神の悪戯
とりあえずアメリカに行き、夢であったニューヨークに行こうと思った。お金は親の遺産があるため困ってはいないが、いつまで持つかはわからない。あとどれぐらいかかるのだろうか、十日ほどかかるだろうか、そんなことを考えながら船舶を楽しんでいた。
しかしそれから二、三日立った日だった。突然激しい揺れとともにけたたましいサイレンがなりだした。船は傾き外からは悲鳴が聞こえてきた。何事かと思い窓から外を見る。船からは高く黒煙が立ち上り階下から火が上がっていた。ここで死んでしまうのか。結局何もできなかったのか、そして死を覚悟した。しかしまだ車庫には車が残っている。両親の形見であるそれをなくしては行けないという激しい衝動に駆られ、車庫へ走った。大勢の人の中をかき分け車庫にたどり着いた。ここに来るまでに時間がかかってすでに火の手が回ってきている。車体は半分水の中へ沈み、エンジンに水が入ってしまっている。漏れ出た油で足を滑らせうまく近寄れない。水位はどんどん増えていく。
「君、こっちだ。」
後ろから船員の声が聞こえる。しかしここでおいて逃げるわけにはいかない。
「イヤ、あれだけは…なくしたくない。」
手を伸ばせば届きそうなのに届かない。いや、ここで届いたところで私は何もできないだろう。でもどうせ死ぬなら一緒に沈んでしまいたい。それなら…。
しかしそこで足が水と油にすくわれ頭を強打してしまった。
「いや…だ。」
消えゆく意識の中でこの船に乗ってしまった自分と、今何もできない自分に強く怒った。
前作はいろいろ失敗したので書き直しました。