Chapter4-1
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「うっ、ぐっ……ここ、は?」
どこか見覚えの有る部屋で目を覚まし周囲を探ろうと起き上がって辺りを見ていたら頭上から声をかけられた。
「あたしの部屋よ」
「えっ? 八重樫洸っ……先生?」
突然の出来事に混乱するが確かに酔っぱらって連れ込まれた部屋だった。そしてズキンと頭痛がすると断己は顔をしかめた。
「なんでフルネームなのよ、それより大丈夫? まだ熱ありそうじゃない」
そう言って自分の額と断己の額を触って比べると、まだ少し怪しいわねと言って寝ているようにだけ言うと部屋を出て行く。
「あっ、いや待っ――――ゴホッゴホッ」
そして今更ながら昨日の行動を思い返していた。あの後、四天王会議を牛耳ってさらに進めて次の会議は翌週として解散した。そして帰宅してから思い出したのは意外と弁当が美味しかったという事だった。
◆
「以上だ、何も私はあなた方と対立したい訳では無いことだけは理解してもらおう」
「分かってるピョン、それにこんなデータまで渡されたらね、妨害してた私が悪いみたいだピョン」
実際に悪いのだがという言葉は飲み込んで断己は四天王の他の同僚達を見た。今は半信半疑といった所だがいずれ必ず支配してみせる。自分がステラ・ドゥーエに勝つためには四天王の連携が必要不可欠だからだ。
「私は見定めさせてもらおう、スターダストナイト二世、君が本物かどうか」
「構わないさジュエラー卿、それとは別にあなたには傭兵の妙をご指導して頂きたいと考えてます、その際は是非この若輩者にご指導をお願いします」
「う、うむ……そうか、まあ時間を作らないでもない」
それだけ言うと渡した資料を持って出て行った。そして出て行こうとするラビッツにも声をかけていた。
「正直、あなたの謀略で私の鎧の修復が遅れたのは事実だ……」
「な~に? 嫌味でもいいたいピョン」
嫌味半分だが実際このピョンピョン言う先任に追い詰められたのも事実だ。そこは素直に称賛していかなければならない。
「実際に追い詰められたという話だ……だから謀略を仲間では無く敵に向けたら素晴らしい成果を得られると、あなたの才能を生かせると思う、では失礼する」
それだけ言うと断己は最後にほとんど話さなかったコングマンの方に走った。だからレイジーラビッツがこんな事を言っていたのに気付かなかった。
「ピョン……ま、まあ次回は少し話を聞いてやるピョン」
そして真っ先に会議室を出たコングマンを追うと横に並んだ。チラリと黄金の兜の奥から見る目は動揺していた。
「正直に言うと驚いた」
「はっ、俺の弱さにか?」
横を歩く大男は断己を睨み付けるが、断己はそれを異に介さず話を続けた。
「違う、その黄金の鎧の耐久度だ……今思えばあの四人と戦っていた時もC装備でやり合えていたのはその鎧のお陰だろうな」
「嫌味か? お前はそれに耐えただろう」
「いいや耐えてはいない避けただけだ、そしてステラ・ドゥーエには通用せずに引き分けになった」
「あの映像では大丈夫そうだったが」
そう言って自嘲気味に笑うコングマンに向かって断己も自嘲気味に笑い返して口を開いた。
「すっげえ痛かったけど気合で立ったんだ……ごほっ」
「なっ……気合で」
「だって、あそこで倒れるのは俺の信念に反するからな……だから次勝つためにもその鎧の秘密を教えてくれ、痛いのはもうゴメンだからな?」
失礼するとそれだけ言って第三ラボに戻った。その後ろで呟くコングマンの言葉は様々な感情が入り乱れたような言葉を吐露していた。
「奴なりの信念か……ストレーガ、俺は……」
そんな感じで偶然なのか計算なのか分からないが断己の言葉は自然と四天王を動かしていた。そしてラボに戻り鎧の改修プランを始めとした雑務を終わらせ一息ついていると拡に帰れと言われ社の車で帰って来た。
「この時間だと……もしかしたら返せるかもしれないな」
家に帰り広い部屋にいると手持ち無沙汰に襲われ、もっとステラ・ドゥーエを倒す方法は無いかと考えていたら自然と今日渡された弁当箱のことを思い出していた。
一度思い付いたら居ても立っても居られない性格の断己は一階に降りて管理人に洸が帰って無いのを確認すると一人で待っている内に疲れが極限に達し眠ってしまい熱が出て倒れていた。
◆
「そう、だった……げほっ、迂闊だった、最悪だ、まさか体調管理を怠るとは……」
「ほんとよ、ほら起きれる? お水とそれからお粥作ったから」
「すい、ません……俺、その」
よく考えたら弁当箱を返すのなんて翌日で良かったのになぜか早く返したいと思っていた。一仕事終わって気分が高揚していたのかもしれない。
「お弁当は食べてくれた?」
「え、あ……はい、そうだ弁当箱!!」
「もう受け取った……それと、はいこれ」
洸から渡された物に断己は再び困惑した。返した弁当箱に再び中身が入って帰って来たからだ。
「これ……は?」
「その熱じゃ今日は学校無理でしょ、一人暮らしだって言ってたからお昼ご飯よ」
「いや、俺……帰り、ます……から」
敵地に一人で居るのはマズイし何より、この人に世話になるのだけは違う気がする。俺は昨日の夜までこの人を倒す作戦を立てていたのに本末転倒な気がする。
「ちょっとフラフラじゃない、しょうがないから今日は私の家で休んで良いから」
「いえ、近く……なんで、帰ります」
無理やり立ち上がろうとする断己だったが思った以上に身体への負担は大きかったようで膝が笑っていた。昨日コングマンに言ったように意地を通そうとするが今度は体が言う事を聞いてくれなかった。
「いいから寝てなさい!!」
「帰り……ます、問題は有りません……」
気合でもう一度立ち上がるが、いよいよ頭はガンガンして来て体は悲鳴を上げている。そんな様子を察したのかは分からないが洸は折れていた。
「はぁ、もう……じゃあ家はどこ? 連れて行ってあげるから」
「えっ、あ……いや」
「別に担任なんだから住所調べたら分かるのよ、大人しく言いなさい」
◆
「なるほどね……それで言えなかったわけか……」
「ごほっ、すい、ません……同じ、マンションだった、とは言い辛くて」
散々粘ったが部屋の前まで送ると絶対に譲らなかった洸に最後は折れて自分の部屋に案内し今は運び込まれてベッドに横になっていた。
「ふ~ん、最上階ってこうなってるんだ……やっぱお金持ちなのね、すっごい」
「父が……凄いだけです……自分はまだまだで……」
「子供なのに一人前に働いてる子の言うセリフじゃないわよ……うん、一通り揃ってるわね、これなら食材があれば大丈夫か」
洸が少し見せてと言ってキッチンの方で何やらやっているが断己の方は本格的に意識を手放しそうになっていた。ここ数日の激務もだが帰国してその日に戦闘し、その後は気の休まる日も無く激動の一週間だった。
「この手に……せか、いを……爺様の……仇取る……ため、に」
そこで完全に意識を手放して気絶してしまった。ある種の緊張の糸が切れて完全に眠ってしまった。その顔はなぜか安心し切った寝顔だった。
「夜剱くん? ちょっといいかしら……あっ、寝てる、ふ~ん寝てると年相応かな……それに顔もタイプだし……いけない、つい癖で……でも、どうしよう」
眠っているからと言いたい放題の洸だが思わず顔を覗き込むと完全に眠っている様子を見て安心したら思い出したように時計を見た。
「まっず、もう時間じゃない……急がないと、でもこの子も気になるし……じゃあ仕方ないか!!」
何かを決めたように言うと彼女は無言で変身して窓へ向かうと一気にジャンプして学校に向かった。今日もアラサー女教師は遅刻ギリギリだった。
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