表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/34

第20話 妖精(珍種)、ジャイアントビーを討伐する

「お主、本当に一人で大丈夫なのか? 依頼をしておいて変な話だが、ジャイアントビーの討伐はかなりきつい仕事だぞ」

 あー、それね。

 昨日散々聞かされた話。

 ジャイアントビーは単体ならそれほど強くなて、魔物ランクも下から2番目のFランクと低い。

 それこそ冒険者になりたての初心者でも倒すことは可能だ。

 しかし、集団になるととてつもなく危険になるってこと。

 巣の討伐ともなると難易度はグッと高くなって最低でも冒険者ランクC~Bの者のパーティが3つは必要になってくるんだってことをね。

 ここで昨日聞いた冒険者ランクと魔物ランクの整理をすると、こんな感じだ。


 【冒険者ランク】

   (低)G→F→E→D→C→B→A→S→SS→SSS(高)


 【魔物ランク】

   (低)G→F→E→D→C→B→A→S→SS→SSS(高)


 こんな感じである意味冒険者ランクと魔物ランクは対になっていて、目安として自分の冒険者ランクと同じ魔物ランクの魔物(単体)を相手にできることになっている。

 例えば冒険者ランクBの冒険者は、魔物ランクBの魔物(単体)を相手にできるということだ。

 だが、これはあくまで単体を相手にした場合の目安であり、魔物の数や状況によってクエストの難易度クエストランクも変わってくる。

 クエストランクは、各冒険者ギルド支部がその知識と経験を鑑みて決めることとなっているそうだ。

 おっさんが言うには、このジャイアントビー討伐のクエストを出すときにラサミア支部として設定するクエストランクはBだという。

 クエストランクSのクエストは40年前にあった地竜討伐で、SSやらSSSとなると火竜やら古竜の類のほとんど御伽噺でしか聞かないような魔物の討伐となって、そんなランクのクエストがあったのは数百年も前の事だという話だ。

 そうなるとクエストランクBは高難易度ランクに分類され、それをソロでこなすなど酔狂どころか死にに行くようなものだと言われた。

 まぁ普通はそうなんだろうね。

 でも、オレってば魔法チートだからさ。(キリッ)

 昨日の晩にちょっと考えついた魔法があるんだ。

 少し実験もしてみたんだが、イケそうな気がするから大丈夫だと思う。

 おっさんは未だにオレ1人で行かせていいのものか迷ってるみたいだけど。

「おっさん、そんなに心配しなくて大丈夫だって。おっさんだってオレのこと鑑定したんだから分かるでしょ。大船に乗ったつもりで待っててくれよ」

 オレはそう言い残してジャイアントビー討伐に向かった。




□■□




 ジャイアントビーに襲われた冒険者パーティーから聞いた場所に来ている。

 北の森を中程まで進んだ所だ。

 この辺で100匹くらいのジャイアントビーに襲われたそうだ。

 とは言うものの、オレはまだジャイアントビーの姿を見ていない。

 辺りを警戒しながら探索していると、それを見つけた。

 逃げ遅れて犠牲になった冒険者パーティーのメンバーと思われる2人の亡骸。

 ジャイアントビーに捕食されて骨だけになっていた。

「昨日の今日でこれかよ……。すごい食欲だな」

 亡骸の周りには剣と槍とボロボロになった皮鎧等が散乱していた。

 オレは手を合わせた後、骨だけになった2人の亡骸と拾い集めた目ぼしい遺品をアイテムボックスに収めた。

 生き残った冒険者には、もし2人を見つけたら連れ帰って来てくれと懇願されていた。

 2人の亡骸を見て、本当にこの世界は弱肉強食だよなぁと改めて思う。

「魔法チートで転生できて良かった」

 さらに辺りを探索していると、ブーンという音が聞こえてきた。

 音のする方を見ると、探していたジャイアントビーが飛んでいた。

「デカッ」

 思わずそう言ってしまうほどに大きい。

 全長30センチほどのオレと同じくらいの大きさで、見てくれはスズメバチにそっくりだった。

 そんなジャイアントビーが20匹近く飛んでいた。

 ん?何かの肉抱えてるな。

 食料を巣に持ち帰るところか?

 オレは気付かれないようにジャイアントビーの後を追った。

 しばらく飛び続けて、ジャイアントビーが止まった先に巣を発見。

 ジャイアントビーの巣はとにかくデカかった。

 大きさにすると2階建の住宅くらいありそうな巣が巨木の根元にに張り付くように作られていた。

 巣の出入り口からは忙しなくジャイアントビーが出たり入ったりしている。

「ジャイアントビー自体デカいって聞いていたから、巣もデカいんだろうなとは思ってたけど、まさかここまでとはね……」

 木の陰からデカ過ぎる巣を見上げながらつぶやいた。

 それじゃあ早速、ジャイアントビー討伐といきますか。

 まずは、元凶であるあのデカい巣を処理しないといけない。

 オレは昨夜考えた魔法を使った。

「オーブン」

 その言葉で、巣の周りに結界魔法が展開する。

 そして、その中が徐々に熱せられていく。

 昨夜、ジャイアントビー討伐にはどんな魔法がいいかと考えていて、昔見た某チャンネルの蜂の特集番組で蜂は熱に弱いと言ってたのを思い出した。

 熱でどうにかするにしても、数が多いジャイアントビーを相手にするならまずは巣をどうにかしないけない。

 巣を熱するにしても、森の中でファイヤーボールを放ったらそれこそ山火事になるし。

 いろいろ考えて、オーブンみたいに蒸し焼きにできないかと思ったのがきっかけだった。

 それでいろいろ試してみた結果、オレが使う魔法はかなり自由が効くうえに○○みたいなとかこんな感じのとか割と曖昧なイメージでもある程度の魔法を展開することができることが分かった。

 もちろん細かく設定してイメージした方がより正確に強力に展開できるのは間違いないようだけど。

 今まではファンタジー小説で出てきた魔法を参考にしながらやっていたけど、前世の知識からこんな感じの魔法でってイメージしながらやってみたらできちゃいましたぜ。

 それでできたのがオーブンの魔法だ。

 電子レンジでも良かったんだけど、巣が爆発しそうなのでやめておいた。

 周りの結解の壁が赤々と熱を持ち、ジャイアントビーの巣を高温にさらしている。

 うーん、いい感じで蒸し焼きにされておりますな。

 巣の入り口付近に居たジャイアントビーがボトボトと地面に落ちていく。

「カチッ」

 オーブンの魔法が切れた。

 タイマー設定もできたからとりあえず10分で設定しておいたんだ。

 10分も高温加熱したし、みんな死んでると思うんだけど……。

 何か確認する方法ないか?

 ……あ、オレ鑑定持ちだった。

 とりあえず鑑定してみよう。


【ジャイアントビーの巣】

  ジャイアントビー(女王)の死骸     1匹

  ジャイアントビー(成虫)の死骸 1457匹

  ジャイアントビー(幼虫)の死骸  882匹


「おお。できたけども……」

 何だかもの凄い数なんだけど。

 成虫なんて1000匹超えてるぞ。

 とりあえず巣ごとさっさと回収してしまおう。

 オレは巣をまるごとアイテムボックスに収納した。

「これも回収だな」

 地面に落ちたジャイアントビーも忘れずに回収。

 あとは巣から出てここにはいなかったジャイアントビーの討伐だな。

 それには打ってつけの魔法がある。

 巣があった場所を中心に生き残ったジャイアントビーを探していると、すぐに最初の生き残りを発見した。

 オレに気が付いたジャイアントビーがオレ目がけて飛んできた。

「殺虫剤っ」

 プシューッ―――。

 前に突き出したオレの手の平から薬剤の霧が勢いよく噴出した。

 その霧を浴びたジャイアントビーが「ギギギッ」と苦しそうな鳴き声(?)を出しながらポトリと地面に落ちた。

 自分でやっておいて何だけど、効き目抜群だな、この魔法。

 やっぱ虫には殺虫剤だよなと昨夜編み出した魔法だ。

 プシュー、ポトリ。

 プシュー、ポトリ。

 プシュー、ポトリ。

 ジャイアントビーを見つける度に殺虫剤を噴き掛けること数十回。

「ふぅ。もう、大丈夫だろう」

 この辺りを何度か回ってジャイアントビーの姿がないのを確認して終了とした。

 それにしても、オレが魔法チートでホント良かったよ。

 前世の知識も生かされたし。

 1000匹越えのジャイアントビーだなんて、あんなのまともに相手にしてたらいくつ命があっても足りないもんな。

 ってか、前世の知識もオレの魔法には大いに役立つことが分かっただけでも大きな収穫だ。

 これからは前世の知識も大いに役立てつつオレは魔法チートでこの世界を渡り歩いて行くぜ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ