第28話
それはこの新宿ギルドでは有名、四名の美人。
彼女らは別に血は繋がっていないが、しかし「四姉妹」と呼ばれていた。
何時もこの四人で固まって行動しており、ダンジョンでの稼ぎもこのチームで活動している。
そんな彼女らの今、この行動はギルド内の者全てに激震を走らせた。
「はぁーい?ねえ、ちょっと私たちとお喋りしなーい?」
「うっそ、ウケるー。逆ナンじゃんソレー。頭悪過ぎー。でも、悪く無いねー。」
「お茶はウチ等で出すし、ちょっとソコのテーブルでお話し聞きたいなー?どう?どうどうどう?って言うか、骸骨スッカスカだし、飲めないよねー、オモロイ。」
「ねえ?アンタたち、自分らが今、何をしてるのか解ってるの?・・・あー、もう、付き合わされるこっちの身にもなれって。・・・でも、こいつ襲ってこないって事は、その気はあるって事?ソレもソレ、どうなの?」
アンデッドナイトの行く手を塞いでお茶に誘うと言う暴挙。
常識では考えられない突拍子も無い行動、頭のネジが完全に三本以上は外れていると疑われる行為。
しかし彼女らの弾丸トーク、アンデッドナイトへの一方的な口説き文句は止まらない。
「ねえねえ?さっきの魔石の数って、どうやって集めたのー?凄くね?マジ凄い。」
「あー、それそれ、なー。アタシらが休み無く動き回っても稼げ無いくらいの量だったじゃんね?どんな事すればあれだけ稼げんの?って話し~。聞きたい聞きたい!聞かせてくれよ!」
「つか、アンちゃん強いよねー。アタシらが本気出して掛かっても五分も持たずに返り討ちじゃね?っていうか、軽くあしらわれてお終い?感あるぅ~。ねえ?ウチ等のチームに入ってくれたら鬼に金棒っしょ!一緒にダンジョン潜ろうよー。」
「おいおい・・・私は何処からツッコみ入れたら良いんだ?暴走し過ぎてるって。こういう時に私が冷静になって常識人になるの解っててお前ら悪ノリしてんじゃん・・・」
一人だけチベットスナギツネの様な顔になって仲間の言動を制そうとしていたが、それも焼け石に水。
ノリに乗っている三名は次の瞬間には見た者を漏れ無く「ぎょ!?」とさせる行動に出る。
「じゃ、こっちこっち!ここで立ち話しないで向こうの椅子ある所に行こ!お手て繋ご?」
「あーズルいじゃん。じゃあ私は空いてるこっちの腕組しちゃうんだからなー。」
「さてさて、それじゃあレッツらゴーですです。あーこの鎧って何処のブランドデザイン?カッコイイって思ってたんだよー。もっと細かい所も見せて見せてー。」
「・・・もう自棄だ。どうすんだよ、この後の顛末・・・収拾付くの?」
抑え役に回ろうとしていた一人は最終的に三人がべたべたとアンデッドナイトに纏わり付いてスキンシップをしているのを目にして「宇宙猫」の境地に至ったのかその表情がストンと落ちて真顔に変わる。
この一連の事象を周囲の冒険者たちは警戒して見ていたが、この最後の行動に最終的には唖然とさせられて言葉も出ず、身動ぎの音もしない程に固まる。
冒険者たちはコレにまるでこの世に在ってはならない物でも見たかの如くな目になって。
だが、これに一番内心が荒れ狂っていたのはこの四姉妹に逆ナンパされたアンデッドナイトだった。
=== === ===
(私は一体何でこの様な事になっているのだ?今更に女にモテてどうすれば良いと言うのだろうか?何だ?質の悪い冗談か?それとも今、私は悪夢でも見させられているのか?現実味を一切感じないこの状況は何なんだ・・)
私は前回と同様に回収した青く光る小石を放出した後はまたさっさとダンジョンに入る気でいたのだ。
けれどもそこに立ち塞がったのはあの四人の女冒険者たち。
しかしコレに敵意も出さず、武器も構えず、只只に楽で自然体のままにこちらへとどうにも話しかけて来たのだから困った。
襲い掛かって来る訳じゃ無いから対応するにもどうして良いか分からず。
そして話し掛けられてもその言葉も分からないのでしょうがないと思い一方的に相手に喋らせていた。
満足したら退くだろう、言いたい事を言いきったら退くだろう。そう高を括っていた。
要件は何か、その喋っている言語が私には理解できないので何をどう言われていても私には関係無いし、いざとなったら無視してダンジョンへと入ってしまえば良いと。
でもその四名は、もっと正確に言うとその四名の内の三名が私の、本来忌避すべきアンデッドの身体にあっけらかんとした顔して触れて来たのだ。しかも結構密着して。
(コレに驚くなと言われても、驚かずにいられないだろうよ。度胸があるとか、常識外れとか言った範疇を大きく超えているコレは)
こんな行動、大胆などと言う言葉では表し切れない、そんな言い方じゃ生温い。言葉で言い表し切れない。
流石にコレに大きく動揺した私は彼女らに引きずられるままに壁際に設置されていた机と椅子の場所まで連行された。




