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第93話『トネリの右腕2:憑依』

「お兄ちゃん、痛いよ~」


 右腕の痛みを訴えるトネリに、グラウスは優しく声をかけました。


「待ってろ、今この腕に付いた霊を取り除いてあげるからね」


 そういうと、グラウスは両手で印を結び、特殊能力、破呪を発動しました。


 そしてトネリの右腕からは禍々しい姿をした霊体が出現したのです。


「こいつが本体か・・・よし、成敗してやるぞ、霊体よ」


「我はクシャーダ・・・滅びの亡霊。トガレフ様に使役されし者」


「トガレフ? 使役? 一体何を言っているんだこの悪霊・・・」


 半透明の霊体は声を上げると、グラウスに高速で飛び掛っていきました。


「!? しまった!」


 なんと今度は油断していたグラウスの左腕に憑依してきたのです。


「くっそうっ」


 グラウスの左腕は、急速に、病的に膨張していきました。その過程で激痛が走り、彼を酷く苦しめます。


「グラウス!! 大丈夫!?」


 アグニが心配そうにグラウスの体に触れます。


「くっそ・・・この霊体、普通じゃないっ」 


 苦痛に顔を歪ませつつ、グラウスは残された右腕で破呪を試みましたが、上手くいきませんでした。

 

 一方、街の中に現れるレベル7000前後の獣人族の怪物達を、如才なく拳や回し蹴りの一撃でなぎ倒しながら、ルクレと漣が孤児院に近づいていました。


「とりあえず、敵は弱いわね、じろう。これでも手加減してるんだけども・・・」


「そうだね、うめこ。僕のイグナ・フーで一撃死するぐらいだから、大した奴らじゃないんじゃないかな。」


「イグナ・フーって、ルクレ、あなた神魔法を使えるようになったの??」


「ああ。マテウスちゃんにコツを口頭で教えてもらって、自力でちょっとやったら、使えたよ」


「よかったじゃない。これでドラガリオン使わなくても良くなったんじゃない?」


「そうかな~」


「そうよっ勇者じろう」


「じろうって言うなっま、いいや。それより見えたよ、孤児院が」


 ルクレはアグニ達がいる孤児院を指差します。


「ホントだわ。それにしても、相手のレベルが分からないと、本当に不便よね。どう戦ったらよいのか解らないわ・・・」


「まあね。とりあえず、今は急ごうよ」


「二人とも、あそこにまだいるかしら?」


「気にしても仕方がない。行こう、漣」


 ルクレと漣は少し歩を速めて視界に僅かに入ってきた孤児院へと向かいました。

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