Chapter2-5
カクヨムで連載しています。よろしくお願いします。
そこには参考資料として添付されている写真が数枚あったが断己の目を引いたのは洸の、いやステラ・ドゥーエの様々な形態になった後の画像だった。
「こ、これは?」
「それはステラ・ドゥーエの水中戦仕様の――――」
「違う拡、そうじゃない!! こ、ここここんなに露出が多くて良いのかよっ!? 良いのか?」
断己が見ていたのは偶然にも同時刻にステプレの五人の会議で話題に上がっていたステラ・ドゥーエ・プリギエーラの写真だった。
「だって拡、お前、これ谷間が凄いぃ……」
「はぁ、断己様……お願いですから彼女への免疫は持って下さいよ、今後戦うのですよ我らは彼女と」
「で、でもよ……ん? この写真……確か昨日はもっと大きかったような気が」
ちなみに天才幹部とはいえ断己は間も無く一八歳だが当然なら女性経験は無い。全て野望のために捨てたのだが、そこは思春期の男子だから興味は有った。何より今朝、実物を見たせいでその感想をポロリと言っていた。
「それはそうでしょう、これは一八歳当時の写真です、戦闘映像を確認しましたが彼女は女性として背も高いですが胸も平均より大きいように見受けました」
「ああ、今思い返せば凄い揺れてた……って違う!! そうじゃない!!」
すっかり今朝の出来事と目の前の半裸の写真を見て思わず昂ってしまったが今は大事な戦略会議中だ。
「心頭滅却すれば火もまた涼し……色欲退散、ふう、では他の装備の確認も……」
「次はフェリチータと呼ばれる形態ですね大丈夫です、これは白と金を基調とした姿で露出は多く有りませんよ?」
「からかうなよ……こっちは随分シンプルだな、だが体のラインがはっきり出て……す、凄い……」
今度の衣装は全体的に白地に黒と金のラインの意匠が施された装備で手甲などに金の宝玉のようなものが嵌められていた。もちろんミニスカートだが中にショートパンツを履いていて動きやすそうなイメージだ。
「ご推察の通り格闘戦を得意とする形態ですが最大の特徴は雷系統の技を使って来る所です」
「雷? プラズマ系はまずいぞ……あの鎧は帯電コーティングされていても、この女を相手にしたらどうなるか」
「確かに非常に危険ですが大丈夫です、そのために歩と技術班が改良を施しています、最終チェックは断己様にお願いしたいそうです」
その後も残りの一つの形態について確認をしているとラボの自室に外から許可を求めて歩から連絡が入った。
『入れて下さいよ断己の兄さ~ん、実はSKⅡの改修案が有るんですよ』
「待てSKⅡって何だ? 化粧品なんてこの研究所は作ってないぞ」
『詳しく話しますから中入れて下さ~い』
◆
歩を入室させると資料の束を持って入室して来た。何でも俺の鎧の改修案が有るらしい。
「SKⅡの話は後回しで最後の一つは俺にも教えてくれよ兄さん達さ」
「まさかスターダストナイト二世だからSKⅡなのか……」
まるでどっかの化粧品のような略し方だと愕然とする断己だが拡は一切気にせず話を進めた。
「断己様、敵の最後の形態、ヴェロチータについてです、この形態はとにかく速い、そして想起される能力は風です」
「想起される? データが無いのか?」
「映像データは何も映って無いのです、当時の我が組織の技術では早過ぎて捉えるのが不可能で目撃者もいません、制止した時の画像が数枚のみです」
その画像データをプリントアウトしたものを見て断己は愕然とした。エメラルドグリーンと黒を基調とした妖精のようなデザインのコスチュームさらに髪の色はブロンドに変わっていた。
「綺麗だ……」
「いやいや断己の兄さん素直に認めちゃダメでしょ、確かにすっげえ美人だけど」
断己は完全に魅入られていた。それだけ最後の形態は美しかった。そして同時に昨晩の酔っ払いで今朝の痴女と同じ人物には見えなかった。
「以上が情報収集で集めた三形態です、それと装備は断己様が直接戦いで見た剣以外にもあと五つ存在してます」
それから三人で対策を話し合って明日に備えた。SKⅡと便宜上呼ばれることになった鎧も改良はまだだったが修復は明後日には終わると言われた。
「とにかく明日だ……明日、敵の本丸に乗り込む、しかも鎧も無しにだ……移動指揮車と簡易装置の積み込みは?」
「申し訳有りません、どちらも来週までは難しく……」
歯切れの悪い返答に断己が一瞬考えた後に答えを導き出し、それを口にしていた。
「そうか……他の四天王の嫌がらせか?」
「おそらくは……来週いっぱいまでは第三ラボ以外の技術班や実働班は軒並み他のラボに専有されてます」
外だけではなく内にも敵はいるが慣れっこだ。ロスでも足の引っ張り合いは基本だった。その中で自分は成果を上げ今の地位を実力で手に入れた。父や祖父の威光では無く自分自身の力で一から伸し上がった自負がある。
「まずは明日の任務をこなしてみるさ……今日も歩いて帰る」
「ですが護衛も無しに……」
「鎧が無くても俺はそこそこ戦えるさ、それに転送装置が効かないのは高校内だけだろ、問題無い……少し一人で考えたいんだ」
二人と別れ社を出ると今日は昨日より早く出れた。明日に備えて家でゆっくり過ごすのだと固く誓って帰宅した。
◆
「アハハハハハハ~、二日連続でありがとぉ~八剱くぅ~ん」
「なぜ俺は敵をおぶって帰宅しているんだ……」
断己は会社を出て駅に着いた後に昨日の洋食屋を避けて行こうと駅の反対口から自宅へ向かった。しかし、それがダメだった。駅前のおでん屋で飲んでいた洸に見つかり相手をさせられた上に酔い潰れた彼女を店主に任されてしまったのだ。
「てぇきぃ~? らぁに言ってんのよ!! わらしは世界のぉ、味方らのよ~」
「また今日も荒れてますね……」
「あれりゅ~? あらしはさいっこ~の気分らんだかりゃ!!」
そう言ってぎゅうっとクビに抱き着かれるが力が強過ぎて首が締まる。おんぶをしてすぐの時は背中の感触や洸の体に触れて邪な気持ちを抱いた自分を恥じた断己だったが数歩も歩けばそれ以上の絶望が彼を襲っていた。
「ぐるじい……ぐっ……」
「アハハ~顔青いぞ~!! 若いんだからがんばりぇ~」
首は締めるは酒臭いわで頭はクラクラして、たまに体の力が抜けるから落ちないように気も使わなくてはいけない。
「うっわ、あの子かわいそうに……洸ちゃんに捕まったのか」
「最近の洸ちゃんは激務だからねえ」
「男の方は見ない顔だな、知ってるか?」
どこかで見たことがあるような三バカにも見送られて必死の思いで洸を運ぶと部屋の前に着いた。ここに来る前に管理人さんと偶然会って返したスペアキーをまた返されてしまい部屋までコースが確定していた。
「ご~ご~」
「着きましたよ……降りて下さい」
「え~もっと一緒にいたかったぁ~」
なおもベタベタ抱き着いて来るが断己はそれを華麗にスルーした。まだ出会って二日だが扱い方が段々分かって来たようで無駄な所で適応力の高さを発揮していた。
「俺はもうごめんですよ、ではこれで」
「ちょっと待って、少しだけ、ね?」
そう言って洸は部屋の中に駆け足で戻ると何かを探しているようでコッソリ帰ろうかと思っていたら何かを持って出て来た。
「これさ、貰い物なんだけど、あげるわ」
「え? これは……100%のぶどうジュース、良いんですか?」
「お礼よ、お・れ・い!! じゃあ今日は運んでくれてありがと!!」
「いえいえ……って、あんた酔っ払ってなっ――――」
言い終わる前にドアは閉められてしまった。仕方ないので謎の敗北感を抱えたまま帰宅するしかなかった断己は貰ったぶどうジュースを持ったまま部屋に戻った。そして今さらながら明日どんな顔をして会えばいいか頭を悩ませるのだった。
誤字報告などあれば是非とも報告をお願い致します。(感想ではなく誤字脱字報告でお願いします)
感想・ブクマ・評価などもお待ちしています。
この作品はカクヨムで先行して投稿しています。
下にカクヨムへのリンクが有りますのでよろしくお願いします。




