第21話 妖精(珍種)、ジャイアントビー討伐の報酬をもらう
「おっさーん、帰ったぞー」
冒険者ギルドに入ると、すぐにおっさんが駆けつけてきた。
「おお、無事だったか。良かった」
俺の顔を見たおっさんがホッとしたような顔をしている。
大丈夫だって言ったのに。
「じゃ早速確認してくれよ」
来て早々ではあるが、討伐したジャイアントビーを確認してもらうためにおっさんと連れ立って倉庫に向かった。
「ジャイアントビーの巣なんだけど、かなりデカくてここだとちょっと高さが足りなさそうだから横倒しにして出していいか?」
そう断ってから倉庫の空いたスペースにジャイアントビーの巣を出した。
ドドンと出てきた2階建住宅の大きさのジャイアントビーの巣。
おっさんもいつもの買取担当の兄ちゃんも巣を目の当たりにしてあんぐりと口を開けている。
まぁ、気持ちはわかる。
「これはまた……」
「お、大きいですね……」
フフン、超特大サイズだろう。
「いやー、行ってみたらこんなバカデカい巣があるもんだからびっくりしたぜ」
2階建住宅の大きさの巣がででんとあるんだもんな。
「ジャイアントビー自体大きいから巣もこんなに大きくなるんだな」
そう言うと、おっさんがいやいやと首を振る。
「こんな大きさの巣を見るのは俺も初めてだぞ」
おっさんの言うことに兄ちゃんも頷いている。
「俺も今まで見た中で一番大きな巣はこの半分です」
おぉ、オレの持ち帰った巣は特別巨大だったらしい。
「この大きさだとどのくらいのジャイアントビーがいるのやら……」
兄ちゃんが巣を検分しながらボヤく。
ま、兄ちゃんが全部査定することになるんだろうしそういいたくなる気持ちは分かるぜ。
「あー、確か女王蜂が1匹で成虫が1500匹くらい、幼虫が800匹くらいだったかな」
確か鑑定したときそんくらいだった。
「え……」
兄さん絶句。
こんな数の虫を延々と査定しなきゃならないなんてご愁傷様。
でも、オレも買取してもらわんといかんわけよ。
こんな大量の虫いくらアイテムボックスの中でも保管しときたくないもん。
「そう言えばお主は鑑定があったな」
そういうこと。
だからジャイアントビーの数が分かったんだよね。
さすがにこの数をすぐに査定というわけにはいかないので、少し時間がかかるということだった。
兄ちゃんには明日の午後まで待ってくれと言われた。
ただ買取金額は期待しない方がいいとのこと。
ジャイアントビーの買取できる素材は毒と針くらいな上、幼虫に至っては食用で買取はするが二束三文でほとんど金にならないんだそうだ。
唯一女王蜂が魔石持ちで他よりマシではあるが、魔石持ちと言ってもその魔石が極小サイズだという。
今回は数がいるからそこそこの金額にはなるだろうが、手間を考えると割に合わないということになるだろうとのこと。
まぁオレはチート魔法でちょちょいのちょいだったから手間はそんなにかかってないんだけどね。
売れる素材が少ないってのもジャイアントビーが冒険者から敬遠される理由の一つなんだろうな。
死ぬ危険があるのにそれをやり遂げても然程金にならんじゃ誰もやらないわな。
まぁ今回はおっさんからの依頼でもあるし、オレからしてみればそれほど手間もかかってるわけじゃないからよしとしよう。
討伐報酬に関しては今この場でもらえるようだ。
「今回のジャイアントビー討伐報酬は金貨7枚だ。」
おっさんがそう言ってオレに金貨7枚渡してくれた。
金貨7枚ってけっこういいじゃん。
そう思ってたら、おっさんが少し色つけてくれたみたいだ。
確かに今回のジャイアントビーの巣は特別デカいって話だからなぁ。
オレはありがたく金貨7枚を頂戴して、そのままギルド内の飲み屋兼食事処向かった。
あー、お腹ペコペコだぜ。
今日はここまで。




