出発
あの日の事故はとても大きな事故となった。多数の死者、行方不明者が出ていた。しかしあれた海や、もれた油のせいで二次災害が起こるとし、調査は打ち切りとなった。
「あれ、私、生きて…いるの…?」
体のどこを見ても傷はない。そうだ車、と一瞬焦ったが、そこにそれはあった。良かった、と思い改めて周囲を見回すとそこにはたくさんの死体が転がっている。
「うっ」
これは船の乗組員だろうか。とても見てはいられないような光景だった。一刻も早くここを離れようと思い立ち上がる。
「感謝しろ人間、お前を助けてあげたのだからな。」
頭に直接話しかけるような声がした。助けた?一体誰なのであろうか。ここはどこなのであろうか。いろんな疑問が出てくるがどうすればいいかわからない。
「わしは神であるとでも言っておこうか。ここは地球とは別、異世界だ。」
神、そんなものがいるのだろうか。異世界ってどういうことなのだろうか。
「なぜ私だけなの?異世界って何?どうすればいいの?」
たくさんの疑問が生まれてくる。
「お前には色々と面白いものを見せてもらおう。あまり干渉しすぎるのも良くないのだがな、ある程度のことは通じるようになっている。そしてお前にこの魔法の書を与えよう。これをうまく使えばお前は死ぬことはなかろう。これで準備は整った。征け、人間。」
何だったのだろうか。何をすればいいかは結局わからないし、これからどうして行けばいいのだろうか。しかし不思議とまず何をするかは分かっていた。ここから離れるため席に付き、エンジンをかけた。