Chapter4-3
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断己が家で大人しくしている時間、洸は当然ながら仕事だ。今日は断己のことも有り大忙しだったことも有りグッと伸びをしていた。
「あ~肩がゴキゴキする……どうもPC作業って苦手なのよね……」
そして来週の分のプリントの雛型を作り終えるとチェックは家に帰ってからと考えて次に部活のことだ。
「あ、洸先輩、ま~た凝ったレジュメ作っちゃって……業者のコピーすればいいじゃないですか~、あ、これどうぞ」
「幸乃か……まったく、テキトーに作るのは違うでしょ、生徒達の将来に関わるんだから」
後ろからひょっこり顔を出したのは同僚で高校と大学の後輩の天海幸乃だった。からかうようなトーンでコーヒーを渡して来る。
「相変わらず生真面目って言うか面倒見が良いっていうか……そう言えば聞きましたよ~なんか先輩のクラス御曹司が入って来たんですよね? ここらで一発逆玉狙いとかしちゃえば良いんじゃないですか~?」
「はぁ……相手は子供、それも生徒よ、あんたも来月結婚するからってマウント取るの止めなさいキレるわよ、あとコーヒーありがと」
のども渇いていたから正直助かった。このメガネの奥で心配そうな顔をしている後輩を見るに自分は相当疲れて見えたようだと洸は気付かされた。
「いえいえ、でも私や他の子たちも先輩には幸せになって欲しいんですよ……なんか私達だけ……」
「あ~もう、良いのよ私は、来月もまたご祝儀で私のお給料が飛んで行くんだから幸せになりなさいよ本当に!!」
本当は早く幸せになりたい洸だが後輩の幸せも大事だから、わざとふざけて少しでも幸乃の罪悪感を減らしたいと、つい口が動いていた。
「はい、でもステプレ辞めても私はずっと先輩の後輩ですから」
「ありがと……じゃあ私は現役の子たちと話して来るわ幸乃、ううんネビューラ」
そして洸は元ステラ・ネビューラの肩をポンと叩いて席を立った。次は天文部の現役の世話をしなくてはいけない。彼女の激務はまだまだ終わらない。
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「じゃあ、そう言うわけで来月、私は修学旅行だから三日間はあんた達だけで頑張るのよ?」
「はい、ですがあの黒騎士、スターダストナイトが現れたら……」
花音を始め現役の四人は不安を隠せずにいた。ここまで洸が介入したことは何回かあったとはいえ彼女達はそこまでの敗北は無かった。むしろ歴代でも安定していると洸も感心していた程だった。
「あいつは二世よ、忘れないでね花音」
「そこ拘ることなの、ひかりん?」
お菓子をポリポリ食べながらスマホを弄っている律果は半分呆れているが実は意外と大事な事だったりする。
「律果、ひかりんは止めなさい……ええ、まあ過去に私が初代とは戦ったから」
「えっ!? ERRORって前も居たんですか洸先生!!」
驚いていたのは紅茶を飲んでいた涼子とメリアで思わず涼子は叫んでいた。そしてERROR所属だったメリアも言葉を失っていた。
「ERRORじゃないんだけどね、少なくとも名前と装備が同じ敵と昔戦ったのよ……エンケラー帝国ってやつらで私が初めて戦った敵組織よ」
「でも倒したんですよね?」
「ええ、まあ……ね、倒したというよりは和解したんだけど、素直に引退してくれたし、私もまだ未熟だったから」
そこで気付いたようにメリアがポツリと呟いた。
「そうなんですか……じゃあ、その時の残党が今のERRORなのかな……」
「メリアが知らないんじゃ私達には分からないわね……さて、だから特訓の必要があるのよ、ずばり合宿よ!!」
「「「「合宿!?」」」」
そこで話を一端区切り次に天文部のGW特別合宿の話になった。元々ステプレのためだけに作られている部活で、メンバーも基本的にステプレ関係者のみで構成されているから予定も組みやすいのだ。
「一応は親御さんにキチンと話してくるように、メリアの宿泊許可は私が取るから他の三人はちゃ~んと親御さんのサイン貰って来てね」
「「「は~い」」」
花音たち三人は合宿と聞いてウキウキしているようだが一人だけ浮かない様子なのがステラ・リコルドことメリアだった。
「いつもすいませんドゥーエ先輩……」
「いいのよ、こういう時のバックアップも私の仕事だからね、何か足りない物とか無いかしら? 理事長からのお小遣いは足りてる?」
ERRORを裏切ったメリアは当然ながら行き場を失っていたから学生向けの寮として理事長の指定の物件で今は一人暮らしをしている。
「大丈夫です、むしろ戦いしか知らなかった私にはお金の使い道なんて……」
「じゃあメリア、明日の休みに皆でショッピングに行きましょう!! お洋服とか一緒に選びませんか?」
メリアの手を取ってニコニコ笑う花音に圧倒されたメリアもまんざらでもない顔をして喜んで承諾していた。
「花音……うん、私もお店とか全然知らないし……行きたい、かな」
「あのねえ、合宿って言っても特訓なんだから……あっ」
ピコンと音がして全員がスマホを取り出すと通知が来ていたのは洸だった。そしてそれを見た瞬間に普段は見せない笑みを浮かべていた。
「何かいい知らせでも有りましたか先生?」
「どうせ新しいお酒とかの宣伝でも入ったんでしょ、ひかりん先生~」
そう言ってスマホを覗いて来ようとする律果にチョップして黙らせてスマホの画面を隠すと素早くしまって帰り支度をしていた。
「何よ、私だって年中お酒飲んでるわけじゃ無いのよ、あと律果、先生付けてもダメだからね……じゃあ最後に明日のショッピングはハメ外さないようにね」
「それなら先生も一緒にどうですか? 先生はメリアの保護者ですし」
花音の提案にたまにはショッピングでも悪くないと考えたがすぐに別な考えが浮かんでそれを断っていた。
「う~んごめんパス、それに現役だけの集まりなんだし教師がいたら落ち着かないでしょ? 後でいくらかかったか言ってくれれば理事長に部費申請してあげる」
「えっ!? マジなの先生?」
ガタッと立ち上がって目にお金マークが出ているような律果に頷いて再度カバンをチェックすると洸はドアを開けたまま振り返って言った。
「大マジよ、じゃあ今日は急いでるから解散、涼子は戸締りよろしく!! じゃあね~!!」
そして洸が出て行った後に四人は顔を見合わせていた。
「あれは男ね……ひかりん……」
「まさか、律果が一番アリエナイって言ってたじゃない!!」
律果と涼子が盛り上がる中でそれを聞いた花音とメリアは、かなり複雑そうな顔をしていた。
「でも、先生に恋人なんて出来たら……」
「うん、そうだね花音……あのスターダストナイトに対抗できるのは先生だけだから……今、先生に恋人なんて出来たら……」
メリアの言葉に四人は同時に黙ってしまった。そして同時にGWの合宿では絶対に成果を上げようと心に誓っていた。
◆
一方、部室をダッシュで出た洸はスマホを開いてメッセージアプリを開くと再度送られて来た文字を見ていた。
『何を食べたいかと言われたので連絡させて貰いました、卵雑炊とかいうのに興味が湧きましたので可能ならお願いします。 ――――夜剱断己』
「ま、まあ……病気で弱ってるしリクエストを考えておくように言ったのも私だしね……それに担任だし、彼は一人暮らしだから作ってあげますか!!」
校門前で堂々と変身するとフォームチェンジまでして洸は行きつけのスーパーに向かった。色々と言い訳をしているが断己のことが気になって仕方ないから彼女は今日もジャンプ一つで食材調達を開始していた。
「さて、他にも体に良い物とか作ってあげたら喜びそうだし、久しぶりの日本なら和食よね……よっし気合入れて栄養満点な物作ってやるわ!! 待ってなさい!!」
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