LOG.12|人として|CHATTER
朝になった。
カーテンが
朝日でキラキラ光って
やかましい。
陽の光は嫌いだ。
いつからかは分からない。
いつの間にか嫌いになっていた。
朝飯は、パン。
安くて5個入ってるクリームパンを
ひとつだけ食べる。
ガキの頃、よく食ってた。
あの頃は美味かったが、
今は ぶっちゃけ そうでもない。
朝のシャワーを浴びる。
シャンプーも何も無し、お湯だ。
髭は剃らない、
別に誰も気にしてない。
そういえば
しばらく鼻毛も気にしてない…。
まぁいいや。
めんどくせー。
昼の弁当を作る。
チンのご飯とツナ缶と納豆。
これを、毎日。
弁当と呼べたもんじゃないな。
”食料”って感じだ。
そういや、
自分の好きな食べ物…
もう、覚えてないな。
それをリュックに詰め込んで
作業着に着替えて出発。
1階に住んでて本当によかった。
今の俺に階段は拷問だ。
出勤は、徒歩とバス。
以前は…
なんかイイ車乗ってた気がする。
なんだっけな?
まぁ、
思い出しても意味ないか。
ーーー
工場に到着。
いつも皆、暖かく迎えてくれる。
皆…暖かく…挨拶を無視。
目も合わせない。
逆に背中に視線を感じる。
自分のことを言ってる会話も
筒抜けだ……。
頼むから、
"陰口"にしてくれよ…。
まぁ今となっては
別にどっちでもいいけどよ…。
俺は、
喫煙所の横を通るのはキライだ。
ホントは俺も
一緒に吸いたいけど…
"正社員様"
と、時間を共にするのはゴメンだ。
貴族と飯食ってる気分になる。
ーーー
朝礼を終えて、
午前中の
"ダンボール真っ直ぐ"
が 始まる。
いや…コレがマジでさ
意外と難しいんだってば。
お前らも やってみりゃ分かるよ。
片足ケンケンして
ダンボール直してみ、
地味にムズいんだよ…。
とはいえ、
そんなもん正社員様には
関係のない話なので
もちろん、
失敗するとムッとされる。
ほら、また来た。
ビィー
ビィー
このブザーの音、嫌いだ。
虚無な音で怖い…。
どうやら、
俺がミスったっぽい。
何がダメか分からないけど
なにか怒っている。
年下の正社員様が
とっても優しく教えてくれる。
けど、いつも思う。
声が小さい上に
どんどん声が離れていく。
だからほとんど、
"から返事"になる。
まったく…
もっとしっかり喋ってくれ。
これだから、
最近の若いやつは…。
困ったもんだ……。
とはいえ
聞き返すのも、
めんどくせーから、
毎回テキトーに頷いて
その場をやり過ごしている。
ーーー
午前中の
"ダンボール真っ直ぐ"
が終わって休憩に入った。
昼飯は、味がしない。
でも無理やり詰め込む。
でもな、
俺が思うに、
飯ってのはよ味じゃなくて…
ん?
誰か隣に座ってきた。
俺の隣に座るなんて度胸あるな…。
周りに何言われるか分かんねーぞ…。
なんか、見たことある。
よく見てみたら
地元の後輩だった。
…あぁ。
思い出した。
中央中学の、2個下だ。
確か…
一緒に他中に
ロケット花火打ち込んだな。
懐かしいなぁ。
そして、
何やら大きい声で驚いている。
シンさん、どうしたんすか
なにしてんすか
シンさん、シンさん
何か言ってくださいよ
そんな事言いながら
涙目に見える。
泣かなくてもいいのに…。
一体何があったんだお前に。
相談に乗ってあげようとしたが、
飯食ってるし めんどくせーからやめた。
無視してるわけじゃない。
返事するのも
めんどくせーだけだ。
だから…
もう……
泣くなよ………
そんな事を思っていたら
専務、機械トラブルです。
と、後輩は連れていかれた。
そう。
地元の後輩が、
この会社で、
専務になってたみたいだ。
ほえー、頑張ってるやん。
もうガキでもいんのかぁ?
ーーー
午後も
"ダンボール真っ直ぐ"
ビィー
ビィー
俺が動く度に
虚無なブザーが鳴り、
誰かが
優しく説明しにくる。
1日に何回も、繰り返す。
つーか…
最近なんか…
皆、目つき悪いな…
疲れてんのかな?
社員のケアなら昔から得意だぜ!
呑みにでも
連れてってやろう…かと思ったが
めんどくせーからいいや。
ーーー
1日まるごと、
"ダンボール真っ直ぐ"
が終わった。
工場を出て、家に向かう。
家の近くの公園を通過。
ドッジボールをするガキ。
キャッキャッと大騒ぎ。
砂場で ママと遊ぶガキ。
トンネル作って 大喜び。
木の下をスコップで掘るガキ。
何かを一生懸命埋めている。
それぞれ、
公園を楽しんでいた。
いいじゃん、楽しそう。
もっとたくさん遊びなさい。
でも、静かにしろ。
耳障りだ。
そんなこんなで、
帰宅して、
汚い鉄のドアをギィと開ける。
そして、明日も、繰り返す。
ーーー
時には桜が咲いたり
時には雪が降ったり
何回、季節が巡ったのだろう。
それを繰り返すうちに
いつの間にか5年経っていた。
ふと喫煙所の横を通ったら
懐かしい名前が聞こえた。
この県で有名な悪いヤツが
出所してくるらしい。
それは、デス君の名前だった。
へぇ…そうなんだ。
こんなに
遠くまで来ても有名とは
よっぽどだな...。
5年経って、デス君が、
出所してくるらしい。




