 数秒前の自分の耳を信じなかった自分をぶん殴りたいと思いながら他の三人が心配そうに自分を見て騒ぎそうだったから、それを手で制して涼子は口に手を当て静かにさせた。


「どうしたの涼子ちゃん」


「むせたなら水貰おうか?」


「ぐっ、いい、の二人とも……げほっ、少しっ、だけ、あっちの席を見て」


 ゴホゴホ言いながら後ろを向くように言うと真っ先に驚いたのは律果だった。


「あっちの席って、えっ!?」


「先生? 事前に言われなければ大声を出していました……まさか男の人と!?」


「どうしたの三人とも?」


 そしてこの状況に置いて行かれたのはメリアだった。メリアだけは付き合いがまだ二週間弱なのでこの状況の異様さがよく分かってないのだ。


「あ、ドゥーエ先輩だ挨拶――――「だめですメリア、先生を見守りましょう」


 こうしてなぜか四人は自分達の先任で最強の戦士の幸せそうな姿を隠れて監視するという謎の行動を取る事になってしまった。




「なるほど……山菜ときのこをしょう油とバターで……」


 妙に真剣な顔をして最初の一口以外はワインすら口に付けず味を探っている洸はどこか真剣で戦闘の時のような圧が有った。


「味の分析は出来そうですか?」


「うん……大体分かったかな……じゃあ次はそっちの、あっ!?」


「何ですか? 今の「あ」は?」


 どうせまた変な事でも思い付いたのだろうと断己が見ると洸の方は少し真剣な顔をして喋り出していた。


「うん、そのね味に集中して一口で確認したいんだ、だから断己くんの方を一口だけちょうだい、ね?」


 全く根拠のない理屈だし集中して何口でも食べれば良い話なのだが洸は考えた。これは伝説の恋人から「あ~ん」を、してもらうチャンスではないかと考えたのだ。


「はぁ、一口で良いんですか?」


「うん、もしかしたらもう一口くらい貰うかもしれないけど……」


「分かりました、どうぞ」


 そして断己は自分の方のトマトと牡蠣のパスタをくるくるとフォークに巻くと洸の前に出していた。


「ふぇっ!? ちょ、断己くん!?」


「「「キャー!!」」」


 なぜか洸と後ろの四人組の内の三人が騒いでいるが洸だけは、その悲鳴に気付いていなかった。なぜなら彼女は今かなり驚いていた。


(何でいつもみたいにテキトーにあしらってツッコミ入れてくれないのよ~)


 そう、何だかんだで最後はツッコミ待ちな洸だった。彼女の計算外だったのは断己は自分がされるのは驚き照れるのだが自分がする分にはそこまで羞恥を感じる事が少ないという点だった。


「どうしたんですか? はい、どうぞ」


「う、うん……あり、がと、あ~ん」


 覚悟を決めた洸がプルプル震えて顔を真っ赤にしてる状態に若干の怪しさは有ったのだが断己はフォークを前に出す。


「「「きゃ~!!」」」


 またしても外野がうるさいと思って見るが例の四人組、つまりは現役ステプレ組なのだが断己は一切、気付いていなかった。


「美味しいですか?」


「うん……」


 そんな事よりも目の前の女性にパスタの感想を聞きたかった。料理の参考になったかが気になっていた。


「もう一口食べますか?」


「えっと……もう、いいかも……」


 そう言うと下を向いて黙ってしまう洸を見て断己も腹が空いて来たから食べようと思って一口食べる。


「そうですか、じゃあ俺も食べます……トマトの酸味が良い感じですね……ってどうしました?」


「だって、たたたた、断己くん、それ間接、キスなんだけどぉ……」


 離れたテーブルでガタッと音がするが断己の注意は完全に目の前の女性に絞られていて律果の悲鳴すら聞こえていなかった。


「あっ、すいません、不快でしたね女性に対して、割と側近たちと回し飲みとかしちゃって……」


「いやいや、そうじゃなくて私たち、その……しちゃったん……だよ?」


「ええ、ですから不快でしょうから謝罪を……」


「だって、私、男の子とキス、初めてなのに……」


 すっかり拗らせ過ぎて普段は飄々と構えて自虐全開の洸だったが実際は欠片も免疫が無い上に男性経験もほぼ無い。あるのは戦闘経験と女教師経験だけだったのだから当然こうなってしまう。


「え? 今のキスにカウントされるのですか?」


「私は普通にするのよおおおおおお!!」


 やはり天才は奇行や常識知らずなんだと洸は改めて目の前の少年が凄いズレていると再認識したのだった。

誤字報告などあれば是非とも報告をお願い致します。(感想ではなく誤字脱字報告でお願いします)


感想・ブクマ・評価などもお待ちしています。


この作品はカクヨムで先行して投稿しています。


下に他作品へのリンクが有りますのでよろしくお願いします。

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