私とあなたの7日間〜1日目〜
公園に突然咲いた満開の桜。終わりが近づいてきていることがわかって少し寂しくなる。特別な誰かを作らないように生きてきた私だけど、やっぱり大切な人はいて。育ててくれた両親、いくら一人になろうとしても決して離れることのなかった友達。小さい頃から愛想がなかった私は人間関係に恵まれていた。
終わりが来たときに悲しまないように、恋愛はしてこなかった。大切な人たちがいなくなるよりも好きな人がいなくなる方が耐えられないと思ったから。
満開の桜を眺めているときに彼に出会ったのは偶然なのだろうか、それとも必然なのだろうか。私は彼を知っていた。近くの大学のイケメン君、私の大学では有名な人物で、皆彼とお近づきになろうと彼の大学の知り合いに合コンを頼んでいる姿を度々目撃していた。
彼が話しかけてきたとき、彼もこちら側の人間だとわかった。世界の終わりを知っている人間。だから、なのだろうか。私はナンパまがいの行動をしてくる彼を受け入れてしまった。一時の気の迷い、気まぐれな行動だったはずだった。
ご飯に誘われて、いろいろなことを話して、また遊びにいきましょうなんて連絡先を交換して。初めて異性と楽しい時間を過ごした気がする。
私は人嫌いなわけではない。むしろ好きな方だ。ただ、終わりが、別れが怖いだけ。だから仲良くなろうと思えばすぐに仲良くなれるし、私が彼を好きになるのにもそう時間はかからなかった。
特別な誰かを作ることを避けてきた私は、その誰かが欲しかったのかもしれない。私の心を満たしてくれる誰かが。