第5話 妖精(珍種)、魔法を覚える
「皆は魔法って使える?」
妖精ちゃんたちに聞いてみた。
「使えるよ」
「使えるー」
「使える」
「使えるよー」
どんな魔法が使えるのか聞いてみたら、皆が披露してくれた。
妖精ちゃん1号
「私は風の妖精だから、風を操ることができるよ」
それーっと言って彼女が手を振ると、ゴウっと辺りに強風が吹いた。
妖精ちゃん2号
「私は土の妖精だから、土と石を操ることができるよ」
それーっと言って彼女が手を振ると、石礫が木に向かって飛んだ。
妖精ちゃん3号
「私は花の妖精だから、花を咲かせることができるよ」
それーっと言って彼女が手を振ると、湖周辺が咲き誇る花で埋め尽くされた。
妖精ちゃん4号
「私は水の妖精だから、水を操ることができるよ」
それーっと言って彼女が手を振ると、水の玉が木に向かって飛んだ。
おぅ、妖精ちゃんズ何気に凄いぜ。
「凄い凄い。それで、魔法ってどうやったら使えるのかな?」
オレの質問に妖精ちゃんたちにがうーんと考え込んだ。
「こうしたいって思えば使えるよ」
「うんうん」
「そうだよね」
「そうそう」
これはファンタジー小説によくある設定どおりにイメージが大切ってことなのか?
イメージ、イメージ、イメージねぇ。
よっしゃ、いっちょやってみるか。
魔法って言ったらやっぱ火でしょ。
オレのステータスの魔法の欄でも一番最初にきてるのが火魔法だし。
よし、火、火、火、火、火……。
火の玉、小さい火の玉、ファイアーボール(小)。
頭の中でイメージすると、ボッと掌の上に30センチ大の火の玉が生まれた。
ファイアーボール(小)をイメージしてみたのだがデカい。
オレの身長が30センチくらいで、それと同じくらいだからデカく感じるだけで、実はこれが(小)なのか?
よくわからんが、とりあえずどんなもんか確認しますか。
「ダ、ダメ―ッ」
「ダメ―ッ」
「ダメ―ッ」
「ダメ―ッ」
焦った感じ妖精ちゃんたちが何故か止めに入る。
「え?」
だが、既に時遅し。
ファイアーボールはオレの手を離れていた。
ドッカーンッ! ゴウッ―――。
オレのファイアーボールは木に当たると破裂して周りの木を巻き込んで轟々と燃え盛っていた。
あばばばばば。
マズい、マズい、マズい。
ここ森だった。
森の中で火魔法とか、オレ馬鹿か?馬鹿なのか?
ってそんなことより早く消火だ消火ッ。
オレは直径2メートルくらいの特大ウォーターボールを作り出して消火に当たった。
何個か特大ウォーターボールを当てることでようやく鎮火した。
ふぃ~、焦ったぜー。
安心したところで感じる強い視線。
妖精ちゃんたちが凄い目でオレを睨んでいた。
あー、あー、あー、この子たちがいたんだった。
ど、どうすべ。
そうだ、魔法の中に草木魔法っていうのがあったはず。
オレは焼けて禿げ上がった森に手を当てて木々が生い茂る森をイメージした。
すると、太い幹の木がぐんぐん生えて鬱蒼と茂る森の完成だ。
ちょっとやり過ぎた感はあるが、まぁOKだろう。
と、またまた感じる強い視線。
恐る恐る振り向くと、妖精ちゃんたちが更に凄い目でオレを睨んでいた。
ギャー、めちゃくちゃ怒ってる。
ここはさっさと逃げるに限る。
「ごめんなさい~」
オレは脱兎のごとく逃げ去った。
前とほぼ変わりませんが、とりあえず5話まで投稿させていただきました。




