表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

2話 

 こってり叱られ、頭を物理的に水魔法で冷やされました。中身19なのに何子供と喧嘩してるんだよ、俺。


「…さっきは申し訳ございませんでした、殿下」


「ふ、ふん。こっちも急にキモイとか言って悪かったわね」


 さっきは思わず突っ込んでしまったがあのステータスは色々とヤバい。もうそんなんチートやん!っていうくらいヤバい。平均的な魔力量は、貴族でも500やそこらなのだ。それも大人を含めた平均値である。初級氷魔法が200発撃てる、と言ったら分かりやすいだろう。

 次に 知能(INT) だが、賢者になる最低ラインがSと言われているレベルだ。例え彼女が元から天才であったとしても、想像を絶する程の努力を積み重ねている筈だ。

 そして極めつけは時空魔法と回復魔法であろう。この両者は使い手が物凄くレアであり家庭教師すら存在せず、それに加え習得と修行法が200年モノの魔法書くらいしか無いのだ。

 まぁ、我が家系は魔法適正が皆無でも魔法を使わせる、等の不可能を可能にする”何が何でも修行法”があるので、俺も一通りは使えるが。それに時空魔法は一族の十八番だしな。


「ところでさっきの『本当に出来損ないか?』ってどういう意味なんだい?」


 言ってしまって良いのだろうか。偽装のスキルを持っていた、それは実力を隠していることを意味する。いっそ記憶ごと消してしまえば……母上に敵う訳が無かったな。


「「殿下(私)の可愛さに戸惑ってしまったのです(よ)」」


 ハモってしまった。そして自分で可愛い言うなし。


「……お前いつもとノリが違うな。どうした?」


「あなたに感情なんて殆ど無かったと思っていたのだけど…」


「セト君、さっきとは全然違うね~。まるで別人だよ?」


 ギクッ、鋭い。仰る通り中身は一回りほど年上の地球人ですからね。それと感情が殆ど無かったというのは正解だ。元々この体には始めから俺の精神しか入っていなかった。ところが中身が目覚めるのが遅れたせいで、前の俺は心の無い体だけ、謂わば人間ロボットみたいなものだった訳だ。代わりに母上や兄姉に叩き込まれた技術は体が直に覚えているので、寧ろめっちゃ良いのだが。あの地獄を心にまで叩き込まれていたら……


「にしても良かったよ~。二人共最初険悪だったからさ、無事仲良く…はなってないけど上手く行きそうで」


「はぁ?別に謝ったからってこいつを認めたわけじゃないわ」


 これは俺が力を示すときが来たのか?!


「成程。では殿下、息子と一緒に街へ散策してきては?」


 母上ぇ!違うでしょぉ!そうじゃないでしょぉ!テンプレ的にはもっとこう騎士団の誰かと戦って「え、ナニあいつめっちゃ強いじゃん」的な展開になるところでしょう!?


「良い案だね。じゃあ二人共気を付けて行ってらっしゃい」


「ですが、お父様「あぁ、お小遣いなら銀貨3枚ほど崩しておいてあげるから、心配しなくてもいいよ。さぁマリ、アリスを着替えさせてきてくれ」そうではなく「セト君はこんな見た目だけどBランク冒険者並みの強さはあるから、心配しなくてもいいよ。それに位置探知の効果がそのネックレスに付いているから、万が一があっても問題ないよ」Bランク?!じゃなくてどうして唐突に彼とデートする事になっているのですか?!」


「え?デート?」


「あ、それは、その、ちが「アリス様、一目惚れってやつですか?ツンデレですか?」マリ、あとでおしおきね」


「申し訳ございませんでした おしおき(無理無理無理) だけはマジ勘弁してくださいいいぃぃぃ………」


 キィ……パタン


 …おしおきってそんなに怖いのか。……ご愁傷様です。

デートもとい散策を行う事になった訳だが、前世は執事修行に勤しんでいた為何処を回れば良いのか良く分からない。両親もこういうのに関してはからっきしダメだそうで。ラノベなどではアクセサリーを買いに行ったりするんだろうけど、彼女はもう既に超高価なネックレスを持っているし、あんなのでも王女だから貢ぎ物があるだろうし、俺が買えるものなんて限られてるし。どうすれば良いんだ?


「こういう時って何処に行けばいいんだ?」


「学園の下見にでも行って来たら?」


 まだ4年もありますよ?!陛下、気が早すぎますよ。


「魔物狩り」


 いや、オトンよ。王女様を危険に晒しちゃダメでしょ。


「実力を見せる為に模擬戦でもする?」


 母上、それはもはや散策じゃない。


「お嬢様はこの間できた茶菓子を食べに行きたいと言ってましたけど…」


『それだっ!』


 そうか!スイーツはこの世界でも女子のアイドルなのか!そうと決まれば早速そのお店を探して…「ここに地図描いておいたわよ」


 速っ!そしてこの細かさ、母上は本当に凄いとしか言いようが無い。執事としてやっていけるか不安になってきた…

 目的地は決まったわけだし、支度をする。 愛用の執事服に着替え、用心の為の剣を腰に下げておく。これで準備完了だ。


「お~。流石セト君、様になってるね。さて、娘をよろしく頼むよ」


「バトラーの名に恥じぬよう、精一杯頑張らせて戴きます。ではまた後ほど」


 お辞儀と共に部屋を出る。どこまでも続く廊下を見渡す。














「……出口どこ?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ