第25話 妖精(珍種)、コカトリスを捕獲する
ぬふふふふふ。
今日はオレの大大大好きで愛してやまない『から揚げ』を食すのだ。
から揚げ祭り開催だぜ。
久しぶりのから揚げ、モリモリ食べてやる。
そのためには大切な食材であるコカトリス捕獲という重要な使命があるのだ。
朝飯をしっかりと食べてコカトリス捕獲に向かいたいと思う。
今日の朝飯はオークのシチューセットにしよう。
昨日オークを食べてすっかり気に入ってしまった。
ワイルドボアもまぁまぁ美味しいのだが、オークとどっちが美味いと聞かれればやっぱりオークなんだよね。
オークのシチューセットもオークのステーキセットと同じ値段で、他のメニューより高いけど、ここのところ順調に稼いでいるからいいだろう。
ということで、オークのシチューセットを注文。
オーク肉の塊がゴロゴロ入ったシチューは見るからに美味そうだ。
いただきま~す。
ワイルドボアのシチューに似てるけど、やっぱこっちの方が美味いな。
じっくり煮込んであってオーク肉が口の中で噛まなくてもホロホロと崩れていく。
ワイルドボアの肉はちょっとだけクセがあるけど、オーク肉はまったくクセがなく肉本来の旨味が感じられるのが良い。
他の冒険者たちがちょっと羨ましそうに見る中、オレはオークのシチューを堪能した。
やっぱ美味いものを食べると元気が出るな。
マスターにはお昼ごろから時間とってもらうように既にお願いしてるし、早速コカトリス捕獲に向かうぜっ。
□■□
マスターから教えてもらったコカトリスが生息する南の森に来ている。
さっきからオレが飛んでるところよりもっと上の方から「コッコッコッコッ」という鳴声が聞こえている。
コカトリスの巣があるのだろう。
よし、早速コカトリス狩りだ。
卵もあったらもちろん頂いていくぜ。
オレは鳴声が聞こえてくる木のてっぺん近くまで上昇した。
おぉ、いたいた。
コカトリスの見た目は鶏を一回り大きくした感じだ。
マスター情報によるとコカトリスの攻撃は鋭い嘴と足の攻撃だ。
魔物ランクEの魔物だから、狩ること自体は冒険者になりたての新人でも可能だが、飛ぶのが苦手な魔物ではあっても巣がある木の上部まで飛ぶことは可能なので上からの攻撃に注意せよとのことだ。
まぁオレは飛べるし強いからまったく問題ないんだが。
でも、食べることになるんだからあんまり傷つけない方がいいだろう。
それに巣には卵があるかもしれないから、それも考えないといけないな。
巣に居るところを攻撃したら卵が割れる可能性があるし。
少し考えて、コカトリスをこんな感じで狩ることにした。
「スリープ」
コカトリスの瞼が落ちる。
「ライトニングニードル」
コカトリスの頭に細い縫い針くらいの大きさのライトニングニードルを打ち込んだ。
それと同時にコカトリスの頭が力なくガックリと下に落ちる。
よし、まずは1羽ゲットだ。
コカトリスをアイテムボックスに移してから巣の中を覗き込むと卵が1個あった。
卵も1個ゲットだぜ。
この作戦でどんどん行くぞー。
俺はしばらくコカトリス狩りに精を出した。
「ふぃ~このくらいでいいかな」
最終的にコカトリス10羽、卵7個を手に入れた。
オレは急いで街に戻り、から揚げに必要な材料を購入していった。
まずはから揚げを揚げる油、それと塩ダレに必要な塩、胡椒、それからタマネギ、ニンニク、ショウガ。
油と塩と胡椒はすぐに手に入った。
ちょっと高かったけどな。
特に胡椒が高かった100gで大銀貨5枚もしたぜ。
異世界で胡椒が高いっていうテンプレはマジだった。
あとは野菜類でタマネギとニンニクは今までに食べた料理にも使われていたからあるのは分かっていたけど、ショウガがあるかどうかだった。
野菜や果物全般を売ってる店に行ったらショウガも普通にあった。
名前が若干違うけど、オレが生前に親しんでいた食材が割りとあるようだ。
鶏がらスープの素が欲しいところだけど、さすがにこれはないので鶏がらスープは作ることにする。
コカトリスが大量にあることだしな。
それからから揚げを揚げるのに片栗粉と思ったんだけど、これもなかったから今回は小麦粉のみ使用することにする。
片栗粉と小麦粉をブレンドした方が衣がサクッとした食感に揚がるから好きなんだけどしょうがない。
ジャガイモがあったから片栗粉を作れないことはないが、摩り下ろして水にさらしたりと時間もかかることなので今回は止めた。
鶏がらスープの方で時間が掛かりそうだからな。
もちろん魔法を使ってできるだけ時短するつもりではいるけど。
今回、片栗粉は作らないけど、次にから揚げ作ってもらうときまでに作っておきたいし、ジャガイモは美味いしから揚げと一緒にフライドポテトを作ってもらうのもいいかなと思って多めに買ってみた。
それからオレはから揚げにはレモンを掛ける派だからレモンも購入。
よし、これで材料はそろった。
けっこう金が掛かったが後悔はない。
至高の食べ物『から揚げ』の前には些細な問題に過ぎんのだ。
いざ、冒険者ギルドへ。
マスター今からいくよ~。




