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【完結】不倫の神様|転  作者: 天狗


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LOG.7|最後の電話|LAST CALL








4号機との出会いは、事故じゃない。


流れの産物だった。


きっかけは2号機が通っていた美容室。


「ここ上手いよ〜」

そう言われて、何気なく紹介してもらった店。




俺の家から距離はあったけど、


一度行ったら気に入って、

そこから通うようになった。







ーーー







その美容室で俺はいつも、

髪を金髪に染めてもらっていた。




4号機は雇われの美容師なのに、

いつも色んな値引きをしてくれる。


珍しく融通の効く人だった。




やけに明るいヤツ。



それが最初の印象。



身長は160くらい。

顔はちょっとカワウソっぽくて、

きゅるんとした目がやたらと印象に残る。


金と黒が混ざったショートボブ。


そして、たわわ。




…特に深い意味はないが、

アルファベットで言うと F だ。


うむ。“たわわ” だ。








ーーー








髪を染めながら、


仕事の話、

恋愛の話、

家族の話。



どうでもいいことを

他愛もなく喋っていたある日、

ふと酒の話になった。



俺は反射で、

いつものクセで口走った。






シン

「オススメのバーがあるんすよ」

「バーなのに、コロッケがさ...!」

「やたら美味いんだよ。マジで!」







まぁ、

オススメだけして終わるつもりだった。


普通は、そうなる。



だが…4号機は、普通じゃなかった。








4号機

「え、いいじゃん。」

「行こーよ今度、一緒に。」






軽い。

軽すぎる。


一応、

理性の残りカスで抵抗してみる。






シン

「いやいや!」

「既婚者じゃないですか!」








4号機は、

ケラケラ笑いながら返してきた。








4号機

「なんで?飲むくらいダメ?」

「変なことする気なの?」

「てか旦那、今香港だよ?」








シン

「香港?」








4号機

「うん。海外出張」

「2ヶ月戻ってこないの」

「だから大丈夫。心配かけないよ。」








その一言で、俺の中で、

カチッと何かが噛み合った。








シン

「……行きますか!」








これは仕方ない。

旦那が香港の、たわわ。


断れる男のほうが、レアだと思う。









ーーー









数日後の夜。

俺たちはマスターの店にいた。


カランコロン、とドアを開ける。






シン

「マスター、久しぶり」







マスター

「おう、不良少年。」

「リュウトは別か?」





シン

「ヤツは出かけたと思う」

「あのニートは自由人だからな」








リュウトは、

本格的に無職になり、

1ヶ月ほど俺の家に入り浸っていた。









マスター

「お前ら楽しそうだよなぁ」

「若いっていいなぁ」








シン

「ははは!」

「だろ~!?」

「"最高の人生"だろ?」

「ハイボールくれ!」








4号機

「じゃあ私もハイボールで」








グラスが並び、氷が鳴る。




と、ふと目に入った。







チンピラ

「………」



チンピラ

「………」





なんだ…?



見覚えねーヤツだな…?




少し離れた席から


ガラの悪い連中が

こちらを睨んでくる。






見てんじゃねーよボケナス、と


やっちまおうと思ったが…




リュウトがいない。





俺は

リュウトといれば負けない。





…だから、

今日のところは見逃してやる。





マスター

「…シン」

「アイツらはやめとけ。」

「最近、よく呑みに来てんだ…」

「この前もリュウトと揉めたんだ」





シン

「ふーん…」





俺はiQOSをくわえた。




マスター

「頼むぞ…」

「止めるのも大変なんだ…」





シン

「………」




全然、目をそらさない。



チクショー…



女連れだし…


こっちは、俺1人…


あっちは男2人…



戦力的に…

さすがに無理だな…



イライラする…







4号機

「どうしたの?」

「怖い顔しないで?」

「喧嘩なんてしないでよ?」





シン

「あ、あぁ、わりぃ…」

「大丈夫だよ」







その後、

気にせず2人で、

語りながら呑みまくった。






店を出た、そのあとだった。







4号機

「今日さ...」

「実家に子ども預けてきちゃった。」

「まさか…帰宅させないよね?」

「ウチ、遊ぶ気満々だからね?」








シン

「俺、帰したいなんて言ったか?」













ピリリリリリ














その時、

リュウトから着信があった。






おせーよ!



さっき電話くりゃ…


あのカス共、

ボコボコにしてたのによ!






シン

「ちっ…」






これからはお楽しみだ。





ニートに邪魔されてたまるか。








ブツッ








普通に無視した。







…が、

この時 電話に出るべきだった。



後ほど

大きく後悔することになる。








ーーー








そのまま、流れるようにホテルへ。


今回は “たわわ” なので、

一番高い部屋を選んだ。









部屋に入るなり、

酔いの勢いも混ざって、

空気が一気に変わった。





距離が縮まるのに、

そう時間はかからなかった。






そして、“セヴァンスター”を、

4号機にも教えてしまった。









4号機

「……っ、なにこれ……」

「めっちゃイイ...!」









最初は戸惑い半分、好奇心半分。


けれど一線を越えた瞬間、

4号機はあっさりと、

その快感に落ちていった。







4号機

「……もう一回しよ!」

「もっと吸ってから…!」








そこから先は早かった。



「旦那が香港にいる2ヶ月だけ」

という条件で、


4号機とは

“2ヶ月愛人契約”

みたいな関係になった。



定期的に会う約束をして、

ホテルの日程まで決めてしまった。


一応、2号機にも報告した。








シン

「そういえばさ...」

「この前、こういう流れでさ……」







2号機

「会うなら別日ね」

「なんか…イヤだから。」








……そりゃそうだ。






その一言で、

完全に住み分けルールが決まった。








シフト分担は完璧だった。


ごっちゃにならないように

Excelでシフト表を作って管理した。









ーーー








それから数日後。


夜に美容室に呼ばれた。


この日は何故か、ホテルじゃなかった。







4号機

「ねぇ……」

「この店で、してみたい」






また面倒なことを言い出した。






とはいえ、

俺も乗り気ではあった。




空気に飲まれる形で、


俺たちは

美容室の監視カメラの“死角”へ移動した。


シャンプー台の影。


カウンターからも見えない位置。


4号機は上着を脱ぐと、

くるりと振り返って笑った。








4号機

「ね?誰も来ないよ」










ピリリリリリ









リュウトから着信。








シン

「ちっ」







俺はイラついて、

また着信を切ろうとした。






と、思ったけど...


そういえば…

リュウト帰ってこねーな?



急に心配になり、出てみた。







シン

『おう、どうし、』








リュウト

『おい!!!!』








シン

『なんだよ!』

『声デケーよボケナス。』

『今、俺はなぁ、』









リュウト

『いいから聞け!』

『お前、すぐに街から出ろ!』








シン

『はぁ!?』

『吸いすぎて"勘ぐり"かぁ?』







リュウト

『デス君の女に手だしたろ!』









デス君、とは

地元の怖い先輩でヤクザだ。







デス君と呼ばれてるのは

殺人の前科持ちで、

口癖が「死ね」だからだ。









シン

『出してねーよ。』

『あんなイカレ野郎に関わるかよ。』







リュウト

『この前呑んでたらしいじゃんか!』

『マスターの店で!』







シン

『……!』





あの変なチンピラ…



そーゆーことか。






リュウト

『デス君…地元から出たろ?』

『それが…ここら辺らしいんだよ。』

『結婚して引っ越したらしい。』

『巨乳の美容師と…!』

『で、俺、』







ブツッ






電話を切った。



もう、電話どころじゃなかった。







まさか、と思い


4号機を見ると

既に脱いでいた。



ニコッと笑う4号機。








シン

「…お前、」









その時だった。









バンッ!!








ありえない勢いで、扉が開いた。







デス君

「オラァ!何してんだよ!」






4号機の旦那は、デス君だった。







反射で、

心臓が耳の裏まで跳ね上がる。









やられたぜ。











…ほらな。





神様なんていねーんだよ。



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