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聖女を怒らせた国  作者: 朝山 みどり


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09 ユラリと女神の対話

 神殿の白い石段を、わたしは、殊更ゆっくりと上がっていった。

 普段、王宮の奥深く人目を避けているわたしの姿が見られている。

 

 背後に人々のざわめきがある。けれど、その音はわたしにとってなんの意味もない。

 扉を開け、祭壇の奥へと歩みを進める。人の視線も、神官の立ち居振る舞いも、今日はどうでもよかった。


 必要なのはただ一つ。女神との対話。


 わたしが跪くと、周囲はすぐに闇へ沈み、まぶたの裏に馴染みの光が広がった。夢とも幻ともつかぬ、あの境界の場所。そこに女神が待っていた。


 彼女がさきに挨拶をして来た。


「久しぶりですね、ユラリ」


「ええ。お久しぶり。今日はお願いというより、宣告をしに来たの」


 女神の顔に影が差した。彼女は黙ってわたしを見つめている。


「たしか……第二妃を迎えた時点で六点だったかしら。七本の聖樹を浄化して十二点、結婚で四点、跡継ぎを産めば六点。そうよね」


「そう、です……」


「いま、王宮には第二妃も第三妃もいる。うーん何人だっけ?何点たまってる?公式になっていない人も、いるかもしれないわね。点数は充分」


 女神はため息をついた。

「ユラリ……それをそんなふうに数えて、まだ嫌がらせが足りないの?」


「嫌がらせ?嫌がらせはね」と言葉を切って女神を見た。そして、

「それはもう充分」と冷たく笑った。

「でも、この点数をもとにすれば、わたしが口を挟む資格は充分にある。だから言いに来たの。平民に子を持つことを許可する、と」


 女神の瞳が揺れた。

「いいの?」

「いいわよ。平民に罪はないもの」

「ありがとう」

「どういたしまして。それと質問。女神って神託を出したりしないの?神殿の責任者と話したりしないの?」

「うん……ユラリのことを告げた……」

「なんて?」

「聖女を大事に。王妃にして大事にして敬えって」

「ふふっふ。無視されたのね」

「……」

「神託を出して、神殿と一番近くの聖樹を三往復して祈ったら子を期待できるって」

「いいのね。ありがとう」



◇◇◇◇◇

 ユラリが神殿を訪れ長く祈りを捧げたことはすぐに王都に広まった。


 翌日、神殿から女神のお告げが発表された。


 【神殿より最も近き聖樹へ三度通い、祈りを重ねよ。

    その勤め果たす者には、新しき命を授かる望みが与えられるであろう】


 聖女様が女神を説得した。人々はそう噂した。

 人々は神殿に押し寄せた。それから急ぎ聖樹に向かった。






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― 新着の感想 ―
この話読むと侍女へ神の話したのわざとだな。 まあ点数だけなら、まだ稼ぐ道有る見たいだしそれで帰還するのも出来そうだが、それだと将来的に人攫いが発生するから、自分が残って滅ぼすだからなあ。 王侯貴族と…
女神の神格を貶めると同時に負担を和らげてあげる段取りかな 凄い
王侯貴族の血は絶えるよね。平民を養子にするだろうけど、その養子が貴族判定で子をなせないなら、王制・貴族制が崩壊して国は滅びるか。
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