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異世界地獄の裁判官  作者: 奈々月みぞれ
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第8話 旅立ち

さぁ!牛頭さんと馬頭さんという仲間も出来たし、早速旅に出るぞー!


なんて、事はそう簡単には進まず。

俺と牛頭馬頭の3人で、まずはルシファーに今後の予定を伝えることと、旅に必要なものの準備をすることとなった。




「なるほど、現在の笏の力では直接浄化せねば効果を発せぬのだな。…しかし、人の身で現在のアウレスカを巡らせるのは些か心配ではあるな」


ルシファーに今後の予定について説明をした。心配だと言うルシファーはヤギ頭の執事さんに、ある宝玉を持ってこさせた。


「これは冥界シェオールに在籍している悪魔の力を封じた宝玉だ。貴様が力を望むのなら宝玉に魔力を送り、好きな時に使え」


「え…どんな力が封じられているんですか…っていうか魔力の送り方なんて俺には…」


「細かいことは気にするな、マサトの従者に事細かに説明を済ませている。何か必要なことがあればそやつに聞け」


押し付けられる形で受け取った宝玉は、角度によって色を変える不思議な物だった。


他にも、物をほぼ無限に入れることの出来るマジックボックスという鞄や、ルシファーが着ていたローブ、それとアウレスカの主流通貨であるアウレスカ金貨を大量に貰った。


「人が着てた生暖かいローブ…」


「あはは、複雑な気持ちになるのも仕方ないけどルシファーのローブはとても頑丈だからね。キミをしっかりと守ってくれると思うよ」


同席していたユフィールは、苦笑いしながらローブを受け取った俺の肩にそっと触れる。


「キミはこれからきっととても大変な旅をすることになると思う。ボク達悪魔にはそれぞれ特殊な力を持っていてね、キミにその力を継承する書を与えよう」


差し出された本は真っ黒で、かなり分厚いのに重みはない。ユフィール曰く、悪魔の書と呼ばれる特殊なアイテムで、悪魔の知識や力が込められた物なのだとか。

ただし、使用出来るのは1人のみ。使用後は青い炎で燃えてなくなってしまうのだとか。


ユフィールから貰った書は「薬草学の知識書」と「治癒の書」だ。ユフィールは医学の悪魔だったため、最初にいた場所で俺の看病をしていたのだった。


「それと、これもどうぞ。ルシファー様の命令で現在ここにいる悪魔からも書を貰ってきたよ。アウレスカ各地には、魂の回収などの仕事をしている悪魔もいる。なにかあれば頼っていいからね」


ユフィールは1冊1冊書の説明をし、手渡してくれた。


貰った複数の本をアイテムボックスの中に入れ、ルシファーとユフィールに頭を下げる。


「俺、一生懸命頑張ります。突然のことで自分の中ではまだわかってないことたくさんありますけど、それでもこれはやらなきゃいけないことなんだって思うので…だからっ、えっと…」


「良い。無理に気張る必要などない。我らの事情を押し付けてしまった罪悪感はあれど、貴様に文句を言ったりする者などこのシェオールにはおらぬ」


そっと頭を撫でながら、安心させようと微笑むルシファーの顔を見ていると甘えてしまっているような感覚になって申し訳なくなる。


「主様、旅の準備はこちらも整っております。いつでも出発できます」


「初めての旅ですものね、立派に私がエスコートしてみせます!」


みんなが俺に笑いかけてくれる。現代日本で過ごしてきた俺に旅なんて出来るのか全然わからないけど、やるしかない。

俺の世界を守るためだけじゃない。優しく接してくれるルシファー達のためにも、役に立ちたいと思っている自分がいる。



「それじゃ、いってきます!」



ルシファーが準備してくれたアウレスカへの転移魔法陣の上で、大きく手を振る。


閻魔大王の従者であった牛頭と馬頭もいるのだ、きっと大丈夫。



そう、思っていたけど…










「牛頭ー!馬頭ー!どこにいるんだよー!おーい!!!!」



乾いた風が吹きすさぶ荒野で、俺は一人きりになっていた

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