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持ち回り企画○○杯

さあ、戦え!

作者: 山藍摺

夜中目が覚めて、深夜テンションで一気に書き上げました。




 ――西暦2××☆年、地球にそれは飛来した。




★☆☆☆☆☆☆



 やつらは強かった。

 やつらは強すぎた。

 だから、やつらは地球の半分を制した。

 ある日突然、やつらはやってきた。予告もなくやってきた。予告がないからこそ、突然という言葉は成り立つのだけれども。

 ……けれども。


「いやあー!」

「来ないでー!」


 けれども予知くらいできる人類はいなかったのかと過去に問いたい。地球をぐるぐるまわる衛星などの監視カメラを管理する担当者は何しとったんじゃカップラーメンでも喰っとんたんかといいたい。

 やつらの見た目を見たら、誰しもそう思うはずだ。


「機械化されたゴキ○リっていやー、きもい!」


 角のないカブトムシに似ている? そんなわけない。あれを見たら、人類の老若男女の九割が脊髄反射で退治を開始するだろうゴ○ブリ。


「来るなあああ!」


 やつは、飛来した。

 どこから? 宇宙から。 人類は、切に問いたい。


 ――拝啓、やつらを作った環境もしくは張本人がいやがる星の知的生命体へ。 あれはいったい何を目的につくりやがりました?




☆★☆☆☆☆☆



 やつらが地球に飛来し、どれだけが経過しただろう。やつらが地球に飛来し、地球を半分占拠してどれだけが経過しただろう。機械化されているくせに何でひたすら動くんだソーラーパネルかよこんちくしょう。

 そんなやつらに、人類も嫌悪感を持ちながらもどうにか対抗手段を講じた。目を背けたいし、なるべくお近づきになりたくないから、日の目を見るまでかなり時間が無駄にかかりはしまけれども。けれども!

 やつらに対抗できる、できるはずの集団は、様々な点において、とてつもなく突っ込みどころ満載だった。



☆☆☆★☆☆☆



 日本領土、某地区。日本も一部やつらに占拠されていたりするのである。やつら、機械化された巨大ゴキブリの蹂躙にさらされているのである。

 今日も、やつらはやってきた。日本の某都心に現れた巨大なやつらから、人々が蟻のように逃げ惑う。

 やつらは大きい。やたら大きい、速い。巨体の癖に速い。何でだ。

 そんなやつらに立ち向かうべく――対抗手段にと講じられた彼らが、やつらの進行方向に立ちふさがる。文字通り、壁となって立ちふさがる。

 立ちふさがるのは、東○ス○イツ○ーばりに大きいロボットである。全身茄子色の、ヘタも表面もたいへん瑞々しい――茄子であった。しかもあのまん丸いシルエットの、京野菜の加茂茄子。茄子に角材のような木が手足として突き刺さる、そんな見た目をしたロボットは、まるでお盆の精霊馬。

 ――やつらに遭遇し、危機一髪を彼らに助け出された人類は、皆さん救世主を見るたびに必ずこう突っ込むのだという。


 ――何で、茄子。何で、何で、夏野菜。何で、夏の風物詩。


 茄子は美味しい。天ぷらにしても、味噌炒めにしても、ヘタを落とさずに皮をしましま模様にむき、短冊状に切って油で炒めても◎だし、何にしたって美味しい。美味しい、けど!


 ――何で、何で、人類の敵(ウルト○マンの敵のような)に立ち向かうのに、何で、何で茄子型ロボット! せめて猫型!


 いまも、居合わせた人類たちはそう突っ込んだ。何で戦うのに茄子なんだ。

 そんな一般人類の心の叫びを知ってか知らずか、一台の茄子型戦闘ロボットに乗り込んだ、五名の正義の乗組員は名乗りをあげる。

 見た目がいかにあれであろうとも、彼らは人類の希望、人類の守護神。――茄子の精霊馬だが。


「あたしたちの地球にぃ!」

「きもいやつらが来やがりましたから?」

「ふわぁあ……い、る限ぃ、りぃ……、」

「ワシラはっ!」

「立チソムケル? イヤ、立チ向カウ〜?」


 やつら――サイズ的には名古○城と京○タワーのサイズが計二匹。今にも立ちふさがり、敵対する彼らに飛び立たんとハネを広げようとしていた。


「いーやー!」


 やつらの動きに応じ、最初に動いたのはレッドだった。筋肉オネエキャラのレッドだった。

 いやん、いやん、と悶えながら、頭部(イコール、いわずもがなヘタ)のコクピットの中であるボタンをポチっとな、をした。

 正義の味方の乗組員のはずなのに、攻撃対象から目をそらしたまま。それでいいのか、リーダー。

 ……もちろん、攻撃の対象をきちんと見ずに放った攻撃は、敵に届くはずもなく。


「いやー!」


 ひょろひょろと頼りない弧を描き、へたより投下された(本来の出力ならずばーんと飛ぶはず)のは、大型ロケット花火(ただし真っ直ぐにしか飛ばない)。

 着弾先は、茄子精霊馬型ロボットの、お膝元――つまり足元。そして、ひょろひょろとはいえ、それは市販のものより一京倍は強い(らしい、開発者談)ロケット花火。

 目の前に巨大な○キブリ二匹、足元に着弾しつつある(多分)威力は過大にあるロケット花火(開発者は数字の倍率計算が壊滅的)。

 Q☆そんな状況に置かれたら、あなたならどんな反応を取りますか。


「ソレヤンバルクイナ、いやソレヤバいヤバそうヤバければヤバそうでヤバいよ!」


 ――A★迷わず逃げます。


 いや、迷えよ。


「あ、ちょ、逃げやがりましたわ〜! 薄情!」


 茄子精霊馬型ロボットの右足にあたるコクピットにいた青年が、コクピットを迷わず分離独立させて、お星さまの彼方に消えた。

 つまり、茄子精霊馬型ロボットは、残された左足でバランスを取りながら攻撃するしかなく。


「んなアホなですわー!」


 左足のコクピットの縦ロール少女がバランスを取りながら、


「ねむ……」

「眠ってる場合じゃないですぞ!」


 右腕のコクピットの高校生は受験の疲れからか、船をこぎお昼寝に突入し始め、左腕のコクピットの執事姿の髭の爺やは腕の先から殺虫剤ビームを放ち、どうにか一匹を撃破、


「くらえやがれですわー!」


 縦ロール少女はやけくそで片足飛び蹴りを――けれどもどこか慣れた様子で――残り一匹にお見舞いして、どうにか撃破。

 こうして、辛くも今日も、地球の平和は守られた……? のであった。





☆☆☆☆☆☆★





 ちなみに、ロケット花火がどうなったかといえば。


「何ですって、ぱちもんですって!?」


 ――開発責任者が開発費用をとんずらしやがったため、図体だけ立派なぱちもんでした。どこが一京倍なのか。

 厳選したはずの(したのか?)メンバーは敵前逃亡だわ、リーダーポジションのレッドは敵から目を逸らすわ、開発責任者はとんずらしやがるわ。

 ……それでいいのか、地球防衛隊人事課!?


「よくないですわー!」






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