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第32話 妖精(珍種)、トロールを瞬殺する

 途中、ゴブリンやらオークなんかの雑魚が出てくることはあったが(もちろんオレが瞬殺したけど)ヴェーメルへの旅は順調に進んだ。

 村などがあればそこに泊まり、なければ野宿を繰り返して明日にはヴェーメルという所まで来ていた。

「明日の昼ごろにはヴェーメルに着く予定ですよ」

 ヤンセンさんが大事な商談にも十分間に合いそうだとホッとした様子でそう言った。

「あんまり魔物が出ませんでしたね」

 オレとしては、護衛クエストなのにあんまり魔物もでないしちょっと拍子抜けしていた。

「ヴェーメルとラサミア間の街道は定期的に騎士団が魔物討伐なんかもしていますから比較的安全なんですよ。とは言っても魔物が出ないわけではありませんし盗賊もいますからな。私たち商人の移動にはやはり護衛は必須です」

 盗賊かぁ、やっぱりそういうのいるんだね。

 今回は出なかったけど、場合によっては人を相手にすることもあるってことか。

 冒険者になったんだから、そういうのも覚悟しとかなきゃないけないんだろうな。

「それにしても妖精さんに護衛してもらって本当に良かったですよ」

 今更だけどオレはケンジって名前なんだけどなぁ。

 ヤンセンさんがオレのこと妖精さんって呼ぶから、商隊メンバーにはすっかり妖精さん呼びが浸透してしちゃってるし。

 まぁ別にいいんだけどさ。

「今回のように楽な旅は初めてですよ。旅の間は魔物や盗賊のことを考えると気が休まる時がありませんが、妖精さんのおかげで夜もぐっすり眠れるので疲れが大分マシです。しかも、美味しい食事もおすそ分けしてもらって本当にありがたかった」

 用意してた食事は大分減ったけど、オレとしてもヤンセンさんたちからはいろいろと面白い話が聞けたから良かったよ。

 それにヤンセンさんという商人との繋がりもできたことは大きな収穫だ。

 ヤンセン商会で取り扱っているものを聞いて、アレができると思っているのだ。

 アレっていうのは、フフフ、あれだよあれ。

 魔法の調味料マヨネーズ!

 オレの見立てではマヨはこの世界でも受けると踏んでいる。

 それに、マヨがあれば揚げ物に相性バッチリのあのソースも作れるし。

 醤油やらウスターソースはさすがに無理っぽいけど、マヨがあればあのソースは作れるからな。

 揚げ物料理の伝道師としてはあのソースが開発できれば千人力だぜ。

 マヨについてはヤンセンさんにはそれとなく話していて、ヴェーメルに着いて落ち着いたらまた会う予定でいる。

 ヤンセンさんと世間話をしながら進んでいると、索敵魔法が反応した。

 ピー、ピー、ピー、ピー♪

 オレにしか聞こえないビープ音がけたたましく鳴っている。

 索敵ウィンドウを立ち上げる。

(ちなみにこの索敵魔法の索敵ウィンドウはパソコンのウィンドウそのままで最小化・最大化でき、音が鳴るように設定もできるようになっているのだ。)

 索敵ウィンドウを見ると、今オレたちがいる場所から約1キロ先に赤い点滅が2つあった。

 その赤い点滅にはトロールと表示されていた。

「ヤンセンさん、馬車を止めて!」

 オレの言葉にヤンセンさんがすぐさま馬車を止めた。

「ど、どうしたんですか?」

 ヤンセンさんは、オレが今まで魔物が出ても馬車は止めずにサクサク始末してたのもあって驚いた顔をしている。

 馬車を止めてもらったから強敵が出たと勘違いしているんだろう。

 トロールがどんな奴だかはラノベ知識で知っているけど、相手にしたことはまだないから念のためっていうだけなんだけど。

 それにあのデカブツが2体いるなら、このまま馬車が通るのは無理そうだしね。

 オレ渾身の新しい魔法も開発してあるし、トロールなんぞに負けるわけないから安心してほしい。

「何かあったのですか?」

 後ろの馬車からヘルマンさんとエヴァルドもやって来た。

「んーと、この先にトロールが2体いるんです」

 トロールという言葉にヤンセンさんもヘルマンさんもエヴァルトも驚いてる。

「ト、トロールとはっ……。この街道では、この5年トロールが出たという話はなかったはずなのに」

 ヤンセンさんのその言葉にヘルマンさんも頷きながら「しかも2体も」と顔を青くしている。

「トロールはランクCの魔物だぜ。しかも、魔法が効きにくいときてる。妖精さん1人で大丈夫か? 何なら俺も手を貸すぞ」

 険しい顔でエヴァルドがそう言ってきたが、オレは大丈夫だと返す。

 魔法が効きにくいってことで魔法特化のオレが相手にするのは厳しいと思ったのかもしれないけど、オレがトロール程度に遅れをとるわけないぞ。

 大船に乗ったつもりでいたまえ。

「それじゃトロールを始末してきますからちょっと待っててくださいね」

 そう言ってオレはトロールのもとに向かった。

 トロールから20メートルくらい離れた位置で止まる。

「うわ、デッカ」

 トロールはバカ面だけどとにかくデカかった。

 身長4メートルはあろうかという巨人だ。

「グゴォォォッ」

 おっと、1体がオレに気付いたみたいだ。

「グオォォッ」

 鼻をほじっていたもう1体も相方の声で気付いたみたいだな。

 さてと、トロール退治といきますか。

 魔法が効きにくいってことだけど、これはどうかな?

「ロックボール」

 オレは2体のトロールにそれぞれ直径3メートルくらいの特大サイズの岩球をお見舞いした。

 ビュンッと飛んで行った特大サイズの岩球がトロールにぶち当たった。

「グガァッ?!」

「グゴッ」

 トロールが2体ともロックボールの圧力に耐えきれず後ろに倒れる。

 オレはすかさず新しく開発した魔法を出現させた。

「レーザーブレードッ」

 ブォォンという音とともにオレの手の先に光の剣が現れる。

 某SF映画のプラズマの剣や某アニメのビーム剣を参考に魔法で作ってみた。

 いくらオレが魔法チートでも、冒険者って言ったら武器は必要だと思うんだよね。

 だったら絶対に剣がいいってことで魔法でなんとかしてみた。

 自分で言うのもなんだけど、この剣めっちゃカッコエエ。

 レーザーブレードに見惚れてうっとりしてたら、倒れたトロールが起き上がろうとのそのそ動いていた。

 トロールが動きが鈍いってマジだったんだな。

 ラノベ知識を信じてそれ狙ってロックボールを打ったんだけど、正解だったようだ。

「オレ、お前らが立ち上がるまで待ってるお人よしじゃないからね、とうっ」

 オレは動きの鈍いトロールの隙をついて問答無用で首ちょんぱした。

 ふぅ、これで一件落着。

 それにしても、このレーザーブレード切れ味抜群だな。

 トロールのぶっとい首が一瞬でスパ―ンと切れたぜ。

 ちなみに伸縮自在。

 これならファンタジー世界にはきっとあるだろう魔剣や聖剣にも負ける気がしないね。

 トロール2体分の頭と体をアイテムボックスに入れて終了っと。

 さて、ヤンセンさんところに戻るとするか。






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物理っぽい魔法攻撃?
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