プロローグ:悪食
アグニ・シャマナの生きている世界には、万物にレベルの概念があります。
人間やドワーフ、エルフにホビット等の種族から、草木に至るまでです。
レベルは生まれつき固定されており、生後にレベルアップすることはありません。
しかしアグニ・シャマナだけは例外でした。
Lv1の状態で生まれてきた彼女は母親を殺したことによってLvが一気に7も上がったのです。
アグニの父親、モントーヤはそんなアグニに畏怖の感情を露にしました。
タタラカガミの怨念は凄まじい物で、体内に宿っても、なお力を求め、
アグニをレベルアップさせ天界に復讐をしようと企んでいたのでした。
生まれてからレベルが上がったアグニの性格は歪み、残酷な物を好むようになりました。
死んだ母親に似て容姿端麗で長い黒髪を靡かせる彼女ですが、
非常に大食いでトカゲやコウモリなどの珍味を好んで食べ、多彩な暴言を吐き散らし、父や執事達を困らせていました。
そんなある日のことです。アグニは部屋のベッドで寛いでいたところ、晩御飯の献立を執事に尋ねられました。
それに対して彼女はこう答えました。
「トカゲのはらわたに蛇の丸焼きをお願いね」
「お嬢様、失礼ですがそのような物ばかり口にしてはお体に障りますぞ」
「うるさいわね、口答えする気? ならあなたはクビよ、出て行きなさい」
「お嬢様っ」
万事がこの調子で、父親のモントーヤは大層苦悩しました。
「お嬢様は正気ではございません」
「何者かに取り付かれているのではないですか?」
多くの執事や部下達の助言を聞きいれ、モントーヤは姫であるアグニをエクソシストに見せる決断を下しました。
筆者の別作品『気になる牧野さん』もよろしくお願いします。
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