僕と君の7日間〜6日目〜
昨日はあれからそのまま家に帰って、そのまま寝てしまったらしい。走るのは気持ち良かったけど、気分転換にはならなかった。頭の中から彼女が離れない。
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外に出る気にもならず、家でゴロゴロ過ごしていた。動画投稿サイトを見漁って、心の空白を埋めようとした。自動再生で垂れ流しにして、少し眠くなってきたと思ったら、突然綺麗な歌声が聞こえてきて。画面を見ると真っ暗だった。黒い画面に女性の声が響いている。投稿者は「紅秋桜」。調べてみると、チョコレートコスモスの別名らしい。桜という文字と綺麗な歌声が、また彼女を思い出させて。気がついたら泣いていた。
明日でお別れの日だ。彼女との、世界との別れの日。今までなんとも思っていなかったのに。終わりが近づくと後悔ばかり出てくる。もっと、親孝行したかった。もっと、友達と笑い合いたかった。もっと、楽しかったと、生きてて良かったと思える人生にしたかった。もっと、彼女と過ごしたかった。もう、遅いのに。
あなたに出会えて本当によかった、か。こう言う歌詞を考える人はきっと素敵な人なんだろうな。
何かを残したいなんて考えていたけど、結局何も残せていない。彼女と過ごしたいって思うのも独りよがりな考えで、僕は結局何も変われていない。一週間前、最後の一週間だからなんて意気込んでいた気持ちはどこにいったのだろう。彼女が何度も見せるあの顔の意味もわかっていないし、彼女のことを考えているのに、彼女の気持ちは何もわかっていない。せめて明日は彼女に笑っていてほしい。彼女の笑顔を見て、この世界にさよならしたい。