第7話 妖精(珍種)、女冒険者と知り合いになる
女冒険者2人が街に帰るというんで、俺も一緒に連れて行ってもらうことにした。
話を聞くと、この2人はやっぱり冒険者だということだった。
赤髪ロングのツリ目がち勝気グラマー美人がシェーラで19歳。
金髪おかっぱのタレ目がちおっとりスレンダー美人がミリアムで20歳。
東の森(オレがいた森だな)でゴブリンの目撃件数が多くなってきて、もしかしたらゴブリンの巣があるかもしれないとのことで、冒険者ギルドから偵察のクエストが出されて、それを受けてこの森に来ていたそうだ。
偵察の途中にゴブリンの集団を見つけて、その中にゴブリンソルジャーがいるのを確認して急いで街に戻ろうとしたところ、ゴブリン共に見つかって捕まってしまったということだった。
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「ケンジは土の魔法をつかってたけど、土の妖精なの?」
街へと向かう道中にシェーラが聞いてきた。
2人の名前を聞いた時に、オレの名前だけは伝えていた。
「土の妖精ではないけど、まぁそこはいいじゃん。妖精とだけ認識してくれていればいいよ」
何の妖精だかこっちが聞きたいくらいだぜ。
オレのステータスには妖精(珍種)としかないんだからな。
この(珍種)って何なのか、オレを転生させた神様?だかに小一時間問い詰めたいくらいだ。
「シェーラ、ステータスにも関わることなんだからあんまり聞いちゃダメだよ」
おっとりミリアムは気遣いのできるええ子や。
「でも気になるじゃない。こんな妖精初めて見るもの。ミリアムだって気になるでしょ?」
こんなってなんじゃ、こんなって。
失礼しちゃうぜ。
「それはそうだけど……」
そう言ってミリアムまでもがオレをジッと見つめてくる。
なんだぁ、2人して。
この三頭身幼児体形がいけないのか?
しゃーないやん、起きたらこうなってたんだからさぁ。
ん?それともコレか?これがいけないんか?
「この腰みのは成り行きで着けてるだけだぞ。街に行ったらちゃんとした布の服を買うつもりだ」
妖精ちゃんにもらった葉っぱの腰みの。
まぁ、こんなの着けてればドン引きだわな。
でも、今のところこれしかないからしょうがないだろ。
街に行ったらちゃんと服買うし。
…………あ、そういやオレ文無しだったわ。
「なぁ、手っ取り早く金稼ぐとしたらやっぱ冒険者かな?」
テンプレだとこれだよな。
「何? ケンジは冒険者になりたいの?」
シェーラが意外そうに聞く。
「腹も減るし、服も買いたいし、とにかく金稼がないとーって思ってさ」
オレ、妖精だけど魔素で腹は満たされないからな。
それにこの葉っぱ腰みのを早くどうにかしたいのだ。
「そうねぇ。手っ取り早くっていうならやっぱり冒険者よね。登録もすぐできるし。ま、命の保障はないけどね」
とミリアム。
冒険者ってくらいだから、危険はつきものなんだろうよ。
でも、今のオレってば超強いしー。
余裕、余裕。
すぐに登録できるってのもいいね。
しかし、オレでも大丈夫だろうか?
「なぁ、オレもすぐ登録できるかな?」
オレってば一応妖精だし。
オレが読んでたファンタジー小説でも妖精の冒険者なんて聞いたことないんだよね。
「どうでしょうねぇ。妖精さんの冒険者がいるという話は聞いたことがありませんが、友達のギルド職員からは話が 通じる者であれば制限はないと聞いたことがありますし……。うーん、詳しいことはギルドの判断になりますから、直接ギルドで聞いてみた方がいいですよ」
そらそうだわなぁ。
「ま、最悪登録できなくてもなんとかなるんじゃないの。今回のジェネラルとソルジャーがそこそこいい金額になるし、冒険者登録してなくても買い取りはギルドでしてくれるからね。登録してないと買い取り金額が少し安くなるけど」
すっかり忘れてたけど、ゴブリンジェネラルとゴブリンソルジャーはアイテムボックスに回収してきたんだった。
シェーラとミリアムに討伐報酬がもらえるし魔石も金になるって聞いたからから回収してきたけど、そこそこいい金額になるのか、いいこと聞いた。
そう言えばオレがアイテムボックス持ちだと知って2人からめっちゃ羨ましがられたな。
魔法の鞄が売り出されてるから金さえあれば同じような機能は手に入れられるけど、魔法の鞄はむちゃくちゃ高いみたいでアイテムボックス持ちが羨ましいって言ってた。
「ケンジはゴブリンの巣を殲滅するくらいの力があるうえにアイテムボックス持ちだから売る素材には事欠かないでしょうしね」
まぁ、オレはチートだからな。(ドヤ顔)