Chapter2-4
◆
「パワーアップ!? 本当ですか!!」
「ええ、大体この時期に新武器とか新しいフォームとか手に入るから、言わば今回は負けイベみたいなもんよ」
自分も過去に強敵と戦い敗北したのも一度や二度では無い。ある時は見逃され、またある時は今回のスターダストナイト二世のように引き分けのように持ち込んだ戦いも有った。
「そう、なんですか?」
「そうよメリア……むしろ戦いはこれからなんだから落ち込んでる暇は無いわ!!」
そう言って笑顔で肩を叩いて四人を鼓舞する姿は天文部の顧問で彼女達の先達である大人の女性だった。しかし律果がここで有る事に気付いてしまった。
「あっ、じゃあ私達も先生みたいに新しい衣装が手に入るんですか!? あの際どいのとか……まさか着るんですか?」
「えっ、ええ……プリギエーラはね……あれは向こうの趣味で私が望んだわけじゃ」
ちなみに洸は過去の戦いで七つのアイテムと四つの別フォームなどを獲得していてプリギエーラとはその中の一つのことだ。
「あの氷と水を使う……水着みたいだし、お尻とか丸見えで……私ああいうのはちょっと……」
「やっぱりカノちゃんも? 私もあれはね~」
先ほどから話題の洸の変身の別フォーム、『ステラ・ドゥーエ・プリギエーラ』は彼女達が話すように水中戦や氷上での戦いに適した変身なのだが問題が有った。それは布面積が極端に少ないのだ。
「だってあれ上は良いけど下は透けてる上にハイレグのTバックじゃない!!」
「うっ……それは」
「確かに、あれは、かなり恥ずかしいです……先生」
律果に同意するように花音も顔を真っ赤にしていた。何より洸自身が一番理解していた。あんな格好は普通に歩いていたら痴女で恥ずかしくて着れないレベルだ。
「だとしてもよ、二人とも前から言いたかったんだけどね涼子とメリアは大丈夫そうだけど花音と律果、あんた達は戦いの中で甘いことが多いのよ」
洸は前から気になっていた、今までの後輩にも何人かいたが世界の危機や自分達の命すら懸ける戦いにも関わらず使命よりも恥や外聞を気にする者が一定数いた。そして今回それに該当するのはフィオーレとプロメッサの二人だった。
「甘いって……」
「そ、それは……」
「特に花音、あんた例のスターダストナイト二世の攻撃でパンツ見えそうになった時に露骨に動きが鈍ってたわよね、あんなんじゃ負けるのは当然よ」
最後まで戦っていた花音が危険だと職員会議終わりに連絡を受けて慌てて昨日は現場に到着していた。そして一方的に敗れた後輩たちを見てため息を付いて自分が戦う事態になった。
「すいません……でも……」
「でもも案山子も無いわよ!! まったく、私が若い頃はね……」
そして最近はすっかり板について来た説教が今日も冴え渡る。悲しいかな既に後輩たちを八チームは送っているので無駄に慣れてしまったのだ。
「おっしゃる通りです先生!!」
「確かに私達は甘かったかも知れないわね」
そして涼子とメリアは素直に聞いているが律果は違った。単純に洸の説教が長かったのが原因なのだが、ついボソッと本音が出てしまった。
「でも私、先生と違って女捨てたく無いし……」
「あっ……律果ちゃん、それは!!」
花音が止めようとするがもう遅い、一度出た言葉は止まることは無く吐き出され続ける。
「あんな誓約なければ今頃は彼氏作ってたのに~」
「あんた達ねえ……いい加減に」
そのタイミングでチャイムが鳴って律果は「逃げろ~」と言って走り出し花音や涼子が謝って最後にメリアは戦いの心得として参考になったと言って出て行った。そして一人で部室に残された洸は呟いてた。
「私だって……恋人欲しいわよ……何年もそう思ってんだから……」
部室の戸締りをして廊下に出ると気分を切り替え歩き出した。胸に少しの痛みを残して今日も彼女は戦っていた。
◆
「なるほど……そういう仕組みだったのか……」
「はい、どうもこの町では常識みたいですね」
断己は先ほど改めて会長であり自分の父親と会食をして今は第三ラボで拡と会議をしていた。歩はラボの整備室で洸に半壊させられたスターダストナイトの鎧を修復している最中だ。
「あれが直るまでは戦えないからなシミュレーターで練習するしか有るまい」
「それなのですが八重樫洸のことは分かったのですがステラ・ドゥーエについては謎が多いのです」
「いや正体分ってるでしょ? なんで調べないの?」
正直な疑問でつい口調が幼くなる。断己の本来の口調はこんな感じでたまに素が出てしまう。常に緊張して大人であろうとしているのは野望を達成するためだ。
「断己様!! 口調、口調戻ってますよ!!」
「ああ、すまない……では分かってる事を頼む週末の会議で他の無能共の鼻を明かさないといけないからな、俺がこの本部でイニシアチブを握るのには必要なことだ」
「まず、八重樫洸27歳独身、出身はこの町で高校まではここで大学もこの町から通っています……そして教員になったのですが実に十三年もの間ステプレをして、この星守町を守っています」
十三年……そんなに長い間かと感心しながらも、そう言えば自分もこの町を出たのは幼少期でその前後だったと思い出していた。
「……なるほど、ある意味で彼女はこの町に縛られているのか、そりゃヤケ酒もしたくなるか」
「どういう意味でしょうか?」
「何でもない……続けてくれ拡」
不思議そうにしながらも拡は洸の経歴を読んで行く。なぜ昨晩のことや今朝のことを話さなかったかは色々と言い訳が出来るが最後は至極単純だった。なぜか話したくない、それが断己の本心だった。
「――――以上が、彼女の戦歴と十三年間です断己様……正直厳しいかと」
「ああ、百戦錬磨とはこのことか、まず十三年前に我らがERRORと初代総帥を倒し、そのまま後釜を狙った別組織をも撃退、翌年からは後輩を加え五人で戦い、これを二代目と呼称する……と」
その後も何人もメンバーを入れ替え現在は十代目まで続いている。それは全てこの星守町を守るためらしい。
「しかし気になるな拡、なぜ彼女だけ残った? もしくは途中で引退しなかった? この大学進学時に後輩に任せれば良かったのでは無いか?」
「はい、それも調べました、ご推察通り一度だけ彼女は引退をしています」
「ほう、つまり復帰したと?」
「ええ、この五代目の結成時に相棒のステラ・ウーノと呼ばれた戦士と引退式を開いてます……彼女の詳細は伏せられていますが目下調査中です」
その少し先の報告書を読んで納得した。なるほど辞められない、いや復帰せざるを得ないわけだ。
「そうか、例の小惑星の事件も彼女が解決していたのか……」
「ええ、当時のERRORは立て直しをしている最中で宇宙からやってきた謎の異星人集団『ポヴォス』には最終局面までノータッチでしたので」
少なからず当時の俺も関わっている事件で十歳の頃の話だ。件の異星人集団と当時のステプレは激しい戦いを繰り広げたが戦いは激化し最後に敵は小惑星を地球にぶつけるという暴挙に出た。
「なぜか当時の我が組織が開発していた『ブレイクスター』を貸与したんだよな」
「はい、表向きはそれで偶然近付いてきた小惑星を破壊したとなっています」
だが実際は我が組織の開発したブレイクスターを使って彼女が小惑星を粉々に砕いて事件を解決していた。
「文字通り地球の守護者か……」
「ええ、敵は強大です断己様」
それから先の経歴もあまりにも強過ぎる彼女の戦いぶりが羅列されていた。だが得られた情報も有った。
「彼女は過去に形態を三つ変えている……そして武器は少なくとも六つは確認されている敵の戦力は……って、これは!?」
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